- 更新日 : 2025年10月21日
確定申告を自動化するには?メリットや効率化の手順を解説
確定申告は、レシートの整理、帳簿の記帳、控除額の計算、申告書の作成・提出まで、手間と時間がかかる作業が山積みです。しかし、近年ではAI(人工知能)やクラウド会計ソフトなどの技術を活用することで、こうした煩雑な作業の多くを自動化できるようになりました。
本記事では、確定申告を自動化するメリットや対象となる業務、自動化に役立つツールの選び方などを解説します。
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目次
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確定申告の自動化とは?どんな作業が効率化する?
確定申告に必要な作業は多岐にわたりますが、現在ではその大半が自動化可能です。AIやITツールを活用することで、日々の記帳から税額計算、電子申告までを一貫して効率化できます。ここでは、自動化が進んでいる工程について解説します。
領収書・レシートのデータ化
紙の領収書やレシートは、AI搭載のOCR(光学文字認識)によって自動で読み取り、データ化ができます。スマートフォンで撮影するだけで、日付・金額・支払先などの情報が自動抽出され、会計ソフトに連携されます。手入力を省略できるため、1年分の領収書を手作業で入力していた頃に比べ、大幅な時間短縮につながります。
さらに、近年の会計ソフトはインボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しており、スキャンした領収書を電子的に保存する際も、改ざん防止や検索機能など電子帳簿保存法の要件を満たすことで法令に準拠した運用が可能になっています。
これにより、紙の原本の保管義務が軽減され、効率的な証憑管理も実現できます。
自動仕訳による帳簿作成
取引の記録である仕訳も、AIを活用すれば自動化が可能です。銀行口座やクレジットカードと会計ソフトを連携することで、取引明細を自動取得し、AIが内容を判別して適切な勘定科目に仕訳します。たとえば「Amazonでの購入=消耗品費」「交通系ICカード=旅費交通費」といったように、過去の取引履歴からパターンを学習し、自動で分類・記帳してくれます。
これにより、日々の伝票入力や集計作業が大幅に削減され、ミスも減少します。あらかじめ設定したルールや学習データに従って、反復作業を効率良く処理できるのが特徴です。記帳の手間を減らすことで、申告直前に慌ててまとめる必要がなくなります。
控除額や税額の自動計算
収入や経費の入力が済めば、税額や控除額の計算も会計ソフトが自動で行います。医療費控除や寄附金控除の金額も、必要な情報を入力すれば自動で集計・反映され、所得控除後の課税所得と納税額が瞬時に表示されます。
計算処理に会計ソフトを活用することにより、税制改正があった場合でも、ソフト側のアップデートによって自動的に最新の税制が反映されます。自分で税額表を参照したり、控除額の上限を調べたりする必要がないため、ミスや知識不足による誤りを防げます。
電子申告(e-Tax)の手続き自動化
作成した確定申告書類は、国税庁のe-Taxシステムと連携させて、そのままオンラインで提出可能です。マイナンバーカードや電子証明書を利用し、会計ソフトから直接送信できます。一部の会計ソフトでは、申告内容に誤りがないか事前に自動チェックする機能も備わっており、提出直前の不安を軽減できます。
また、大量の取引がある場合や定型業務が多い場合は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用して、申告の提出フロー自体を自動化する事例もあります。個人事業主であっても、簡易な手順で申告が完了するため、ITに不慣れな方でも安心して利用できる仕組みになっています。
確定申告を自動化するメリットは?
