• 更新日 : 2025年10月21日

エステティシャンが個人事業主になるには?開業から税金・確定申告までガイド

独立して自分のサロンを持ちたいと考えるエステティシャンにとって、「個人事業主になる」という選択は大きなチャンスであり、同時に責任を伴う一歩でもあります。自由な働き方や収入アップ、自己実現が叶う一方で、開業手続きや税金、確定申告など事務的な対応も欠かせません。

本記事では、エステティシャンが個人事業主として開業・運営するために必要な知識や準備について解説します。

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目次

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エステティシャンが個人事業主になるには?

エステティシャンとして独立し個人事業主になるには、サロンを開業するだけで基本的に誰でも始めることが可能です。ただし、提供する施術内容によっては必要な資格や手続きが異なる場合があります。ここでは、エステティシャンが提供できる代表的な施術ジャンルを紹介します。

フェイシャルエステ

フェイシャルエステは、主に顔周りの肌の状態を整えるための施術であり、クレンジングや保湿、美容機器を用いたケアなどが含まれます。資格がなくても開業できますが、使用する機器や化粧品に関する知識は必須です。医療行為を伴わない範囲であれば自由に提供できます。顔そりや医療行為にあたる施術には理容師や医師などの資格や許可が必要です。

痩身・ボディエステ

痩身エステは、マッサージや美容機器を使って脂肪燃焼や体の引き締めを目指す施術です。こちらも国家資格は不要で個人事業主としての提供が可能ですが、誇大広告や効果保証の表示は景品表示法上で問題になることがあるため注意しましょう。また、医療機器に該当する機器や医行為にあたる施術は規制されるため、内容や使用機器によっては資格や許可が必要です。

リラクゼーション・アロマトリートメント

アロマオイルなどを用いたボディトリートメントは、癒しやリラックスを目的としたサービスであり、施術者の感性と技術が問われます。あん摩マッサージ指圧師などの資格が必要な医療類似行為を含まない内容であれば、資格がなくても提供可能です。

ブライダルエステ

結婚式前の花嫁向けに提供されるブライダルエステは、フェイシャル・痩身・シェービングなどを組み合わせた施術が特徴です。提供する内容により理容師免許や提携先との連携が必要な場合があるため、サービスの内容が必要です。

メディカルエステ(提携型)

医療機関と提携して提供されるメディカルエステは、美容皮膚科などの医師監修のもとで行われます。個人事業主として行うには、医療機関との契約や管理体制が必要であり、一般のエステとは別の運営体制になります。医療行為に該当しない範囲での施術が基本です。

このように、エステティシャンとして独立する際には、施術内容に応じて必要な知識や確認事項が異なります。安心して開業・運営を行うためにも、自分が提供するサービスのジャンルと法的な扱いを明確にしておくことが重要です。

エステティシャンとして開業するための手続きは?

エステティシャンが個人事業主として開業するには、他の業種と同様に税務署への開業届の提出が第一歩です。ここでは、一般的な開業手続きに加え、エステティシャンとして開業する際に意識しておきたい事項を解説します。

開業届の提出と屋号の記載

エステティシャンとして個人でサロンを開くには、まず「個人事業の開業・廃業等届出書」を所轄税務署に提出します。これは、事業を開始してから1か月以内に提出することが原則とされています。

開業届には、氏名・住所・職業・屋号(任意)などを記載しますが、エステサロンの場合は屋号を記載することをおすすめします。開業届に屋号を記載しておけば、後に屋号付きの銀行口座を開設する際に証明書類として活用でき、事業と私用の収支を分けて管理しやすくなるためです。

屋号はサロン名となるため、将来的にホームページやSNS、名刺などでのブランドイメージにも直結します。個人名ではなく「○○エステサロン」などの名称を記載することで、より本格的な事業として信用を得やすくなるという利点もあります。

青色申告の承認申請と経理の準備

開業届と同時に「青色申告承認申請書」も提出することで、青色申告による税務処理が可能になります。青色申告には最大65万円の特別控除、赤字の繰越控除、専従者給与の経費化など多くのメリットがあります。エステサロンのように備品購入や広告費がかかる業種では、これらの控除を活用することで節税効果が大きくなります。

ただし、青色申告には複式簿記での記帳や決算書類の作成が必要です。開業時点からクラウド会計ソフトなどを導入し、経理体制を整えておきましょう。日々の売上、仕入れ、経費を正確に記録することで、確定申告時のミスや修正申告のリスクを減らせます。

保健所の届出と施術内容の確認

エステティシャンとして施術を提供する場合、基本的には保健所への届出は不要です。しかし、顔剃り(シェービング)など理容師法に該当する施術や、鍼灸・マッサージといった国家資格が必要な医療類似行為を行う場合には、該当の資格を持った施術者が必要であり、保健所への届出や設備基準の遵守が求められます。

