- 更新日 : 2025年3月5日
個人事業主の月収100万の手取りはいくら?税金と節税対策を解説
フリーランスなどの個人事業主と会社員は、同じ月収100万円でも手取り金額が異なります。なぜなら、個人事業主と会社員では、社会保険料や税金の計算方法が異なるからです。
ここでは、個人事業主と会社員における手取り金額を計算する方法の違いに触れながら、個人事業主の月収100万円の手取り金額や、税金と節税対策について解説します。
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目次
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個人事業主の月収100万の手取りはいくら?
個人事業主と会社員では、社会保険料や税金の計算が異なるため、同じ月収でも手取り金額が異なります。まずは、個人事業主と会社員の税金や社会保険料の違いなどを見ていきましょう。
個人事業主と会社員の税金・社会保険料の違い
個人事業主と会社員の税金や社会保険料の違いは、以下のとおりです。
個人事業主 | 会社員 | |
---|---|---|
所得金額の計算 | 売上-経費(-青色申告特別控除) | 給料-給与所得控除 |
課税所得金額の計算 | 所得金額-所得控除 | 所得金額-所得控除 |
社会保険料の種類 | 国民健康保険 介護保険(40歳以上) 国民年金 | 健康保険 介護保険(40歳以上) |
税金の種類 | 所得税 個人事業税 | 所得税 住民税 |
所得金額の計算
個人事業主の所得金額は、売上から経費を差し引いた金額です。青色申告をしている場合は、さらに青色申告特別控除を差し引くことができます。
会社員は原則、経費を指し引くことができないので、給料から給料額に応じて計算された給与所得控除額を差し引いて、所得金額を計算します。
課税所得金額の計算
課税所得金額とは、税金を計算する基となる金額のことです。課税所得金額に所得税率を乗じて、所得税額を計算します。
課税所得金額は、個人事業主・会社員ともに計算方法は同じです。所得金額から基礎控除や生命保険料控除など、各種所得控除を差し引きます。
社会保険料の種類
所得控除のひとつに社会保険料控除があります。社会保険料控除は、その年に支払った社会保険料を所得金額から控除できるというものです。
社会保険は、個人事業主と会社員で支払う種類が異なります。個人事業主は基本的に、世帯全員の所得金額から計算する「国民健康保険」と毎月決まった金額を納める「国民年金」を支払います。会社員は、給料の金額に応じて支払う金額が決まる「健康保険」と「厚生年金」を支払います。
税金の種類
会社員が納める税金は所得税と住民税ですが、個人事業主の場合は所得税と住民税のほかに「個人事業税」や「消費税」を納めなければならないケースがあります。
個人事業税は、事業を営んでいることに対する税金で、営む業種により3%〜5%の税率が課せられます。
個人事業主の月収100万の手取り金額の計算方法
ここからは、個人事業主の月収が100万のケースで、月の手取り金額を見ていきましょう。
個人事業主の場合、税金や青色申告特別控除額など年単位の支払いや控除が多いです。そのため、厳密な月の手取りを示すことは難しいです。
ここでは、手取り金額の目安について、計算方法を説明するために簡単な例で説明します。
例)月の売上が100万円、経費が50万円だった。なお、この月に支払った税金や社会保険料は、所得税42,000円、住民税39,000円、個人事業税13,000円 消費税50,000円、健康保険料は59,000円、国民年金の保険料は17,000円だった。
確定申告は白色申告をしており、税金や社会保険料などは月換算した金額(国民年金の保険料は月額)である。
①売上から所得所得金額の計算
所得金額は「売上-経費」で計算します。上記の例では、所得金額は「売上100万円-経費50万円=50万円」になります。
②所得所得金額から税金・社会保険料を差し引く
月の手取金額は、所得金額から税金や社会保険料の金額を差し引いて求めます。上記の例では、月の手取り金額は下記のようになります。
今回の例では、月収が100万円の場合、手取り金額は28万円となります。
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個人事業主の月収100万の青色申告・白色申告の違い
