- 更新日 : 2025年2月25日
課税所得とは?税金に差が出る理由や計算方法、所得控除・税額控除、非課税所得まとめ
所得税の課税所得とは、所得税を計算するために必要な金額です。
課税所得の計算を正しく理解することができれば、同じ年収でも税金に差が出る理由が理解できます。
ここでは所得税がどのように計算されているのか、順を追って解説していきます。なお、税法は毎年のように変更がありますから注意が必要です。
なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
チェックリスト付きなので、情報収集だけでなく、書類作成・申告手続きを行う時にもお使いいただけます。
この記事を読む方におすすめ
税理士監修で、40ページ以上の情報がギュッと詰まったお得な1冊となっていますので、毎年使える保存版としてご活用ください。
目次
フォームに順番に入力するだけで、控除や還付金を受け取るための確定申告も簡単に。「マネーフォワード クラウド確定申告」は、医療費控除・社会保険料控除、ふるさと納税・住宅ローン控除…などの各種控除がある方にも、多くご利用いただいています。
スマホのほうが使いやすい方は、アプリからも確定申告が可能です。

課税所得とは?
所得税の計算をする上で「課税所得」を認識するのはとても大切です。課税所得とは正式には「課税所得金額」と言い、いくつかの課税所得金額がありますが、「課税総所得金額」について見ていきましょう。なお、この記事では「課税総所得金額」ではなく、「課税所得」と略しています。
所得税では、1年間に生じた収入から所得ごとに差し引かれる金額を引いた後の金額を「所得金額」と言います。例えば、会社員であれば、1年分の給与収入から「給与所得控除額」を差し引き、個人事業主であれば必要経費などを差し引いて所得金額を求めます。
次に、その所得金額から「所得控除」と呼ばれる金額を差し引いて「課税所得」を求めます。
まとめると、次のとおりです。
所得金額 | 1年分の収入金額 - 収入から差し引かれる金額 |
---|---|
課税所得 | 所得金額 - 所得控除額 |
課税所得・所得税額の計算方法
では、具体的な例を挙げて、収入から課税所得、そして所得税額までの計算の流れを見てみましょう。例として個人事業主の課税所得、所得税額の求め方となります。
例:個人事業主(簡便化のため白色申告とします) 1年間の収入(売上高) 800万円、1年間の必要経費 450万円 所得控除合計額 100万円、税額控除額 5万円 |
①所得を計算する(収入 – 必要経費)
所得金額 = 800万円 - 450万円 = 350万円
②課税所得を計算する(所得 – 所得控除)
課税所得 = 350万円 - 100万円 = 250万円
③所得税額を計算する(課税所得 × 所得税率)
所得税率は次のとおりであり、この式にあてはめてみましょう。表中から税率は10%となります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
出典:No.2260 所得税の税率|国税庁、「所得税の速算表」を加工して作成
(課税所得に対する)所得税額 = 250万円 × 10% - 97,500円 = 152,500円
④税額控除を行う
上記で計算した課税所得に対する所得税額から、税額控除がある場合には差し引きます。
所得税額 = 152,500円 - 50,000円 = 102,500円
このように段階的に計算して、基準となる所得税額を求めます。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
所得の種類
所得税ではそれぞれの所得の性格によって、所得を次の10種類に区分しています。ここでは10種類の所得について簡単に解説します。
1. 利子所得
預貯金や公社債の利子、合同運用信託・公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託の収益分配に係る所得のこと。
源泉徴収される前の利子等の収入額が、利子所得となります。
参考:No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)|国税庁
2. 配当所得
株主が法人から受ける配当金などの所得のこと。
株式などを取得するための借入金の利子は、源泉徴収される前の配当金等から差し引きます。
参考:No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)|国税庁
3. 不動産所得
土地や建物などの不動産の貸付け、借地権などの権利の貸付け、船舶や航空機の貸付けなどによる所得のこと。
総収入金額から必要経費を差し引いて不動産所得を求めます。
参考:No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)|国税庁
4. 事業所得
農漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営む個人のその事業から生ずる所得のこと。
総収入金額から必要経費等を差し引いて事業所得を求めます。
参考:No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)|国税庁
5. 給与所得
勤務先から受け取る給料、賃金、賞与などの所得のこと。
源泉徴収される前の収入金額から給与所得控除額を差し引いて給与所得を求めます。
給与所得控除額とは、次のように収入によって決まっています。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 | |
---|---|---|
1,625,000円まで | 550,000円 | |
1,625,001円から1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 | |
1,800,001円から3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 | |