確定申告を自動化することで、経理にかかる時間と労力を軽減できます。ここでは、自動化によるメリットについて整理します。
作業時間を大幅に短縮できる
確定申告の作業は、取引データの入力や帳簿づけなど多岐にわたりますが、クラウド会計ソフトを利用すれば銀行口座やカード明細と自動連携し、AIが仕訳を提案・記帳してくれるため、これまでかかっていた作業時間を大きく削減できます。
ヒューマンエラーを防止し正確性が上がる
手作業による記帳では、数字の入力ミスや勘定科目の間違いが起こりやすく、結果的に帳簿や申告書の誤りにつながることがあります。自動化されたツールを使えば、データの転記や集計もシステムが一貫して行うため、人為的なミスが起きにくくなり、正確性の高い申告が可能になります。
経理負担が減り本業に集中できる
確定申告の自動化は、レシート整理や帳簿作成などの定型作業から解放されることを意味します。これにより、事業者自身は本来注力すべき業務に集中でき、経営や顧客対応により多くの時間を割けます。一人で複数の業務をこなす必要がある小規模事業者にとっては、大きなメリットです。
電子申告で青色申告特別控除を満額適用できる
複式簿記による記帳を行ったうえで、e-Taxによる電子申告または優良な電子帳簿保存を満たすと、65万円の青色申告特別控除を受けられます。従来の紙提出や紙媒体による書類保存では控除額が55万円にとどまる場合がありますが、e-Taxに対応した自動化ツールを利用すれば、優良な電子帳簿保存や電子申告が可能となり、最大控除が適用され、節税につながります。
デジタル化による制度優遇を受けられる点も、確定申告を自動化する大きな利点です。
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確定申告を自動化するにはどうすればいい?
確定申告の自動化を実現するには、クラウド会計ソフトの活用やAIツールの導入、RPAなどの業務自動化技術を段階的に取り入れる方法が効果的です。以下に代表的な方法を紹介します。
クラウド会計ソフトを活用する
最も広く使われている方法が、クラウド会計ソフトの導入です。これはインターネット上で利用できる会計サービスで、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取得し、AIが仕訳を提案して帳簿に反映してくれます。起業直後の個人事業主やフリーランスに人気があり、「取引明細の自動取込」と「自動仕訳」によって日々の経理負担を軽減できます。
また、クラウド型ソフトは確定申告書や決算書の作成にも対応しており、必要な書類が一括で整う仕組みが整っています。税法の改正にも自動で対応するため、最新の控除制度や税率に基づいて正確に計算できます。さらに、初心者向けに画面案内が充実しており、簿記の知識がなくても使いやすいのも特長です。
AI OCRやアプリで領収書を読み取る
領収書やレシートの整理が負担になっている場合は、AI OCRアプリの利用がおすすめです。OCRとは光学文字認識のことで、スマートフォンで撮影した領収書から日付・金額・支払先などの文字情報をAIが自動で読み取り、データ化します。このデータはCSV形式などで出力され、エクセルや会計ソフトに取り込むことが可能です。
無料または低価格で使えるアプリも多く、まずは部分的に自動化したい方にも適しています。また、インボイス制度に対応した形式で適格請求書発行事業者の登録番号を自動取得できるものもあり、法令対応の観点でも有効です。さらに、電子帳簿保存法に対応した保存機能があれば、紙の保管を不要にする運用も可能になります。これは将来的なペーパーレス経理への第一歩とも言えるでしょう。
RPA等で手作業を減らす
申告業務における定型作業や繰り返し操作が多い場合は、RPAを活用することでさらなる自動化が図れます。RPAは、人間がパソコン上で行う作業をロボットが記録・再現してくれる技術で、申告書への転記作業やe-Taxの入力作業などを代行させることができます。
個人事業主の場合、専用のRPAツールはコスト面で難しいこともありますが、エクセルのマクロや単純なスクリプトによって一部作業の自動化を実現することは可能です。業務全体を見直すのではなく、時間や労力のかかる一部工程を自動化することで、大きな効率化効果が得られます。
AIは確定申告の自動化にどう役立つ?
