• 更新日 : 2025年7月7日

個人事業主向けのリスキリング補助金は?対象や支援の詳細・確定申告について解説

個人事業主にとって、スキルの再習得(リスキリング)は事業拡大や競争力強化の鍵です。政府も「5年で1兆円規模」の予算を投じてリスキリング支援に取り組んでおり、さまざまな補助金・助成金制度が整備されています。本記事では、個人事業主が利用できるリスキリング補助金について、対象スキル分野や制度の内容、確定申告の注意点について解説します。

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リスキリング補助金の対象分野

リスキリング支援の対象となるスキル分野は、IT・デジタル技術を中心に幅広いことが特徴です。業種を問わず事業の生産性向上やデジタルトランスフォーメーションに資するスキルが重視されています。例えばプログラミングやデータ分析、AI活用といったITスキルはもちろん、デジタルマーケティング(SNS活用やEC運営など)や会計・財務スキル(簿記やファイナンシャルプランニングなど)も支援の対象です。厚生労働省の教育訓練給付制度ではITパスポートや日商簿記取得講座などが対象講座として指定されており、語学(TOEIC)や各種国家資格取得に向けた講座も含まれています。これらのスキル分野は個人事業主が自身のビジネスを強化するために役立つものであり、リスキリング補助金を活用することで効率的に習得することが可能です。

リスキリング補助金の対象条件

個人事業主がリスキリング補助金を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず前提として、補助金ごとに対象となる申請者の要件が定められています。事業主として従業員を雇用している場合は、厚生労働省の助成金を利用できます。厚労省の「人材開発支援助成金」(リスキリング支援コース)は雇用保険の適用事業所の事業主であれば法人・個人を問わず対象となっており、個人事業主でも従業員がいて雇用保険適用事業主であれば申請可能です。

一方、従業員を持たない個人事業主(自営業者本人のみ)の場合は、事業主向け助成金ではなく個人向けの給付制度を利用する形になります。例えば教育訓練給付制度は雇用保険の被保険者であった方が対象で、在職中の会社員だけでなく週20時間以上働くパートタイム労働者等も含め広く利用できます。現在自営業であっても、過去に雇用保険に一定期間加入していればこの給付金を受けられる可能性があります。

なお、個人事業主として補助金申請を行う際には、税務署への開業届出書を提出済みであることが望ましいです。開業届を提出していないと公的には事業主と認められにくく、支援制度の申請時に事業実態を証明する書類(開業届の控えなど)の提出が求められることがあります。以上のように、自身の状況(従業員の有無や雇用保険加入歴)に応じて、適切な制度にアクセスできるか判断しましょう。

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個人事業主が利用できるリスキリング支援制度

リスキリングを支援する具体的な補助金・助成制度として、現在利用可能なものを中心に国の制度を紹介します。個人事業主の場合、大きく分けて「事業主(会社)向けの助成金」と「個人向けの給付金」が該当します。また、経済産業省の施策として民間機関を通じた支援事業もあります。

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

厚生労働省所管の助成金制度で、事業主(企業や個人事業主)が従業員に職業訓練を受けさせる際に活用できます。なかでも「事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業の立ち上げやDX推進に伴い、新たな分野の知識・技能を習得させるための訓練を行った場合に、訓練経費と訓練期間中の賃金の一部を国が助成するものです。

助成率としては訓練経費と賃金それぞれに定められた割合で補助され、賃金助成額は中小企業の場合で1人1時間あたり960円(大企業は480円)が上限目安です。助成上限額は訓練の形態によって異なりますが、中小企業(個人事業主を含む)であれば比較的手厚い支援となっています。また、本助成金を利用するには事前に訓練計画を届け出て認定を受ける必要があり、計画に沿って訓練実施後、所定の書類を提出して助成金の支給を申請する流れになります。

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

経済産業省が実施する支援事業で、在職者のリスキリングから転職支援までを一体的にサポートする全国的なプロジェクトです。民間の専門機関(補助事業者)を通じて、キャリア相談・研修講座の提供・転職支援をワンストップで受けられる点が特徴です。

