- 更新日 : 2023年1月26日
奨学金を受け取ったら確定申告は必要?
奨学金を受け取ったら、名目がどうであれ現金を受け取ったことになるため、「所得税の確定申告が必要なのでは?」と思われる人もいるかと思います。奨学金とは確定申告が必要なものなのでしょうか。また、所得税や贈与税の課税の対象になるのでしょうか。この記事では奨学金について、貸与型奨学金と給付型奨学金に分けて確定申告が必要なのか解説していきます。
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目次
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貸与型奨学金と確定申告
貸与型奨学金とは、将来返済の義務が発生する奨学金のことをいいます。日本の奨学金の多くは、貸与型奨学金です。貸与型奨学金は、学校法人や自治体などさまざまな団体が募集を行っていますが、中でも広く利用されているのが公的機関の日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。JASSOの日本国内の奨学金は、第一種と第二種の2種類があります。第一種は無利子型、第二種は有利子型です。第一種は借りた額を返済すれば済みますが、第二種は利子付きで、借りた額よりも多く返済しなければなりません。貸与型奨学金では、所得税の確定申告や贈与税の申告が必要なのか、見ていきましょう。
貸与型奨学金の場合、所得税の申告は必要なし
所得は、事業などといった収入から経費などを差し引いた、いわば利益のようなものです。貸与型奨学金は、一時的には現金を受け入れるものの、将来的には返済しなければなりません。所得ではなく借入金であって、その性質は負債です。
所得税は、ある年度の1年間の所得を申告するものであるため、負債は申告の対象外です。よって、貸与型奨学金を利用して団体から奨学金として入金があっても、入金のあった額を所得として申告する必要はありません。所得税の確定申告は不要です。
贈与税の申告は必要になるケースもある
贈与とは、誰かからものや金銭をもらい受けることです。貸与型奨学金は、返済が必要な借入金であって、贈与にはならないため、贈与税の申告は必要ありません。また、贈与税の対象になるのは、個人から贈与を受ける場合です。奨学金はほとんどが団体から受け取るものであるため、個人から受け取るものでないといった点も贈与税の課税を否定する根拠になるでしょう。
ただし、奨学金の返済期間中に、家族などが返済を肩代わりした場合は注意が必要です。家族から金銭の贈与を受けて、その金銭で奨学金を返済したと認識されるため、肩代わりした額が大きければ贈与税を申告しなければならないケースもあります。暦年課税(通常)の場合はすべての贈与額を合算して、年間で基礎控除の110万円を超えるような場合は贈与税の申告が必要です。
給付型奨学金と確定申告
給付型奨学金は、支援団体が奨学金を対象者に給付するといったものです。貸与型奨学金とは異なり、返済の必要はありません。返済不要ということからもわかるように、貸与型奨学金とはまた、税金の計算上異なる扱いになります。給付型奨学金を受け取ったら、所得税の確定申告や贈与税の申告は必要になるのか見ていきましょう。
所得税の申告
給付型奨学金は、返済義務のある貸与型奨学金とは違い、完全に返済の必要がない奨学金です。給付された額をそのまま受け取ることができます。つまり、奨学金を受け取った本人の所得と考えても差し支えなさそうな性質の金銭といえるでしょう。
しかし、結論からいうと、給付型奨学金には所得税は課税されません。理由は、所得税法において、非課税所得にあたる「学資に充てられるため給付される金品」に該当するためです。教育を受けるのに必要な給付金に課税してしまうと、納税者の事情を無視した課税となってしまいます。したがって、給付型奨学金を受け取っても所得税の確定申告は不要です。
ただし、法人から給付型奨学金(学資に充てられる費用)を受ける場合は注意が必要です。会社の使用人が受け取る学資に充てる費用には、おおむね課税対象にならないと考えられますが、内容によっては給与に該当します。たとえば、会社の役員が支給を受ける場合などです。公平性がなく不透明な支給は認められません。給与となれば、給与所得として所得税の申告が必要なこともあるため、注意しましょう。
贈与税の申告
給付型奨学金に関しては、贈与税の課税対象になるかどうかは、給付を受ける団体で異なります。
(贈与税の対象にならないケース)
相続税法に定められている特定公益信託からの奨学金、また会社などの法人からの給付型奨学金には贈与税がかかりません。
(贈与税の対象になるケース)
給付型奨学金が贈与税の課税対象になるのは、特定公益信託や法人を除く団体から奨学金の給付を受けたときです。ただし、実際に贈与税の申告が必要かどうかは1年間に給付された額で決まります。基礎控除額110万円を超えて支給を受けたときは贈与税の申告が必要です。
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奨学金の返済に充てるための給付を受けた場合
奨学金を借りたものの、就職後に奨学金を返済できるほどの余裕がなく、返済に困窮してしまうケースもあります。奨学金については、社会問題として取り上げられることも増えました。このような問題を解消するために、自治体や企業では、奨学金の返済に充てるための金銭を支給するケースも増えています。こういった奨学金返済のために受け取ったお金は申告しなければならないのでしょうか。
まず、自治体から奨学金の返済に充てるための給付を受け取った場合です。このケースでは、学校卒業後に県内の企業に就職して一定期間働くことで、貸与した奨学金の返済を免除する形がよく見られます。実質的には給付型奨学金のような形です。このケースでは、免除された奨学金は「学資に充てられるため給付される金品」として取り扱うため、非課税となります。所得税の確定申告は必要ありません。
ほかにも、企業が使用人の奨学金返済のために金品を支給するケースもあるでしょう。先の見出しでも少し触れましたが、通常の給与に加算して支給する場合、役員やその家族に支給するケースでない場合、対象となる使用人に公正に支給される場合は課税の対象になりません。ただし、役員の奨学金返済のために支給する場合など、条件に当てはまらない支給は給与として取り扱うことになるため、注意しましょう。
そもそも確定申告が必要なケース
奨学金を受け取ったときに確定申告が必要かどうかを解説してきましたが、奨学金で確定申告が必要かどうかに関係なく、そもそも確定申告自体が必要な人もいます。確定申告が必要なケースは、以下のような条件に該当する場合です。
- 会社員でほかにアルバイトをしていて、年末調整を受けないアルバイトの収入が年間20万円を超えるとき
- 会社員でほかに副業をしていて、副業の所得(収入-経費)が年間20万円を超えるとき
- 自営業者で、収入から経費を差し引き、基礎控除48万円を差し引いたときに計算の結果がプラスになるとき(課税所得があるとき)
- 年間の所得が源泉徴収を受けてない退職所得のみのとき
- 収入が年間400万円を超える公的年金だけのとき
所得税の確定申告について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
例外はあるも奨学金には基本課税されない
ここまで、奨学金を受け取ったとき所得税の確定申告は必要か、贈与税の申告は必要か、貸与型と給付型に分けて説明してきました。一部例外はあるものの、基本的には奨学金を受け取っても課税されないため、確定申告の必要はありません。
【参考】国税庁|確定申告が必要な方
【参考】国税庁|贈与税がかかる場合
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銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
貸与型奨学金とは何ですか?
将来返済の義務が発生する奨学金のことを貸与型奨学金といいます。詳しくはこちらをご覧ください。
貸与型奨学金を得ている場合、贈与税の申告は必要ですか?
必要ありません。理由は貸与型奨学金が、返済の必要な借入金であって、贈与にはならないからです。詳しくはこちらをご覧ください。
そもそも確定申告が必要なのは、どんな場合なのですか?
確定申告が必要なのは、一定の基準を満たしている場合です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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