• 更新日 : 2021年7月21日

白色申告の帳簿のつけ方や保存義務についてわかりやすく解説!

白色申告の帳簿のつけ方や保存義務についてわかりやすく解説!

これまでの白色申告は、前々年または前年の事業所得等の合計金額が300万円を超えた場合に、記帳と帳簿保存を義務付けるものとなっていました。

しかし平成24年度の税制改正により、平成26年1月以降のルールが変更されました。

現在は、事業所得、不動産所得、山林所得のある白色申告対象者は、収入の金額にかかわらず、記帳、帳簿や書類の保存が義務付けられています。事業所得や不動産所得、山林所得がある場合は、たとえ白色申告する必要がなくても帳簿をつけなければなりません。

ここでは白色申告対象者にとって義務である帳簿のつけ方と保存義務について、改めて確認していきます。

白色申告の帳簿のつけ方

白色申告の場合、帳簿付けは複式簿記ではなく、単式簿記で行います。単式簿記は簿記の手法の一つで、一つの取引について、一面(一つの科目)のみ把握し記録・集計する記帳法のことです。
具体的には、現金出納帳や預金出納帳を基にして記載を行うため、専門知識を持っていなくてもその年の収支とその時点での残高を確認することが簡単できることが特徴となっています。

ちなみに現金出納帳は、現金の収支に関する明細を記録し、その地点での残高を明らかにするために用いる帳簿のこと、預金出納帳は、普通預金、当座預金などの入出金を記載した帳簿のことを指します。

また、期首残高と収益(収入)の合計金額と、期末残高と費用(支出)の合計金額が必ず等しいものになるので、月末、期末などでの決算時にきっちり照合を行うことが重要となります。

なお、上記のように単式簿記は取引の一面だけに着目すればいいため、1つの取引について、二面的に記録していくことにより、資産の動きや損益を把握する複式簿記と比較して簡単に作成することができます。しかし、帳簿としての信頼性は複式簿記と比較して欠ける部分があるため、税務調査を受けた際に推計課税をされてしまうリスクがあります。

白色申告の帳簿をつける際には、上記のように単式簿記で付けることになります。

次に実際の帳簿のつけ方に関して、解説します。

1.現金出納帳

現金出納帳とは、会計において現金の収入と支出を時系列に記録するための会計帳簿です。現金の収入がどこから発生し、どこで現金が使われたかがすぐに分かるようになっています。毎日頻繁に入出金する現金を一目見て分かるようにできている実務重視の帳簿となっており、現金取引の少ない企業では現金出納帳を作成しなくても、総勘定元帳仕訳帳があれば問題がないといえます。

最初の行の摘要欄に「前年より繰越」と記載し、前年末の現金の在高を現金残高欄に記載します。年度途中で開業した場合は、最初の行の摘要欄に「元入金」と記載し、開業時に事業用資金とした現金の在高を現金残高欄に記載します。

現金による売上は、基本的に1取引ごとに相手方などを記載をしますが、現金小売や少額な現金卸売の場合は、日々の総額での記載もできます。

また、保存している伝票、納品書控などで品名、数量などの取引内容が確認できるものは、相手方別に日々の総額のみを記載することもできます。

2.売掛帳

売掛帳には、商品などの掛売りや売掛金の回収状況を記載します。得意先ごとに口座を設け、得意先の氏名、住所、電話番号などを記載します。

最初の行の品名欄に「前年より繰越」と記載し、その得意先に対する前年末の売掛金の残高を差引残高欄に記載します。

3.買掛帳

買掛帳には、商品などの掛買いや買掛金の支払の状況を記載します。仕入先ごとに口座を設け、売掛帳と同じように仕入先の名称などを記載します。

最初の行の品名欄に「前年より繰越」と記載し、その仕入先に対する前年末の買掛金の残高を差引残高欄に記載します。

4.経費帳

経費帳には、仕入以外の旅費交通費水道光熱費修繕費租税公課などの費用を記載します。

5.固定資産台帳

事業で使用する建物や車両などは、減価償却資産として、資産の取得価額を法定耐用年数で費用配分し、必要経費へ算入します。これらの減価償却資産は、固定資産台帳を記帳して管理することになります。

減価償却資産は、個々の資産ごとに口座を設け、取得価額などから減価償却額の計算を行い、取得価額から償却額を引いた金額などを記載します。

なお、この台帳は年末にまとめて記入してもかまいません。

事業所得・不動産所得・山林所得別の注意点

次に白色申告の帳簿付けにおける事業所得・不動産所得・山林所得別の注意点について解説します。

事業所得を帳簿付けする際の注意点

事業所得に関する帳簿の付け方ですが、

  1. 売上
  2. 雑収入
  3. 仕入
  4. 経費


の4つに関する情報を時系列に記載していきます。

売上に関する情報は、実際に発行した納品書や請求書、領収書を元に記入します。

売上年月日に関しては、

  • 販売した日を売上日にするか
  • 実際に入金があった入金日を売上日とするか


といった販売基準を決めておく必要があります。

事業全体の売上のうち、掛販売が多いのであれば販売日を売上日とし、現金による売り上げが多いのであれば入金日を売上日とするといった判断方法が考えられます。

一度決定した販売基準は継続することが望ましいですが、事業内容によって変更せざるを得ない状況になることも考えられます。

もし変更する必要があるのであれば、同一事業年度内で売上日の基準を変えてしまうと整合性がとれなくなってしまうため、新たな事業年度に切り替わったタイミングで変更することによって正しく記帳することが可能となります。

