• 更新日 : 2022年11月21日

健康診断と確定申告 – 個人事業主の人間ドックの費用は医療費控除の対象?

個人事業主やフリーランス、会社の従業員は、国民健康保険や健康保険組合などを通じて、健康管理のために、健康診断や人間ドックを受けます。通常、一定額以上の医療費負担があったときは、医療費控除として所得から控除を受けられますが、健康診断や人間ドックも医療費控除の対象になるのでしょうか。

この記事では、健康診断や人間ドックと医療費控除の関係、医療費控除を認めてもらうために必要な確定申告の手続きまで解説していきます。

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そもそも個人事業主が健康診断を受診する方法は?

はじめに、個人事業主が健康診断を受診する方法について見ていきましょう。

国民健康保険組合経由で受診する

国民健康保険組合とは、簡単にいうと、同じ職業の人が集まって作った健康保険の組合のことです。一般的な国民健康保険には、各自治体に住んでいる個人が自治体ごとに加入しますが、国民健康保険組合には職業ごとに加入します。

建設業や税理士、美術家など、さまざまな職業で国民健康保険組合が組織されています。国民健康保険組合が組織されている職業についている人は、国民健康保険と国民健康保険組合のどちらか一方を選択して加入します。

国民健康保険組合では定期的に健康診断を実施しており、国民健康保険組合に加入している個人事業主は、国民健康保険組合経由で健康診断を受診します。

地方自治体の健康診断を受診する

国民健康保険に加入している人は、地方自治体の健康診断を受診します。地方自治体では、無料で健康診断を実施しています。

ただし、健康診断の日程が決まっていたり、実施場所や予約の人数に制限があったりするため、仕事の休みなどを調整する必要があります。地方自治体による健康診断は、各自治体からお知らせが届いたり、自治体のサイトなどに実施日程や実施場所が掲載されていたりします。

病院や健診センターで受診する

国民健康保険や国民健康保険組合が実施する健康診断の日程や実施場所が合わない場合は、近くの病院や健診センターで健康診断を受診することもできます。ただし、その場合は健康診断の費用を自己負担しなければならないこともあるので、注意が必要です。

個人事業主・フリーランスの健康診断費用は経費にできる?

会社の従業員であれば、福利厚生の一環として、健康診断費用を会社が負担してくれるケースも多いかと思います。しかし、個人事業主やフリーランスは、会社員のような福利厚生は基本的にありませんので、自己負担で健康診断を受けなければなりません。

働き続けるために健康維持は必要なのだから、医療費控除(※こちらについては次項で詳しく解説します。)の対象に含めたり、経費に計上したりできないかと考えている人も多いかと思います。

結論からいうと、個人事業主の健康診断の費用は、医療費控除の対象に含めることはできず、事業経費としても計上できません。健康診断は治療ではなく、あくまで予防のための費用であるため、医療費には該当しないからです。また、事業主本人だけでなく、従業員として働いている家族が健康診断を受けたときの費用も経費にはできません。例外として経費に算入できるのは、家族以外の従業員が健康診断を受診したときで、福利厚生の一環として事業主が費用を負担したときのみです。

個人事業主の健康診断費用は医療費控除の対象?

次に、個人事業主の健康診断費用が、医療費控除の対象になるのかどうかを見ていきましょう。

そもそも医療費控除とは?

医療費控除は、各々の事情を鑑み所得から控除することが認められた所得控除の一種です。病院での治療費や処方薬の購入費など、医療費に関連する所得控除で、年間の実質的な負担額(医療保険などから補てんされた額を除く負担額)が一定の額を超えるときに適用できます。

医療費控除の対象や計算方法など、詳細は以下の記事で解説していますので、こちらをご覧ください。

個人事業主の健康診断費用が医療費控除の対象になるケース

健康診断や人間ドックを自己負担で行っても医療費控除の対象には算入できません。しかし、例外も存在します。健康診断や人間ドックによって重大な病気が見つかった場合です。

健康診断や人間ドックで病気が見つかり、治療を受けた場合は、健康診断や人間ドックは治療の一環と考えます。その場合は、健康診断や人間ドックの費用を医療費控除の対象に含められます。

人間ドックや胃カメラなどのオプション費用は医療費控除の対象外?

