- 更新日 : 2025年9月19日
個人事業主が月収40万円で実際に残る金額は?手取り40万円に必要な売上額も解説
個人事業主として月収40万円を得ても、その全額が自由に使えるわけではありません。
税金や社会保険料、事業経費の負担によって手取りは大きく減少します。
本記事では、月収と手取りの関係、差し引かれる税金や社会保険料の内訳、節税方法や事業戦略を解説します。
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目次
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個人事業主の月収40万円の場合の手取りはいくら?
月収が40万円でも、その全額が手元に残るわけではありません。税金や社会保険料の自己負担があるため、実際の手取り額は目減りします。
ここでは、月収40万円のケースにおける手取り額の目安と、その金額が変動する要因を解説します。
月収40万円の手取り目安
都内在住の40歳未満・単身者で、月収40万円(年収480万円)から経費を80万円、青色申告特別控除(65万円)と基礎控除(48万円)を差し引いた場合、所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料の合計負担額は年間約94万円(月額約7.8万円)となり、手取りの目安は月額約26万円となります。
ただし、これは一例であり、経費や控除額によって手取りは大きく変わります。この金額は標準的な条件をもとにした目安であり、実際の手取りは事業経費の多寡、所得控除の適用状況、扶養家族の有無、居住地の保険料率などによって上下します。
たとえば経費が多ければ課税対象所得は減り、税金や保険料も軽くなります。
手取りが減る理由は税金と社会保険料
月収40万円の全額が残らないのは、税金と社会保険料を負担するためです。収入から経費を引いた事業所得に対して所得税や住民税が課され、さらに国民健康保険と国民年金の保険料を全額自己負担します。
会社員であればこれらは給与から自動的に天引きされますが、個人事業主は確定申告後に納付する仕組みです。一般的な条件では、所得税・住民税で月2~3万円、国民健康保険料と国民年金で月5~6万円の負担が生じ、合計で毎月約7万円が差し引かれます。
このため、月収40万円から実際の手取り額は大きく減少します。税と社会保険料の仕組みを理解し、負担を見越した資金計画を立てることが重要です。
手取り40万円を個人事業主が得るために月収はいくら必要?
収入が増えると税金や社会保険料も比例して増えるため、必要となる月収は想像以上に高くなります。ここでは個人事業主が毎月40万円の手取りを得るために必要な売上額と、背景にある税負担の仕組みを解説します。
手取り40万円にするための月収
一般的な試算では、月収40万円の場合の手取りは約26万円前後にとどまります。これを手取り40万円に引き上げるには、経費が80万円だとすると、月収ベースで約63万円の売上が必要になります。
月収が40万円から63万円になると、所得税は約4.1万円、住民税は約3.9万円に上がります。さらに国民健康保険料も約5.9万円へと増加します。国民年金保険料は定額ですが、他の負担増によって手取り割合は下がるため、高い月収が必要となります。
高収入ほど税負担が増える仕組み
必要な月収が高くなる背景には、日本の累進課税制度や社会保険料の算定方法があります。所得税は所得額に応じて5%から最大45%まで段階的に税率が上がる仕組みで、収入増加に伴い税額は増加します。
住民税も所得割部分はほぼ一律10%前後で課されるため、利益が増えるほど負担が重くなります。国民健康保険料は前年の所得に応じて計算されるため、所得が増えれば、翌年度の保険料負担も大きくなります。こうした構造により、手取り40万円を得るためには、多くの売上を確保する必要があることを理解しておく必要があります。
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個人事業主が月収から差し引かれる主な税金・経費
個人事業主は、月収(売上)からそのままの金額を手取りとして受け取るわけではありません。税金や社会保険料、事業運営に必要な経費を差し引いた残りが実際の手取り額となります。
ここでは、代表的な税金の種類と必要経費について解説します。
所得税と住民税
所得税は、1年間の事業所得(売上から必要経費を差し引いた金額)から基礎控除や扶養控除などの所得控除を差し引いた課税所得に累進税率(5%~45%)を適用して計算されます。年収480万円で経費が100万円の場合、事業所得は380万円となり、ここから控除額を引いた残りに税率がかかります。