3,600,001円から6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 | |
6,600,001円から8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 | |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
6. 退職所得
退職に伴って、勤務先から受ける退職手当などの所得のこと。
社会保険制度などによる退職時の一時金、企業型年金規約や個人型年金規約に基づき老齢給付金として支給される一時金なども退職所得となります。
源泉徴収される前の収入から退職所得控除額を差し引いた金額に1/2を乗じて求めます。
参考:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁
7. 山林所得
山林を伐採して売却したり、立木のままで売却することによる所得のこと。
山林の取得から5年以内に売却した時は、山林所得ではなく事業所得又は雑所得となります。
8. 譲渡所得
資産の譲渡による所得のこと。
土地、建物、株式等その他の資産で、もともと販売を目的としない資産を売却した時には譲渡所得となります。総収入から譲渡費用を差し引き、さらに特別控除額があれば差し引いて求めます。
参考:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁
9. 一時所得
営利目的で継続的な取引から生じた所得以外の所得のこと。
懸賞金や福引の賞金、競馬などの払戻金、生命保険等の満期返戻金などがあります。総収入から収入を得るための費用を差し引き、さらに特別控除額を差し引いて求めます。
10. 雑所得
上記9種類の所得区分にあてはまらない所得のこと。
例えば、公的年金等、営業用でない貸付金の利子、副業による所得などがあります。
所得控除の種類
所得税の所得控除とは、所得金額から控除することのできる金額であり、現行では15種類あります。それぞれの所得控除の持つ意味ごとに、5つのグループに分けて大まかに解説します。
所得控除 | 控除される理由等 | 控除額の例 |
---|---|---|
基礎控除 | 人的控除(個人の実情に応じた税金負担となるための控除)であり、本人及びその家族の最低限度の生活維持のためとされる控除 | 0円~48万円 |
配偶者控除 | 0円~48万円 | |
配偶者特別控除 | 0円~38万円 | |
扶養控除 | 38万円~63万円 | |
障害者控除 | 生活上追加的経費が必要であるという考慮に基づく控除 | 27万円~75万円 |
寡婦控除 | 27万円 | |
ひとり親控除 | 35万円 | |
勤労学生控除 | 27万円 | |
雑損控除 | 一定以上の損失、医療費は納税者の税金を支払う能力(担税力)を弱めるという考慮に基づく控除 | 一定額 |
医療費控除 | 最高200万円 | |
社会保険料控除 | 法律によって加入義務のあるものや多くの人が加入する保険料等の支払いは、納税者の担税力を弱めるためという考慮に基づく控除 | 支払った保険料の額 |
小規模企業共済等掛金控除 | 支払った掛金等の額 | |
生命保険料控除 | 最高12万円 | |
地震保険料控除 | 最高5万円 | |
寄附金控除 | 公益的な事業への寄附奨励のための控除 | 寄附金合計 - 2,000円 |
マネーフォワード クラウド会社設立は、個人事業主が法人成りを検討したほうがよいタイミングをまとめた「法人化を検討すべき7つのタイミング」を無料で用意しております。
創業支援に強い税理士監修で、ポイントがまとまったお得な1冊となっていますので、ぜひ将来を見据えた情報収集でご活用ください。
税額控除の種類
所得税の税額控除とは、課税所得に税率を乗じて計算した所得税額から、一定の金額を控除するものです。税額控除には多くの種類がありますが、ここでは4つについて概要を解説します。
税額控除 | 控除の特徴 |
---|---|
配当控除 | 総合課税の配当所得がある時、配当所得の一定割合を控除 |
外国税額控除 | 日本と外国の二重課税を防ぐための控除 |
寄附金特別控除 | 一定の寄附金で所得控除を受けない場合に適用する控除 |
住宅借入金等特別控除※ | 住宅の新築等のための一定のローンがある場合の控除 |
※住宅ローン控除と呼ばれるものです。
課税所得と非課税所得の違い
所得税においては課税所得に対し、「非課税所得」があります。また、よく耳にする「住民税の非課税世帯」についても基本的なことを押さえておきましょう。
非課税所得とは
所得税において、社会政策などの見地から所得税を課さない所得があり、それらを「非課税所得」と呼びます。非課税所得の例としては、遺族の受け取る年金、生活に必要な動産の譲渡による所得、オリンピックで選手に交付される金品、損害賠償金など多岐にわたります。
非課税所得について、非課税の適用を受けるための手続きは原則として不要です。
住民税の非課税世帯とは
住民税の非課税とは、住民税において前年の所得が一定以下である場合に、住民税が非課税になることを言います。「住民税の非課税世帯」とは、世帯の構成員全員の住民税が非課税となる世帯のことです。住民税には均等割と所得割がありますが、所得や条件により、所得割だけが非課税となる場合と、均等割も所得割も非課税となる場合があります。
例えば、単身世帯で前年の所得が45万円以下の場合には所得割のみ非課税となり、生活保護を受けている人などは均等割も所得割も非課税となります。
所得税の計算の流れを理解しよう
会社員の年末調整、個人事業主の確定申告などは、毎年同じような手続きの繰り返しのように感じますが、税制は毎年のように改正されます。所得控除の要件や金額が変わると、住民税や国民健康保険料にも大きな影響が出ます。
所得税の大まかな計算の流れがわかると、年の初めにニュースなどで取り上げられる税制改正によって、少なくとも自分がどのように関係するかが分かってきます。所得税の計算の大きな流れは変わらないので、ざっくりと理解しておきましょう。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得

銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案

自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能

白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む11サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。

合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド

青色申告1から簡単ガイド

個人事業主が知っておくべき経費大辞典


マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
租税公課の関連記事
新着記事
個人事業主は事業用口座を開設すべき?メリットや開設方法、注意点を解説
個人事業主は、事業用口座を開設することができます。事業用口座とは個人の事業用で、口座名義に屋号を入れるなどができる口座のことです。 この記事では、事業用口座の概要や事業用口座を開設するメリット・デメリット、開設するタイミング、開設方法などを…
詳しくみる個人事業主におすすめの店舗火災保険とは?保険料の相場や比較ポイントなど
店舗を構えて事業をしている個人事業主は、店舗火災保険に加入したほうがよいでしょう。なぜなら万が一、店舗が火災にあっても一定の補償を受けられるからです。 店舗火災保険は、保険会社によって保険料などが違います。今回は、店舗火災保険の保険料の相場…
詳しくみる個人事業主も社会保険適用拡大の対象!常時5人以上の個人事業所の対応を解説
社会保険の適用拡大により、個人事業主も社会保険加入が必要です。この記事を読めば、「個人事業主で社会保険が対象になる基準は?」「社会保険適用の事務手続きがわからない」という悩みを解決できます。本記事で、社会保険適用拡大の概要や、社会保険の仕組…
詳しくみる保険外交員はなぜ個人事業主?メリットや確定申告・経費についても解説
保険外交員とは、保険契約の勧誘や代理、契約後のサポートなどを行う職種です。本記事では、保険外交員の雇用形態をはじめ、個人事業主として働くメリットやデメリットについて解説します。 保険外交員にまつわるよくある質問と回答も取り上げるため、興味を…
詳しくみる個人事業主は圧縮記帳を使えない!国庫補助金等の総収入金額不算入について解説
圧縮記帳とは、課税の繰り延べをする会計処理のことを指します。税法で規定されており、企業が国からの補助金を利用して固定資産を取得した際に用います。そのため、個人事業主の場合には使えません。本記事では、圧縮記帳の概要や圧縮記帳を活用するメリット…
詳しくみる個人事業主の美容師とは?メリットや年収、経費や確定申告などを解説
個人事業主の美容師とは、法人を設立せずに独立して事業を営む美容師の方を指します。個人事業主として活躍していくためには、独立後の働き方や税務手続き、収入の安定性などを考慮する必要があります。本記事では、個人事業主の美容師の働き方や年収、メリッ…
詳しくみる