• 更新日 : 2025年9月19日

個人事業主が死亡した場合の廃業届の記載例は?提出までの流れや準確定申告について解説

個人事業主が死亡した場合には、廃業届や個人事業者の死亡届出書、従業員関連の届出、事業承継時の開業届、準確定申告など、多岐にわたる税務手続きが必要となります。これらは提出期限が明確に定められており、遅延すると延滞税や無申告加算税などの負担が発生する可能性があります。

本記事では、廃業届提出までの流れや記載方法、注意点を整理し、相続人が確実かつ期限内に対応できるよう解説します。

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個人事業主が死亡した場合の廃業届とは

個人事業主が事業をやめる際に提出する廃業届は、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれます。これは所得税法に基づき、事業を終了した事実を税務署へ通知するための重要な書類です。事業主が死亡した場合には、相続人が代わって提出します。特別な「死亡廃業届」という様式はなく、通常の廃業届に死亡による廃業である旨を明記して提出します。

廃業届の正式名称と目的

廃業届は正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、事業の開始や終了を税務署へ届けるための書類です。事業終了時には必ず提出が必要で、税務署が納税義務や関連手続きを把握するための根拠資料となります。

死亡時の提出者

事業主が死亡した場合は、相続人が故人に代わって廃業届を提出します。届出書の記載内容はあくまで故人の事業情報で、提出者欄に相続人の署名を行います。

死亡による廃業の記載方法

死亡廃業の場合、廃業届の「廃業」欄に○を付け、「事由」欄へ「事業主死亡」と明記します。廃業日は死亡日を記載し、故人の情報を正確に記入します。この記載によって税務署は死亡による廃業であることを適切に認識できます。

個人事業主が死亡した場合の廃業届の提出期限と提出先

個人事業主が亡くなると、その事業は死亡日をもって廃止されたとみなされます。この場合、相続人は死亡日から1ヶ月以内に廃業届を所轄税務署へ提出しなければなりません。提出が遅れても罰則はありませんが、放置すると事業継続扱いとなり、不要な税務通知や加算税のリスクが生じる可能性があります。

提出期限と遅延による影響

廃業届は事業主の死亡の事実があった日から1ヶ月以内に提出する必要があります。期限を過ぎても法律上の罰則はありませんが、提出しないと事業が継続中とみなされ、故人宛に確定申告案内や納税通知が届き続けます。さらに放置が長引けば、本来行うべき準確定申告がされていないと扱われ、無申告加算税や延滞税の対象となる可能性があります。

提出先と方法

廃業届の提出先は、亡くなった個人事業主の納税地を管轄する税務署です。提出方法は税務署窓口への持参、郵送、またはe-Taxの利用が可能です。

廃業届を提出する際は、提出者である相続人自身の本人確認が必要です。必要な書類は提出方法によって異なります。

  • 税務署窓口
    相続人のマイナンバーカード、または通知カード+運転免許証などを提示します。
  • 郵送
    相続人のマイナンバーカード(両面)の写し、または番号確認書類と身元確認書類の写しを添付します。
  • e-Tax
    相続人のマイナンバーカードによる電子署名で本人確認が完了するため、別途の書類添付は不要です。

提出書類と費用

廃業届の様式は国税庁ウェブサイトからダウンロードでき、税務署窓口でも入手可能です。提出に手数料は不要であり、記載内容を整えて早めに提出することで、後々の税務トラブルや不要な通知を避けられます。

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死亡による廃業届記載時の注意点

個人事業主が死亡した場合の廃業届は、相続人が代理で提出します。誤記や記載漏れは手続き遅延や問い合わせの原因となるため、各欄の記入方法や注意点を押さえて作成します。

届出書上部の記載内容

まず、届出書の氏名、住所、納税地(原則として故人の住所地)、職業、屋号などの欄には、すべて亡くなった事業主本人(以下、「被相続人」)の情報を記載します。手続きを行う相続人自身の情報を書き込んでしまう誤りは避けなければなりません。届け出を行うのは相続人であっても、廃業の主体はあくまで故人であるためです。また届出書上下部には提出日と提出先税務署長の宛名を記載します。日付は提出日を記入し、宛名は所轄税務署長とします。