個人事業主の手取り金額は、青色申告と白色申告で異なります。なぜなら、青色申告には青色申告特別控除があるためです。ここでは、青色申告と白色申告で手取り金額がどのように違うのかを見ていきましょう。
ただし、住民税や国民健康保険などは、住んでいる地域によって金額が異なります。そのため以下の数字は、あくまで目安としてお考え下さい。
なお、所得税、住民税、個人事業税、消費税、国民健康保険料は年額を12等分したものとし、本人は30代で配偶者や扶養家族、控除や定額減税などは考慮しません。また、経費の金額は月収の40%とします。
青色申告の場合
下記の表には表示されていませんが、青色申告特別控除を加味して税金や社会保険料の金額を計算しています。
【月収100万円】
種類 | 金額 |
---|---|
所得金額 | 売上1,000,000円-経費400,000円=600,000円 |
所得税(復興特別所得税込み) | 50,358円 |
住民税(調整控除後) | 43,100円 |
個人事業税 | 17,916円 |
消費税 | 60,000円 |
国民年金保険料 | 16,980円 |
国民健康保険料 | 64,058円 |
手取り金額 | 347,588円 |
【月収150万円】
種類 | 金額 |
---|---|
所得金額 | 売上150万円-経費60万円=900,000円 |
所得税(復興特別所得税込み) | 113,708円 |
住民税(調整控除後) | 72,091円 |
個人事業税 | 32,916円 |
消費税 | 90,000円 |
国民年金保険料 | 16,980円 |
国民健康保険料 | 74,166円 |
手取り金額 | 500,139円 |
【月収200万円】
種類 | 金額 |
---|---|
所得金額 | 売上2,000,000円-経費800,000円=1,200,000円 |
所得税(復興特別所得税込み) | 211,183円 |
住民税(調整控除後) | 102,091円 |
個人事業税 | 47,916円 |
消費税 | 120,000円 |
国民年金保険料 | 16,980円 |
国民健康保険料 | 74,166円 |
手取り金額 | 627,664円 |
白色申告の場合
青色申告特別控除のない白色申告の方の手取り金額は、以下のとおりです。
【月収100万円】
種類 | 金額 |
---|---|
所得金額 | 売上1,000,000円-経費400,000円=600,000円 |
所得税(復興特別所得税込み) | 60,141円 |
住民税(調整控除後) | 47,891円 |
個人事業税 | 17,916円 |
消費税 | 60,000円 |
国民年金保険料 | 16,980円 |
国民健康保険料 | 70,283円 |
手取り金額 | 326,789円 |
【月収150万円】
種類 | 金額 |
---|---|
所得金額 | 売上150万円-経費60万円=900,000円 |
所得税(復興特別所得税込み) | 128,350円 |
住民税(調整控除後) | 77,508円 |
個人事業税 | 32,916円 |
消費税 | 90,000円 |
国民年金保険料 | 16,980円 |
国民健康保険料 | 74,166円 |
手取り金額 | 480,080円 |
【月収200万円】
種類 | 金額 |
---|---|
所得金額 | 売上2,000,000円-経費800,000円=1,200,000円 |
所得税(復興特別所得税込み) | 229,433円 |
住民税(調整控除後) | 107,508円 |
個人事業税 | 47,916円 |
消費税 | 120,000円 |
国民年金保険料 | 16,980円 |
国民健康保険料 | 74,166円 |
手取り金額 | 603,997円 |
青色申告と白色申告の手取り金額の比較
ここまでお伝えした各月収ごとの手取り金額を比較すると、以下の表のようになります。青色申告と白色申告を比べてみると、青色申告のほうが手取り金額が多いと分かります。
月収 | 青色申告 手取り金額 | 白色申告 手取り金額 | 差額 (青色申告ー白色申告) |
---|---|---|---|
100万円 | 347,588円 | 326,789円 | 20,799円 |
150万円 | 500,139円 | 480,080円 | 20,059円 |
200万円 | 627,664円 | 603,997円 | 23,667円 |
手取り金額を増やしたい方は、青色申告を選択するのがおすすめです。
個人事業主の月収100万の手取り金額を増やすには?
