• 更新日 : 2025年9月19日

個人事業主の仕入れと経費を解説|違い・仕訳・確定申告の方法

個人事業主確定申告を行う際に欠かせないのが、仕入れと経費の正しい理解と区別です。どちらも「必要経費」として扱われますが、その性質や記帳方法、申告書への記載箇所は異なります。両者を混同すると、税務上のトラブルにつながることもあります。

この記事では、仕入れと経費の違い、会計処理の方法、確定申告書への記載、注意すべき支出例などを整理して解説します。

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個人事業主が知っておきたい仕入れと経費の違い

個人事業主が事業を営む際には、多様な支出が発生します。中でも「仕入れ」と「経費」は帳簿上でも税務上でも明確に区別する必要があります。いずれも必要経費ではありますが、性質と計上の扱いが異なります。

仕入れとは売上に直結する費用

仕入れとは、商品やサービスの提供に直接関わる支出のことです。小売業であれば、販売目的で購入した商品の代金が該当します。製造業であれば、製品を作るための原材料費や部品の購入費も仕入れに含まれます。さらに、商品購入に伴って発生する送料や関税などの付随費用も原則として「仕入」に含めて計上します。5,000円の商品を10個購入し、2,000円の送料がかかった場合、仕入額は合計52,000円として記帳されます。このように仕入れは「売上原価」に直結するため、帳簿では他の経費とは別枠で処理されます。

経費とは仕入れ以外の必要経費

経費とは、仕入れ以外の事業運営に必要な支出を指します。事務所の家賃、水道光熱費旅費交通費通信費広告宣伝費消耗品費などが挙げられます。これらは売上に直接関係しないものの、事業の継続に不可欠な費用であり、仕入れとは別に「販売費及び一般管理費」として分類されます。帳簿上では内容ごとに適切な勘定科目で処理され、収支内訳書や青色申告決算書でも仕入れとは異なる欄に記載されます。つまり「必要経費」は仕入れと経費に大別され、両者は区別して記録・申告することが求められます。

商品を仕入れた際の仕訳

商品を仕入れた際の仕訳方法にはいくつかの形式があり、採用する会計処理方法によって仕訳の仕方や帳簿管理の内容が異なります。ここでは個人事業主が用いることの多い三分法と分記法、そしてやや高度な五分法・総記法について特徴と仕訳の考え方を整理します。

三分法

三分法は、仕入、売上、繰越商品という3つの勘定科目を使うもっとも一般的な記帳方法です。仕入れ時には「仕入」勘定を使い、決算時に在庫を調整します。たとえば、現金で商品を5万円仕入れた場合は、 仕入 50,000円 / 現金 50,000円 という仕訳になります。期末に残った在庫は「繰越商品」として棚卸により調整仕訳を行います。青色申告決算書にも適した形式で、広く利用されています。

分記法

分記法は、主に小規模な事業者や白色申告者が使用する簡便な方法で、仕入・売上・在庫を一連で記録する形式です。商品を仕入れた際には、資産(商品)として記帳します。たとえば、商品5万円を現金で購入した場合は、 商品 50,000円 / 現金 50,000円 という仕訳を行います。販売時には商品原価を「商品減少」として処理する必要があり、在庫管理が明確になります。商品の増減を直接「商品」勘定で管理するのが特徴です。

五分法

五分法は、売買の全過程を5つの勘定(仕入、売上、繰越商品、仕入値引き・戻し、売上値引き・戻り)で管理する方法です。主に複式簿記で厳密な損益管理を行う法人や上級簿記者向けです。仕入値引き・戻しや売上値引き・戻りを個別に処理するため、細かい原価管理が可能になりますが、個人事業主ではあまり採用されません。

総記法

総記法は、売上や仕入を総額ではなく、純額(売上総利益)で計上する特殊な方法で、一般的には税務処理には適していません。収益と費用を直接相殺して表示することから、期間損益の表示を重視する法人でまれに用いられます。個人事業主の記帳には原則として不向きですが、会計処理の全体像を理解する上では知っておくと役立ちます。