さらに、計算された税額には復興特別所得税が上乗せされます。所得税は翌年の確定申告時期に計算し、申告期限までに納付します。
住民税は前年の所得に基づいて課税される地方税で、都道府県民税と市町村民税から成り立ちます。多くの自治体で所得割の税率は合計約10%程度に設定されています。
住民税には、所得に応じて課される所得割と、所得にかかわらず定額で課される均等割があります。均等割の税額は年額5,000円であり、令和6年度からは国税である森林環境税(年額1,000円)が併せて徴収されるようになりました。
前年の所得が多ければ翌年度の住民税額も高くなります。普通徴収の場合は年4回に分けて納付します。
個人事業税
個人事業税は、指定された業種を営む個人事業主に対して課される地方税です。税率は業種によって異なり、おおむね3~5%の範囲で設定されています。ただし、年290万円の事業主控除があり、この額を超える部分にのみ課税されます。
たとえば事業所得が400万円で税率5%の場合、110万円に対して課税されるため、年間5万5,000円の負担となります。納付は通常8月と11月の2回に分けて行われます。
消費税
消費税は、前々年の課税売上高が1,000万円を超える、あるいは前年の1月1日から6月30日までの課税売上高が1,000万円を超えると納税義務が発生します。開業初年度や2年目は基準期間がないため免税になる場合があります。
税率は10%(うち地方消費税2.2%)で、売上に含まれる消費税から仕入や経費で支払った消費税を差し引いた額を納めます。
2023年からインボイス制度が導入され、免税事業者でもインボイス発行事業者として登録すると課税事業者となり、消費税の申告と納付が必要になります。
必要経費
必要経費とは、事業運営に直接必要な支出で、売上から差し引けます。たとえば、通信費、備品費、交通費、車両維持費、外注費、研修費などが該当します。
経費計上によって課税所得が減少し、結果的に所得税・住民税・個人事業税の負担を軽減できます。ただし、私的な支出は経費にできず、事業と私用が混在する場合は「家事按分」により事業使用分を計算します。
この際の按分は、例えば事業用に使った時間や使用量の割合、作業スペースの面積割合など合理的な基準で按分します。
個人事業主が加入する国民健康保険・国民年金
個人事業主は、自ら手続きを行い国民健康保険と国民年金に加入します。これらの保険料は支払額がそのまま「社会保険料控除」として所得控除の対象となるため、節税面でも正しい理解が必要です。
国民健康保険料の計算方法と負担額の目安
国民健康保険は、会社の健康保険に加入していない人、自営業者やフリーランスが加入する公的医療保険です。
国民健康保険料は自治体ごとに計算方法が異なります。主に加入者の所得に応じて計算する所得割と、加入者数に応じて計算する均等割で構成されます。
所得割は前年の総所得に住民税の基礎控除額を差し引いた金額に対し料率を掛けて計算し、均等割は加入者人数に定額を掛けて算定します。
令和6年度(2024年度)の東京都新宿区の場合、40歳未満の単身世帯で前年所得が400万円なら年額約44万円(月額約3万6千円)となります。所得が500万円になると年額は約54万円(月額約4.5万円)に上昇します。
さらに40~64歳は介護保険料が加算されるため、同じ所得でも負担は高くなります。
納付は自治体からの通知に基づき、年数回に分けて行うのが一般的です。支払った保険料は全額が社会保険料控除として申告でき、所得税・住民税の軽減効果があります。
国民年金保険料は定額(月額17,000円台)
国民年金は20歳以上60歳未満の全国民が加入する基礎年金制度で、保険料は所得に関係なく定額です。令和7年度(2025年度)の保険料は月額17,510円で、年間約21万円の負担となります。全額が社会保険料控除の対象で、確定申告や年末調整で申告すればその分課税所得を減らせます。
老齢基礎年金は、保険料納付済期間と免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、原則として65歳から受け取れます。20歳から60歳までの40年間すべて保険料を納めると、満額の老齢基礎年金を受け取れます。
将来の年金受給というメリットはありますが、個人事業主にとっては毎月固定の負担額となるため、資金計画に組み込んでおく必要があります。
収入が減少し支払いが困難な場合は、免除や猶予制度を申請できるため、条件に該当する場合は早めに活用することが望まれます。
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個人事業主が手取りを増やすための節税対策