ここでは、月収100万の個人事業主が手取り金額を増やす方法について見ていきましょう。
青色申告で確定申告をする
上述したとおり、青色申告のほうが手取り金額は多くなります。なぜなら、最大で年間65万円の青色申告特別控除があるためです。青色申告をするには事前に開業届や青色申告承認申請書の提出が必要なので、忘れないようにしましょう。
青色申告については以下の記事でくわしく解説しています。合わせて参考にしてください。
経費を漏れなく計上する
納める税金の金額は、所得金額を基に計算されます。所得金額は「売上-経費」で計算するため、経費の金額が大きくなれば、その分所得金額が小さくなり納める税額も下がります。
個人事業主では事業に関係する支出しか経費にできないため、経費にできるものをいかに漏れなく経費に計上するかが、手取り金額を増やすカギになります。
マネーフォワード クラウド会社設立は、個人事業主が法人成りを検討したほうがよいタイミングをまとめた「法人化を検討すべき7つのタイミング」を無料で用意しております。
創業支援に強い税理士監修で、ポイントがまとまったお得な1冊となっていますので、ぜひ将来を見据えた情報収集でご活用ください。
個人事業主の月収100万の手取りを増やす節税方法の例
手取り金額を増やすためには、節税が重要です。ここでは、個人事業主の代表的な節税方法を見ていきましょう。
小規模企業共済などに加入
小規模企業共済とは、毎月の掛け金を支払うことで、個人事業主が事業をやめたときに一時金の給付を受け取れる制度です。そのため「個人事業主の退職金制度」といえます。小規模共済に加入することで、事業をやめた後の生活費を準備することが可能です。
また、小規模企業共済の掛け金は、小規模企業共済等掛金控除として全額が所得控除の対象となります。所得控除の金額が増えるため、節税になります。小規模企業共済は月額1,000円から加入できるため、無理のない範囲で加入しましょう。
生命保険料の年払い
その年に支払った生命保険料は、生命保険料控除として一定額を所得控除の対象とすることができるため節税になります。また、生命保険料は月払いするよりも、年払いしたほうが安くなります。生命保険料の年払いをすることで、保険料を少しでも安くして節税効果を得ることが可能になります。
少額減価償却資産の特例を活用
少額減価償却資産の特例とは、固定資産を購入した場合であっても、取得価額が30万円未満の場合は、年間300万円まで取得価額の全額を経費にできる特例です。
本来、1つあたり10万円以上の固定資産を購入した場合は、取得価額の全額を経費にすることができません。取得価額は資産の種類によって定められた耐用年数に渡って、毎年少しずつ経費にする必要があります。
少額減価償却資産の特例を使えば、購入年度に一括に経費にできるので、節税につながります。ただし、少額減価償却資産の特例は青色申告の場合しか利用できないので、注意が必要です。
ふるさと納税
ふるさと納税とは原則、寄附した金額から2,000円を差し引いた額が、翌年以降に支払う税金から控除される制度です。
返礼品があるふるさと納税をすれば、実質2,000円の負担で返礼品を取得することができます。ただし、ふるさと納税の控除には上限があり、上限を超えると減税の効果はなくなるので注意が必要です。
iDeco(イデコ)の利用
iDeCo(イデコ)とは、公的年金以外に加入する個人型確定拠出年金(私的年金)のことです。原則毎月、掛金を支払うことで、60歳以降に掛金と運用益を年金として受け取ります。掛金を自分で運用できることも、iDeCoの特徴のひとつです。
また、iDeCoは掛金の全額が所得控除になるほか、年金を受け取ったときの税金も少なくなる優遇措置があります。
月収が100万円ある個人事業主は法人化したほうがよい?
個人が法人化する理由には、取引先を獲得しやすくなる、銀行など第三者からの信用が高くなる、節税効果が得られることなどが挙げられます。
節税面から法人化を考えた場合、月収ではなく年間の所得や売上の金額から見なければなりません。法人化の目安は、次に挙げる税率と消費税、法人設立にかかる手間と費用から考えましょう。
税率
個人事業主が支払う所得税は、所得金額が高くなればなるほど税率が高くなる累進課税制度を導入していて、最高税率は45%です。一方、法人税は法人の種類や所得金額によって異なりますが、15%から20%前半の税率です。そのため、所得金額が大きければ、法人化したほうがよいでしょう。
例えば、所得税の税率は年間所得が900万円になると23%から33%に上がります。そのため法人化の目安として、年間900万円といわれています。
消費税
年間の売上が1,000万円を超えると、2年後から消費税の課税事業者となり、消費税を納めなければなりません。しかし、2年後に法人化すると、個人と法人は別のものであるため、消費税の納税義務はありません。
年間売上が1,000万円を超えた場合は、法人化を考えてもよいでしょう。しかし、インボイス制度の導入により、インボイス発行事業者は、売上に関係なく消費税の納税義務が発生します。そのため、法人化してすぐにインボイス制度を導入する場合は、消費税の節税効果は見込めません。
法人設立にかかる手間と費用
法人化には、法人設立のために登記や定款の作成、資本金や登記費用の準備が必要なため、さまざまな手間や費用がかかります。法人化するに至った目的に見合う効果が出るかどうかなど、事前にしっかりとシミュレーションを行わないと、手間や費用だけかけたものの思った効果が得られないリスクがあります。
また、法人化すると決算の手続きなどが個人事業主よりも複雑化します。法人化する際には、税理士などの専門家に相談したほうがよいでしょう。
個人事業主は手取りを増やすためにも節税対策を!
個人事業主は節税することで、手取り金額を増やすことが可能です。すぐにでもできる節税対策には、青色申告や経費を漏れなく計上することがあります。また、小規模企業共済への加入や少額減価償却資産の特例の活用などの節税方法もあります。
手取り金額を増やすためにも、自分に合った節税対策を見つけ、早いうちから対策を講じるようにしましょう。

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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