健康診断の費用は医療費控除に含められないと説明しましたが、同じように人間ドックや、オプションで受けた胃カメラなども医療費控除に含められません。なぜなら、これらの費用はあくまで予防医療であって、治療をともなうものではないためです。また、経費にもできません。

個人事業主が確定申告で医療費控除を受ける方法

医療費控除を受けるには、所得税の確定申告を行わなくてはなりません。

確定申告時に必要な書類

確定申告に必要なのは以下の書類です。

  • 確定申告書B(またはA)第一表
  • 確定申告書B(またはA)第二表

確定申告書Bは、どの所得にも対応している書式です。確定申告書AはBの簡易版で、給与所得のある会社員など、特定の所得しかない場合に使用できます。医療費控除を受ける場合は、確定申告書の第一表の「所得から差し引かれる金額」の欄にある「医療費控除」の部分に控除対象になる金額を記入します(令和5年1月より、確定申告書Aは廃止される予定です)。

なお、医療費控除を受ける場合は、確定申告書の提出だけでなく、医療費控除の明細書の添付も必要です。医療費控除の明細書は、確定申告書第一表に記載した金額の詳細を記載した書類です。年内に利用した病院や薬局などの支払先の名称、医療費の額、補てんされた額などの詳細を明記する必要があります。明細書の用紙は国税庁のホームページなどからダウンロードし、自分で領収書などを参考に記入しなければなりません。

参考:医療費控除を受ける方へ|国税庁

病院の領収書は必要?

以前の確定申告では、医療費控除の際に病院の領収書を添付する必要がありました。現在は、処理が簡略化され、領収書の添付は不要で「医療費控除の明細書」を提出するのみで医療費控除の申告が完了します。

しかし、必要ないからといって病院の領収書を捨てて良いわけではありません。税務署からの確認の際に必要になる可能性もありますので、少なくとも過去5年間の領収書は手元に保管しておきましょう。

セルフメディケーション税制とは?

医療費控除には、特例として「セルフメディケーション税制」が設けられています。健康増進や疾病予防のために一定の取り組みを行っている人が、薬局やドラッグストアで購入できる医薬品(スイッチOTC医薬品)を、年間一定額以上購入した場合に適用できます。従来の医療費控除とは選択適用になるため、両方の適用を受けることはできません。

セルフメディケーション税制を受けるために必要なのが、健康診断や人間ドックなどの一定の取り組みです。これらの診断費用は従来の医療費控除と同様、控除額には含められませんが、税制適用の要件となります。税制の適用を受けたい場合は、該当する一定の取り組みや取り組みに関連する必要書類も合わせて確認しておきましょう。
セルフメディケーション税制の詳細は以下の記事で解説していますので、こちらをご覧ください。

確定申告の前に医療費控除が可能か確認しましょう

健康診断や人間ドックの費用は、基本的に医療費控除の対象にはできません。しかし健康診断をきっかけに病気が見つかり治療をはじめた場合は、医療費控除の対象に含められます。ただし、医療費控除は、年間に支払った医療費が一定額を超えないと適用できませんので、年末まで医療費関連の領収書は保管しておき、内容や金額を見た上で、医療費控除が可能かどうかを確認しましょう。

よくある質問

健康診断は医療費控除の対象になる?

基本的に健康診断のような予防医療に関する費用は医療費控除の対象になりませんが、診断により病気が見つかり治療を行った場合に限り医療費控除の対象に含めることが可能です。詳しくはこちらをご覧ください。

医療費控除を受けるには?

個人事業主でも会社員でも、医療費控除を受けるには確定申告を行い、決められた書類の提出が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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