• 更新日 : 2022年11月28日

確定申告時に受けられる国民健康保険料の控除額

確定申告時に受けられる国民健康保険料の控除額

今回は、確定申告時に受けることができる国民健康保険料の控除額について解説します。

例えば、あなたが自営業を営む個人事業主であるか、年度内に退職した人の場合、または転職活動中の人は国民健康保険被保険者に該当するため、国民健康保険料を支払うことになります。原則として、この国民健康保険料について、確定申告時に社会保険料控除を受けられます。

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控除を受けるために「確定申告が必要な場合」と「申告をしなくてもいい場合」

確定申告をする人全員が、国民健康保険の控除を申告する必要がある訳ではありません。申告が必要かどうかは、年末調整をしたかどうかで判断することになります。

控除を受けられるかどうかを知る方法

年末調整というのはわかりやすく言うと「会社があなたの代わりに確定申告をすること」です。例えば、会社で健康保険(社会保険)の被保険者になっている方が年末調整で自身の社会保険料控除を受けていても、生計を一にする親族(両親など)の国民健康保険料を支払っていれば年末調整で国民健康保険料についても社会保険料控除を受けることができます。

1/1〜3/31は国民健康保険で、4/1から会社の健康保険に切り替えた場合

年度途中で社会保険のないフリーターから社会保険のある会社に入社した場合など、国民健康保険から健康保険に切り替えた人が該当します。所得税の計算期間は1/1〜12/31と定まっており、一般的な会計年度4/1〜3/31とズレることが考えられます。そのため、国民健康保険から健康保険に切り替えた場合、イレギュラーな対応が必要になります。

年末調整の際に、会社にやってもらう

前職(フリーター)の源泉徴収票があり、それを人事関連の部署に渡せば、給与収入に関しては源泉徴収簿で現職(会社)の給与データと合算して、年末調整を行ってくれます。

しかし、何らかの理由で前職では年末調整ができなかった場合には、現職の年末調整の際に国民健康保険料の控除を適用すればよいのです。なお、「給与所得者の保険料控除申告書」の『社会保険料控除』の欄に記載する金額は領収書や通帳から集計した金額を記載し、生命保険料控除証明書のような証明書類の添付は必要ありません。

ただし、納付期限が到来した保険料であっても、実際に支払っていないものは含まれませんので注意しましょう。支払った国民健康保険料の金額が不明な場合には、市役所等に問い合わせるとよいでしょう。

またそれ以外に、あなたが国民年金や国民年金基金を支払っていた場合にも『給与所得者の保険料控除申告書』内の『社会保険料控除』欄に、以下を記載することで控除を受けることができます。こちらは支払金額の証明書類を添付する必要があります。

  • 社会保険の種類:国民年金
  • 保険料支払先の名称:日本年金機構
  • 保険料を負担することになっている人:あなたの氏名
  • あなたとの続柄:本人
  • 本年中に支払った保険料の金額:支払った保険料の金額

年末調整時に、控除申告し忘れた場合

年末調整で国民健康保険料の控除をし忘れた場合には、会社からもらった源泉徴収票を元にして、確定申告をすることで、社会保険料控除の適用を改めて受けることができます。

退職後も、健康保険を任意継続していた場合

退職したあとも、一定の要件を満たせば健康保険の保養施設などを利用できるメリットがある『任意継続』を選択することもできます。

  • 退職後、会社に勤めていなければ、確定申告の社会保険料控除の適用対象となります。
  • 退職後、別の会社に勤めていれば、年末調整時に社会保険料控除として申告することができます。

介護保険料、国民年金基金、労働保険料…国民健康保険料以外に払ったものがある場合

国民健康保険料だけではなく、いわゆる「社会保険」と称されるものはほとんど、控除対象になります。介護保険料雇用保険の被保険者として負担した労働保険料も、控除対象となります。

ただし、先述のとおり国民年金と国民年金基金も同様に控除できますが、証明書類が必要となります。この証明書類とは、厚生労働省あるいは各国民年金基金が発行した領収書や証明書のことです。

