• 更新日 : 2025年1月7日

従業員が5人以下の個人事業主が加入する社会保険は?任意適用についても解説

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2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ

▽提出期限

2025年2月17日(月)~ 2025年3月17日(月)

※上記は2024年/令和6年分の申告を行う期間です(参考記事はこちら

初心者から経験者まで、毎年多く読まれている記事です。確定申告の必要性、やり方、簡単に済ます方法についてまるっと解説しています。

個人事業主が5人以下(厳密には5人未満)の従業員を雇う場合、社会保険のうち労災保険と雇用保険に入る必要はありますが、健康保険や厚生年金保険、介護保険に加入する必要はありません。ただし、条件を満たせば任意適用の申請が可能です。

本記事では、従業員が5人以下の個人事業主に必要な社会保険と任意適用について解説します。

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個人事業主が知っておきたい社会保険とは

社会保険は、病気やケガ、老後など、私たちの人生におけるさまざまなリスクに備えるための公的な保険制度です。

大きく分けると、広義の社会保険と狭義の社会保険の2つがあります。広義の社会保険とは、健康保険と厚生年金保険、介護保険に加えて、労災保険と雇用保険を含めた5つの保険のことです。一方、狭義の社会保険は、労災保険と雇用保険を除いた3つの保険を指します。

それぞれの内容を詳しく見てみましょう。

狭義の社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険)

一般的に狭義の社会保険とは、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」の3つを意味します。

健康保険とは、病気やケガで病院にかかる際の医療費を負担してくれる制度です。診察・治療・入院など、さまざまな医療サービスを受ける際に自己負担額を抑えられます。

厚生年金保険は、老後の生活費を保障するための制度です。長年働き、保険料を納めることで、定年退職後や障害を負った場合に年金を受け取れます。

介護保険は、高齢になって介護が必要になった場合に、介護サービスを利用するための費用を負担してくれる制度です。訪問介護やデイサービスなど、さまざまなサービスを受けられます。

広義の社会保険(労災保険と雇用保険も含める)

社会保険をより広義に捉えると、労災保険と雇用保険も含まれます。この2つの保険を合わせて、労働保険と呼ぶ場合もあるでしょう。

労災保険は、業務中や通勤途中のケガや病気に対して、治療費や休業中の生活費を保障します。雇用保険は、失業した場合や、育児あるいは介護のために休業する場合などに、生活費や再就職のための支援が受けられる制度です。

このように、労災保険と雇用保険は、労働者を守るための重要なセーフティーネットとしての役割を果たしています。

個人事業主が雇用する従業員が5人未満の場合、社会保険の加入義務は?

個人事業主が従業員を雇うときには、社会保険の加入について注意する必要があります。従業員数によって、加入が義務付けられる社会保険の種類が変わってくるためです。

従業員を1人でも雇えば、労災保険と雇用保険に加入する義務が発生します。一方、健康保険と厚生年金保険、介護保険は、従業員が5人未満の場合は加入義務がありません。しかし、健康保険と厚生年金保険は従業員の福利厚生や定着率向上のため、任意適用制度を利用して加入できます。

従業員が5人未満の場合の社会保険加入について詳しく解説しましょう。

従業員が1人以上5人未満なら労災保険と雇用保険の加入が義務

個人事業主が従業員を雇用する場合、従業員を1人でも雇えば、労災保険と雇用保険への加入が義務付けられています。

労災保険は、パートやアルバイトを含めて、労働者を1人でも雇用したら加入が必要です。雇用保険は、労災保険加入者のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ31日以上の雇用見込みがあれば加入しなければなりません。

任意適用で健康保険・厚生年金に加入できる

業員が5人未満の個人事業主の場合、健康保険と厚生年金保険は加入義務ではありません。しかし、従業員の福利厚生や事業の安定性を考えて、任意適用制度を利用して加入できます。

任意適用とは、本来加入義務のない事業所でも、一定の要件を満たせば、健康保険や厚生年金に加入できる制度です。

従業員にとっては、健康保険に加入することで、病気やケガの際の医療費負担を軽減できるだけでなく、出産手当金傷病手当金などの給付を受けることもできます。また、厚生年金に加入することで、老後の生活資金を確保できるでしょう。

任意適用制度を利用することで、従業員の安心と定着率向上につながり、さらには事業の成長にも貢献する可能性があります。

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個人事業所が任意適用事業所として社会保険に加入する手続き

従業員が5人未満の個人事業所でも、健康保険や厚生年金に加入したい場合は、任意適用制度を利用できることを説明しました。任意適用制度を利用するには、条件を満たしたうえで手続きが必要です。また、任意適用には、知っておくべき注意点も存在します。

続いて、任意適用制度を利用するための手続きと注意点について詳しく説明していきましょう。

加入条件と手続き

任意適用制度を申請するためには、所定の条件を満たし、手続きを行う必要があります。加入の条件は、従業員の2分の1以上が任意適用を受ける事業所となることに同意することです。さらに、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けます。

重要な点は、従業員の同意が得られない場合は、個人事業主が強制的に加入させられないことで、同意を証明する書面の提出が必要です。

手続きとしては、事業主が「任意適用申請書」に加えて必要な添付書類を、日本年金機構の事務センターあるいは管轄の年金事務所に提出します。

添付書類は、従業員の同意を証明する「任意適用同意書」および事業主世帯全員の住民票原本、そして事業の実態を確認するための公租公課領収書(所得税、事業税、市町村民税など)です。

