- 更新日 : 2025年9月19日
税金貧乏にならない!個人事業主が陥りやすい原因と対策を解説
個人事業主として働く中で、「思った以上に税金を払っていて手元にお金が残らない」と感じたことはありませんか?
このような状態は「税金貧乏」となり、所得税・住民税・消費税に加え、社会保険料の自己負担が重くのしかかることが背景にあります。
本記事では、税金貧乏に陥る原因とその対策、節税の工夫について解説します。
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目次
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個人事業主は税金貧乏になる?意味と背景
「税金貧乏の個人事業主」とは、フリーランスや自営業者が思った以上に税金や社会保険料を負担することになり、手元にお金が残らず貯蓄や投資ができない状態を指す言葉です。
売上が上がっても納税のために資金が出ていき、「なぜかお金が貯まらない」という状態になります。
フリーランスの税金負担は会社員より重く感じやすい
会社員であれば所得税や住民税、社会保険料は給与から自動的に天引きされ、納税手続きも会社が代行します。これに対し個人事業主は、確定申告を通じて自分で税金を計算・納付しなければならず、住民税や国保、消費税など多くの支払いが後追いでやってきます。そのタイミングで「税金に追われている」と実感しやすいのです。
社会保険もすべて自己負担になる
会社員は厚生年金・健康保険料を企業と折半で負担しますが、個人事業主は国民年金と国民健康保険を全額自己負担で支払います。
税金貧乏に陥る背景には、こうした制度上の違いと、税金・保険料の仕組みに対する知識不足が重なっていることが多いです。
個人事業主の税負担の仕組み
税金貧乏を防ぐには、まず個人事業主がどのような税金や社会保険料を負担しているのかを正しく理解することが不可欠です。所得税や住民税、消費税といった税目は会社員とは異なる形で自己管理が必要であり、納税スケジュールにも注意が求められます。
累進課税の所得税と定率の住民税の違い
所得税は、5%から最大45%までの7段階の累進課税が採用されています。所得が増えるほど税率も上がる仕組みで、たとえば課税所得が330万円以上だと税率は20%、695万円以上だと23%になります。
さらに、すべての所得税額には復興特別所得税(2.1%)が上乗せされます。一方、住民税は原則として所得に対して一律10%の税率がかかる所得割と、所得にかかわらず5,000円前後の額が発生する均等割の2つから成り立っています。
所得割の税率と均等割額は、各自治体ごとに異なる場合があります。都道府県民税と市区町村民税を合わせて10%で課税され、前年の所得に基づいて翌年に課税されるため、前年に稼ぎすぎると翌年の住民税額が一気に増える点に注意が必要です。
消費税とインボイス制度による負担
前々年の年間売上が1,000万円を超えた場合、または前年1月1日から6月30日までの課税売上高が1,000万円を超える場合、個人事業主は消費税の課税事業者となります。
さらに2023年10月から導入されたインボイス制度により、売上が1,000万円以下の免税事業者であっても、取引先の要請などで課税事業者に登録するケースが増えています。
課税事業者になると、売上に含まれる消費税(通常10%)から、 仕入や経費に含まれる消費税を控除した金額を納税する義務が発生します。預り金的性質とはいえ、納税のために資金を分けて管理しなければ、後でまとまった納税額に苦しむことになります。
所得税の納税タイミングと予定納税
所得税は原則として翌年3月15日までに確定申告を行い、同時に納税します。ただし、前年の所得税額が15万円以上の場合は、7月と11月に所得税を前払いする「予定納税」が必要です。
これは前年の納税額をもとに計算した予定納税基準額の3分の1ずつを、7月と11月の2回に分けて納める仕組みで、所得が多かった翌年は年3回の納税が発生することになります。
このように、個人事業主は所得税、住民税、消費税といった多様な税目を異なる時期に納めなければならず、納税スケジュールの管理を怠ると資金ショートに陥るリスクがあるということをしっかり理解しておく必要があります。
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個人事業税の対象と納税タイミング