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経費の会計処理

個人事業主が帳簿を正確に維持するためには、事業にかかる支出を適切に「経費」として処理することが欠かせません。経費とは、前述のとおり売上に直接関係しないが、事業運営に必要な費用のことを指し、地代家賃、水道光熱費、旅費交通費、通信費、広告宣伝費、消耗品費などが該当します。これらは「販売費および一般管理費」として帳簿に記載され、収入とは別に整理します。会計処理では、各支出を内容に応じた勘定科目に分類し、発生日ごとに記帳します。

インターネット代は「通信費」、文房具の購入は「消耗品費」として仕訳します。記帳ミスや分類の誤りは、確定申告の際に課税額に影響することもあるため、正確な処理が求められます。

仕入れと経費の確定申告書での記入方法

確定申告書では、仕入れと経費をそれぞれ異なる項目として記入する必要があります。帳簿上での区別だけでなく、申告書上でも区分が求められるため、書式の構造を理解し、適切に記載することが求められます。白色申告と青色申告では書式が異なるものの、仕入れと経費はどちらも明確に別欄で処理されます。

白色申告の場合

白色申告を行う個人事業主は、「収支内訳書」を確定申告書とともに提出します。この用紙には、収入・売上に関する欄と、必要経費の記載欄が分かれています。必要経費については、「地代家賃」「水道光熱費」「旅費交通費」「通信費」など、主要な費目が一覧形式で表示されており、それぞれ1年間の合計金額を記入します。

一方、「仕入金額」については経費欄には含まれず、「売上原価」の欄に設けられた専用の項目に記載します。ここでは、「期首商品棚卸高」「当期仕入高」「期末商品棚卸高」の3項目を記入し、これにより1年間の売上原価が自動的に算出される形式となっています。たとえば、期首在庫が10万円、当期の仕入れが80万円、期末在庫が20万円であれば、売上原価は「10万円+80万円-20万円=70万円」となります。

青色申告の場合

青色申告を行う場合は、「青色申告決算書(一般用)」を作成・提出します。この書類でも、「売上原価」欄には仕入れに関する情報を記載し、「損益計算書」内の「経費」欄にその他の経費を記載する形式です。仕入れ金額や棚卸高をもとに売上原価を計算し、それとは別に地代家賃、水道光熱費、旅費交通費、通信費などの費目ごとの金額を合算して記載します。

このように、確定申告書類上では仕入れと経費は用途別に分かれて明確に記入することが求められます。仕入れは売上原価として記載し、その他の支出は経費欄に内容別で記入する流れを把握しておくと、申告書の作成がスムーズになります

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仕入れと経費に関する注意点

仕入れや経費は、帳簿や確定申告書に記載する上で正確な取り扱いが求められる項目です。誤った処理を防ぎ、正しく申告を行うためにも、次のような点に注意しましょう。

在庫(棚卸資産)の扱い

仕入れた商品の金額は、そのまますべて経費になるわけではありません。年末時点で販売されず在庫として残っている商品については、「棚卸資産」として資産計上され、その年の経費にはなりません。費用となるのは、実際に販売されて売上につながった商品の仕入原価のみです。

年間で100万円分の商品を仕入れ、そのうち30万円分が売れ残った場合、その30万円は棚卸資産として翌期へ繰り越され、当期の必要経費には含めません。経費として計上できる売上原価は、「期首在庫+当期仕入-期末在庫」で計算されます。在庫数や商品の金額を正確に把握し、棚卸作業を怠らないことが正確な所得計算の基礎になります。

経費として認められない支出もある

どのような支出でも経費にできるわけではありません。事業に無関係な支出、たとえばプライベートな食費や衣類、家族や友人との娯楽に関する費用は経費として認められません。事業と私生活が混在する場合は、使用割合を合理的に算出し、業務で使った分だけを経費として計上します。

