• 更新日 : 2025年9月19日

個人事業主が建設業許可を取るために必要な書類は?要件や更新手続きも解説

建設業を営む個人事業主にとって、一定規模以上の工事を請け負うためには「建設業許可」の取得が欠かせません。許可を取得すれば受注できる案件の幅が広がり、取引先からの信用向上にもつながります。しかし、許可を得るには経営経験や技術要件、資金面など、いくつもの条件をクリアしなければなりません。

本記事では、個人事業主が建設業許可を取得するための要件や必要書類、申請後の手続きなどを解説します。

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建設業許可とは?個人事業主にも必要な理由

建設業許可は、一定金額以上の工事を請け負うために法律で定められた制度で、法人だけでなく個人事業主にも適用されます。工事金額によっては許可なしでは請け負えないため、事業規模の拡大を目指す個人事業主にとって重要な制度です。

許可が必要となる工事の基準

建設業法では、「軽微な建設工事」を超える規模の工事については建設業許可が必要とされています。建築一式工事の場合は請負代金が1,500万円以上(木造住宅の場合は延べ面積150㎡以上)、それ以外の専門工事であれば1件あたり500万円以上(税込)の工事が対象です。これらの工事を請け負う場合、法人・個人を問わず許可を取得する義務が生じます。500万円未満の小規模な工事であれば許可は不要ですが、許可を取得していることで信用力が増し、受注の幅も広がります。

個人事業主でも許可取得は可能

建設業許可は法人でなくても取得できます。要件を満たせば個人名義での申請が可能です。もっとも、申請時には法人と同様に、経営経験(経営業務管理責任者)、技術力(専任技術者)、財産要件(資本金または預金残高)などを証明する書類を揃える必要があります。個人であることを理由に基準が緩和されるわけではなく、許可取得のハードルは同じです。

個人事業主が建設業許可を取得するための法定要件

個人事業主が建設業許可を取得するには、建設業法第7条で定められた5つの要件を満たすことが求められます。法人と同じ基準で審査されるため、証明書類の準備も慎重に進める必要があります。

経営業務の管理責任者がいる

まず、事業を統括する立場の「経営業務管理責任者(経管)」が必要です。個人事業主の場合は、基本的に本人がこの役割を担うことになります。経管として認められるには、いくつかの選択肢があります。従来通り、許可を受けようとする業種で5年以上、またはそれ以外の業種で6年以上の経営経験を持つことに加え、令和2年の法改正により要件が緩和されました。現在では、役員経験と経営業務を補佐した経験を組み合わせるなど、多様な経歴で要件を満たすことが可能です。

証明には、確定申告書控えや工事契約書、役員在任を証明する登記事項証明書などが用いられます。

専任技術者がいる

次に、営業所ごとに「専任技術者」を常勤で配置することが求められます。技術的な管理責任を担う立場であり、資格や経験のいずれかで要件を満たす必要があります。例として、建築士や施工管理技士などの国家資格、指定学科卒業後の一定年数の実務経験、または10年以上の実務経験などがあります。内容に応じて資格証や工事関連書類などで証明します。

財産的基礎がある

申請者が500万円以上の資金を有していることが条件です。これは自己資本が500万円以上、またはそれと同等の預金残高があることでも代替できます。証明方法としては、預金残高証明書や貸借対照表などが一般的です。新規開業で決算書がない場合でも、金融機関の証明で足ります。

誠実性がある

事業運営に関して、法令遵守の姿勢や契約履行能力があることが求められます。過去に重大な法令違反や不正行為などがあると、誠実性がないと判断される可能性があります。誠実性の要件については、申請者や役員が法律を遵守し、契約を誠実に履行することを誓約する「誓約書」という明確な書類の提出が、全ての申請で必須となります。この誓約書の内容や、過去の行政処分歴などを基に総合的に判断されます。

欠格要件に該当しない

申請者が、建設業法や他の法令で定められた「欠格要件」に該当していないことも必須です。これには、破産者で復権を得ていない人、成年被後見人、禁錮以上の刑を受けた人などが含まれます。確認のため、「身分証明書(本籍地の市区町村で発行)」および「登記されていないことの証明書(法務局で取得)」の提出が必要になります。

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個人事業主の建設業許可申請に必要な書類

個人事業主が建設業許可を取得するためには、法人と同様に多数の書類を揃える必要があります。ここでは共通書類と個人事業主特有の提出書類について解説します。

身分証明書および登記されていないことの証明書

欠格要件に該当しないことを示すために、2種類の公的証明書を提出します。1つは本籍地の市区町村が発行する「身分証明書」で、破産して復権していないことなどを確認するものです。もう1つは法務局で取得する「登記されていないことの証明書」で、成年被後見人や被保佐人に該当していないことを示します。これらは申請者本人について必要で、いずれも発行後3か月以内のものが有効です。

社会保険加入状況を証明する書類

社会保険の加入証明は、加入義務がある事業者が対象です。従業員がいない個人事業主は、健康保険・厚生年金保険の適用事業所に該当しないため、原則としてこれらの加入証明書類の提出は不要です。ただし、自治体の窓口によっては建設国保などへの加入状況について確認される可能性はあります。