前年の事業からの収入から経費を引いた所得に対して、事業主控除290万円を差し引いた残額に、業種ごとに定められた税率3~5%を乗じた金額を事業税として納める必要があります。
毎年届く納税通知書をもとに、原則は8月と11月の年2回に分けて納付します。
個人事業主の社会保険料の仕組み
税金だけでなく、社会保険料も個人事業主にとって負担となります。会社員との違いを正しく理解することで、計画的な資金管理や将来への備えにつながります。ここでは年金や健康保険を中心に、会社員と個人事業主の保険料負担の違いについて解説します。
会社員は保険料を会社と折半している
会社員は厚生年金や健康保険に加入しており、その保険料は会社と従業員が半分ずつ負担します。たとえば厚生年金の保険料率は18.3%(2024年度)ですが、実際に給与から天引きされるのは約9.15%で、残りは会社が負担しています。
健康保険料についても、東京都の場合、協会けんぽの保険料率は約9.91%で、その半分が本人の負担です。さらに、雇用保険や労災保険についても、会社側が一部または全額を負担しており、会社員の保険料負担は実は「総額の一部」にすぎません。こうした仕組みによって、会社員の手取り収入はある程度守られているのです。
個人事業主はすべて自分で保険料を負担する
個人事業主の場合は、こうした折半制度がありません。
まず年金については「国民年金」に加入し、定額の保険料(月額17,510円:令和7年度)を全額自己負担で納めます。将来もらえる年金額も会社員の厚生年金と比べて少なくなるため、老後資金の準備も課題になります。
医療などの保障については「国民健康保険(国保)」に加入します。国保料は前年の所得に応じて算出され、市区町村ごとに保険料率や上限が異なりますが、おおむね所得の10%前後が目安です。
さらに、40歳から64歳までの人は介護保険料としておおむね所得の2%前後が追加でかかります。この金額を全額自己負担で納める必要があるため、所得が多いと年間で数十万円もの負担になることもあります。また、会社員が加入できる雇用保険や労災保険には、個人事業主は原則として加入できません。希望すれば中小企業の業務災害補償制度などを利用する方法もありますが、これも任意加入であり、保険料は全額自己負担となります。
このように、会社員と比べて個人事業主は年金・医療保険・労災のすべてにおいて自己責任・自己負担であり、手取り収入が少なくなりがちです。保険料負担の全体像を把握したうえで、必要に応じて民間保険の活用や積立制度による備えを行うことも検討しましょう。
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個人事業主が税金貧乏に陥る原因
個人事業主が「税金ばかりで手元にお金が残らない」と感じる背景には、制度上の仕組みだけでなく、資金管理や申告対応の不備が潜んでいることが多くあります。ここでは、税金貧乏に陥る原因を解説します。
納税資金を準備していない
サラリーマンと違い個人事業主は確定申告時に後から税金を納めるため、納税資金の確保が必須です。個人事業主は売上が増えると収入も一気に増えますが、その中に納税用の金額を取り分けていないと、確定申告で高額の納税額が算出されたときに資金不足に陥ります。
税額を知ってから慌ててお金をかき集めてローンや借金をすると、利息や返済で資金不足が恒常化する恐れがあります。また、期限内に納付しないと延滞税や加算税といった追徴課税が発生します。
さらに、独立して間もない時期や、売上が急に伸びた年の翌年は要注意です。住民税や国保料が前年の所得に応じて決まるため、所得が多かった翌年には一気に負担が増えます。また、所得税の予定納税が発生すると年3回納税することになり、事業の資金繰りに影響を及ぼします。
控除や節税制度を使いこなせない
次に大きな原因となるのが、節税制度や控除の活用不足です。サラリーマンは年末調整で各種の控除が受けられるため、会社の指示に従っていれば控除を受けるのにあまり困りません。しかし、個人事業主は控除の処理や計算をすべて自分でする必要があります。
白色申告のままにしてしまうと、青色申告で得られる65万円の特別控除や赤字繰越などの優遇が受けられません。青色事業専従者給与制度や、必要経費の家事按分といった制度も知らずに放置すると、課税所得が不必要に大きくなってしまいます。