自宅兼事務所の光熱費を50%ずつ使用している場合、半分だけを経費に含めます。また、所得税や住民税、罰金・延滞税といった個人的な税金や罰則金も必要経費にはなりません。加えて、生計を一つにする家族への給与は原則として経費にできません。しかし、白色申告の場合は一定額を所得から差し引ける「事業専従者控除」が、青色申告の場合は事前の届出と要件を満たすことで給与全額を経費にできる「青色事業専従者給与」の制度が利用できます。

支出の内容ごとに、税法上の扱いを確認し、誤って計上しないよう慎重な判断が必要です。

経費の割合と税務調査への備え

経費には上限が定められているわけではありませんが、売上に対して経費の割合が極端に高い場合、税務署から不自然と見なされ、調査の対象になることがあります。売上100万円に対して経費が98万円のような場合、経費の妥当性や事業の実態について確認されることがあります。業種や事業内容によって経費の比率は異なりますが、一般的な水準から大きく逸脱しないかを意識しておくことが大切です。正当な経費であれば問題はありませんが、領収書請求書などの証拠書類をしっかり保管しておくことが重要です。

経費の根拠を明確にし、質問された際には正確に説明できる状態を整えておくことで、税務上の信頼性を高められます。

よくある経費の誤認例と指摘されやすいケース

経費計上の判断を誤ると、税務署から指摘を受けたり、経費として認められなかったりすることがあります。多くの個人事業主が見落としがちな項目や、税務調査で問題になりやすいケースについて解説します。

私的な出費との混同

個人事業主に多いのが、私生活に関連する支出を経費として計上してしまうケースです。たとえば、自宅の食費や家族の生活費、個人的な外食費などは、事業に関係がなければ経費として認められません。また、私用と業務の両方で使う支出については、業務使用分のみを合理的に按分して計上する必要があります。たとえば自宅のインターネット費用を全額経費にしていると、過大な計上として否認される可能性があります。事業との関連性が不明確な支出は、用途の記録を残しておくことが大切です。

接待交際費の範囲の誤認

交際費は事業のために外部の取引先などと関係を築く目的で使うものであり、家族や友人との飲食費は対象外です。家族との食事代を「接待交際費」として経費計上してしまうと、税務署から私的支出と判断され、指摘されます。交際費として計上する場合は、相手先や目的を帳簿やメモに残し、業務上の必要性が説明できるようにしておくことが望まれます。領収書の添付だけでは説明として不十分なケースもあるため、記録の具体性が重要です。

生活費の一部の経費化

日常生活に使う物品を経費にしてしまう誤りもよく見られます。文房具や家具などを購入した際、業務用ではなく家庭内で使用する目的であれば、それは経費として認められません。また、家族が使用するスマートフォンや車両の維持費なども、事業に関わる割合が明確でない場合、全額を経費にするのは避けるべきです。生活関連の支出については、業務との境界線を慎重に判断し、必要に応じて按分計算を行うことが大切です。

減価償却資産の購入と経理処理

取得価額が10万円以上の備品や設備などは、原則として一括で経費にすることはできません。これらは「固定資産」として処理し、耐用年数に応じて毎年一定額ずつ減価償却する必要があります。20万円のパソコンを購入した場合、法定耐用年数に従って償却費を按分計上します。一括償却や少額減価償却資産の特例を活用する場合も、要件を満たしているかどうかを確認しておくことが大切です。購入費の全額を即時に経費とする処理は、可否を慎重に判断する必要があります。

仕入れと経費を正しく理解して申告に活かそう

仕入れと経費は、いずれも個人事業主にとって必要な経費ですが、帳簿や申告書での扱いが異なります。正しく分類し、記帳・申告を行うことで、納税の正確性が保たれ、帳簿や決算申告書類の信頼性も高まります。また、私的支出との混同や過大な計上を避け、領収書や使用目的の記録を残しておくことが重要です。基本を理解し、丁寧な経理を心がけることで、信頼性の高い事業運営を実現しましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

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