• 更新日 : 2025年8月28日

個人事業主に記帳代行は必要?メリット・デメリットや選び方のポイントを解説

個人事業主にとって記帳業務は、確定申告の基礎であると同時に、日々の経営状況を把握するための重要な作業です。しかし、実務に追われる中で記帳まで手が回らないという声も少なくありません。そうした中、記帳代行サービスを活用することで、帳簿付けの負担を軽減し、ミスのない経理管理を実現することが可能になります。

本記事では、記帳代行のサービスの種類、費用相場、利用に適したケース、注意点などを解説します。

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目次

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記帳代行とは

個人事業主にとって帳簿は、確定申告の基礎となるだけでなく、事業運営の実態を把握する手段です。2014年の制度改正により、すべての個人事業主に記帳義務が課されるようになり、正確な帳簿管理が欠かせないものとなりました。ここでは、記帳代行の基本的な意味と、記帳代行サービスの有用性を解説します。

記帳代行の意味と経理代行との違い

記帳代行とは、個人事業主が日々行う帳簿付けを外部の専門家に委託するサービスです。たとえば、領収書請求書その他必要な資料を渡すだけで、現金出納帳や預金出納帳、売掛帳、仕訳帳試算表総勘定元帳などが整えられます。記帳代行サービスを利用することにより、これまで事業主が費やしていた入力作業や経費分類の時間を大幅に削減でき、本業に集中する余裕が生まれます。

一方、経理代行サービスは記帳だけでなく、請求書の発行、振込管理、給与計算、決算処理まで含む幅広いアウトソーシングサービスです。記帳代行サービスはその一部にあたり、対応範囲が限定されている分、費用も抑えやすい傾向にあります。記帳だけを任せたい場合は記帳代行サービス、経理業務全体を任せたい場合は経理代行サービスというように、自身のニーズに応じた選択が求められます。

個人事業主に課せられる記帳義務

2014年以降、すべての個人事業主には取引を記帳し、帳簿を保存する義務が課せられています。これは、白色申告者であっても例外ではなく、税務の透明性と正確な課税を図るための措置です。帳簿に基づき所得が計算され、確定申告書が作成されるため、記帳は納税の出発点となります。帳簿が未整備なまま税務調査に入られると、追徴課税や加算税の対象となるおそれもあります。

また、記帳は経営状況を客観的に把握する手段でもあります。売上の傾向、経費の増減、利益率の変化を数値で捉えることで、経営判断の精度が上がります。さらに、青色申告者であれば、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、期限内に確定申告を行うことで、最大65万円の特別控除を受けられます。ただし、65万円の控除を適用するには、e-Taxによる電子申告、または電子帳簿保存のいずれかの要件を満たす必要があり、満たさない場合は控除額が55万円となります。

個人事業主が利用できる記帳代行サービスの種類と特徴

個人事業主が利用できる記帳代行サービスには、いくつかの種類があります。依頼先や提供される内容によって、費用感や対応範囲、連携のしやすさに違いがあるため、目的に応じた選択が大切です。以下では代表的な記帳代行サービスの形態とそれぞれの特徴を解説します。

税理士事務所による記帳代行サービス

税理士が提供する記帳代行サービスは、帳簿付けに加えて確定申告や税務相談まで一貫して依頼できるのが大きな特徴です。青色申告で65万円控除を目指す場合に求められる複式簿記では、正確な仕訳処理が必要になるため、税理士に任せることでミスのない帳簿が維持できます。顧問契約を結ぶケースが一般的で、費用は月額2万円〜3万円程度が相場とされます。安心感は高いものの、コスト負担が比較的大きい点は考慮すべきです。

記帳代行専門業者によるサービス

税務代理権を持たない民間の記帳代行業者でも、記帳業務に特化したサービスを提供しています。必要な書類を郵送またはオンラインで提出することで、会計ソフトへの仕訳入力や試算表作成などを代行してくれます。費用は仕訳件数に応じた従量課金制が多く、比較的リーズナブルです。ただし、税務相談や申告書作成は行えないため、必要に応じて別途税理士との連携が必要になります。

会計ソフトとの連携サービス

マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトでは、提携する記帳代行業者や税理士と連携することで、記帳業務を一部アウトソーシングできます。取引データを自動連携できる機能があり、帳簿がリアルタイムに可視化できる点が特徴です。デジタル管理に慣れている個人事業主には効率的な選択肢といえるでしょう。ただし、サービスの連携精度やプラン内容はソフトによって異なるため、事前の確認が不可欠です。

青色申告会など公的機関の支援

地域の青色申告会では、記帳や申告に関するサポートを行っています。自力での記帳が前提となりますが、定期的な記帳指導や相談、簡易な記帳代行を行っているケースもあります。年会費は数千円程度で、コストを抑えつつ専門的なアドバイスを受けたい人に適しています。税理士と違って代理申告はできませんが、基礎から記帳を学びたい個人事業主には心強い存在です。

