- 更新日 : 2024年12月25日
個人事業主の経費はいくらまで計上できる?上限や経費にできるものも解説
個人事業主が計上する経費の額に上限はありません。経費を多く計上すればするほど、納めるべき所得税を少なくできます。しかし、どのような出費でも経費として計上できるわけではありません。個人事業主の方は、経費として扱える出費についてしっかり認識することが重要です。
本記事では、個人事業主が計上できる経費の上限額や、経費に計上できるもの・できないものなどについて解説します。
目次
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個人事業主の経費はいくらまで計上できる?
まずは「個人事業主の経費はいくらまで計上できるのか」「経費として計上できるのはどのような費用か」という点について詳しく解説します。
個人事業主の経費に上限はない
企業が経費を計上する場合、クライアントと会食を行うための費用などには上限額が設けられています。一方で個人事業主の場合は、どのような費用であっても経費計上の上限額は決まっていないです。
事業に関連する費用はすべて経費に計上できる
経費として計上できるのは、事業を行う上で必要な出費です。必要な備品の購入費・オフィスの家賃・出張にかかった交通費など、仕事をするにあたって支払ったお金はすべて経費として扱えます。
逆に、プライベートにおける支出は経費に計上できません。かかった費用が経費であるかどうか迷う場合は「事業を行う上で必要な出費だったのか」という観点でしっかり考えることが重要です。
個人事業主の経費はいくらまで一括計上できる?
個人事業主が事業を行うために機械類・備品類などを購入した場合において、出費が30万円未満であれば一括で経費に計上できます(確定申告において青色申告書を提出する場合に限る)。
機械や建物など、時間の経過によって価値が減る資産を減価償却資産といいます。本来、減価償却資産を取得した際の出費は一括で経費に計上できません。減価償却資産が使用できる期間の中で、分割して経費に計上するのが原則です。しかし、30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産という)に関しては、先述したように一括で経費として扱えます。これは「少額減価償却資産の特例」という規定で定められています。
注意点として、少額減価償却資産の取得に要した経費は、1年間で300万円までしか一括で計上できないことを覚えておきましょう。例えば、1年間の中で30万円未満の機械を複数台購入し、合計の購入額が400万円であった場合はそのうちの300万円までを経費として扱います。
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個人事業主が経費にできるもの一覧
個人事業主が経費にできるものとして何が挙げられるのか、主要なものを勘定科目別に紹介します。
勘定科目 | 説明 |
---|---|
仕入高 | 商品を仕入れる際の出費 |
消耗品費 | 事業を行う上で必要な消耗品・機材の購入費 (10万円以上かつ1年以上使うものを除く) |
荷造運賃 | 商品を発送する際の運送費や、梱包資材の購入費 |
減価償却費 | 機械・建物などの購入費で、法定耐用年数に応じて支払うもの (30万円未満のものは一括で経費に算入) |
水道光熱費 | 事業所における水道代・電気代・ガス代 |
地代家賃 | 事業所の家賃 |
旅費交通費 | 出張の交通費や宿泊費 |
広告宣伝費 | 事業や商品の宣伝に要した費用 |
外注費 | 外部に仕事を発注する際の費用 |
修繕費 | 事業に必要な資産(店舗・機械など)の修理費用 |
接待交際費 | 取引先との会食や、手土産に要した費用 |
貸倒損失 | 取引先が倒産した場合における、未入金分の売上高 |
損害保険料 | 事業を行うために契約する損害保険料 |
租税公課 | 事業に関わる税金(個人事業税・固定資産税など) |
雑費 | 上記のいずれにも該当しない費用 |
経費を計上する際は勘定科目別で記載します。勘定科目については法律で定められていないので、上記以外の項目を自由に追加することも可能です。
個人事業主が経費にできるものの詳細については、関連記事もぜひ参考にしてください。
個人事業主が経費にできないもの
個人事業主が経費にできないものの例について、以下の表で紹介します。
概要 | 説明 |
---|---|
プライベートでの支出 | 個人的な買い物や飲食など、明らかに事業と関係ない出費 |
健康管理のための出費 | 各種保険料や、健康診断にかかる費用 |
