• 更新日 : 2025年3月5日

個人事業主として家賃収入を得るメリットや確定申告、経費による節税などを解説

個人事業主として家賃収入を得る不動産賃貸業は、自営業者や会社員の副業として人気があります。しかし、会社員は給与と別に収入を得ているので、確定申告が必要です。確定申告をする際には、納税額を抑えるためにも節税を考える必要があります。ここでは、個人事業主と家賃収入の関係について詳しく解説します。

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個人事業主として家賃収入を得るメリット

はじめに、個人事業主として家賃収入を得るメリットについて見ていきましょう。

資産運用を効率化できる

個人事業主として家賃収入を得るメリットとして、資産運用を効率化できることが挙げられます。資産運用で最も苦労するのは、いかに安定した収益を得るかという点です。家賃収入は、毎月決まった収入を安定して得ることができます。投下した資本に対してある程度確実なリターンが見込めるため、資産運用を効率化できます。

節税効果が大きい

実は、家賃収入には大きな節税効果があります。不動産による所得が赤字になったとしても、給与所得と相殺して、毎月の給与から天引きされていた所得税の還付を受けることが可能です。

また、相続税でも節税ができます。例えば、1億円の現金を手元に置いておくのと、1億円で賃貸物件を購入していた場合を比べると、相続税の計算上、1億円の賃貸物件のほうが価値は低くなります。物件の種類や状況などによっても異なりますが、50%ほどの価値に評価されるケースもあります。そのため、現金を賃貸物件にしておけば、相続税の節税効果が大きくなります。

副業・兼業としても柔軟に取り組める

不動産賃貸業はアルバイトやパート、物販など他の副業に比べて柔軟に取り組めます。一度軌道にのると、他の副業ほど手をかけずに安定した収入を得られるため、本業の仕事をしながらでも続けやすいでしょう。また、収入金額が大きくなれば、兼業や本業にすることもできます。

個人事業主として家賃収入を得るデメリット

次に、個人事業主として家賃収入を得るデメリットを見ていきましょう。

初期投資が必要となる

家賃収入を得るためには、初期投資としてその基となる物件を購入しなければなりません。しかし、現金一括払いで物件を購入できる人はほとんどいないので、金融機関から借り入れをして購入します。

そのため、頭金の用意や借り入れの申込の準備、安定した収益の出る物件選びなど、最初に多くの準備が必要となります。

空室や家賃滞納のリスクがある

家賃収入を得る際の大きなリスクとして、空室や家賃滞納のリスクがあります。

物件を購入する際には、利回りや収益率などを考えて物件を選びますが、空室や家賃滞納があれば当然、当初考えていた利回りや収益率には到達しません。場合によっては大きな赤字になる可能性もあります。

空室や家賃滞納のリスクを減らすためにも、物件を選ぶ際に、周辺環境やターゲット層と購入する物件が合っているかなど、事前調査などをしっかりしておくことが重要です。

経費や税金に関する手続きが増える

会社員などの給与所得者が家賃収入を得ると、給与と別に収入を得ているので、確定申告が必要です。確定申告をするためには、家賃収入の管理はもちろんのこと、経費の管理も必要です。領収書やレシートの保存や、帳簿作成などの管理をしていくことになります。

また、税金の支払いも考えた資金繰りをしていく必要があります。

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サラリーマン大家が個人事業主に該当する条件

物件を購入して家賃収入を得たからといって、すぐに個人事業主になれるわけではありません。会社員が副業として不動産賃貸業を営む個人事業主=サラリーマン大家になるには、次の条件を満たす必要があります。

事業的規模の不動産賃貸業を行っていること

個人事業主になるためには、営んでいる不動産賃貸業が事業的規模でなければなりません。事業的規模であるかどうかは、収入の大きさや資産の管理の状況などから総合的に判断されます。

営んでいる不動産賃貸業が事業的規模に当たる判断の目安として「5棟10室」基準があります、これは、賃貸している物件が一軒家であれば5棟程度、マンションやアパートなら10室程度であれば、事業的規模と判断するという基準です。

ただし、5棟10室基準はあくまで目安です。例えば、9室のアパートだと事業的規模でないのかというと必ずしもそうではありません。あくまで経営の実情に沿って総合的に判断します。

開業届を提出していること

個人事業主になるためには、所轄の税務署に「開業届」を提出する必要があります。開業届とは、事業を始めたことを税務署に届けるための書類です。開業届を出すことで、税務署も納税者が個人事業を始めたことを把握できます。