そのため、開業前に提供するサービスの内容を整理し、必要に応じて所轄の保健所へ事前相談を行うことが推奨されます。また、美容機器の使用においても、法的に問題がないものか、効果効能の表示に問題がないかなども確認が必要です。

社会保険・年金の切り替え

個人事業主として独立した後は、会社員時代と異なり、自ら国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。これらは居住地の市区町村役所で手続き可能です。保険料は全額自己負担となるため、月々のキャッシュフローを意識した資金計画も重要です。

なお、一定の条件を満たせば小規模企業共済や国民年金基金といった制度も利用可能で、老後の備えとともに節税効果も期待できます。開業と同時にこれらの制度の活用も視野に入れておくとよいでしょう。

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エステティシャンが個人事業主になるメリットは?

エステティシャンとして独立すると、サロン勤務では得られない自由や裁量、経営経験を通して、自分の理想に近い働き方を実現できます。以下にそのメリットを紹介します。

自由な働き方ができる

個人事業主になることで、サロンの立地・営業時間・提供メニュー・価格設定などすべてを自分で決められるようになります。たとえば子育てや介護と両立する働き方をしたい人には、自宅サロンの開業という選択肢もあります。自分のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができるのは、独立の大きな魅力です。

収入の上限がなくなる

会社勤めの場合、どれだけ施術をこなしても収入は固定されがちですが、独立すれば売上がそのまま収入に直結します。集客やリピートを工夫することで、大幅な収入アップも可能です。もちろんリスクも伴いますが、努力が報酬に反映されるやりがいは大きいでしょう。

経費計上による節税が可能

個人事業主は事業に関わる支出を経費として計上できるため、課税所得を減らせます。たとえば、サロンの家賃・光熱費・商材費・広告費・交通費・研修費などが対象です。会社員と比べ、税金面での自由度が高く、計画的な節税が可能です。

エステティシャンが個人事業主になるデメリットは?

個人事業主としてエステサロンを開業することには自由ややりがいがある一方で、経営リスクや制度面の不利も存在します。ここでは、エステティシャンが独立する際に注意すべきデメリットを紹介します。

収入が不安定になりやすい

サロン勤務時代と異なり、個人事業主には安定した月給がありません。開業初期は集客が安定せず、月によって収入が大きく変動することもあります。また、予約の減少や体調不良によって稼働日数が減ると、売上に直接影響します。固定給がなくなることで、経済的不安を感じやすくなるのが独立の現実です。

社会保険の保障が手薄になる

会社員時代は健康保険や厚生年金雇用保険に自動的に加入していましたが、独立後はこれらが適用されません。代わりに国民健康保険と国民年金へ自分で加入し、保険料も全額自己負担となります。また、労災保険や失業保険も対象外となるため、ケガや病気、失業への備えは自己責任で行う必要があります。

雑務や経理などすべてを自分でこなす必要がある

個人でサロンを運営するには、施術以外の業務もすべて自分で対応しなければなりません。物件の選定、備品の手配、チラシやSNSでの集客、会計処理、税務手続きまで、業務の幅は非常に広くなります。確定申告や帳簿管理といった経理業務は、慣れていない人にとっては大きな負担です。時間やエネルギーを施術以外の業務に多く割かなければならず、「技術者」と「経営者」の両立を求められる点は、プレッシャーとなることもあります。

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エステティシャンの個人事業主にはどんな税金がかかる?

エステティシャンとして個人で独立すると、さまざまな税金に対応しなければなりません。施術内容や営業形態、売上規模によって適用される税目が変わることもあるため、自分の事業にどの税金が関係するのかを把握しておくことが大切です。

所得税と住民税はすべての個人事業主に発生

最も基本的なのは「所得税」と「住民税」です。所得税は、1年間の売上から経費を引いた「事業所得」に対して課される国税で、翌年の確定申告により税額が決定します。エステサロンの運営では、家賃・商材・光熱費など経費になる支出も多いため、適切に計上すれば課税所得を大きく減らせます。

住民税は、所得の内容をもとに、翌年6月頃から市区町村に納める地方税です。税率は概ね10%前後で、均等割と所得割の合算で金額が決まります。確定申告をしていれば別途申告は不要です。

業種によって個人事業税がかかる場合も

エステティシャンにとって注意が必要なのが「個人事業税」です。個人事業税は法定70業種に該当する場合に、年間所得から事業主控除290万円を差し引いた残額に課税されます。

個人事業税は業種の認定など判断が難しい場合もあるため、県税事務所に確認するのが確実です。

消費税とインボイス制度への対応

売上規模が大きくなると「消費税」の納税義務も発生します。2年前の売上が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者となり、売上にかかる消費税を申告・納税する必要があります。

また、2023年10月から始まった「インボイス制度」では、課税事業者しか発行できない「適格請求書(インボイス)」の導入が進められています。個人顧客が中心のエステサロンであれば大きな影響はない場合もありますが、法人と取引する場合や仕入税額控除を受ける相手がいる場合には、インボイス発行事業者としての登録が求められることがあります。

エステティシャンの個人事業主が経費にできる項目は?

