- 更新日 : 2025年9月19日
個人事業主の利息の仕訳は?勘定科目や注意点をわかりやすく解説
個人事業主が取り扱う利息には、借入に伴う支払利息や、預金・貸付による受取利息などさまざまな種類があります。これらは一見似ているようでいて、税法上の取扱いや仕訳方法が大きく異なるため、正確な知識が求められます。
本記事では、利息の種類別に適切な勘定科目や確定申告上のポイントを解説します。
目次
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個人事業主が取り扱う利息とは
個人事業主が取り扱う利息は、支払うものと受け取るものがあり、それぞれに異なる勘定科目と税務処理が必要です。法人とは異なり、事業と個人の資金が混在しやすい個人事業主では、正しい区分と仕訳が求められます。
支払利息と受取利息の違い
個人事業主が支払う利息は、たとえば事業資金として金融機関から借り入れた資金に対するものです。これは「支払利息」や「利子割引料」として経費計上が認められます。
一方で、受け取る側の利息には、預金利息や貸付利息などがあり、内容によって取扱いが異なります。事業に関連して発生した貸付利息や延滞利息は、「受取利息」として事業収入に計上しますが、銀行預金の利息のように事業と直接関係のないものは「利子所得」に分類され、帳簿上は「事業主借」として処理されます。
このように、同じ「利息」でも、収入の性質によって勘定科目や税務処理が異なる点を理解しておく必要があります。
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個人事業主が支払う利息の仕訳
個人事業主が事業のために金融機関などから借入を行うと、元本とあわせて利息の支払いが発生します。ここでは、その支払利息に関する適切な勘定科目や仕訳方法、また事業と私用が混在する場合や税務上経費にできない利息について解説します。
事業用借入金の支払利息は「支払利息」で経費計上する
事業目的で借り入れた資金に対して支払う利息は、「支払利息」または「利子割引料」として経費に計上できます。たとえば、設備導入のための融資にかかる利息などが該当します。元本返済は負債の返済であり経費になりませんが、利息部分は必要経費に含められます。仕訳の基本は「借方:支払利息〇〇円/貸方:現金預金〇〇円」です。なお、利息の支払いは消費税の非課税取引であり、消費税の処理上も仕入税額控除の対象にはなりません。また、確定申告時には、青色申告決算書の「利子割引料」欄にその年中に支払った利息の合計額を記入します。
私用を兼ねるローン利息は家事按分で仕訳する
カーローンや住宅ローンなど、事業用と私用が混在する借入の利息については、事業で使用した割合に応じて家事按分し、事業分のみを経費に計上します。たとえば、自家用車を50%の割合で事業に使用している場合は、ローン利息のうち半分のみを経費として扱えます。たとえば、50%の割合で事業供用している住宅のローン利息20,000円を支払った場合、仕訳例は「借方:支払利息(利子割引料)10,000円、事業主貸10,000円/貸方:現金預金20,000円」となり、私用分を「事業主貸」で処理して区別します。
延滞税や罰則的利息は経費にできない
税金の延滞により発生する延滞税や延滞金、加算税、交通違反の反則金などのペナルティ的な支出などは、たとえ事業に関連するものであっても経費にはできません。これらは事業に必要な支出とはみなされず、個人的な負担として扱われます。たとえば、期限後に納めた所得税にかかる延滞税5,000円を事業用口座から支払った場合、「借方:事業主貸5,000円/貸方:現金預金5,000円」と仕訳し、経費には含めません。所得税・住民税そのものも経費にはならない点とあわせて注意が必要です。
なお、例外として社会保険料の支払いが遅れたことによる延滞金は経費となります。社会保険への加入が必要な個人事務所の場合には、併せて覚えておくことで、経費の計上漏れを防げます。
個人事業主が受け取った利息の仕訳
個人事業主が受け取る利息には、預金利息や貸付金の利息などがありますが、その種類によって勘定科目や経理処理の仕方は異なります。
