• 更新日 : 2021年12月17日

養育費の支払いは扶養控除の対象として税金対策できる?確定申告は?

養育費の支払いは扶養控除の対象として税金対策できる?

扶養控除は、家族を扶養(経済的に助けて養うこと)する場合に受けられる控除です。同じ家計において、養う子どもや親族がいる場合に受けられます。一方で、離婚などにより別れて暮らす子どもの養育費は、教育や監督・保護のために必要な金額とされていますが、経済的な援助をしているという意味で、離婚後の養育費も扶養控除の対象にできるのでしょうか。

この記事では、所得税や住民税の税金の計算に関連してくる扶養控除の概要から、養育費が扶養控除できるケースとできないケース、確定申告など手続きの方法まで解説していきます。

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離婚後の養育費は扶養控除の対象?確定申告は必要?

両親が離婚した後、子どもと離れて暮らす側の親も子どもの養育義務を負います。また、一般的には親権者でなくなった側の親が養育費を支払い、養育義務を履行します。

養育費は、離れて暮らす子どもの養育費用として支払いますので、確定申告や年末調整の扶養控除にできないかと考える人も多いでしょう。結論から言うと、一定の条件を満たせば、離婚後の養育費も扶養控除の対象になります。

そもそも扶養控除とは?

扶養控除は、所得税の計算上、合計所得金額等から差し引くことができる所得控除のひとつです。その年の12月31日時点において、以下の要件すべてを満たす税法上の扶養親族がいる場合に受けられます。

  1. 6親等内の血族または3親等内の親族、里子または養護を委託された老人(配偶者以外)
  2. 納税者と生計が一であること
  3. 年間の合計所得金額が48万円以下
  4. 青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていない
  5. 白色申告者の事業専従者ではない

扶養控除の詳細は以下の記事で解説していますので、こちらもご覧ください。

控除できる金額は?

扶養控除は38~63万円と、対象になる扶養親族の年齢で以下の表のように控除額が変わってきます。扶養親族の年齢は、その年の12月31日時点が基準となります。

一般の控除対象扶養親族(16歳以上)
38万円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満)
63万円
老人扶養親族(70歳以上)
同居老人等以外
48万円
同居老人等
58万円

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

確定申告は必要?

扶養控除の適用は、確定申告が要件にはなっていません。年末調整の対象ではない個人事業主やフリーランスは確定申告で扶養控除を申告する必要がありますが、会社員など年末調整の対象者は年末調整で扶養控除を申告できます。扶養控除の手続き方法は、次項で詳しく解説していきます。

扶養控除にできるケース

離婚をしても、元配偶者や子どもとの同居を継続するケースがあります。養育費を同居している子どもへ支払っている場合は、事実上生計を一にしていると見なすことができるので、「納税者と生計が一であること」の要件は満たしていると考えられます。

離婚し別居している場合

離婚後に子どもと別居状態になると、一見生計を一にしているようには見えなくなります。しかし、支払った養育費が以下2つの条件をどちらも満たす場合は、生計を一にしている子どもの養育費用であると考えて問題ありません。

  • 養育費が扶養義務の履行のため支払われている
  • 成人までなど、一定の年齢に限定して支払われている

生計を一にする要件に同居は含まれていません。支払った養育費が明らかに子どもの養育のために使われているなら、別居状態であっても同じ家計内で養育していると考えられ、生計を一にしているものとして扱われます。

扶養控除にできないケース

離婚後にしっかり養育費を支払っていても、必ず扶養控除の対象にできるわけではありません。扶養控除の対象にならない具体例をいくつか取り上げます。

子どもが16歳未満の場合

扶養控除の対象は、その年の12月31日時点で16歳以上の扶養親族と定められています。そのため、養育費を支払っていても、子どもが16歳未満なら扶養控除を適用できません。なお、16歳未満の子どもには、養育費用の補助として児童手当(旧子ども手当)が給付されます。

養育費を一括で支払う場合

養育費を毎月ではなく、一括で支払った場合は、基本的に扶養控除を受けることができません。これは日々の生活の中で子どもを扶養している形から離れ、生計を一としているとは認められなくなるためです。

一括で支払っても例外として扶養控除の対象になるのは、信託契約を結び、子どもを受益者(託された財産による利益を得る者)として養育費相当の金銭が継続的に支払われるような場合です。信託契約とは、信託銀行などと契約を結び、委託先に財産を託して管理・運用させる契約を指します。

なお、信託契約により子どもが受け取る養育費は子ども自身の信託収益となり、所得として扱われます。子どもが信託収益のほかに得ている所得の状況や、同居する親の扶養控除の対象になっていないかなど、他の要素によっては扶養控除の対象として認められない場合もあります。

扶養が重複した場合

養育費を支払っている側の親だけでなく、子どもと同居している親も子どもを扶養していることになります。しかし扶養控除は両親のどちらか一方に適用される制度のため、両親が重複して扶養控除を申告することはできません。

なお、扶養控除はひとりの子に対して両親がどちらも適用しなければ問題ないため、養育費を支払っている親の扶養親族に長男、同居している親の扶養親族に長女、というようにすれば両親とも扶養控除を適用できます。

扶養控除の手続きの方法は?

