• 更新日 : 2025年8月8日

個人事業主のお金がたまらない原因は?節税・支出管理・貯蓄術を解説

個人事業主として働く中で、「売上はあるのにお金がたまらない」と感じたことはありませんか?本記事では、経費にできない支出、税金の準備不足、キャッシュフローの管理ミスといったよくある課題から、青色申告による節税、生活費と事業資金の分け方、iDeCoやNISAなどを活用した資産形成まで、資金を手元に残すための実践的なポイントを解説します。

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売上があるのにお金がたまらない個人事業主の原因

売上は伸びているのに、手元にお金が残らないと感じる個人事業主は少なくありません。実際、会計上は黒字でも現金が減っている背景には、いくつかの共通した落とし穴があります。ここでは主な原因を3つに分けて解説します。

経費にならない支出が多い

帳簿上の利益と実際の現金の動きが一致しない原因の一つが、経費として計上できない支出の存在です。たとえば、借入金の元本返済や高額な設備の購入費は、事業に係る現金が出ていく支出ではあるものの、会計上は「経費」には該当しません。そのため、帳簿上の利益は残っているように見えても、実際には手元資金が大きく減っているという事態に繋がります。また、経費と誤解して計上している支出があれば、後々の税務処理で否認される可能性もあり、資金繰りの見通しを誤る原因になります。現金の出入りと損益計算を正確に切り分けて把握することが求められます。

税金の準備不足や知識の不足

納税による資金流出は、個人事業主にとって特に大きな負担になります。所得税、住民税、事業税、さらには消費税といった税金は、確定申告後にまとめて支払うケースも多く、準備が不十分だと納税月に資金が枯渇することもあります。給与所得者と異なり毎月源泉徴収される仕組みがないため、自ら計画的に税金分を積み立てておく必要があります。さらに、節税知識が不足していると、払わなくても済む税金まで支払ってしまうこともあり得ます。たとえば、必要経費の計上漏れや、青色申告特別控除の未活用、家族への専従者給与制度の不使用など、税額を抑えるための制度を知らずに損しているケースは少なくありません。税金に関する知識を持ち、適切な節税対策を講じることが資金確保への近道になります。

キャッシュフロー管理が不十分

帳簿上の利益が出ていても、現金が手元に残らない大きな理由の一つがキャッシュフローの管理不足です。売掛金の回収が遅れていたり、支払いサイトが短すぎて先に支払いだけが発生したりしていると、資金繰りに余裕がなくなります。特に売上の多くが売掛金の場合は、入金の遅延や未回収が致命的な資金ショートにつながりかねません。支払条件を見直し、回収サイトの短縮や支払サイトの調整を取引先と交渉することも必要です。また、プライベートな支出を事業用口座から流用していると、利益があっても資金が残らなくなります。事業用と私用の資金は明確に分け、事業資金をきちんと管理することが資金の可視化と保全につながります。

お金がたまらない個人事業主のための節税対策と経費見直し

手元に資金を残すためには、売上を増やすだけでは不十分です。税金や日々の支出に無自覚であれば、稼いでもお金が残らない状況は続いてしまいます。ここでは、個人事業主が実践しやすい節税と経費管理のポイントを解説します。

経費をもれなく記帳し、無駄な支出を見直す

まず取り組むべきは、事業経費の正確な計上です。領収書をなくしたり、「少額だから」と入力を省いてしまうと、その分だけ利益が多くなり、結果として納税額が増えることになります。文房具代や通信費交通費など少額な支出でも、積み重なれば大きな金額になるため、軽視せずすべてを正しく記録することが重要です。帳簿付けをこまめに行い、定期的にレシートや請求書の整理を習慣化することで、経費のもれを防げます。

また、支出内容そのものの見直しも欠かせません。たとえば、利用していないサブスクリプションが契約状態のままになっていないか、頻繁に使わないオンラインツールに料金を払い続けていないかなど、固定費は一度契約したら放置されがちです。高額な交際費広告宣伝費についても、支出額と効果を見比べ、費用対効果が見合っているかを見直しましょう。こうした不要なコストを減らすことで、毎月の資金の出ていく量を抑えられ、自然と手元に残るお金が増えていきます。

経費見直しの際は、「これは本当に今必要な支出か」という視点を持つことが大切です。毎月発生する固定費こそ、一度洗い出して整理すれば、長期的に大きな節約につながります。

青色申告を導入し、控除と制度を最大限活用する

次に重要なのが、青色申告の導入とその活用です。白色申告と比べて手間は増えますが、その分得られる節税効果は非常に大きく、資金を守る強力な味方になります。青色申告を選び、正規の帳簿付けによる確定申告を行うと、「青色申告特別控除」として最大65万円の所得控除が受けられます。電子申告(e-Tax)と電子帳簿保存を行っていれば満額控除、紙提出でも最大55万円の控除が可能です。この控除額はそのまま課税所得を圧縮するため、所得税・住民税の節約につながります。

さらに、家族が事業を手伝っている場合は「青色事業専従者給与制度」の利用が可能です。これは、事前に税務署に届け出を行えば、配偶者や子どもに支払う給与を全額経費として計上できる制度です。白色申告では家族への給与は一部しか認められませんが、青色申告ならその全額を費用として落とせるため、課税所得を大幅に下げることができます。なお、専従する家族等には業務要件(15歳以上、6カ月以上、専ら従事すること等)があります。

たとえば配偶者に月10万円支払えば年間120万円が経費となり、それに応じて所得税・住民税・国民健康保険料の負担も軽減されます。(ただし、青色事業専従者の給与についても源泉徴収の対象となり、年末調整も必要です。)正しく届出と帳簿管理を行えば、合法的に節税ができ、家族の協力にも報いる形になります。

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個人事業主の"経費"、うまく活用できていますか?