AIは、確定申告の作業効率を飛躍的に高める技術として注目されています。領収書の読み取りや仕訳の自動化、入力ミスの防止など、反復的でミスの起こりやすい作業をAIが補助することで、申告作業の手間と負担を大幅に削減できます。ここでは、AIが得意とする業務と、現在の限界について解説します。
AIが得意な業務領域
AIは、確定申告におけるルーチン業務を自動化するのに最適な技術です。たとえば、領収書や請求書の内容を読み取る際に活躍するのが、AI搭載のOCRです。紙の書類をスマートフォンで撮影するだけで、日付・金額・支払先などの情報を高精度でデータ化し、会計ソフトに自動取り込みできます。これにより、面倒な手入力が不要になります。
また、AIは過去の取引データを学習し、よく似た取引が発生した際に適切な勘定科目などを提案してくれる「自動仕訳機能」も備えています。仕訳ミスの防止や時間短縮に効果的であり、定型的な経費処理には高い精度で対応できます。
さらに、申告書作成時には、AIが記入漏れや数値の不整合を自動でチェックし、提出前のエラー検出を行ってくれる機能もあります。これにより、人的ミスを未然に防ぎ、申告内容の正確性が向上します。
完全自動化には限界がある
AIは便利な反面、すべてを自動で正確に処理できるわけではありません。OCRによる文字認識は精度が向上しているとはいえ、手書きや不鮮明な書類では誤認識のリスクがあり、仕訳の判断も取引内容によってはAIが誤った提案をする可能性があります。
こうした背景から、確定申告の完全自動化は現時点では難しく、「AIに任せられる部分は任せ、最終判断は人が行う」というハイブリッドな運用が現実的です。たとえば、AIにより領収書の読み取りと仕訳提案までを自動化し、最終的な仕訳確定や申告書の提出前チェックは人間が行うことで、精度と効率のバランスを保てます。
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自動化ツール導入の手順と選び方のポイントは?
確定申告の自動化を進めるには、適切なツールの導入と運用設計が欠かせません。ここでは、導入までのステップとツール選定時の注意点をご紹介します。
まずは「自動化したい業務の整理」から
自動化を成功させるためには、まず現状の業務フローを洗い出し、どの部分に時間や手間がかかっているかを明確にすることが大切です。「領収書の整理に多くの時間がかかっている」「毎月の帳簿づけが面倒」「e-Tax提出が不安」といった悩みをリストアップしましょう。
この整理によって、どの工程の自動化が必要かが見えてきます。領収書管理が課題ならAI OCR搭載アプリ、仕訳作業が負担なら自動仕訳機能付きの会計ソフト、提出作業に不安があるならe-Tax連携機能の有無など、自動化すべき優先順位が明確になります。
無理のない範囲でスモールスタートを
すべての業務を一気に自動化しようとすると、使いこなせず挫折する原因になります。初めての方は、まずは「レシート整理だけ」「仕訳入力だけ」といった限定的な部分から始める“スモールスタート”がおすすめです。
たとえば、無料で使える領収書読取アプリや、エクセルと連携できる簡易的な帳簿作成ツールなどもあり、手軽に試せます。ある程度慣れてきた段階で、より本格的なクラウド会計ソフトに切り替える流れを取ることで、段階的にスムーズな導入が可能になります。
選ぶべきツールのチェックポイント
ツール選定では、自分の業務内容やスキルレベルに合った機能があるかを見極めることが重要です。以下のような観点で比較検討すると良いでしょう。
- 使いやすさ(UI/操作性)
会計知識がなくても扱えるか。スマホ対応はあるか。 - 対応範囲
帳簿作成だけでなく、申告書作成やe-Tax連携まで対応しているか。 - 法令対応
インボイス制度や電子帳簿保存法など、最新の制度に対応しているか。 - サポート体制
チャット・電話・メールなど、初心者向けのサポートが充実しているか。 - 料金プラン
無料プランの有無、事業規模に見合ったコスト感か。
複数のツールが候補にある場合は、無料トライアルやお試し版を使って比較してみると、自分に合ったサービスを見極めやすくなります。
確定申告の自動化で経理負担を軽減しよう
領収書整理から申告書提出まで、確定申告のプロセスを自動化すれば経理担当者・個人事業主の負担は格段に軽減されます。クラウド会計ソフトやAI技術を活用した自動化により、手作業に費やしていた時間を大幅に短縮しつつ、ミスの少ない正確な申告が可能となります。自動化ツールを上手に取り入れ、毎年の確定申告をよりスムーズで確実なものにしていきましょう。

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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