• 更新日 : 2025年9月19日

所得計算の基本を個人事業主向けに解説|経費・青色申告・控除のポイントとは

個人事業主として事業を運営していく上で、避けて通れないのが「所得計算」です。売上や経費を正確に把握し、適切に所得を算出することは、税務申告や納税の土台となります。

本記事では、所得計算の基本から控除の考え方などを解説します。

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個人事業主の所得計算の基本

個人事業主にとっての「所得計算」とは、事業活動から得られた所得を明確にするための作業です。この計算を適正に行うことが、正しい税務申告と納税につながります。

事業所得の定義

所得計算における「所得」とは、収入から必要経費を差し引いた残りの金額を指します。税法上で事業から生じる個人事業主の収入は「事業所得」に分類され、農業、製造業、サービス業など幅広い業種が含まれます。加えて、副業やフリーランスとして得た収入も、継続的かつ反復的など「事業」として判断できれば事業所得に該当します。これに対し、不動産の賃貸収入や山林の譲渡などは別区分の所得に該当し、計算方法も異なるため注意が必要です。

所得計算の基本的な考え方

個人事業主の所得は大まかに「収入-経費=所得」で計算します。収入とは事業によって得られた売上などの合計額であり、経費はその収入を得るために使った費用です。この所得額が課税の対象の元となり、所得税、住民税、さらには事業税の額を決定する基礎になります。適切な所得計算は、税負担を適正化し、過少申告や過大納税の防止にもつながります。

個人事業主の所得計算の方法

個人事業主が税務申告を行う際には、正しい所得の算出が不可欠です。ここでは基本式と総収入金額・必要経費の考え方について説明します。

所得計算の基本式

個人事業主の所得は、次の式で求められます。

所得 = 総収入金額 - 必要経費

ここでいう「所得」は税務上の「事業所得」を意味し、課税の対象となる金額です。所得が多ければ多いほど、納める所得税や住民税、事業税が増えるため、収入と経費の正確な計上が求められます。経費は、認められる範囲で適切に計上することで、税負担を軽減することが可能となります。

総収入金額とは

総収入金額とは、その年に事業を通じて得たすべての収入の合計です。売上代金はもちろん、物品やサービスの提供による現物支給、自家消費した商品の市場価値、在庫損害に対する保険金、廃材の売却収入、仕入割引やリベートなど、現金以外も含めて「経済的利益」が発生していれば収入として扱われます。収入の範囲は広いため、帳簿や証憑をもとに詳細に管理することが重要です。

必要経費とは

必要経費とは、収入を得るために事業上支出した費用のことです。仕入代金、外注費、従業員への給与、店舗や事務所の家賃、通信費水道光熱費広告宣伝費交通費減価償却費などが該当します。これらは税務上、総収入から差し引くことが認められています。

一方で、生活費や家族の私的な支出など、事業と関係のない支出は必要経費にはできません。自宅の家賃や個人の食費は対象外です。ただし、自宅の一部を事務所として使っている場合や自家用車を業務にも使っている場合には、その事業使用分のみを按分して経費に含めることが可能です。使用割合を合理的に算出し、帳簿や記録として根拠を残しておくことが大切です。

参考:No.2210 必要経費の知識|国税庁

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青色申告と白色申告の違いは所得計算に影響する?

個人事業主が確定申告を行う際には「青色申告」と「白色申告」のいずれかを選択します。この選択は、所得計算や控除の有無、帳簿の形式に大きく関係し、税負担にも直接影響します。

青色申告の所得計算上の特典

青色申告は、一定の帳簿記帳と申請を行うことで、所得計算時に多くの特典を受けられます。代表的なのが「青色申告特別控除」で、正規の簿記(複式簿記)を用いて帳簿をつけ、e-Taxによる電子申告または優良な電子帳簿保存のいずれかの要件を満たすことで、最大65万円の所得控除が認められます。これは所得から直接差し引かれるため、課税所得を大きく減らすことが可能です。また、生計を一にする家族に給与を支払っている場合、「青色事業専従者給与」としてその全額を経費に計上できる点も青色申告の大きな特徴です(要届出)。さらに、事業が赤字であった場合には、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越して、将来の所得から控除できる仕組みもあります。

参考:No.2070 青色申告制度|国税庁

白色申告の制限と控除の違い

白色申告は、帳簿の作成が簡易であることから、事務負担が軽いという利点があります。しかし、青色申告で認められている特別控除や専従者給与の全額経費算入、損失の繰越控除といった特典は利用できません。専従者がいる場合は「事業専従者控除」として、配偶者は上限86万円、その他の親族は50万円までしか必要経費として認められません。そのため、所得計算の結果として残る利益が大きくなりやすく、課税対象が増える傾向があります。