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個人事業主の生活費と事業資金管理のコツ

個人事業主が資金を効率よく管理するうえで大切なのは、生活費と事業資金を明確に分ける意識を持つことです。事業の収支と生活コストが混在していると、お金の流れが見えにくくなり、適切な経営判断もしづらくなります。ここでは、資金管理の工夫を3つの視点から解説します。

口座とカードを分けて管理をシンプルにする

まず実践したいのが、銀行口座とクレジットカードを事業用と私用で分けることです。同じ口座で事業と生活の支出を処理していると、お金の流れが不明瞭になり、何にいくら使っているのかを正確に把握できなくなります。事業の売上が入る口座から家賃や食費などを引き出していると、いつの間にか事業資金が減り、本来投資すべき業務にお金を回せなくなることもあります。カードも同様に、用途ごとに使い分けることで帳簿付けや確定申告時の処理が格段にスムーズになります。

支出の記録を習慣にし、傾向を見直す

資金管理を正しく行うには、日々の支出をきちんと記録する習慣が欠かせません。領収書の管理やレシートの入力を後回しにすると、経費の漏れや分類ミスが起こりやすくなります。家計簿アプリやクラウド会計ソフトを活用すれば、手間をかけずに支出の傾向を把握できます。支出の内訳を週ごとや月ごとに確認することで、使いすぎている項目や無駄な支出が可視化され、削減すべきコストが明確になります。結果として、無理のない範囲で支出を可視化してコントロールし、手元に資金を残す体質へと改善できます。

給与のように生活費を取り分けて管理する

個人事業主は「自分の給料」という概念が曖昧になりがちですが、毎月一定額を生活費として事業口座から移す方法は、資金管理の安定化に大きく役立ちます。たとえば、生活費用の専用口座を設け、毎月初めに一定金額を「事業主貸」として移動するようにすれば、支出の予算が明確になります。これにより、生活費が膨らみすぎることを防ぎ、事業資金とのバランスを保ちながら将来の積立や緊急時の備えにも対応できます。この仕組みを取り入れることで、資金繰りが安定し、予測可能な経営が実現します。

将来に備える個人事業主のお金の貯め方

会社員と違い、個人事業主には退職金制度や厚生年金がないため、自分自身で将来の資金を備える必要があります。ここでは、節税効果もあるiDeCo、NISA、小規模企業共済を活用した資産形成の方法を紹介します。

iDeCoで老後資金を積み立てる

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自ら運用商品を選んで老後資金を準備できる私的年金制度です。最大の魅力は、掛金の全額が所得控除の対象になる点です。たとえば、月額68,000円(年間81.6万円)まで拠出できる個人事業主は、所得が高いほど大きな節税効果を得られます。さらに、運用益も非課税で、受け取るときにも退職所得控除や公的年金等控除が適用され、拠出時、運用時、受取時と三段階で税制優遇を受けられます。注意点としては、原則60歳まで引き出せないため、資金を長期的に固定できる余裕が必要です。ただし、老後への備えと節税を同時に実現できる制度として、活用価値は非常に高いと言えます。

新NISAで非課税の資産運用を始める

2024年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)は、運用益・配当が生涯にわたって非課税となる制度です。個人事業主は、iDeCoと併用してこの制度を活用することで、リスクを抑えながら中長期的に資産を形成できます。新NISAでは年間360万円までの非課税投資が可能で、生涯投資枠は1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)と大幅に拡充されました。iDeCoと異なり、資金の引き出し制限がなく、ライフイベントや事業資金が必要な時にも流動性を確保できます。ただし、NISAは掛金自体が所得控除になるわけではありません。そのため、節税効果を求める場合はiDeCo、小回りの利く資産形成を求める場合はNISAと、目的に応じて使い分けると良いでしょう。まずは証券口座を開設し、自分に合った投資信託やETFからスタートするのが現実的です。

小規模企業等共済で退職金代わりの積立をする

小規模企業共済は、個人事業主が事業引退時に備えて積み立てを行う制度です。月額1,000円から70,000円までの掛金を自由に設定でき、全額が所得控除の対象になります。iDeCoと併用すれば、年間で165.6万円まで積み立てが可能となり、節税効果も高くなります。共済金は廃業・退職時に一括または分割で受け取ることができ、受け取り時も退職所得控除や年金控除が使えるため、受取時の税負担も軽減されます。ただし、短期間での解約は元本割れのリスクがあるため、長期継続が前提です。「将来の退職金を作りながら節税したい」という個人事業主にとって、信頼できる資金準備手段の一つです。

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個人事業主がお金をためるには、管理・習慣の見直しを

売上があってもお金がたまらない個人事業主には、共通する傾向があります。経費にならない支出の把握不足や、納税への備え、キャッシュフローの管理ミスが原因で資金が残らなくなることが多く見られます。これらを解消するには、正確な経費計上と無駄な固定費の見直し、青色申告制度の活用などを通じた節税が有効です。また、生活費と事業資金を分けて管理し、自分の報酬を設定する習慣を取り入れることで資金管理が安定します。さらに、iDeCoや新NISA、小規模企業共済といった制度を活用し、将来に向けた貯蓄と節税の両立を図ることもおすすめです。日々の支出に意識を向け、計画的に資金を扱うことで、着実にお金を残す体質を築くことができるでしょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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