従業員を5人以上雇用している場合には、厚生年金や健康保険、労働保険への加入状況を確認できる資料を提出する必要があります。社会保険への加入義務がある事業者が未加入の場合、2025年の法改正以降は審査が厳格化されており、許可申請が却下される可能性が高くなっているので注意が必要です。。

財産要件を満たすための証明書

申請者が500万円以上の資金を保有していることを証明する書類も必須です。代表的なものは、金融機関が発行する預金残高証明書です。青色申告決算書を作成している場合は、貸借対照表で自己資本額を示す方法もあります。開業まもない場合でも、預金の証明があれば申請は可能ですが、自己資金で基準を満たしていることが理想的です。

経管・専任技術者に関する証明資料

個人事業主本人が経営業務管理責任者および専任技術者を兼ねるケースが多いため、それぞれの要件を証明する資料が必要になります。常勤性を示すためには、住民票や健康保険証のコピーなどが使用されます。経営経験5年を証明するためには、5期分の確定申告書控えや契約書、請求書の写しが求められます。専任技術者の要件についても、学歴・資格・実務経験に応じた証明書類が必要です。経験年数が長い場合は、10年分の工事契約書類の提出が必要になる場合もあるため、早めの準備が推奨されます。

営業所の写真

営業所の実態を確認するために、外観および内部の写真の提出が求められます。事務所の看板、机、電話機、パソコンなどの設備が確認できる内容が必要です。自宅兼事務所であっても、業務専用スペースが明確に区分されていることを写真で示す必要があります。要件を満たしていないと判断されると申請は認められませんので、基本的な事務環境の整備も重要です。

個人事業主特有の提出書類

法人には求められない、個人事業主特有の書類も存在します。代表的なものが「直近の確定申告書の控え」です。これは事業所得を有し、自立して営業していることの証明になります。給与所得ばかりが記載されている場合は、独立性が認められず許可申請が否認される可能性もあるため注意が必要です。

もう一つは「個人事業税の納税証明書」です。事業税を滞納なく納付していること、または非課税であることを証明する書類で、都道府県税事務所で取得します。個人事業税が非課税の場合、管轄の都道府県税事務所で「非課税証明書」を発行してもらい、それを提出するのが一般的です。

いずれも確定申告をしていなければ取得できないため、日頃から正確な申告と納税を行っておくことが大切です。

建設業許可取得後の更新・変更

建設業許可は取得して終わりではありません。許可を継続して保持するためには、法定の更新手続きや変更届の提出など、定期的な対応が必要です。

許可の有効期限と5年ごとの更新

建設業許可の有効期間は5年間と定められており、許可の更新申請期間は、許可の種類によって異なります。国土交通大臣許可の場合は有効期間満了日の90日前から30日前までですが、都道府県知事許可の場合は、たとえば東京都では3ヶ月前、大阪府では2ヶ月前からと、自治体ごとに定められているため、必ず管轄の窓口で確認が必要です。

更新手続きを怠ると、再度新規許可申請をしなければならず、許可番号も新しくなってしまいます。信用維持の観点からも、更新手続きは早めに対応すべきです。

更新には、新規申請と同様に更新申請書や必要書類を提出し、所定の手数料を納付する必要があります。なお、更新の前提として、毎年の「決算変更届」を提出していること、ならびに経営業務管理責任者や専任技術者が引き続き在籍していることが条件です。これらの要件が満たされていない場合、更新申請は受理されません。

変更事項が生じた場合の届出

営業所の移転、商号の変更、住所変更、専任技術者や経営業務管理責任者の交代など、許可申請時に提出した内容に変更があった場合は、所定の「変更届」を提出する義務があります。変更の種類によって提出期限が異なり、多くは変更から2週間または30日以内の提出が必要です。

変更届には、変更を証明するための書類(登記事項証明書、住民票、資格証明書など)を添付する必要があります。重大な変更を放置していると、次回の更新時に支障が生じたり、行政指導や業務停止命令などの法的措置の対象になることもあります。

また、個人事業主が法人化(法人成り)する場合、以前は個人の許可を法人に引き継げませんでしたが、令和2年10月の法改正により、一定の条件下で承継申請が可能となりました。代表者が同一であるなど所定の要件を満たしていれば、個人から法人へ許可を引き継ぎ、許可番号や業種を維持したまま継続できます。法人化を検討している場合は、事前にこの承継制度についても把握しておくとよいでしょう。

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個人事業主であっても、一定以上の建設工事を請け負うには建設業許可が不可欠です。許可を得ることで受注可能な案件が広がるだけでなく、社会的信用の向上にもつながります。その一方で、取得には経営経験や技術要件、資金力などの条件を満たす必要があり、書類準備も複雑です。さらに、許可取得後も更新や変更届などの継続的な手続きが求められます。長く事業を安定して継続するためにも、許可制度を正しく理解し、事前準備と期限管理を徹底して計画的な対応を心がけましょう。

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