- 更新日 : 2025年9月19日
個人事業主の家賃は領収書がなくても経費にできる?対処法や確定申告の記載について解説
個人事業主が事業のために支払う家賃は、必要経費として計上できる代表的な支出のひとつです。しかし、実際には「領収書がもらえない」「紛失してしまった」といったケースも多く、経費にしてよいのか不安に思う方もいるかもしれません。
本記事では、家賃の領収書がない場合の対応方法や必要な証拠書類、確定申告での記載方法などを解説します。
目次
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家賃の領収書は発行してもらえないことが多い
個人事業主が事務所や自宅兼事務所の家賃を経費として計上する際、領収書がないことに戸惑う方も少なくありません。家賃に関しては「領収書を発行しない」という対応が珍しくないのが現状です。ここでは、その理由について解説します。
家賃は銀行振込や自動引き落としが一般的
賃貸住宅や事務所の家賃は、契約時に定められた口座へ毎月振り込むか、自動引き落としで支払うケースが大半です。このような支払い方法は取引の記録が銀行口座に残るため、貸主や管理会社としては改めて領収書を発行する必要がないと判断している場合が多く見られます。通帳の記帳内容や明細書は、それだけで「支払の証明」として一定の効力を持つためです。
印紙税を避けるために発行を控えるケースもある
家賃が5万円以上の領収書の場合、原則として収入印紙を貼付する義務が発生します。発行する側である貸主や不動産管理会社にとっては、この印紙代がコストとなるため、領収書の発行を避ける傾向があります。特に法人や業者によっては、「契約書と振込記録で証明できる」として、最初から領収書を発行しない方針を取っている場合もあります。
電子取引や保証会社を介する支払いも要因となる
最近では、クレジットカード払いやスマホ決済、保証会社による家賃収納代行など、家賃の支払い手段が多様化しています。これらの取引では、支払先が貸主ではなく保証会社となることも多く、従来のように貸主から直接領収書を受け取る機会が減っています。さらに、保証会社側も領収書の発行を省略し、通帳や支払明細書で確認することを前提としています。
このように、個人事業主であっても家賃の支払いに対して領収書が発行されないケースは一般的です。ただし、発行されない理由を理解し、代わりとなる書類を保管しておけば、税務上の経費計上には問題ありません。
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家賃は領収書なしでも経費計上できる?
個人事業主が事業用として支払っている家賃について、領収書が手元にない場合でも「本当に経費にできるのか?」と疑問に思う方は少なくありません。結論としては、実際に支払ったことを証明できる資料があれば、家賃を必要経費として計上することは可能です。ここでは根拠と注意点を解説します。
支払いの証明があれば経費計上は可能
事業に必要な支出であれば、領収書がなくても支払いの証拠書類に基づいて経費に計上することが可能です。家賃についても、賃貸借契約書や毎月の振込履歴、通帳の記録などがあれば、それが支出の証拠となり、領収書がなくても経費として認められます。実務においても、契約書と通帳の記帳内容があれば、領収書に代わる十分な証拠とされるケースが一般的です。
そのため、領収書が発行されない場合には、支払証明書や銀行引き落としの明細などの支払い記録を残しておくことを推奨します。
証拠がない場合は経費計上が認められないことも
領収書がないからといって一律に経費にできないわけではありませんが、証拠書類が一切ない状態での経費計上は避けるべきです。家賃のように金額が大きい経費については、税務署から支出の事実を確認される可能性が高いため、何らかの形で証拠が残るようにしておくことが大切です。
なお、「もともと領収書を発行してもらえない場合」と「領収書を紛失してしまった場合」では対応が異なります。前者は契約上の事情として証拠資料を用意すれば問題ありませんが、後者は本来あるべき資料を失った状態であり、税務上もより慎重な対応が求められます。
支払記録や代替書類を揃えて対応することが大切
最終的には、領収書がなくても支払いの事実を証明する資料が残っていれば経費として認められるというのが基本的な考え方です。通帳のコピー、振込明細、契約書、支払証明書などを確実に保存しておくことが、確定申告時や万一の税務調査への備えになります。
領収書がなくても経費計上するための証拠書類
個人事業主が家賃を経費に計上する際、領収書がない場合でも代替の証拠書類があれば認められるケースは多くあります。ここでは、経費計上をするうえで領収書の代わりとなる代表的な証拠書類と、その扱いについて解説します。
賃貸借契約書は必ず保管
まず確実に保管しておきたいのが、賃貸借契約書です。この書類には、借りている物件の所在地、家賃の金額、契約者名、賃貸の期間、支払方法などが明記されています。これにより、誰に対して、どの物件の賃料を支払っているのかという基本的な証明が可能です。
注意したいのは、契約内容に「住居専用」などの記載がある場合です。契約上、事務所利用が禁止されているにもかかわらず、事業経費として家賃を計上すると、税務上否認されるリスクがあります。事業として使用しているなら、契約書上も使用目的に問題がない状態にしておくのが望ましいです。
金融機関の通帳や取引履歴も有力な証拠になる
毎月の家賃支払いが金融機関口座からの振込や引き落としであれば、その取引記録は重要な証拠書類になります。紙の通帳がある場合は該当箇所をコピーし、ネット銀行を利用している場合は取引履歴をPDFなどで保存しておくとよいでしょう。支払日、金額、振込先などが明記されていることがポイントです。
これらの支払記録は、実際の金銭の動きを裏付けるものとして、領収書の代わりに扱われることが多く、税務調査でも有効な証拠として認められます。
支払証明書や振込明細書も活用できる
