• 更新日 : 2023年12月7日

外国株投資の確定申告はどうやる?税金、配当金の疑問にも答えます

外国株の取り引きによって利益を得た際には、確定申告が必要となるケースがあります。国内の株式投資と同様、申告分離課税方式により所得税がかかります。

外国株投資の場合には、税金を二重に納めないようにするための方法があり、確定申告に向けて理解しておくとよいでしょう。本記事では外国株投資の確定申告に関する税金や配当金の疑問、必要書類、外国税額控除などを解説します。

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外国株投資で確定申告が必要なケース、不要なケース

外国株式投資によって利益を得ると、主に「譲渡益課税」と「配当課税」の2つが発生します。

「譲渡益課税」とは、外国株の売却によって譲渡益を得た場合に発生する課税です。日本国内の申告分離課税の1つとして、20.315%の税率が課せられます。この税率は国税庁によって定められており、現在の税率は復興特別所得税が2.1%上乗せされたものです。

「配当課税」は外国株の配当金に対して発生する課税です。基本的には、取引した外国の税率で源泉徴収され、日本国内でも国内課税所得を対象に源泉徴収されます。つまり、配当課税は外国と国内の「二重課税」が発生するのです。

外国株投資で発生する税金は、国内の株式譲渡と同様に原則確定申告が必要です。しかし、ケースによっては、確定申告が不要の場合もあります。そこで、確定申告が必要なケース、不要なケースについて詳しく内容を理解しておきましょう。

必要なケース

株式投資で確定申告が必要なケースは「株式投資で利益が発生している場合」と「株式投資の利益に対して源泉徴収をしていない場合」です。なぜなら国内株と同様に、所得税が発生するためです。これは「一般口座」もしくは「特定口座(源泉徴収なし)」で株式取引した場合が対象となります。

また「損益通算」を希望する際にも確定申告が必要です。損益通算とは外国株や国内株の投資で損失が発生した場合に、他の株式で利益を上げていれば、利益のプラスと損失のマイナスを通算する仕組みです。

これにより、損失分を差し引いた金額が課税対象となります。また、外国株や国内株で損益通算をしてもまだ損失があった場合には、その損失を3年間繰り越して控除できます。

翌年以降に譲渡益が発生した場合、譲渡益から繰り越した損失額を控除できるのです。繰越控除をする場合には、3年間の確定申告が必要となります。

不要なケース

株式投資で確定申告が不要となるケースは「特定口座(源泉徴収あり)にて取引を行なっている場合」「年収2,000万円以下で給与・退職所得以外が20万円以下の場合」「利益が確定していない場合」「NISAの非課税枠を利用している場合」の4つがあります。

特定口座を使用する場合は、取引した証券会社が税金を納付するため、申告の必要がありません。また、先ほど紹介した損益通算を受ける際、特定口座内の通算を行うため申告不要となります(1つの特定口座のみを使用している場合)。

また、年収や所得によっても申告義務が発生しない場合があります。しかし株式投資だけでなく、他の課税対象がある際には確定申告が必要です。

外国株を所有しているが利益は確定していない場合も、課税の対象ではないため、確定申告の必要はありません。

さらに、NISAの非課税枠を利用した場合も確定申告は不要です。NISA口座で5年間の非課税期間、かつ年間120万円以内で購入した外国株の配当金や譲渡益等は非課税であり、確定申告は不要です。非課税期間の終了後も、翌年の非課税投資枠に移せば、確定申告は必要ありません。

配当金を受け取った場合は?

外国株式の配当金を受け取ると、外国と日本の両方から源泉徴収をされます。例えば、米国の株式投資によって配当金を得た場合には、米国での税率10%の税金が差し引かれます。

日本国内では米国の税金を差し引いた残額に対して、国内の税率20.315%が更に引かれる仕組みです。その結果として、全体の約7割が手元に残る利益となり、その他は源泉徴収されます。外国株式の配当金には、2つの税率がかかる点に注意しましょう。

外国税額控除とは

外国税額控除は、先ほど解説した「二重課税」を防ぐための控除です。外国株投資の配当金が発生すると、外国株が上場している国の税率と日本国内の税率が二重で発生します。

確定申告で控除を申請すれば、外国で源泉徴収された税額を控除することが可能です。外国税額控除を受けられるのは、外国で株式投資の配当所得や不動産所得などで利益を得て納税を済ませた場合です。日本に居住する個人や法人が対象となります。

外国税額控除を適用するには、確定申告が必要です。個人が控除を受ける場合、控除によって課税の負担が減ります。

外国税額控除の計算式

控除額は、国税庁で定められた計算式をもとに算出します。計算された限度額の範囲内で、課税分を差し引くことができます。外国税額控除の計算式は、以下の通りです。
 

所得税の控除限度額=当該年の所得税額×当該年の国外所得総額÷当該年の所得総額

計算で算出された限度額によっては、全額控除しきれないケースもあります。その際には「復興特別所得税」の控除も受けられます。

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外国株投資の確定申告で必要な書類

確定申告で外国税額控除を受ける際には必要な書類があります。取り揃える書類は、以下の通りです。

  • 確定申告書
  • 外国税額控除に関する明細書
  • 外国所得税の課せられたことを証明する書類等
  • 国外所得総額の計算に関する明細書
  • 各年の控除限度額や納付した外国所得税を記載した書類(繰越控除をしている場合)

外国税額控除を受けるために必要な書類は記載方法が複雑なため、説明に沿って算出しなければなりません。書類の書き方や申告に不安がある場合は、税理士などに相談してみてください。

外国株投資の確定申告について正しく把握しよう

外国株投資は特定口座(源泉徴収あり)を選べば、確定申告は不要になりますが、場合によっては確定申告をしたほうが納税の負担を軽減できます。

そのためにも、外国株投資を行う際は「自分が確定申告の対象となるか」「確定申告したほうがよいか」といった判断が必要です。外国税額控除を受ければ、納税の負担を軽減できます。

外国株投資の確定申告について、正しい知識と判断をしましょう。さらに、確定申告について詳しく知りたい人は、以下のサイトをご覧ください。

【参考】
国税庁|株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)
金融庁|NISAの基礎知識

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よくある質問

外国株投資で得た利益には税金がかかる?

株式投資によって得た利益には税金がかかります。原則、確定申告によって税額を申告し、税金を納めなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。

確定申告が不要になるケースもある?

確定申告が不要になるケースは4つあります。詳しくはこちらをご覧ください。

配当金を受け取った場合も税金がかかる?

外国株式の配当金を受け取る場合は、日本と外国のいずれも源泉徴収が行なわれることになります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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