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  • 作成日 : 2021年5月28日

農業の確定申告は青色申告がおすすめ!白色申告との違いから便利な確定申告ソフトまで解説!

農業の確定申告は青色申告がおすすめ!白色申告との違いから便利な会計ソフトまで解説!

農業で生計を立てている農家の所得(収入から経費を差し引いたもの)は、所得の種類でいうと事業所得にあたります。事業所得については青色申告制度を利用でき、青色申告特別控除を受けることが可能です。

この記事では、農家の確定申告で押さえておくべきポイントは何か、青色申告と白色申告の違い、農家が確定申告ソフトを取り入れる際のポイントについて解説していきます。

農家も確定申告が必要?

農業による収入を得ている場合、所得税額を申告して納付するための確定申告は必要なのでしょうか。農業における収入や経費の概念も含めて、確定申告の必要性を見ていきましょう。

そもそも確定申告とは?

年間の収入(所得税の場合は1月1日から12月31日までの1年間で計算)から経費を差し引いた所得額がある人は、原則として所得税を納める義務があります。所得税の納税方法は申告納税方式で、納税者自身が国税を扱う税務署に1年間の所得税額を申告し、納付する仕組みとなっています。

このように、1年間の所得税額を申告する方法が確定申告です。確定申告とは、1年間の所得などから所得税額を算出し確定することをいいます。

確定申告についての詳細は以下の記事でも説明していますので、こちらもご覧ください。

農業における収入とは

農業における収入とは、農業を営むことで得た収入のことで、具体的には以下に該当するようなものです。

販売金額

米や野菜、果樹、肉用牛などを出荷・販売した額を販売金額といいます。その年にJAや市場、個人売りなどで販売した金額の合計が販売金額であり、農業収入の大半を占める項目です。これは一般的な事業における売上に相当します。

家事消費・事業消費

自宅などで消費した農作物や、事業のために保有する米などの農作物の額のことです。自己で消費した家事消費は贈与した分も含め、収穫時の販売価格に基づき家事消費として計上します。

雑収入

雑収入とは、農業を営むことに付随して生じた収入のことをいいます。共済受取金、小作料受取金、農作業受託料受取金、出荷奨励金、価格差補てん金、直接支払交付金、営農組合収入などが雑収入に区分されます。ざっくり説明すると、販売金額にも家事消費・事業消費にもあたらない営業収入のことです。

農業において認められる経費とは

農業において認められる経費とは、農業を営むために要したお金です。具体的に、農業では以下のような出費を経費として計上できます(農業で扱う主な費用項目を取り上げています)。

  • 雇人費:自家労賃(家族が働いた分)以外の常時または臨時の雇入の労賃(一般的な会社では給料に相当するもの)
  • 小作料・賃借料:農地の賃借料、農地以外の土地や建物、農機具の賃借料、農業協同組合に支払う施設利用料など、施設や器具を借りて農業を営む際に発生する費用
  • 減価償却費:資産として計上した農機具や搾乳牛などの額のうち当期償却分
  • 利子割引料:農業用に借り入れた額の利子
  • 租税公課:農地等の固定資産税、農業用機器の軽自動車税、農業用トラックの自動車税、水利費、農協賦課金など
  • 種苗費:種子や苗の購入費用
  • 素畜費:子牛や子豚などの購入費用や種付料
  • 肥料費:肥料の購入費用
  • 飼料費:牛や豚などのエサの購入費用
  • 農具費:台車やポンプなど、購入価格が10万円未満または使用可能期間1年未満の、資産に計上されない農具の購入費用
  • 農薬衛生費:農薬代、家畜薬代、共同防除費など
  • 材料費:ビニールや縄、針金などの材料にかかる費用
  • 動力光熱費:ハウスなどを使った農業に要した水道光熱費や灯油代など
  • 作業用衣料費:作業着や長靴などの購入費用
  • 農業共済掛金:農作物にかかる共済掛金
  • 荷造運賃手数料:出荷時の包装費用や運賃など
  • 土地改良費:土地改良事業の費用
  • 委託費用:農作業委託費やヘリ防除委託費など

農業において確定申告が必要となる条件

給与所得のある人、退職所得のある人、公的年金等の所得のみの人のいずれにも該当しない場合で、収入から経費を差し引いた合計所得金額が48万円を超えれば確定申告が必要です。合計所得金額>48万円→確定申告が必要

また、以下の計算を行って残額があれば所得税を納める必要があります。

合計所得額 - 所得控除課税所得金額
課税所得金額 × 所得税率 = 所得税額
所得税額 - 税額控除額 >0 → 所得税の納税が必要

少し分かりにくいので、収入が農業による収入のみだった場合で考えてみましょう。

(例)
600万円(農業収入)―300万円(必要経費)=300万円 →確定申告が必要
300万円(合計所得額)-150万円(所得控除 ※1)=150万円
150万円(課税所得金額)×5%(所得税率 ※2)=7万5,000円(所得税額)
7万5,000円(所得税額)-0円(税額控除額)=7万5,000円>0円
※1 所得控除:合計所得金額から控除できる、納税者の事情を考慮した一定の控除です。
※2 所得税率:所得に応じて5~45%の累進課税で計算します。所得金額195万円までの税率は一律5%です。

青色申告特別控除を使えば節税ができる!

