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  • 更新日 : 2021年6月3日

ソーシャルレンディングの確定申告の方法!書き方や必要書類、不要な場合も?

ソーシャルレンディングの確定申告の方法!書き方や必要書類、不要な場合も?

ソーシャルレンディングとは、事業資金を必要とする企業(または個人)と投資家を結びつけるサービスのことです。事業者は融資を受けるための方法のひとつとして、投資家にとっては運用方法のひとつとして活用されています。そして、確定申告が必要になるのは、投資家個人がソーシャルレンディングによって利益を得た場合です。この記事では、ソーシャルレンディングの課税の仕組み、確定申告のやり方などを解説します。

ソーシャルレンディングの確定申告は必要?

はじめに、ソーシャルレンディングの概要と確定申告について解説します。

そもそもソーシャルレンディングとは?

ソーシャルレンディングは、お金の運用を目的としている人と資金を必要とする事業者を結び付けるサービスのことをいいます。主に、ベンチャー企業やスタートアップ企業の資金調達方法として活用されるサービスです。

ソーシャルレンディングでは、投資家とソーシャルレンディング事業者が匿名組合契約を結び、投資家が出資したお金を事業者が運用する形となります。利用する事業者にもよりますが、投資家は少額からの投資が可能で、複数のファンドから気に入ったものに投資できます。ソーシャルレンディング事業者は、複数の投資家から資金を集めることで、資金を必要とする事業者にまとまったお金を融資する仕組みです。

ソーシャルレンディングの確定申告が必要な場合

ソーシャルレンディングで確定申告が関係してくる場面は、ソーシャルレンディングの利用によって投資家が利益を得たときです。ソーシャルレンディングの利益(分配金)は、総合課税の対象である「雑所得」に分類されるため、確定申告が必要な人に該当する場合は、確定申告をしなければなりません。確定申告が必要な人の代表的例は、以下に該当するような場合です。

  • 給与収入が2,000万円を超える人
  • 1ヶ所から給与を受けていて、給与所得以外の所得の合計が20万円を超える人
  • 2ヶ所以上から給与を受けていて、源泉徴収されなかった給与収入とその他の所得の合計が20万円を超える人
  • 公的年金等がある人で、公的年金等の雑所得から所得控除を差し引いたときに残額がある人
    (ただし、公的年金等収入が400万円以下で源泉徴収対象の場合を除く)

ソーシャルレンディングの確定申告が不要な場合

ソーシャルレンディングの分配金について確定申告が不要なケースとは、確定申告が必要な人に該当しない場合です。給与所得者と事業所得者の例から考えてみましょう。

■給与所得者の場合(会社員など)
1つの企業に勤めている給与所得者については、源泉徴収を受ける給与所得や退職所得以外の所得が、ある年の1月1日から12月31日までの1年間で、20万円を超えるかどうかで判断します。例えばこのケースだと、分配金が20万円を超えるのであれは確定申告が必要になりますが、20万円以下の場合は確定申告の必要はありません。

■事業所得者(個人事業主など)
事業所得がある人の場合、20万円ではなく事業所得が発生するかどうかで考えます。例えば、事業所得100万円のほかにソーシャルレンディングの分配金が10万円あったとします。この場合は、事業所得と分配金の合計である110万円の確定申告が必要となります。

ソーシャルレンディングの利益への課税

ソーシャルレンディングの課税の仕組みを図で表すと以下のとおりです。

ソーシャルレンディングの課税の仕組み

所得税課税のしくみ

分配金については、通常、ソーシャルレンディング事業者からの受取時に所得税分(20%+復興特別所得税)が源泉徴収される仕組みになっています。つまり、源泉徴収により所得税を一旦納めたことになります。

問題は、ソーシャルレンディングの分配金が分離課税ではなく、総合課税である雑所得に分類されることです。総合課税とは、雑所得のほか、総合課税の対象である所得を合算して課税所得を算出し、所得に応じて税率を決定することです。所得税の計算上、所得税率は5~40%の6段階に分けられます。