年末調整後、医療費控除や住宅ローン控除で確定申告をする場合

年末調整後に、医療費控除や住宅ローン控除を受けるために、確定申告する方も多いでしょう。発行された源泉徴収票の「支払金額」、「給与所得控除後の金額」および「所得控除の額の合計額」を確定申告書に転記します。

年末調整時に社会保険料などはすでに控除されているので、改めて確定申告のときに社会保険料控除欄に記載すると、二重の控除となるため注意しましょう。

控除額の計算方法

それでは実際の数値を使って、どのくらい控除されて、減税効果があるのかを見ていきましょう。1/1〜3/31の国民健康保険料分を社会保険料控除として「申告しなかった」場合と「申告した」場合について比較します。

前提条件としては、転職後年末までの年収を350万円、東京在住の40歳未満の独身者とし、前年度も同程度の収入があったものとします。

社会保険としては次の2つについてのみ考慮することとします。

  • 転職後9ヶ月分(4月~12月)の健康保険及び厚生年金保険
  • 転職前3ヶ月分(1月~3月)の国民健康保険
比較項目
申告しない
申告する
備考
① 9ヶ月の収入
3,500,000円
3,500,000円
月当たり388,888円、賞与なしとする
② 給与所得控除
1,130,000円
1,130,000円
年収×30%+80,000円
③-1 健康保険料
167,751円
167,751円
月18,639円×9ヶ月分
③-1 厚生年金
312,930円
312,930円
月34,770円×9ヶ月分
③-3 国民健康保険料
0円
86,277円
年345,108円にて計算(東京都中央区)
基礎控除
480,000円
480,000円
課税所得
1,409,319円
1,323,042円
課税所得は国民健康保険料分異なる
⑥ 所得税(年税額
71,929円
67,539円
両者とも所得税率5%、復興特別所得税を2.1%上乗せ
源泉徴収税額
102,240円
102,240円
令和4年分源泉徴収税額表より月11,360円
年調による還付
30,311円
34,701円
差額は約4千円

計算方法としては、①の収入から所得控除(②+③+④)を差し引いたものが⑤の課税所得です。⑤の課税所得に所得税率を乗じて⑥の所得税(年税額)が決まります。

給与明細などに記載されている年初からの源泉徴収税額がわかる場合には、年税額と比較することにより還付額がわかります。

このシミュレーションでは、その他の所得控除や住宅ローン控除などを省略しているため、実際はもう少し年税額も下がることが多いでしょう。申告し忘れた場合と比較すると、申告したほうが還付される金額が多く、申告した国民健康保険料の額が多ければこの差が大きくなることがわかります。

このように、国民健康保険料の金額が多いほど課税所得を抑えることができ、税金が安くなることになります。大雑把に言えば、所得控除が増えた分に税率を乗じた金額が節税できることになります。

確定申告で控除を受ける場合は、忘れずに申告しましょう

確定申告で納税となる場合の申告期限は令和4年分については原則として、2月15日から3月15日まで、還付申告の場合は確定申告の申告期限とは関係なく翌年の1月1日から5年間提出することができます。

確定申告期限についての情報については、近年の例では変更されることが多いため、国税庁の情報などに注目しておきましょう。

確定申告で国民健康保険料の控除を受ける場合には、早めに金額確認等を行い、忘れずに申告するようにしましょう。

よくある質問

控除を受けるためには確定申告が必要?

申告が必要かどうかは、年末調整をしたかどうかで判断することになります。詳しくはこちらをご覧ください。詳しくはこちらをご覧ください。

控除を受けられるかどうかを知る方法は?

1/1〜3/31は国民健康保険で4/1から会社の健康保険に切り替えた場合、退職後も健康保険を任意継続していた場合などで異なります。詳しくはこちらをご覧ください。

控除額の計算方法は?

1/1〜3/31の国民健康保険分を社会保険料控除として申告した場合と、申告しなかった場合で異なります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岡 和恵 (税理士 / CFP)

大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。

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