青色申告特別控除とは、青色申告を選択している人に適用されるものです。農業を営んでいる人も青色申告制度を選択して手続きを行うことで、青色申告特別控除が受けられます。青色申告や、それと対比される白色申告とはどのようなもので、青色申告を選択すると何が変わるのでしょうか。

青色申告とは

青色申告とは、青色申告適用の手続きを行った所得税の納税義務者が受けられる制度で、特定の所得に該当する場合に利用できます。特定の所得とは、不動産所得、事業所得、山林所得のことです。農家の所得は事業所得に分類されるため、青色申告を選択できます。青色申告は、所得税を正しく計算して申告する納税者にとって有利な制度で、選択することでさまざまな特典の利用が可能になります。

白色申告との違い

青色申告を選択しない場合は、原則的な方法である白色申告で確定申告を行います。青色申告を選択する場合は手続きが必要ですが、白色申告は手続き不要です。そのほか、以下の青色申告のメリットでも取り上げますが、青色申告は一定の基準を満たした決算書を作成して確定申告をする代わりに、納税者にとって有利となるさまざまな特典が設けられています。

青色申告を行うメリットとは

ここでは、青色申告を選択するメリットのうち主なものを取り上げます。

青色申告特別控除で節税できる

青色申告特別控除とは、青色申告を選択した人が受けられる控除です。合計所得(所得のうち不動産所得、事業所得、山林所得)から一定の控除額を差し引くことができ、この金額をもとに所得税額を算出します。青色申告特別控除の分だけ課税所得が減る計算になりますから、節税につながります。

青色申告特別控除では、通常(複式簿記で記帳する場合)55万円、電子申告または電子帳簿保存を行っているときは65万円、現金の出入りで帳簿をつける現金主義の場合や簡易簿記などの場合は10万円まで控除が受けられます。所得額が青色申告特別控除額に満たないときは、所得額が控除額の上限となります。

青色事業専従者給与を必要経費に算入できる

同一生計の配偶者や親族が働いていても、通常は報酬分を必要経費にできません。白色申告でも、対象者が事業専従者に該当するときは一定の手続きを行えば必要経費にできますが、その額が限られています。一方、青色申告は通常の範囲内であれば、特に上限なく事業専従者への報酬を必要経費として算入できます。農家の場合は家族で協力して事業を営んでいるケースが多いので、青色事業専従者給与は重要なポイントになるでしょう。

損失の繰越ができる

赤字が出たとき、青色申告であれば、純損失の額を翌年以後最大3年間にわたって所得金額から控除できます。収入が不安定になることもある農家にとっては、大きな節税ポイントです。

収入保険に加入できる

青色申告の実績が1年以上あれば、農業者の販売収入全体に対して、基準収入の9割を下回った場合、下回った額の9割を補てんしてもらえる収入保険に加入できます。農業は天候などにも左右される繊細な事業ですので、収入保険を受けられることは心強いでしょう。

青色申告に関しては以下の記事で詳細を解説していますので、こちらもご覧ください。

青色申告を選択するには承認申請が必要!提出期限は?

青色申告により確定申告をしたい場合は、一定の手続きが必要です。

青色申告承認申請書

青色申告で確定申告をしたい場合は、「青色申告承認申請書」を作成して、管轄の税務署に提出しなければなりません。現金主義(※前々年の事業所得と不動産所得の合計が300万円以下でないと適用できません)と簡易簿記により青色申告の適用を受けたい場合は、複数の届出が同時にできる「所得税の青色申告承認申請書、現金主義の所得計算による旨の届出書」により、青色申告の申請を行います。

提出期限

青色申告承認申請書の提出は通年で受け付けてもらえますが、翌年からの確定申告を青色申告にしたい場合などは、提出時期に気を付けなければなりません。

当期分の確定申告を青色申告にしたい場合の提出期限は例年、申告しようとする年の3月15日までです。たとえば、2022年分の確定申告を青色申告にしたい場合は、2022年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出しなければなりません。もし提出期限を過ぎた場合は、2023年分の確定申告から青色申告が適用されます。

なお、1月16日以後に新たに事業を開始する場合は、事業開始から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出すれば、青色申告を適用できます。提出時期によっては、青色申告を受けたいときに受けられないことがありますので、早めに適用を受けたい場合は注意しましょう。

青色申告における提出書類の書き方は?