個人事業主としての手取りを最大化するには、税金の仕組みを理解したうえで、合法的な節税策を実践することが欠かせません。ここでは、代表的かつ実効性の高い方法を紹介します。
青色申告をして特別控除を受ける
青色申告は、税制面で優遇される申告方法の一つです。承認を受けた青色申告者は、複式簿記で正しく記帳し、損益計算書や貸借対照表を添付して申告すれば、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。
これにより、所得税・住民税・事業税の課税対象となる所得が減少し、結果として納税額を抑えることが可能です。簡易な帳簿による場合は10万円の控除となりますが、それでも節税効果は大きいです。
また、赤字を翌年以降に繰り越して黒字と相殺する純損失の繰越控除などの優遇制度もあります。
各種所得控除を最大限に活用する
税負担を減らすためには、利用できる所得控除を漏れなく適用することが重要です。
社会保険料控除(国民健康保険や国民年金の支払額)、生命保険料控除、地震保険料控除、扶養控除、配偶者控除、医療費控除などがあります。
さらに、小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、課税所得を減らせます。たとえば年間20万円積み立てれば、その分だけ課税所得が減少し、税額も下がります。
控除を受けるためには、領収書やレシート、証明書類の保管が必須です。
必要経費を漏れなく計上する
必要経費は、課税所得を直接減らす有効な手段です。事業に関係する支出、たとえば打ち合わせ時のカフェ代、取引先との会食費、自宅兼事務所の家賃や光熱費の事業按分分、事業に活用しているパソコンや書籍、研修費などは経費として計上できます。
少額の支出でも積み重なれば節税効果は大きくなります。ただし、私的利用分は経費にできないため、事業用と私用の支出は明確に区分する必要があります。
日常的に領収書を整理し、会計ソフトを使って正確に記帳することで、計上漏れを防ぎつつ節税を実現できます。
個人事業主が手取りを増やすためのビジネスの工夫
個人事業主が手取りを増やすには、節税や経費管理だけでなく、売上や利益率そのものを高めるビジネス戦略も欠かせません。
ここでは、利益率向上・業務効率化・顧客単価アップといった工夫を紹介します。
高付加価値サービスで利益率を上げる
同じ時間や労力でより多くの利益を生むには、単価の高いサービスや商品を提供することが効果的です。
専門性の高いスキルや独自のノウハウを活かし、他にはない付加価値を提供することで価格競争に巻き込まれにくくなります。
たとえば、制作業務にコンサルティングを組み合わせたり、納品後のサポートを含むパッケージ化を行うことで、単価を引き上げやすくなります。顧客が「価格以上の価値がある」と感じるサービス設計がポイントです。
業務効率化で時間単価を向上させる
売上を伸ばすためには、限られた時間でより多くの案件をこなす仕組み作りも重要です。会計や請求、顧客対応などの事務作業を自動化できるツールを導入すれば、作業時間を削減できます。
さらに、外注やアシスタントの活用によって自分が高付加価値業務に集中できる環境を整えることも有効です。時間単価を意識し、低単価業務に時間を費やしすぎないよう見直すことが、結果的に手取り増加につながります。
既存顧客からの売上を最大化する
新規顧客獲得はコストも時間もかかりますが、一方で既存顧客への追加提案やリピート受注は効率的に売上を増やせます。継続契約や定期購入型のサービスを導入すれば、安定した収入源となり、将来の見通しも立てやすくなります。
また、既存顧客の満足度を高めることで口コミや紹介による新規顧客獲得にもつながり、集客コストを抑えながら売上基盤を強化できます。
月収40万円と手取りの関係を正しく理解しよう
個人事業主の場合、月収40万円でも、経費や税金、社会保険料の負担により、経費が年間80万円の場合、手取りは平均して約26万円前後に減少します。
手取り40万円を得るには、累進課税や保険料の増加を踏まえ、月収63万円程度が必要です。手取りを増やす施策として、青色申告や各種控除、経費計上などの節税策を適切に活用することが大切です。
さらに、高付加価値サービスの提供や業務効率化などのビジネス戦略を組み合わせることで、安定的に高い手取りが確保できます。
所得税・住民税・個人事業税・消費税の仕組みや、国民健康保険・国民年金の計算方法を理解して、事業の持続的な成長につなげましょう。

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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