認可を受けたら、要件を満たす従業員全員が加入する

任意適用の認可を受けたら、次は従業員の加入手続きです。この際、注意が必要な点は、要件を満たす従業員全員を加入させなければならないことです。

パートやアルバイトの方も事業所と常用的使用関係にあり、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所の通常に働いている方の4分の3以上である場合、被保険者となります。

任意適用制度では、一部の従業員だけを選択して加入させることはできません。加入要件を満たす従業員全員を、必ず加入させましょう。

健康保険のみまたは厚生年金のみの加入も可能

任意適用制度では、健康保険と厚生年金保険の両方に加入するだけでなく、健康保険のみ、または厚生年金のみの加入を選択することも可能です。

たとえば、従業員の年齢層が若く、老後よりも医療費の負担軽減を重視したい場合は、健康保険のみの加入を選択するケースがあるでしょう。

逆に、従業員の年齢層が高く、老後の生活保障を充実させたい場合は、厚生年金のみの加入を選択するケースも考えられます。

このように、事業所の状況や従業員のニーズに合わせて、柔軟に加入する保険を選択できるのが、任意適用のメリットの1つです。

社会保険を任意適用するメリット・デメリット

社会保険の任意適用には、メリットとデメリットの双方があります。

メリットとデメリットを理解したうえで、従業員を増やしていく予定があるのか、あるいは従業員の年齢構成はどのようになるのかなど、今後の事業展開や経営戦略に合わせて適用を検討する必要があるでしょう。

社会保険の任意適用について、メリットとデメリットを具体的に見てみます。

メリット

社会保険の任意適用には、従業員と事業主双方にメリットがあります。

従業員にとってのメリットは、健康保険と厚生年金に加入することで、病気やケガ、老後といった将来への不安を軽減できる点です。

社会保険は家族単位で加入できるため、個人単位で国民健康保険に加入するよりも出費を抑えられるケースが多いでしょう。また、国民年金よりも厚生年金のほうが、将来受け取れる年金額が多くなる傾向があります。

事業主にとってのメリットは、従業員の福利厚生を充実させることで、人材の確保や定着率向上につながる点です。優秀な人材を確保することは、事業の成長と安定に大きく貢献するでしょう。

さらに、従業員の社会保険料は経費算入できるため、所得税の節税にもつながります。

デメリット

社会保険の任意適用には、メリットだけでなく、デメリットも存在します。

事業主にとって最大のデメリットは、社会保険料の負担が増加することです。従業員の社会保険料の半分を事業主が負担する必要があるため、人件費が増加し、経営を圧迫する可能性があります。

また、社会保険への加入手続きや保険料の納付など、事務処理の手間が増えることもデメリットと言えるでしょう。とくに、従業員数が増えると、事務処理の負担も大きくなります。

さらに、従業員の入れ替わりが頻繁に発生する場合、その度に加入や脱退の手続きが必要となり、事務処理が煩雑になる可能性もあるでしょう。

個人事業主自身が加入できる社会保険

ここからは、個人事業主自身が加入できる社会保険について、詳しく説明しましょう。

任意適用制度の対象は従業員のみで、雇用者は対象外です。しかし、個人事業主も病気やケガを負うリスクは当然あり、何らかの保障が欲しいと考える方もいるでしょう。そのため、従業員とは別に保険を探す必要があります。

個人事業主が加入できる保険は、国民健康保険と国民年金です。詳しく内容を見てみましょう。

個人事業主自身は国民健康保険・国民年金に加入する

ここまで、従業員の社会保険について解説してきましたが、個人事業主自身は任意適用制度の対象外です。そのため、原則として、国民健康保険と国民年金に加入します。

国民健康保険は、市区町村が運営する、病気やケガをした際の医療費を保障する制度です。国民年金は、老後の生活費や障害を負った場合の所得を保障する制度で、日本年金機構が運営しています。

個人事業主自身は会社員と異なり健康保険や厚生年金に入れません。しかし、国民健康保険および国民年金に加入すれば、類似する保障を受けられるでしょう。

個人事業主自身は原則、労災保険や雇用保険には加入できない

個人事業主は、1人でも従業員を雇用している場合、労災保険や雇用保険に加入させる義務があります。しかし、自身は原則としてこれらの保険に入れません。なぜなら、労災保険と雇用保険は、本来、労働者を対象とした保険であるためです。

なお、個人事業主でも労災保険に加入できる場合があります。特別加入制度といい、業務中に災害が発生するリスクが高い業種の個人事業主が、例外的に労災保険に加入できる制度です。

ただし、すべての業種が対象となるわけではありません。特別加入制度を利用できる業種は、法律で定められています。

従業員5人未満の個人事業主は、労災保険と雇用保険の加入が義務

個人事業主が、従業員を1人でも雇う場合は労災保険と雇用保険に加入する義務があります。一方で、従業員が5人未満の場合は、「健康保険」「厚生年金」「介護保険」の加入義務はありません。

なお、任意適用制度を利用すれば、健康保険と厚生年金保険に加入可能です。ただし、従業員の半数以上の同意が条件であるうえ、全員を加入させる必要があります。従業員の福利厚生を充実させたい場合は、検討してみましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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