たとえば、総合課税の結果、所得税率が20%を超える場合は、源泉徴収額では納めるべき所得税額が不足していることになります。不足分を確定申告によって納めなければなりません。

一方で、源泉徴収分より所得税率が低い場合は、差額が還付されることになります。つまり、確定申告は、総合課税の対象になるソーシャルレンディングの分配金のうち、源泉徴収された分に過不足がないか最終的に調整するためのものと考えることができます。

住民税は源泉徴収されてない

ソーシャルレンディングの分配金について、源泉徴収されるのは所得税(復興特別所得税含む)のみで、住民税は源泉徴収されません。確定申告をする人は改めて住民税を申告する必要はないですが、確定申告をしない場合は住民税額の適正な計算のために、住民税の申告が別途必要になります。

ソーシャルレンディングの確定申告方法

次に、ソーシャルレンディングの分配金を確定申告する場合について解説します。

確定申告の流れ

確定申告の大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 年間取引報告書のような分配金と源泉徴収額が分かる書類を準備する
  2. 確定申告書を作成する
  3. 確定申告書を提出する
  4. 所得税を納税、あるいは還付を受ける

なお、確定申告の期間は、例年2月16日~3月15日ですが、変更や延長の可能性もあるため、最新情報を確認しましょう。

確定申告の必要書類

確定申告にあたって、提出が必要な書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書AまたはBの第一表
  • 確定申告書AまたはBの第二表

また、提出は必要ないものの、確定申告書作成のために、ソーシャルレンディングの分配金の額や源泉徴収の額がわかる書類(年間取引報告書など)が必要です。さらに、確定申告書提出時には、マイナンバー提示のほか、提出方法によっては本人確認書類写しの提出が求められることもあります。

確定申告書の書き方

ソーシャルレンディングの分配金を確定申告する場合、どのように記入すれば良いか、確定申告書Bを使って、確定申告書の書き方を説明します。

(例)ソーシャルレンディングA社から分配金50万円を受け取ったが、うち10万円が源泉徴収されている。

[確定申告書B 第二表]

確定申告書B 第二表

※上記、復興特別所得税は計算に含めず源泉徴収税額を計算しています。

手元にソーシャルレンディングの年間損益の内訳(年間取引報告書など)を用意して、第二表の「所得の内訳」に記入します。
ソーシャルレンディングの分配金は雑所得であるため、所得の種類は「雑所得」、種目は「分配金」です。給与などの支払者の名称・所在地等には、ソーシャルレンディング事業者の名称と住所を記入。収入金額には分配金、源泉徴収税額には分配金のうち源泉徴収された額を記入します。

[確定申告書B 第一表]

確定申告書B 第一表
確定申告書B 第一表

収入の内訳をもとに、収入金額等と所得金額等の欄に記入します。ソーシャルレンディングは、雑所得のその他の欄です。ほかに、雑所得のその他に該当する所得があれば合算しましょう。今回は、雑所得はソーシャルレンディングのみ、分配金の受取に関連して経費が発生していない仮定で記入例を示していますが、経費があれば収入から経費を差し引いて所得金額に記入します。

確定申告書B 第一表

今回の例では、源泉徴収額はソーシャルレンディングの分配金分のみであるため、その分を確定申告書の「税金の計算」の項目のうち、「源泉徴収税額」の欄に記入します。これにより、所得税計算時に源泉徴収税額が考慮される仕組みです。

確定申告書当作成コーナーでの申告手順

確定申告書は、国税庁の確定申告書作成コーナーからも作成できます。確定申告書作成コーナーでの申告手順を簡単に説明します。

確定申告書当作成コーナーでの申告手順

まずは「確定申告書作成コーナー」へアクセス。次に「作成開始」をクリックします。

確定申告書当作成コーナーでの申告手順

提出方法を選択する画面が表示されたら、希望する方法を選択しましょう。電子申告の場合はマイナンバーカード方式かID・パスワード方式、窓口提出や郵送の場合は印刷して提出を選択します。