個人事業主であるエステティシャンは、事業のために使った支出を「必要経費」として所得から差し引き、これにより所得税や住民税の負担を減らせます。ただし、経費として認められるには「事業に直接関連していること」が前提です。

自宅サロンの家賃・光熱費も対象

サロンを賃貸で借りて営業している場合、その家賃や更新料は全額経費となります。自宅の一部を使っている場合も、使用割合に応じて家賃や水道光熱費の一部を「家事按分」で経費にできます。例えば自宅の30%を施術スペースとして使用していれば、家賃や電気代の30%を経費とするなど実態に合わせて家事按分します。

施術機器や商材の購入費

ベッドやスチーマー、美顔器などの施術機器、またタオルやオイル、化粧品などの消耗品は経費として計上できます。ただし、10万円以上の高額機器については原則として「減価償却」が必要であり、耐用年数に応じて複数年に分けて経費化する必要があります。購入時に一括で経費にせず、適切に分割処理しましょう。

広告費・通信費・交通費なども計上可能

集客のために使ったウェブ広告やチラシ作成費、ホームページの維持費などは「広告宣伝費」として経費になります。また、業務用スマホ代やインターネット代は「通信費」、仕入れや出張での移動にかかる電車代やガソリン代は「旅費交通費」として処理できます。

スキルアップのための講習やセミナー費

エステティシャンとしての技術向上を目的に受講するセミナーや講習会の費用は、「研修費」として経費に計上できます。資格取得やスキルアップに投資した支出も、将来的な収益に結びつくものであれば対象です。

スタッフを雇う場合の人件費

従業員を雇った場合、その給与や賞与、アルバイト代はすべて経費となります。通勤手当や研修費、福利厚生費(健康診断など)も含まれます。また、家族を手伝わせる場合、青色申告なら「青色事業専従者給与」として支払った給与を経費にできる一方、白色申告では「専従者控除」の範囲内でのみ認められます。

エステティシャン個人事業主は確定申告が必要?

エステティシャンとして個人事業主として活動する場合、原則として確定申告が必要になります。ただし、収入の種類や金額によっては申告義務がない場合もあるため、状況に応じた判断が重要です。ここでは、申告が必要な条件と申告方法、青色申告と白色申告の違いなど、実務に役立つポイントを解説します。

確定申告が必要なケース・不要なケース

エステティシャンとして本業で活動し、事業所得が発生している場合は、基本的に毎年2月16日〜3月15日の間に確定申告を行う必要があります。一方、会社員として給与所得を得ながら、副業的にサロン活動を行っている人の中には、申告が不要なケースもあります。

給与所得があり年末調整が済んでいる場合で、エステによる事業所得が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は免除されます。ただし、この場合でも住民税の申告は必要です。確定申告を省略しても、収入がある限り自治体には申告義務がある点に注意しましょう。

青色申告の活用で節税が可能に

本格的にサロン運営をしているなら、青色申告を選択することがおすすめです。事前に「青色申告承認申請書」を提出する必要はありますが、以下のような大きなメリットがあります。

  • 最大65万円の青色申告特別控除(電子申告条件付き)
  • 家族に支払う給与を全額経費にできる「青色事業専従者給与」
  • 赤字を翌年以降の黒字に繰り越せる「純損失の繰越控除」

これらは、エステサロンのように設備投資や仕入れ費用がかかる業種にとって大きな節税手段となります。青色申告は帳簿作成や決算書の提出が必要になりますが、クラウド会計ソフトを活用すれば管理は十分可能です。

青色申告と白色申告との違い

白色申告は帳簿付けの負担が少なく、事前申請も不要ですが、特別控除などの税制優遇は受けられません。開業初年度で事業規模が小さく、経理に不慣れな場合には入り口として選ぶこともありますが、長期的には青色申告の方が有利といえます。

確定申告は、売上から必要経費を差し引いた事業所得を計算し、各種控除を適用して課税所得を算出します。所得税はこの課税所得に税率をかけて決定されます。2025年分からは基礎控除が最大95万円に拡充され、課税所得が低い場合には税額がゼロになるケースもあります。

理想のサロンを目指すなら、万全の準備で独立しよう

エステティシャンが個人事業主として独立するには、施術内容の整理や必要な資格の確認、税務署への開業届、社会保険の切り替え、確定申告の準備など、取り組むべき手続きが多数あります。自由度の高い働き方を実現するためには、こうした準備を怠らず、継続的な経理管理や法令遵守を意識することが重要です。安心して開業・運営を進めるためにも、最初の一歩を丁寧に踏み出しましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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