個人で納める税金 | 所得税・住民税など |
家族への給料 | 共通の資金で生活を営む、家族への給料 (事業者が青色申告・白色申告を行っている場合は例外あり) |
経費にできないものに関しては、法律で明確に定められていません。常識の範囲内で経費であるかどうかを判断する必要があります。特定の出費が経費として算入できるか迷う場合は「事業のために必要な出費である」という点を明確に説明できるか考えてみましょう。
個人事業主が経費にできないものの詳細については、関連記事もぜひ参考にしてください。
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個人事業主が経費計上するときに注意すべきポイント
ここからは、個人事業主が経費計上するときに注意すべきポイントについて解説します。
事業に関連する費用とプライベートの費用を区別しておく
個人事業主の方は、事業に関連する費用の支払いと、プライベートに関する費用の支払いを別々の銀行口座で管理するのがおすすめです。両者の支払いを一つの口座から行っていると、経費となる出費とプライベートの出費を混同してしまいやすく、正確に計上するのが難しくなります。事業に関連する費用とプライベートに関する費用を明確に区別できていれば、短時間で正確に経費の計上ができるため、確定申告も余裕を持って行えます。
領収書やレシートを保管しておく
確定申告において経費計上を行う際「経費として何にいくら支払ったか」がわかる領収書またはレシートを準備する必要があります。出費に関する領収書やレシートがない場合、経費の内容を証明できるものがないため、その分の費用については経費計上ができません。
なお、出費によっては領収書やレシート以外で経費の内容を証明できるケースがあります。例えば、クレジットカードで支払った経費は利用明細書(取引先や取引内容など、領収書に記載される事項が書かれているもの)で証明可能です。
経費の正当性を説明できるようにする
経費として認められるのは、あくまで事業を行う上で必要な出費に限ります。「事業を運営するにおいて本当に必要不可欠であるか」「収入に見合った、適切な金額・頻度の出費であるか」などを確認しつつ計上するのが重要です。
経費が適切に計上されていないと税務署から不審に思われ、税務調査が行われるケースがあります。税務調査は基本的に職員からの質問に答えるという流れで、必要に応じて帳簿書類などを提示する場合もあります。回答の中で経費の正当性を説明できれば問題ありませんが、そうでなければ計上に誤りがあると認められ、修正が必要です。
節税を意識するあまり経費を不当に計上しても、結果的に認められない可能性が高いです。もし、例年より経費が著しく高くなっている場合は、その理由をしっかり説明できるように資料の準備などをしておきましょう。
65万円の青色申告特別控除を利用すると節税効果が高まる
青色申告特別控除は、一定の条件を満たして確定申告を行った事業者が受けられるもので、所得金額から一定額を控除できる制度です。課税所得額を少なくできる分、節税に繋がります。
青色申告特別控除で65万円の控除を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 事業所得、もしくは不動産所得が生じる事業を行っている
- 所得について、正規の簿記の原則(複式簿記など)で記帳している
- 正規の簿記の原則に基づいて作成した確定申告の書類を、期限までに提出する
- 「現金主義における所得税の特例」を受けていない
- e-Taxを使って確定申告を行うか、仕訳帳と総勘定元帳について電子帳簿保存を行っている
青色申告特別控除を受けたい場合は、複式簿記などの少し複雑な記載方法で書類を作成する必要があります。会計ソフトを使用したり、税理士に相談したりすることで書類作成がスムーズになる場合があるため、自信がない方は検討してみましょう。
個人事業主の経費計上に上限はないが、適切に計上するのが重要
個人事業主が経費をいくらまで計上できるかについて、上限はありません。事業を行う上で必要な出費はすべて計上でき、節税に繋げられます。
しかし、経費の計上は正当性を保った上で行うことが必要です。「売上に対して経費が高すぎる」など不審な点が見られる際は税務調査が行われ、結果的に経費として認められなくなる場合があります。「事業を行う上で必要だった」と、自信を持って説明できる出費のみを経費として計上するように心がけましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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