預金利息の処理は「事業主借」で対応する
事業用の普通預金に付いた利息は、たとえ事業資金にかかるものであっても、税法上は「利子所得」に該当し、事業所得には含まれません。この預金利息は、金融機関が支払時に合計20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)を源泉徴収しており、納税はそこで完結します。したがって、個人事業主が確定申告でこの利息を申告する必要は基本的にありません。
帳簿上では、事業用口座に入金された利息を「事業主借」で処理します。たとえば税引後800円の利息が振り込まれた場合、「借方:普通預金800円/貸方:事業主借800円」と記帳します。源泉徴収された税金については、事業外の個人負担であるため帳簿には反映させません。このように預金利息は、事業とは切り離して「事業主借」で処理し、確定申告にも影響しないのが基本です。
事業上の利息収入は「受取利息」として計上する
事業活動の一環で発生した利息収入、たとえば取引先や従業員への貸付に対する利息、売掛金の延滞による遅延利息などは、事業に関連した収入として扱います。このような利息は「受取利息」または「雑収入」として、事業の収入に含めて処理し、確定申告でも事業所得に計上します。
たとえば、従業員に貸していた10,000円が返済され、利息500円を受け取った場合は、「借方:現金10,500円/貸方:貸付金10,000円、受取利息500円」と仕訳します。受取利息は事業収入として扱うため、ほかの売上などと同様に確定申告の対象となり、所得税の計算に含まれます。なお、利息収入は金融取引に分類されるため、消費税は課されません。
個人的な利息収入は「雑所得」扱い
事業と無関係な個人的な貸付によって得た利息も、受け取る機会があるかもしれません。たとえば、友人に個人として貸していたお金の返済時に利息を受け取った場合です。このような利息は、預金利息のような源泉分離課税の対象でもなければ、事業収入でもありません。
事業と無関係な個人的な貸付で得た利息は、税務上「雑所得」に分類されます。個人事業主は、事業所得とこの雑所得などを合算して確定申告を行う必要があります。なお、会社員などの給与所得者の場合は、条件を満たせば20万円以下の雑所得等は申告不要となる制度がありますが、個人事業主には適用されません。
経理上も事業取引とは異なるため、事業用口座に入金されたとしても「事業主借」で処理します。たとえば、貸付金10,000円の返済とあわせて利息500円を現金で受け取った場合、「借方:現金10,500円/貸方:事業主借10,500円」と仕訳し、利息分500円は事業収入として扱いません。そのうえで、必要に応じて確定申告で雑所得として申告します。
個人事業主の確定申告で利息について注意すべきポイント
利息の収支は、確定申告の内容に直接関係する部分が多くあります。ここでは、受け取った利息と支払った利息の双方について、個人事業主が確定申告時に知っておくべき扱いと注意点を整理します。
預金利息は申告不要、事業関連の利息は申告対象
金融機関の預金の利息は、税法上「利子所得」として扱われ、金融機関が支払時に源泉徴収を行うため、基本的に確定申告での申告は不要です。青色申告決算書や収支内訳書にも、預金利息を記載する欄は設けられていません。これに対し、事業上の貸付によって発生した利息(たとえば取引先への貸付金の利息や延滞利息)は、事業収入の一部として「受取利息」や「雑収入」として帳簿に記録し、確定申告でも事業所得に含めて申告します。処理を明確に区別することが大切です。
また、友人などに対する個人的な貸付による利息収入は、事業とは関係がないため「雑所得」として区分します。
支払利息は「利子割引料」として経費に計上
一方、事業のために借り入れた資金にかかる利息は「支払利息」として経費に計上できます。確定申告では、青色申告決算書の1ページ目にある損益計算書の「利子割引料」の欄に、1年間に支払った利息や手形の割引料を合計して記入します。この金額がそのまま事業経費に加算され、所得税や住民税の負担を軽減する効果があります。