届出の区分と事由の記載

届出書の「届出の区分」欄では「廃業」に○を付け、その横の「(事由)」欄に「事業主死亡」と明記します。この一言があることで税務署が死亡による廃業と認識し、関連する手続きがスムーズに進みます。「開業・廃業等日」の欄には、故人の死亡年月日を記載します。様式にあらかじめ印字されている元号(令和など)に続き、年月日を数字で記入してください。

届出下部の記載この届出書には相続人が提出することを記載する欄がありません。その他参考事項に提出する相続人の名前と連絡先を記載してください。正式な書式は決まっていませんが、提出者が相続人であることが明確になれば問題ありません。必要に応じて事前に税務署に確認すると安心です。

個人事業主が死亡した場合の廃業届記載例

以下に、架空の個人事業主「山田太郎」さん(屋号:「山田商店」)が令和7年8月12日に亡くなったケースの廃業届記載例を示します。相続人である長男「山田一郎」さんが代理で届出を行う想定です。

[届出書上部:故人の情報を記載]
  • 納税地:東京都〇〇区〇〇1-2-3 (住所地にマル)
  • 氏名(フリガナ):ヤマダ タロウ
  • 氏名:山田 太郎
  • 上記以外の住所地・事業所等: 空白
  • 生年月日:昭和42年5月10日
  • 職業:小売業
  • 屋号:山田商店
  • 提出先:〇〇税務署長 殿
  • 提出日:令和7年9月5日(廃業日から1ヶ月以内)
[届出区分と廃業日等:廃業に○、事由と日付を記載]
  • 届出の区分:○廃業 (事由:事業主死亡)
  • 開業・廃業日:令和7年8月12日
[届出書下部:相続人が代理で提出]
  • その他参考事項:提出者 相続人 山田一郎 連絡先××

個人事業者の死亡届出書とは【所得税の廃業届とは別の書類】

個人事業者の死亡届出書は、主に消費税に関する届出で、課税事業者であった個人事業主が亡くなった場合に必要となります。これは消費税法に基づき、事業者の死亡によって納税義務が消滅することを税務署へ通知する役割があり、所得税の廃業届とは別に提出します。

提出が必要となるケースと期限

この届出書は、亡くなった事業主が消費税の課税事業者であった場合に限り提出が必要です。免税事業者であれば提出は不要です。提出期限は法律で明確に定められていませんが、「速やかに」とされており、実務上は、所得税の廃業届と同時に提出するのが最も確実で効率的です。提出が遅れると税務処理が滞る可能性があります。

届出書の記載内容

様式は国税庁が提供する専用用紙を使用し、廃業届とは別に作成します。記載内容は、被相続人である故人の氏名、納税地、死亡年月日などに加え、届出人である相続人の氏名、住所、故人との続柄を記載します。用紙は故人情報と相続人情報が分かれた構成になっており、事業承継の有無を記入する欄もあります。承継者がいる場合には、その氏名・住所を参考事項として記載します。

提出先と費用、関連制度の注意点

提出先は亡くなった事業主の納税地を管轄する税務署で、廃業届と同じ税務署です。提出は相続人が行います。手数料は不要で、様式は国税庁ウェブサイトや税務署窓口で入手可能です。また、令和5年10月開始のインボイス制度に登録していた場合、死亡により登録は自動的に失効し、別途「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」は不要ですが、必要に応じて税務署に確認すると安心です。

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個人事業主の死亡による廃業に伴うその他の手続き

個人事業主が死亡して廃業する場合、廃業届や個人事業者の死亡届出書以外にも、状況に応じて追加の税務手続きが必要です。

従業員・源泉所得税に関する届出

故人が従業員を雇用し給与を支払っていた場合、廃業日(死亡日)から1ヶ月以内に「給与支払事務所等の廃止届出書」を税務署へ提出します。これは源泉徴収義務を終了させる手続きです。仮に承継者が雇用を継続する場合でも故人名義の給与支払事務所は一旦廃止し、新たに承継者名義で「給与支払事務所等の開設届出書」を提出します。また、死亡日までに預かった源泉所得税は必ず所定期限までに納付する必要があり、「納期の特例」の承認を受けている場合でも期限(1月20日または7月10日)は延長されません。