保証会社を経由して家賃を支払っている場合などでは、管理会社や保証会社に「支払証明書」の発行を依頼できる場合があります。ただし、これは法的な義務ではなく各社の任意サービスであり、多くの場合、発行手数料がかかります。
この証明書には、支払先や物件名、金額、支払期間などが明記されており、正式な領収書ではなくても証拠書類としての効力があります。
また、振込で家賃を支払っている場合は、ATMの振込明細書やネットバンキングの振込完了画面なども、支払いの証拠となります。請求書が発行されている場合は、それと一緒に保存しておきましょう。
電子取引のデータも保存対象になる
最近では、クレジットカードやスマホ決済で家賃を支払うケースも増えています。このような電子取引による支払いについては、カード会社の利用明細や決済通知メール、アプリの支払履歴のスクリーンショットなどが証拠として活用できます。
ただし、これらのデータは電子帳簿保存法のルールに従って保存しなければならないケースがあります。特にインボイス制度や電子帳簿保存法による電子取引に関する書類の保存義務が強化された現在では、PDFでの保存やクラウドでの一元管理が推奨されます。
保管義務と紛失時の注意点
確定申告では、原則として領収書を税務署に提出する必要はありません。ただし、青色申告では7年間、白色申告では5年間の書類保存が法律で義務付けられています。通帳コピーや支払証明書などの資料も、この期間に従って保管しておくことが必要です。
また、帳簿類(仕訳帳、総勘定元帳など)も同様に7年間の保存が必要で、税務調査が入った場合には過去5~7年分の関連書類を提示できなければなりません。領収書を紛失してしまった場合も、通帳記録などの代替資料がなければ経費として認められない可能性が高くなります。
家賃を経費計上する方法
個人事業主が事業のために支払った家賃は、領収書がなくても一定の条件を満たせば必要経費として認められます。ここでは、自宅兼事務所と事務所専用物件のケースに分けて解説します。
自宅兼事務所の家賃は按分して経費にする
自宅を事務所としても使っている場合、家賃の全額を経費にはできません。実際に事業で使っている面積や時間の割合に応じて「家事按分」し、事業分のみを「地代家賃」として経費計上します。たとえば、72㎡の自宅のうち18㎡を事務所として使用していれば25%が事業分となり、10万円の家賃であれば2万5千円を経費とします。
ワンルームで面積での区別が難しい場合は、仕事時間の割合(例:1日8時間×週5日)で按分する方法も有効です。経費計上できない分は「事業主貸」として帳簿に記載し、私的支出として区分します。
事務所専用物件を別に借りている場合は全額経費にできる
自宅とは別に事業専用の事務所や店舗を借りている場合は、その家賃を全額「地代家賃」として経費にできます。按分計算は不要で、毎月の家賃をそのまま帳簿に記録すれば問題ありません。
ただし、契約名義が同居家族で、家族に対して家賃を支払っているようなケースでは、所得税法の規定により、原則として必要経費に算入することはできません。これは、生計を共にする家族間の資金移動とみなされるためです。
一方で、家族名義でも実際の支払先が第三者であれば、経費計上が認められるケースもあります。
帳簿への正確な記録と、契約書や支払記録の保管を徹底することで、家賃を確実に経費に含められます。確定申告の際には、青色申告決算書や収支内訳書の「地代家賃」欄に内容を正しく記載しましょう。
参考:タックスアンサー N0.2210 必要経費の知識|国税庁
確定申告で経費計上した家賃の記入方法
家賃を必要経費として計上する際には、確定申告書類の適切な欄に正しく記入することが求められます。青色申告・白色申告いずれの場合も、「地代家賃」という項目で処理します。それぞれの記載方法を解説します。青色申告決算書の記載方法
青色申告を選んでいる場合、家賃の経費は「青色申告決算書」の1ページ目にある「地代家賃」の欄に記載します。ここには、該当する年中に支払った事業用家賃の合計額を入力します。
加えて、2ページ目には「地代家賃の内訳」欄が設けられており、ここに支払先の氏名・住所、物件所在地、支払期間、金額などを詳細に記入します。自宅兼事務所で家賃を按分している場合は、事業分のみを対象とし、按分後の金額と支払先情報を明確に記載するようにしましょう。
白色申告(収支内訳書)の記載方法
白色申告をする場合は、収支内訳書の経費欄にある「地代家賃」に、同様に支払った家賃の合計額を記入します。収支内訳書にも2ページ目に「地代家賃の内訳」欄があり、青色申告と同様に詳細情報の記載が必要です。
どちらの申告方法でも、領収書を税務署に提出する必要はありませんが、内訳欄を通じて税務署は支出の正当性を確認しています。契約書や通帳記録を手元に用意しながら、記入ミスがないようにしましょう。
インボイス制度への対応も意識しておく
2023年10月から始まったインボイス制度により、課税事業者が家賃に消費税を含めて支払っている場合、仕入税額控除を受けるためには適格請求書(インボイス)の保存が必要となります。住宅の家賃は非課税ですが、事務所や店舗として借りている物件は課税対象となることが多いため、貸主がインボイス発行事業者かどうかも確認しておきましょう。必要であれば、インボイスの発行を依頼し、保存しておくことも忘れずに対応しましょう。
家賃は支払いの証拠書類を整備して正しく申告しよう
家賃の領収書が発行されないケースは珍しくありませんが、契約書や通帳記録などの証拠資料があれば経費計上は可能です。個人事業主が安心して申告を行うには、これらの書類を適切に保管し、自宅兼事務所の場合は按分して「地代家賃」として記帳する必要があります。確定申告書類では、青色申告・白色申告いずれの場合も、指定の欄に正確な金額と内訳を記入しましょう。証拠の整備と丁寧な記帳で、家賃経費を適切に処理していきましょう。
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データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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