扶養控除の対象になる親族がいて扶養控除を受ける場合の手続きをサラリーマンの場合と、個人事業主などの場合に分けて解説します。

年末調整を行うサラリーマンの場合

年末調整を受けるサラリーマンは、「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」を勤務先に提出することで扶養控除を申告できます。給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書は、一般的に勤務先から受け取れます。

「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」には、「控除対象扶養親族(16歳以上)」への記入が必要です。子どもの名前や、申告者との関係(続柄)、子どもの生年月日、子どもの個人番号、子どもの住所や居所、子どもの所得の見積額を記載します。別居している子どもがアルバイトなどをしているときは、毎月の給与額などを聞いて所得額を把握しておきましょう。

確定申告を行う個人事業主などの場合

年末調整の対象でない個人事業主やフリーランスは、確定申告で扶養控除の申告を行います。確定申告書において記載が必要な箇所は、確定申告書の第一表にある「所得から差し引かれる金額」の扶養控除の箇所と、第二表の「配偶者や親族に関する事項」です。

第一表の扶養控除の欄には、申告する扶養控除の額を記入します。区分欄は、扶養親族が国外に居住している場合に記入が必要な部分で、通常は記入の必要はありません。

第二表の「配偶者や親族に関する事項」には、扶養する子どもが16歳以上かどうかに関わらず、配偶者を含めた扶養親族すべてを記入します。養育費を支払っている子どもについて扶養控除を受けたいときは、子どもの名前、子どもの個人番号、続柄、生年月日の記入が必要です。住民税の欄は、子どもが16歳未満のときは「16」に丸を、子どもと別居しているときは「別居」に丸を付けます。子どもと別居している場合は、同じく第二表の「住民税・事業税に関する事項」の欄に、別居している子どもの氏名や住所の記入が必要です。

養育費を受け取る側は、所得税・住民税が課税される?

養育費は子どもの養育に必要な費用として受け取る金銭ですが、形としては他者から金銭の供与を受けることになるため、所得に該当して所得税や住民税が課税されるのではないかと考えられるかもしれません。
養育費として受け取った金銭は、子どもの生活や教育のために妥当な額であれば、所得税や住民税の課税対象にはなりません。これは、離婚後も、子どもの扶養義務は継続し、養育費の支払いは扶養義務の履行と考えるためです。

ただし、養育費として多額の金銭を一括で受け取って預貯金などに入れた場合などは、所得税や住民税の課税対象にはならないものの、贈与税が課税される可能性もあります。養育費の一括受け取りは、将来支払われなくなるリスクを回避できるメリットもありますが、扶養控除の未適用や贈与税の対象となる場合もありますので、養育費の受け取り方は十分に検討されることをおすすめします。

税金対策として養育費の扶養控除を正しく申告しましょう

扶養控除は所得控除のひとつであり、課税所得を減額する役割をもっています。もし離婚後に養育費を支払っているなら、子どもを扶養親族とすることで扶養控除を申告できるケースもあります。ただし、ひとりの子どもに対しては両親ともに扶養控除の申告ができません。制度を正しく利用できるように両親で話し合い、税金対策にもなる扶養控除を申告しましょう。

よくある質問

離婚後の養育費は扶養控除の対象になる?

税法上の扶養親族の条件を満たせば、離婚後の養育費も扶養控除の対象になります。詳しくはこちらをご覧ください。

養育費を扶養控除できるケースは?

離婚後も同居している場合のほか、離婚後に別居していても、一定の年齢に限定して支払われる扶養義務履行のための養育費であって、かつ合計所得金額などの要件を満たせば扶養控除できます。詳しくはこちらをご覧ください。

養育費を扶養控除できないケースは?

子どもが16歳未満、信託契約なしに養育費を一括で支払う場合、扶養控除の申告をした側ではない親は扶養控除ができません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岡 和恵 (税理士 / CFP)

大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。

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