ただし、カーローンや住宅ローンなど事業用と私用が混在する借入については、家事按分が必要です。事業利用分のみを利子割引料として計上し、私的利用分は経費に含めないようにします。これら私的支出は「事業主貸」として帳簿処理するのが原則です。
さらに注意すべき点として、税金の延滞により発生した延滞税や延滞金、罰金などの支払いは、たとえ事業資金から支払ったとしても経費にはなりません。これらは個人的な負担とみなされるため、仕訳上は「事業主貸」で処理し、申告には含めないようにしましょう。ただし、社会保険料の延滞にかかる延滞金は例外として経費になります。
よくある利息の仕訳間違い例
利息の処理は一見単純に見えて、税法上の区分や帳簿の正確性が求められるため、個人事業主にとって意外と間違えやすい部分です。ここでは、仕訳でよくある勘違いやミスの例を挙げながら、正しい処理方法を確認します。
預金利息を「受取利息」として処理してしまう
事業用口座に振り込まれた預金利息を「受取利息」として仕訳してしまうミスは非常に多いです。しかし、預金利息は事業収益ではなく、税法上は「利子所得」として扱われるため、事業所得には含めません。したがって、「受取利息」ではなく「事業主借」で処理すべきです。これを誤ると、事業収入が実際よりも多くなり、所得税の計算に影響を及ぼす可能性があります。
事業用と私用が混在するローンの利息を全額経費にしてしまう
車両や住宅などを事業でも使用している場合、事業供用の割合に応じてこれらのローンに係る利息の一部を経費として計上するのは可能ですが、私用部分まで全額を「支払利息」として処理してしまうケースが見られます。この場合、本来経費にならない私用部分を誤って損金算入していることになるため、税務調査で否認される可能性があります。実際の事業供用割合に応じた家事按分処理を行い、私用分は「事業主貸」で分けて記帳する必要があります。
個人事業主が融資を受ける際の利息や手数料の経費処理
個人事業主が事業資金として融資を受けた場合、返済に伴う利息や手数料などの経費処理は正確に行う必要があります。ここでは、融資関連で生じる支出の勘定科目と処理上の注意点を解説します。
借入金の元本は経費にできない
融資を受けた際、毎月の返済には元本と利息の両方が含まれています。このうち元本部分は、借入金という負債の返済であり、経費にはなりません。したがって、元本返済については「借入金の減少」として処理し、損益計算書には反映させません。仕訳上は「借入金/現金預金」と記録します。
利息と手数料は「利子割引料」「支払手数料」として経費計上可能
利息については、事業に必要な資金の調達に伴う支出であれば、「支払利息」または「利子割引料」として経費に含められます。また、借入時に発生する事務手数料や保証料も、原則として「支払手数料」などの勘定科目を用いて経費計上が可能です。ただし、開業費として扱えるものや、期間に応じて按分する必要があるケースもあるため、内容の確認が必要です。
私的借入と混同しないようにする
生活費補填や私的支出のための借入金に関する利息は、事業とは関係がないため経費にはなりません。契約書や事業計画書などに資金使途を記録しておくことにより、事業目的での借入であることを明確にしておくことが税務上も重要です。このように、融資に伴う支出の性質を正しく理解し、勘定科目を適切に使い分けることで、帳簿の正確性と税務リスクの回避につながります。
個人事業主は利息の性質に応じて正しく仕訳しよう
利息に関する仕訳は、金額自体は小さくても処理の違いによって税務上の影響が大きくなる可能性があります。預金利息のように申告不要な利子所得もあれば、事業上の貸付による受取利息は事業所得として申告が必要です。支払利息についても、元本と利息を分けて記帳し、私的支出は「事業主貸」で整理することが求められます。利息の性質ごとに勘定科目を使い分け、帳簿の正確性と税務リスクの回避を心がけましょう。
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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