このように、青色申告は帳簿作成などの手間はかかるものの、所得を圧縮する仕組みが豊富に用意されており、結果として税負担を抑える効果があります。一方で、白色申告は制度面での優遇が少なく、簡便性と引き換えに税制上の恩恵は限られるといえるでしょう。

参考:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除|国税庁

個人事業主が確定申告を行う必要がある所得の基準

個人事業主は、原則として毎年確定申告を行う義務があります。ただし、すべてのケースで必ず必要になるわけではなく、所得の額や所得区分により、その必要性は変わってきます。ここでは、2025年からの制度改正を踏まえて、判断基準を整理します。

基礎控除を超える場合は申告が必要

2025年分の所得税から、基礎控除の額が見直され、合計所得金額2,350万円以下の個人については10万円引き上げられ(48万円→58万円)、さらに低所得者向けの特例として合計所得金額132万円以下では95万円の控除が創設されました。

たとえば、合計所得金額が132万円以下であれば基礎控除は95万円、132万円超336万円以下の場合は88万円など、収入が少ないほど控除額が大きくなります。

所得が基礎控除の範囲内であれば課税対象とならず、確定申告の義務も生じません。ただし、各種控除や申告の要否はケースごとに異なるため、制度の内容を確認した上で判断しましょう。

【2025年分の基礎控除額】

合計所得金額改正後の基礎控除額改正前の基礎控除額
令和7年及び8年令和9年以降
132万円以下95万円48万円
132万円超 336万円以下88万円58万円
336万円超 489万円以下68万円
489万円超 655万円以下63万円
655万円超2,350万円以下58万円

参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について、「所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)

給与所得がある場合と副業の所得

会社員など給与所得者が、副業として個人事業を行っている場合は、給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。これは、給与から源泉徴収される税額だけでは、副収入に対する税金が正確に納められない可能性があるためです。一方、20万円以下であれば所得税の申告は不要とされる特例がありますが、住民税の申告は別途必要となる場合があるため、自治体からの案内を確認しておく必要があります。

このように、2025年以降の基礎控除の見直しによって、申告が必要となる所得の基準は柔軟化しています。自身の合計所得額と控除額を正確に把握し、申告義務の有無を判断することが求められます。

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個人事業主の所得計算における事業税・消費税

個人事業主が所得計算をする際には、所得税と住民税に加えて「事業税」や「消費税」にも目を向ける必要があります。これらは事業規模や売上高によって課税されるため、条件や計算方法を理解しておくことが重要です。

事業税の課税対象と控除

個人事業税は、都道府県が個人の事業所得に対して課税する地方税で、「事業主控除」が設けられている点が特徴です。個人事業税は、地方税法等で定められた事業に対して課税され、法定業種は第1種事業から第3種事業に区分され、全部で70種類あります。税額の計算にあたっては、事業主控除として年290万円までは控除され、事業所得がそれを超えた場合に限り課税対象となります。

個人事業税 = (不動産所得・事業所得 - 事業主控除)× 業種別税率(3%~5%)

たとえば東京都では、製造業や商業などの第1種事業は税率5%、畜産業などの第2種事業は4%、医師・弁護士等の第3種事業は5%又は3%と定められています。なお、個人事業税には青色申告特別控除の適用がないので留意しましょう。

事業税は前年分の事業所得に基づき、通常8月と11月の年2回に分けて納付書により支払います。また、この事業税の納付額は翌年の所得計算において「租税公課」として必要経費に算入することが認められています。

消費税の納税義務とインボイス制度

消費税は、所得税とは別の税であり、課税売上高が前々年(基準期間)に1,000万円を超える個人事業主には納税義務が発生します。ただし、基準期間がない新規開業者は原則として最初の2年間は免税事業者となります。また、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間(前年1月1日から6月30日まで)の課税売上高が1,000万円を超えた場合は課税事業者となります。

課税事業者となった場合、売上にかかる消費税から、仕入れなどで支払った消費税を差し引いた額を算出し、翌年3月末までに申告・納税を行います。2023年10月からはインボイス制度が始まり、適格請求書の発行・保存が求められるようになりました。個人事業主としてインボイス発行事業者になるかどうかの検討も必要となります。取引先との関係や仕入税額控除の要件を満たすためにも、制度の理解と対応が不可欠です。

正しく所得を計算し安心して申告しよう

個人事業主として安定した事業運営を続けるためには、正確な所得計算を行うことが欠かせません。「収入-経費=所得」という基本式をよく理解し、必要経費の範囲や収入の内容を明確にしておくことが、納税トラブルの回避につながります。さらに、青色申告と白色申告の違いや、基礎控除・住民税・事業税・消費税など関連する制度にも目を向けることが大切です。制度改正や税制の変化にも注意を払いながら、日々の記帳と書類管理を習慣化し、確定申告に備えましょう。

正しい情報をもとに、落ち着いて申告を行うことで、納税面での不安を軽減し、事業にも安心と信頼が生まれます。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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