不動産所得を帳簿付けする際の注意点

不動産所得に関する記帳方法ですが、

  • 収入(賃貸料や更新料、礼金や名義書換料)
  • 経費(地代家賃や管理手数料、修繕費)


の2つに分けて記帳を行います。

賃貸料を賃借人ごとに個別に記載する方法がもっとも分かりやすい記載方法となりますが、取引内容が確認できるものに関しては1件1件記載するのではなく、建物ごとに合計金額を記載することもできます。

また固定資産税など土地や建物全体で支払わなければならない費用に関して不動産事業以外のプライベートで使用している部分があれば、家事関連費として占有面積などで按分した金額と事業用の金額とに分けて計上しましょう。

農業所得を帳簿付けする際の注意点

農業所得に関する記帳方法ですが、農産物に関する収入と経費を記帳していきます。

農産物に関しては家事消費することが考えられるため、家事消費した都度、収入欄に農産物ごとに販売金額や消費量を記載するようにします。また家事消費以外に新たに農産物を成育させるために消費する場合も、家事消費と同様に事業消費として記載します。

育成中につき収穫に至らなかった果樹や生物にかかった費用は、その年には算入しないようにします。もし一括して費用計上してしまった場合は、年末に△表記でマイナスしておきます。

成熟または成育した時点でマイナスしておいた費用を必要経費として算入し、取得価額として減価償却を行うことになります。

関係書類の保存期間

白色申告の帳簿・書類の保存義務期間は、以下のとおりです。

保存が必要なもの保存期間
帳簿収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)5年
書類決算に関して作成した棚卸表その他の書類5年
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類

参考:個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について|国税庁

収入金額や必要経費が記載された帳簿は法定帳簿として、7年間の保存義務が生じます。

白色申告は原則として1年間の事業内容を翌年の2月16日から3月15日までに申告納税するため、3月16日を起算日として7年間保存しなければなりません。

たとえば2015年1月1日から12月31日までの事業内容を記載した法定帳簿は、2016年3月16日から保存期間が発生することになるため、7年後の2023年3月15日まで保存する必要があるということになり、任意帳簿や書類は5年後の2021年3月15日まで保存義務が発生することになります。

義務に違反した際の罰則は?

最後に記帳や帳簿の保存義務に違反した際の罰則に関して解説します。

実はこれらの義務を守らなかったとしても罰則規定はありません。ただ、注意が必要になるのは推計課税です。

推計課税は、税務調査の際に保存しておくべき帳簿や書類などに不備があり、所得の補足がこれらの帳簿、書類ではできないとなった際に行われます。取引の事実が証明できないとして推計により税額が決定されることになってしまいます。同業他社の比較や損益や資産状況、人員数や生活の状況等を鑑みて所得金額を推計されることになります。

(推計による更正又は決定)
所得税法第156条 税務署長は、居住者に係る所得税につき更正又は決定をする場合には、その者の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその者の各年分の各種所得の金額又は損失の金額(その者の提出した青色申告書に係る年分の不動産所得の金額、事業所得の金額及び山林所得の金額並びにこれらの金額の計算上生じた損失の金額を除く。)を推計して、これをすることができる。

帳簿を正しく記帳していないと反論が難しい場合が多いので、税務調査が入った場合のリスクがあります。

白色申告も帳簿の記帳が義務化します

白色申告において、これまでの記帳・帳簿等の保存制度の対象者は、前々年分あるいは前年分の事業所得等の金額の合計額が300万円を超えた方でしたが、平成26年1月から白色申告の方で事業や不動産貸付等を行う全ての方は、記帳と帳簿書類の保存が義務化されました。売上等の収入金額、仕入や経費に関する事項について、取引の年月日、売上先・仕入先その他の相手方の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額等を帳簿に記帳する義務があります。
但し、記帳に当たっては、一つ一つの取引ごとではなく日々の合計金額をまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよいことになっています。白色申告を選択されている方は注意してください。

よくある質問

白色申告の帳簿のつけ方は?

複式簿記ではなく、単式簿記で行います。詳しくはこちらをご覧ください。

関係書類の保存期間は?

収入金額や必要経費が記載された帳簿は法定帳簿として、7年間の保存義務が生じます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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