開業届は開業後1か月以内に提出することになっていますが、遅れても罰則はありません。開業後1か月を過ぎても、開業届を出していない場合は速やかに提出しましょう。

開業届については以下の記事を参考にしてください。

個人事業主として不動産賃貸業を始めるための手続き

個人事業主として不動産賃貸業を始めるための手続きの流れは、次のとおりです。

物件を準備・購入する

まずは、初期投資として不動産収入の基となる物件を購入します。物件を購入にあたっては、頭金の用意や融資の申込、収益性の検討、周辺環境の調査などが必要です。

税務署へ開業届を提出する

物件を購入し不動産賃貸業を始めたら、1か月以内に所轄の税務署に開業届を提出します。開業届の用紙は税務署の窓口や国税庁のサイトからダウンロードできるほか、e-Taxと連携した会計系のソフトなどでも作成・提出ができます。

参考:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁、「個人事業の開業・廃業等届出書

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個人事業主として不動産賃貸業を始める場合の注意点

個人事業主として不動産賃貸業を始めるにあたっては、以下のような点に注意しましょう。

物件が事業的規模かどうか確認する

不動産賃貸業が事業的規模であれば、次に説明する青色申告などの節税対策ができるようになります。そのため、物件が事業的規模かどうかを事前に確認することが重要です。

物件が事業的規模かどうかは総合的に判断しますが、少なくとも「5棟10室」基準を満たす物件のほうがよいでしょう。事業的規模かどうかわからない場合は、税務署や税理士などの専門家に相談してみてください。

青色申告を選択するには青色申告承認申請書を提出する

青色申告とは、複式簿記を使った一定の帳簿の作成や保存などを条件に、さまざまな節税に役立つ特典を得られる制度のことです。

青色申告の特典で、大きなものに青色申告特別控除があります。これは青色申告をするだけで、最大65万円の控除が受けられるというものです。

ただし、青色申告をするには、事前に「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出する必要があります。

参考:A1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁、「所得税の青色申告承認申請書

家賃収入や経費の確定申告が必要

家賃収入を得たら、家賃収入や経費の確定申告が必要です。青色申告をする場合はもちろん、青色申告をしない場合(白色申告)にも帳簿付けが必要です。

また、経費の領収書やレシートを保管しておかなければなりません。月ごとや科目ごとにノートに貼ったり、封筒に入れたりして管理しましょう。

不動産所得の確定申告については以下の記事でくわしく解説しています。合わせて参考にしてください。

個人事業主の家賃収入を確定申告する方法

ここでは、個人事業主の家賃収入を確定申告する方法について見ていきます。

家賃収入の確定申告の必要書類

家賃収入の確定申告で、必要となる代表的な書類には次のものがあります。

  • 源泉徴収票(給与所得がある場合、税務署への提出は不要)
  • 保険料の控除証明書(生命保険料や地震保険料など)
  • 確定申告書(第一表と第二表)
  • 青色申告決算書(青色申告の場合)または収支内訳書(白色申告の場合)
    青色申告決算書や収支内訳書は、1年間の収入や経費の金額を記入するものです。
  • その他、納税者の状況に合わせた必要書類(寄附金の控除証明書や医療費の領収書、住宅ローン控除の書類など)

確定申告書や青色申告決算書、収支内訳書は、国税庁のサイトからダウンロードするか税務署の窓口などで入手できます。

参考:確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

家賃収入の確定申告書の書き方

確定申告書には、第一表と第二表があります。一般的に、まず第二表を作成し、次に第一表を作成します。

第二表は、所得の内訳や支払った保険料の情報、配偶者や親族の情報、住民税の情報などを記載する書類です。勤務先などから発行された源泉徴収票や保険料控除証明書などを見ながら、必要事項を記載します。

第一表は、納める税金を計算する書類です。作成した第二表や青色申告決算書・収支内訳書などを見ながら、収入金額や所得金額所得控除金額など必要な情報を記載し、納税額を計算します。

家賃収入はその性格により、後述する不動産所得、事業所得雑所得に分かれます。不動産所得の場合は「不動産」欄に、事業所得の場合は「事業」の「営業等」欄に、雑所得の場合は「雑」の「業務」に記載し、会社の給与がある場合は「給与」欄に記載します。