次に、農業で生計を立てている人が青色申告を選択したときの、確定申告時の提出書類について解説します。

確定申告書B

まず必要になる提出書類は、確定申告書です。確定申告書の様式には、簡易版の確定申告書Aと、すべての所得に対応した確定申告書Bがあります。事業所得である農家は簡易版を使用できないため、確定申告書Bの第一表と第二表を用意しましょう。

【確定申告書B 第一表】

確定申告書B 第一表

【出典】令和○年分の所得税及び復興特別所得税の申告書B|国税庁

上の赤枠で示した部分は、農業収入と農業所得を記入する部分です。農業による所得は事業所得に分類されますが、確定申告書では事業所得がさらに営業等と農業に区分されています。この農業の部分に、下の青色申告決算書(農業所得用)から農業収入と農業所得を転記しましょう。

【確定申告書B 第二表】

確定申告書B 第二表

【出典】令和○年分の所得税及び復興特別所得税の申告書B|国税庁

第二表の記載に関して、農業に関連するもので特に注意が必要な箇所はありません。

青色申告決算書(農業所得用)

青色申告決算書(農業所得用)は、4枚1組になっています。青色申告決算書には、一般用、不動産所得用、現金主義用といった様式もありますので、現金主義を採用する場合を除き、必ず農業所得用で申告するようにしましょう。

青色申告決算書1ページ目

【出典】令和2年分 青色申告決算書(農業所得用)の書き方|国税庁

決算書の1ページ目は損益計算書です。収入や経費の項目ごとに金額を記載するほか、貸倒引当金の繰入・繰戻、専従者給与、青色申告特別控除額を記載する部分があります。損益計算書の収入金額の計は確定申告書B第一表の農業収入の欄へ、右下の所得金額は確定申告書B第一表の農業所得の欄へ転記します。損益計算書の記載については、一般用と表示科目が異なるものの、基本的な書き方に変わりはありません。先に紹介した農業における収入や経費を参考に、1年間の集計額を記載していきましょう。

青色申告決算書2ページ目

【出典】令和2年分 青色申告決算書(農業所得用)の書き方|国税庁

青色申告決算書(農業所得用)の2枚目には、記載例のように田畑・特殊施設(ハウスなど)・畜産その他で区分した収入金額の内訳、雑収入の内訳、農産物以外の棚卸高(期首と期末の残高)、雇人費の内訳、専従者給与の内訳を記入していきます。

青色申告決算書3ページ目

【出典】令和2年分 青色申告決算書(農業所得用)の書き方|国税庁

青色申告決算書(農業所得用)の3ページ目は、記載例のように、減価償却費の計算、果樹・牛馬等の育成費用の計算、地代・賃借料の内訳、利子割引料の内訳、税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳を記載します。果樹・牛馬等の育成費用の計算以外、一般用と書き方は同じです。

青色申告決算書4ページ目

【出典】令和2年分 青色申告決算書(農業所得用)の書き方|国税庁

最後の4ページ目は、貸借対照表のほか、貸倒引当金繰入額の計算、青色申告特別控除額の計算、本年中における特殊事項を記入する部分があります。この書き方も基本的には一般用と大きく変わりません。ただし、貸借対照表の表示科目は農業所得用に特化しているため、一般用と異なります。貸借対照表には期首と期末時点の額を記載しなければなりません。

一般用の青色申告書の書き方については以下の記事で詳しく説明していますので、こちらで取り上げた農業所得用とあわせてご覧ください。

青色申告が初めての方には確定申告ソフトがおすすめ!

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農業の確定申告は青色申告がおすすめ!確定申告ソフトを利用して正しく申告しましょう!

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よくある質問

農家も確定申告が必要?

農家に限らず、収入から経費を引いた所得金額が48万円を超えれば、確定申告が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告は農家にどんなメリットがある?

節税になる青色申告特別控除のほか、農業に専業で従事している家族への報酬を必要経費にできる青色事業専従者給与などのメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告で確定申告するには?

青色申告承認申請書を管轄の税務署に提出しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:河野雅人(公認会計士・税理士)

東京都新宿区に事務所を構え活動中。大手監査法人に勤務した後、会計コンサルティング会社を経て、税理士として独立。中小企業、個人事業主を会計、税務の面から支援している。独立後8年間の実績は、法人税申告実績約300件、個人所得税申告実績約600件、相続税申告実績約50件。年間約10件、セミナーや研修会等の講師としても活躍している。趣味はスポーツ観戦。