個人事業主も「転職を検討している在職者」として利用可能で、講座受講料の一部が公費で補助される仕組みになっています。採択された補助事業者(民間スクール等)が提供する講座を受講し修了すると受講料の1/2(上限40万円)が補助され、さらに本事業を通じて転職が実現し1年間定着すると追加で受講料の1/5(上限16万円)が補助されます。つまり最大で56万円の費用補助を受けられる計算です。

受講者は補助後の割安な受講料で講座を受けられるため、自己負担を大幅に減らして専門的なリスキリング講座を受講できます。対象となるスキル分野もIT・デジタル、ビジネス、設計/製造、医療/福祉など多岐にわたり、自分に合った講座をサイト上で検索して申し込む形です。ただし、この事業は*「転職希望者」向け*の性格が強く、受講後の転職支援まで含めたプログラムとなっている点に留意が必要です。現在の事業実施期間は令和8年度末(2026年3月)までに延長されており、引き続き支援が受けられる見込みです。

教育訓練給付制度(一般・特定一般・専門実践)

働く個人のスキルアップを直接支援する給付金制度で、個人事業主であっても条件を満たせば自ら申請して給付を受けることができます。雇用保険の被保険者であった期間に応じて利用できる3種類の給付があり、それぞれ支給率や上限額が異なります。

まず「一般教育訓練給付」は比較的短期の講座が対象で、支払った受講料の20%(上限10万円)が支給されます。次に、転職やキャリア形成に役立つ資格講座等が対象の「特定一般教育訓練給付」では50%(上限25万円)が支給され、例えば基本情報技術者試験の講座受講料などが給付対象です。最後に、専門性の高い長期の研修や学位取得課程などが対象の「専門実践教育訓練給付」では支給率が80%と非常に高く、年間上限は64万円(最長4年まで)に及びます。この専門実践では、修了後に資格取得し就職した場合の追加給付(+20%)もあるため、実質的に受講料の100%近くが賄われるケースもあります。

教育訓練給付制度を利用するには、ハローワークで対象講座の確認と手続きを行い、講座修了後に支給申請を行います。個人事業主自身が職業能力を高める場合に最も直接的に役立つ制度であり、指定講座にはビジネス、IT、デザイン、語学など多彩なコースがあります。過去に雇用保険に加入していた方は、自身がどの給付を受けられるか一度確認してみると良いでしょう。

リスキリング補助金の支援金額・助成率・対象経費

リスキリング補助金制度では、制度ごとに助成内容が異なります。ここでは、代表的な3つの制度について支援の内容を整理します。

人材開発支援助成金

前述のように経費助成と賃金助成の2本立てで支給されます。訓練経費については、外部研修受講費や教材費など訓練に直接要した費用の一部が助成対象です。一方賃金については、従業員が訓練を受けている間の所定労働時間分の給与相当額が助成されます。中小企業の場合、経費は実費の75%(大企業60%)、賃金は1人あたり960円/時(大企業480円/時)といった助成率・上限額が設定されています(訓練内容により変動あり)。

例えば従業員1名に20時間の研修(研修費用5万円)を受けさせた場合、中小企業であれば賃金助成最大19,200円(960円×20h)と経費助成37,500円(5万円の75%)を受けられる計算です。なお、助成対象となる経費には社内研修の講師謝金や社外セミナー受講料等も含まれますが、従業員の食宿交通費や業務に通常必要な資格取得費用など一部対象外もあります。

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

この事業では個人への直接給付ではなく、講座提供企業への補助という形で費用が負担軽減されます。受講料の50%(上限40万円)が国から講座提供者に支払われるため、受講者は予め半額程度に割引された受講料で講座を受けられます。

さらに転職が成立し一定期間働き続けた場合は、追加20%(上限16万円)が補助され、その分が後日受講者にキャッシュバックされるか、あるいは追加研修などのサービス提供という形で還元されます(運営事業者により異なります)。

結果として最大で受講料の70%相当が公費でカバーされることになり、高額な専門講座(例えば60万円のプログラム受講料)の場合でも自己負担を大幅に抑えられます。対象経費は講座受講費用そのものですが、テキスト代などが別途必要な場合でもトータルで見れば手厚い補助と言えます。