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個人事業主が記帳代行サービスに依頼できる業務内容

記帳代行サービスは帳簿の入力作業にとどまらず、会計処理全体の効率化に貢献する多機能な支援を提供しています。ここでは、記帳代行サービスを利用する際にどのような業務を依頼できるのか、主な項目を見ていきましょう。

会計ソフトへの仕訳入力

記帳代行サービスの基本業務のひとつが、会計ソフトを用いた仕訳入力の代行です。個人事業主が日々受け取る請求書や領収書、通帳の入出金明細などをもとに、取引の内容を会計ソフトに適切な勘定科目で入力していきます。この作業には簿記の知識が必要とされますが、記帳代行サービスを利用すれば、仕訳のルールに沿った正確な記帳が期待できます。

また、代行業者によっては紙の書類をまとめて送付するだけで、領収書の整理・分類、ファイリングといった事務作業も代行してくれます。近年では、受領した書類をスキャンしてデータ化し、電子帳簿保存法に準拠した形式で保存してくれる業者も増えており、法令対応を意識する事業者にとっては頼れる存在となっています。こうした周辺業務まで任せることで、経理にかかる時間と手間を軽減できます。

帳簿・書類の作成

仕訳入力が完了したあとは、それに基づく帳簿や会計書類の作成を依頼できます。代表的な帳簿には、現金出納帳・預金出納帳・売掛帳・買掛帳・総勘定元帳・仕訳帳・試算表などがあり、これらは確定申告の際や事業の損益管理に欠かせないものです。記帳代行サービスでは、毎月の取引情報に基づいてこれらの帳簿を整えてくれます。

帳簿が常に整備された状態にあることで、確定申告の準備がスムーズになるのはもちろん、経営数値をもとに事業の状況を正確に把握しやすくなります。さらに、一部のサービスでは、売上・利益・経費の傾向を定期的に可視化する月次の経営レポートを提供しており、これらは計画的な経営判断にも役立ちます。試算表などを活用すれば、必要に応じて損益計算書貸借対照表の作成も行いやすくなり、税理士に決算業務を依頼する際の前準備としても有効です。

個人事業主が記帳代行サービスの利用を検討すべきケース

記帳代行サービスはすべての個人事業主に必要とは限りませんが、簿記の知識に不安がある場合や作業時間が確保できない場合、取引が増えて処理が困難になっている場合などは、記帳代行サービスの活用を前向きに検討すべきタイミングといえるでしょう。

簿記の知識に不安がある場合・帳簿付けが苦手な場合

会計や簿記に苦手意識がある方にとって、記帳作業は心理的負担が大きくなりがちです。仕訳ミスや勘定科目の誤りは申告ミスに直結するリスクもあります。記帳代行サービスを活用することで、こうした不安を解消しつつ、正確な帳簿を維持することが可能になります。開業などにより記帳作業を初めて行う方や確定申告の方法で迷っている方にも適しています。

本業が忙しく記帳の時間が取れない場合

事業が軌道に乗ると、経理にかける時間を確保するのが難しくなります。領収書が溜まり、月末や年末に慌てて記帳するような状況では、正確性も落ちかねません。記帳代行サービスを導入すれば、本業や営業活動に集中できるだけでなく、精神的にも大きなゆとりが生まれます。

取引が増えて自力では処理しきれない場合

売上や仕入が増えると、記帳作業の量も比例して増えていきます。記帳作業があまりにも増え、手作業では対応が追いつかなくなってくると、記帳の精度や正確性が落ちたりする原因にもなります。また、インボイス制度消費税対応によって、帳簿の整備がますます重要になる中で、外部の専門家に記帳を任せることは、リスク軽減にもつながります。事業が成長し始めた段階での導入が効果的です。

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個人事業主が知っておきたい記帳代行サービスのメリットとデメリット

記帳代行サービスは、経理にかかる手間を減らしたい個人事業主にとって強力なサポートとなる一方で、費用負担や情報管理など注意すべき点もあります。ここでは、利用する前に知っておきたいメリットとデメリットを解説します。

【メリット1】記帳作業の負担軽減と本業への集中

記帳代行サービスを活用する最大のメリットは、経理作業にかかる時間と労力を削減できる点です。領収書や通帳の入出金明細などを預けるだけで、仕訳入力から帳簿作成まで任せられるため、事業主は煩雑な作業から解放されます。取引件数が多い事業や、確定申告前に帳簿整理が間に合わないと感じる方には、大きな効果が見込めます。空いた時間を売上拡大や顧客対応に回せることは、事業全体の生産性向上にもつながります。

【メリット2】記帳ミスの防止と税務リスクの低減

簿記の知識が乏しいまま帳簿を付けると、仕訳ミスや計算間違いが起こりやすくなります。記帳代行サービスを利用すれば、専門家のチェックが入ることで、帳簿の正確性が向上し、税務上の誤りやトラブルを回避できます。青色申告で複式簿記を求められる場合や、65万円控除を目指す個人事業主にとっては、正しい帳簿管理が節税対策にも直結します。