また、事業とプライベートが混在した支出も一部を経費に計上できます。たとえば、自宅の家賃や光熱費、通信費などを合理的な基準で按分すれば経費にできますが、知識や経験不足により経費計上していないと、その分税金を不必要に多く払うことになります。
加えて、小規模企業共済やiDeCoといった所得控除制度を活用しないままでいると、本来なら課税所得を減らせたはずの金額まで含めて課税対象となり、結果的に余計な税金を払ってしまうことになります。
収入と税・保険料の支払いタイミングがズレている
もうひとつ見落とされがちな原因が、収入と税負担のタイミングのギャップです。個人事業主に課される住民税や国民健康保険料は前年の所得をもとに決まるため、前年に高収入を得たあとに収入が落ちると、翌年に重い負担だけが残ってしまいます。
予定納税制度もこれと同じ構造で、前年の所得に応じた税額を当年に前払いするため、売上が落ち込んだ時期と予定納税時期が重なると、資金繰りに困る可能性があります。さらに、消費税の課税事業者となると、消費税の納税分で資金管理が複雑になり、納税時に資金が足りないというトラブルが発生しやすくなります。
個人事業主が税金貧乏にならないための対策・節税方法
個人事業主が税金貧乏を回避するには、「節税」「記帳」「資金管理」の3本柱を意識する必要があります。納税額を最小限に抑えつつ、将来への備えを両立させるには、制度の活用とお金の流れを可視化する工夫が欠かせません。
青色申告と経費管理を徹底する
まず、白色申告から青色申告への切り替えは最優先事項です。青色申告では最大65万円の特別控除が受けられ、さらに赤字の繰越、家族への給与支払いを経費化できるなど節税メリットが大きくなります。複式簿記による記帳やe-Taxによる電子申告が条件ですが、青色申告ソフトを使うことで十分対応可能です。
また、経費計上の漏れを防ぐには事業専用の口座・クレジットカードを使い、私用との区別を明確にすることが重要です。明細を見ながらの仕訳作業は精度が上がり、控除対象の経費を逃しにくくなります。
青色申告・会計ソフトには、口座やクレジットカードと連携して自動で経費計上をしてくれるものもあります。そういったソフトの使用をすれば経費計上の精度が上がります。
節税しながら将来資金も準備する
税負担を軽減しながら老後に備える制度も積極的に使いましょう。小規模企業共済は全額所得控除となるうえ、将来の退職金準備にもなります。iDeCoも同様に掛金が控除対象であり、運用益も非課税です。経営セーフティ共済(倒産防止共済)は掛金を必要経費にでき、不測の資金繰りにも備えられます。
いずれも確定申告時に証明書の添付や保管が必要です。
毎月の収入を「3つの財布」で管理する
収支のバランスを保つには、月ごとの収入を「納税分」「経費・投資分」「生活費」に分けて管理するのが効果的です。たとえば、自身の所得税・住民税・社会保険料などの負担割合(例:利益の30%など)を大まかに算出し、その分を納税用資金として売上から取り置く習慣をつけるのがおすすめです。
事業口座から月1回定額を生活費口座へ移すなど、フリーランスにも「給与の仕組み」を作ることで無駄遣いを防ぎ、意欲の維持にもつながります。
一定の所得があるなら法人化も視野に入れる
年間の事業利益が800万円を超えるようであれば、法人化を検討する価値があります。法人では役員報酬を経費にでき、法人税率も所得税より低く抑えられるケースがあります。また、社会保険への加入により年金・医療保障の水準も上がります。ただし設立・維持費用や事務負担も発生するため、税理士など専門家に相談しながら慎重に判断しましょう。
税金貧乏を避けるために今できることを始めよう
個人事業主が税金貧乏に陥るのは、制度の複雑さだけが原因ではありません。収入が安定してきても、納税資金の確保や節税の工夫を怠れば、手元にお金が残らないという状況につながります。まずは青色申告の導入や経費管理の徹底、小規模企業共済やiDeCoの活用といった、取り組みやすいところから始めるのが効果的です。また、収支を可視化する口座の分別や、月ごとのお金の使い方を定めることで、税金を含めた資金繰りのコントロールがしやすくなります。
制度を知り、日々の習慣を変えることで、将来の安心につなげていきましょう。

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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