教育訓練給付金

給付率と上限額は前述の通り20%・50%・80%と段階的に高くなります。給付対象経費は基本的に講座の受講料(税込)ですが、入学金や教材費も含まれるケースがあります(講座により異なる)。

たとえば、20万円のオンライン講座を受講し修了した場合、一般教育訓練給付なら4万円、特定一般なら10万円がハローワークから支給されます。専門実践では年間64万円まで給付されるため、高度な研修や大学・専門学校での学び直しにも対応可能です。

注意点として、給付金額が上限に達する講座を複数年にわたり受ける場合でも累計上限額が設けられていること、また同じ種類の給付金は原則一生に一度(専門実践のみ3年経過後に再利用可)しか使えない点があります。

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リスキリング補助金と確定申告の関係

補助金や助成金を受け取った場合、その扱いは税務処理にも大きく影響します。ここでは、課税対象の可否や申告方法について解説します。

補助金・助成金は課税対象になる?

基本的に、事業所得者が国や自治体から受け取った補助金・助成金は課税対象所得となります。会計上は営業外収益(雑収入)などとして計上し、所得税の計算対象に含めるのが原則です。たとえば、人材開発支援助成金で受け取った賃金助成額や経費助成額は事業収入の一部とみなされます。

ただし、補助金を受け取ると同時に、研修の実施にかかった経費や支払った賃金なども発生しているため、それらは必要経費として計上できます。補助金収入だけを計上してしまうと税額が増えるように見えますが、対応する費用を正しく経費として処理することで、実際の所得に対して正確な課税が行われます。

教育訓練給付金の税務処理

教育訓練給付金は、会社員時代の雇用保険料に基づいて支給されるため、原則として非課税扱いとなっています。これは失業給付などと同じく、社会保障的な性格を持つ給付金であるためです。

ただし、個人事業主が研修費用を経費として計上し、かつ給付金を受け取る場合、その関係性に注意が必要です。たとえば、給付金で補填された金額部分については実質的な負担がないとみなされるため、経費に含めないか、あるいは給付金を収入として計上するなど、整合性のある処理を行う必要があります。

また、教育訓練給付金を収入として計上しない場合でも、一時所得として申告対象となる可能性があります。一時所得は年間50万円の特別控除があるため、他の一時所得と合計して50万円以内であれば課税されません。専門実践教育訓練給付のように年間64万円の支給がある場合でも、多くの方が特別控除内に収まり、実質的に非課税になるケースが多いです。ただし、給付額が大きく、他の一時所得と合算して特別控除を超える場合は、確定申告が必要となります。

補助金と消費税の取り扱い

消費税の課税事業者である個人事業主は、補助金に関連する消費税の取り扱いにも注意を払う必要があります。補助金自体は不課税取引として扱われるため、補助金収入そのものには消費税はかかりません。

しかし、補助金の対象となった経費(たとえば研修費用)に含まれる消費税については、仕入税額控除の調整が求められることがあります。具体的には、補助金で補填された部分に対応する仕入税額分は控除対象外とするルールが適用されます。これは、消費税の二重控除を防ぐための措置です。

補助対象経費に補助金が交付されている場合は、その割合に応じて仕入控除税額を調整し、消費税の申告時に正確に反映する必要があります。

確定申告書での記載方法

補助金を受け取った場合は、その年度の確定申告書に正しく記載することが求められます。青色申告決算書では「雑収入」欄に補助金の名称と金額を明記し、対応する費用を各経費項目に計上します。

適切に処理されていれば税務上の問題になることはありませんが、補助金収入を漏らしてしまった場合は、後日税務署から指摘を受ける可能性があります。マイナンバー制度の導入により、公的機関からの給付情報が税務当局にも連携されるケースがあるため、少額でも補助金の受領実績がある場合は、正確に申告することが大切です。

リスキリング制度を活用して事業を一歩前へ進めよう

個人事業主にとって、リスキリング補助金は新たなスキルを習得し、事業を発展させる絶好の機会です。制度ごとに対象や補助内容が異なるため、自分に合った支援を見極めて活用することが大切です。正確な申請と確定申告を行い、安心して制度を取り入れましょう。今こそリスキリング制度を活用して、次のステージへ踏み出しましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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