【メリット3】人件費をかけずに経理体制を構築できる

経理担当者を社内に雇用する場合、給与だけでなく社会保険料や教育コストなども発生します。記帳代行サービスを利用すれば、そうした人件費をかけずに、専門性の高い業務を外注できます。月額数千円〜数万円程度のサービスが多く、費用対効果の高い経理体制を構築できる点も魅力です。

【デメリット1】利用コストが継続的にかかる

サービスを利用する以上、当然コストは発生します。自分で帳簿を付ける場合と比べると、毎月の出費が増えるため、事業規模が小さいうちは割高に感じることもあります。ただし、サービスを利用することで本業に集中できる時間が増え、結果として売上や利益に反映されれば、費用以上の効果が期待できます。

【デメリット2】リアルタイムの数字が把握しづらい

記帳代行サービスを利用する場合、資料提出から帳簿完成までに一定のタイムラグが生じます。月末まとめて送る形式を取る場合、数週間分の業績が見えづらくなることもあります。日々の経営判断に数字を活用したい方にはやや不向きな面もありますが、クラウド型のサービスを活用すれば、リアルタイムで帳簿を閲覧できる仕組みを導入している業者もあります。

【デメリット3】社内に経理ノウハウが残らない

外注に依存すると、社内に記帳や経理のスキルが蓄積されにくくなります。将来的に内部で処理したいと考えたときに、知識不足で対応できないリスクが生じることもあります。帳簿の内容については定期的に確認し、自分でも数値の動きを把握しておく姿勢が大切です。

個人事業主向けの記帳代行サービスの費用相場と料金体系

記帳代行サービスを利用する際に、税理士に依頼するケースと記帳代行専門業者を利用するケースでは、費用の構造や相場が異なるため、あらかじめ違いを把握しておくと安心です。ここでは、それぞれの料金イメージと注意点を解説します。

税理士に依頼する場合の費用相場

税理士に記帳を含む顧問契約を依頼する場合、月額の顧問料はおおよそ3万円前後が相場です。この金額には帳簿作成に加え、決算書や確定申告書の作成、税務相談などの業務が含まれることが多く、総合的なサポートを受けられるのが特徴です。なお、スポットで記帳と申告のみを依頼する場合、確定申告期に10万~20万円前後の報酬が発生するケースもあります。契約形態によって料金は変動するため、業務内容と頻度を整理した上で見積もりを取ることが大切です。

記帳代行業者に依頼する場合の費用相場

記帳代行専門業者の場合は、料金が「仕訳数に応じた従量課金制」であることが一般的です。たとえば、月100仕訳までで約1万円、200仕訳までで2万円程度が目安となります。仕訳数が多くなると月額3〜5万円に達することもありますが、税理士に同様の量を依頼するよりは費用を抑えやすい傾向にあります。また、証憑のファイリングやレポート作成、緊急対応などを追加で依頼する場合はオプション料金が発生するため、契約時に対応範囲と料金体系の詳細を確認しておくと安心です。

個人事業主の記帳代行サービスの選び方と注意点

記帳代行サービスは便利な反面、選び方を誤ると不要なコストや情報管理のリスクが発生することもあります。個人事業主が安心して利用するためには、サービス内容・料金・安全性などを事前に確認し、自社の業務と照らし合わせて選定することが大切です。

税理士資格の有無を確認する

記帳代行そのものは無資格でも可能ですが、確定申告や税務相談は税理士でなければ対応できません。将来的に申告まで任せたい場合は、税理士が直接対応する事務所や、税理士と連携している業者を選ぶことが安心です。また、自社で何を外注し、どこまでを自力で行うかを明確にすることで、必要なサポート範囲に合ったサービスが選びやすくなります。

料金体系を把握しておく

記帳代行サービスの料金は業者によって、月額定額制・仕訳数に応じた従量課金制・オプション課金型など多様です。契約前に基本料金の範囲と、追加料金が発生する条件をしっかり確認しましょう。業務量に見合わない高額請求を防ぐためにも、見積もりの明細をもとに、必要な作業だけを無駄なく依頼する工夫が求められます。

セキュリティ体制を確認する

帳簿や領収書には機密性の高い情報が含まれるため、依頼先のセキュリティ意識も重要です。秘密保持契約(NDA)の締結があるかどうか、データの保存形式やアクセス権限の管理が適切かを確認しましょう。クラウド型の場合は、バックアップ体制やログの管理が整っているかどうかもチェックポイントになります。

記帳代行サービスの利用で個人事業主の経理負担を軽くしよう

記帳代行サービスは、日々の帳簿管理を効率化し、正確な経理体制を維持したい個人事業主にとって有用です。税理士に依頼する方法から、専門業者や会計ソフトとの連携、公的機関の支援まで、利用できる方法はさまざまです。費用やサービス内容、安全性を事前にしっかりと確認し、自社の業務内容や状況に合った方法を見極めることが重要です。記帳作業の外部委託は、本業に集中する時間を確保し、経営の質を高めることにつながります。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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