確定申告書当作成コーナーでの申告手順

ソーシャルレンディングの分配金は所得税の申告であるため、所得税を選択し次に進みます。

確定申告書当作成コーナーでの申告手順

「作成開始」をクリックして、申告者の生年月日と、申告内容に関する質問に答えます。給与以外に申告する収入があるかどうかについては、ソーシャルレンディングの分配金は雑所得であるため「はい」を選択しましょう。

確定申告書当作成コーナーでの申告手順

確定申告書の入力画面になります。ソーシャルレンディングの分配金は雑所得のその他の「入力する」ボタンから入力します。

確定申告書当作成コーナーでの申告手順

雑所得(その他)の入力画面に、必要事項を入れます。

確定申告書当作成コーナーでの申告手順

入力が確定したら上のように入力内容が表示されます。これにより、確定申告書の書き方で示した収入と所得、源泉徴収税額、所得の内訳に内容が反映されます。あとは、指示に従って所得控除など、そのほかの申告に必要な内容を入れていくだけです。

ソーシャルレンディングの収益は経費計上で節税可能

所得税の計算上、課税所得額が大きいほど所得税率は上がります。控除額が設けられているため、課税所得額の少しの差で一気に課税額が増えるようなことはありませんが、それでも課税所得が膨らむほど税負担が大きくなるのは事実です。

所得税を節税するためには、ソーシャルレンディングの収益について、税法上認められる範囲で経費にできないか整理してみると良いでしょう。

たとえば、ソーシャルレンディングの口座の入出金にかかった手数料、ソーシャルレンディングの取引で必要なインターネット接続料などは経費にできます。また、インターネットを個人的にも使用している場合は、按分計算が必要です。

ソーシャルレンディングの確定申告の注意点

ソーシャルレンディングを利用している人の中には、上場株式投資信託や上場公社投資信託を利用している人もいるかと思います。上場株式投資信託の分配金は、申告不要、申告分離課税、総合課税のいずれか選択可能です。上場公社債投資信託の分配金についても、申告不要と申告分離課税のいずれかを選択できます。しかし、ソーシャルレンディングの分配金には選択肢がありません。総合課税のみです。確定申告が必要なケースでは、確定申告によって税額を確定する必要があります。

確定申告をしないとどうなる?

ソーシャルレンディングの分配金を受け取っており、確定申告が必要なケースに該当するにもかかわらず確定申告をしない場合は、ペナルティがあります。本来納めるべき税金のほかに、無申告加算税などが課される場合もあるため、注意しましょう。
また、還付金が発生するケースでは、ペナルティはありませんが、申告しなければ還付金を受け取ることができません。

正しいソーシャルレンディングの確定申告をしよう

融資や投資の形は多様化し、ソーシャルレンディングの利用も増えてきました。ソーシャルレンディングを運用で活用しようと思ったときに押さえておきたいポイントは、分配金は雑所得に分類され総合課税の対象になること、所得税のみ源泉徴収されるケースが多いことです。確定申告が必要な人は、ソーシャルレンディングの取引内容がわかる資料を準備しておき、正しく申告できるようにしておきましょう。

よくある質問

ソーシャルレンディングの確定申告は必要?

ソーシャルレンディングの利益(分配金)は、総合課税の対象である「雑所得」に分類されるため、条件に該当する場合は確定申告が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

ソーシャルレンディングの確定申告方法は?

期限内に確定申告書AまたはBの第一表、第二表を提出する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

ソーシャルレンディングの確定申告の注意点は?

上場株式投資信託や上場公社投資信託の分配金と異なり、ソーシャルレンディングの分配金は総合課税のみ選択可能です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:河野雅人(公認会計士・税理士)

東京都新宿区に事務所を構え活動中。大手監査法人に勤務した後、会計コンサルティング会社を経て、税理士として独立。中小企業、個人事業主を会計、税務の面から支援している。独立後8年間の実績は、法人税申告実績約300件、個人所得税申告実績約600件、相続税申告実績約50件。年間約10件、セミナーや研修会等の講師としても活躍している。趣味はスポーツ観戦。