青色申告に関する手続き

故人が青色申告の承認を受けていた場合、その資格は死亡により自動的に失効し、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出する必要はありません。ただし相続人が事業を引き継いで青色申告を行う場合、相続人自身の名前で「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。その提出期限は新規開業の場合(事業開始から2か月以内)とは異なり、被相続人の死亡日に応じた特例が設けられています。

  • 死亡日がその年の1月1日~8月31日の場合:死亡日から4か月以内
  • 死亡日がその年の9月1日~10月31日の場合:その年の12月31日まで
  • 死亡日が11月1日~12月31日の場合:その年の翌年2月15日まで

この期限を過ぎると、その年は白色申告となるため注意が必要です。

事業承継時のその他の届出

相続人が事業を継続する場合は、自身の名義で「個人事業の開業届出書」を提出します。提出期限は事業開始日から1ヶ月以内で、廃業届と同時期の提出が効率的です。さらに、故人が消費税の課税事業者であった場合は「消費税課税事業者届出書」(インボイス発行事業者となる場合は「消費税課税事業者届出書」に代わり、「適格請求書発行事業者の登録申請書」(※))を提出し、課税事業者としての地位を引き継ぎます。簡易課税制度などを継続する場合も、相続人が改めて簡易課税選択届を提出する必要があります。

※2029年9月までの経過措置

準確定申告(死亡後の確定申告)について

個人事業主が亡くなった場合、廃業届やその他届出と並行して必ず確認すべきなのが「準確定申告」です。これは、納税者が年の途中で死亡した際に、相続人が代わって行う、その年1月1日から死亡日までの所得に対する確定申告で、期限や必要書類が通常の申告とは異なります。

提出期限と対象期間

準確定申告の対象は、その年の1月1日から死亡日までの所得です。申告期限は、相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から起算して4か月以内です。たとえば、8月12日に亡くなったことを知った場合、起算日は翌日の8月13日となり、その4か月後の応当日である12月12日が提出期限となります。

この期限は通常の確定申告よりも早いため、相続人にとっては負担が大きく、早期の準備が重要です。

必要書類と記載内容

準確定申告では通常の確定申告書に加え、「準確定申告書の付表」を添付します。付表には、相続人全員の氏名、住所、続柄などを記載します。相続人全員で連名提出する方法と、それぞれ別々に提出する方法があり、後者の場合は互いに申告内容を通知する必要があります。提出先は被相続人の死亡時の納税地を管轄する税務署で、通常は廃業届と同じ税務署になります。

納税・還付の取り扱い

所得税を納付する場合は、相続人が法定相続分に応じて負担します。還付となる場合には、全員で署名した「還付金受領に関する委任状」を添付することで、代表者が還付金を受け取ることが可能です。

注意点

準確定申告が不要なのは、年間の所得金額の合計額から所得控除基礎控除58万円など)を差し引いた結果、課税所得がゼロになるかマイナスになる場合です。

また、給与所得者で年末調整が済んでおり、給与以外の所得が20万円以下の場合なども原則として申告は不要ですが、個人事業主は、売上から経費を差し引いた所得が基礎控除を超えるケースが一般的であり、ほとんどの場合、準確定申告が必要になります。

期限を過ぎると延滞税や無申告加算税などのペナルティが発生する可能性があるため、相続後の多忙な時期でも早めに取り組むことが求められます。

期限と手順を押さえて確実に手続きしよう

個人事業主が死亡した場合の税務手続きは、所得税の廃業届をはじめ、個人事業者の死亡届出書、従業員や源泉所得税に関する届出、事業承継時の開業届や消費税関連届出、そして準確定申告まで多岐にわたります。廃業届は死亡日から1か月以内、準確定申告は4か月以内など期限が明確に定められており、遅れると延滞税や無申告加算税といったペナルティが発生する可能性があります。

相続人は状況に応じた必要書類を正確に整え、早めに税務署や税理士などの専門家へ相談しながら対応することが、円滑かつ確実な手続き完了への近道です。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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