家賃収入の確定申告書の提出方法

家賃収入の確定申告書の提出方法には「税務署の窓口に提出」「郵送で提出」「e-Tax」の3つがあります。

作成した確定申告書は税務署の窓口に持参、もしくは税務署や業務センターに郵送します。郵送の場合は通常、簡易書留で郵送します。

確定申告をデータで行う場合は、e-Taxを利用します。e-Taxを行う場合は「確定申告書等作成コーナー」や各種e-Taxと連携しているソフトを利用します。

家賃収入の確定申告書の提出期限

確定申告書の提出期限は、毎年翌2月16日から3月15日までですが、期限日が土日の場合は、翌営業日に期限が延長されます。したがって、令和6年分の確定申告書の提出期限は、令和7年3月17日(月)までです。

郵送で確定申告書を提出する場合は、消印日が提出日と考えます。令和6年分の確定申告書の場合、令和7年3月17日の消印があれば、期限内に提出したことになります。

個人事業主の家賃収入の所得区分

個人事業主の家賃収入は、規模や状況により「不動産所得」「事業所得」「雑所得」のいずれかになります。家賃収入がどのような場合に、それぞれの所得に該当するのかを見ていきましょう。

不動産所得に該当する場合

営んでいる不動産賃貸業が事業的規模に該当する場合は、不動産所得になります。不動産所得に該当すれば、青色申告が可能です。

事業所得に該当する場合

不動産賃貸業で事業所得に該当するケースは、ほとんどありませんが、例えば下宿など食事の提供も行っている場合は、事業所得になります。また、不動産販売業者が販売するための物件を、一時的に人に貸している場合も不動産所得ではなく、事業所得になります。

このように事業所得に付随して不動産賃貸を手掛けているケースは、事業所得になります。しかし、会社員が副業で不動産賃貸業を行っている場合は、事業所得に付随した不動産賃貸業に当たらないため、事業所得になるケースはほとんどないでしょう。

雑所得に該当する場合

営んでいる不動産賃貸業が事業的規模に該当しない場合は、雑所得になります。

雑所得になると青色申告ができないだけでなく、赤字が出ても給与所得と相殺できないので、不動産所得に比べて、税の優遇が少ないです。

個人事業主の家賃収入で経費にできる費用

個人事業主の家賃収入で経費にできる費用には、次のものがあります。

  • 管理委託料
    建物の管理や入居者の募集などを管理会社に依頼している場合、管理会社に支払う管理委託料を経費にできます。
  • 不動産ローンの利息
    物件の購入時に利用した不動産ローンの利息部分は経費になります。ただし、元本部分は経費にできないので、注意しましょう。
  • 保険料
    賃貸物件に関する火災保険や地震保険は経費にすることができます。
  • 修繕費
    賃貸物件を修理するための支出は、経費にできます。ただし、経費にできる修繕費は原状回復するためのもののみです。建物の価値や耐久性を上げる工事(リノベーションなど)は減価償却の対象となるので、注意が必要です。
  • 税金
    賃貸物件の不動産取得税や固定資産税、契約の際の印紙代など、不動産賃貸業に関する税金は経費になります。ただし、所得税や住民税は経費になりません。
  • その他費用
    その他、不動産賃貸業の経営に必要な支出は、経費になります。例えば、物件に足を運ぶための交通費や不動産投資に関する書籍の購入、セミナーの参加費、司法書士への報酬などは経費になります。

個人事業主の家賃収入が増えたら法人化を検討すべき?

個人事業主の家賃収入が増えてきたら、法人化を検討したほうがよいでしょう。なぜなら、所得税は所得金額が高ければ高いほど税率が高くなるからです。一定の所得金額を超えると、所得税率のほうが法人税率よりも高くなるので、そのタイミングで法人化を検討します。

一般的な法人化を検討する目安は800〜900万円程度と言われています。法人化を検討するタイミングについては、次の記事で詳しく解説しています。こちらもご参照ください。

個人事業主として副業を考えるならメリットの多い家賃収入を検討しよう!

個人事業主として家賃収入を得るメリットには、資産運用を効率化できることや節税効果が大きいこと、副業・兼業としても柔軟に取り組めることなどがあります。ただし、個人事業主に該当するためには、事業的規模の不動産賃貸業を行っていることや開業届を提出している必要があります。

家賃収入は、毎月安定した収入を得られます。個人事業主として副業を考えるなら、メリットの多い家賃収入を検討しましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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