- 更新日 : 2025年3月3日
物価高騰にともない個人事業主が受け取れる給付金は?減免制度や仕訳方法についても解説
物価高騰にともない、金銭面で苦労している個人事業主の方もいるでしょう。本記事では、個人事業主が物価高騰にともない受け取れる給付金について解説します。
個人事業主が利用できる減免・支払い猶予制度についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
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物価高騰の影響を受ける個人事業主を対象とした給付金
物価高騰の影響を受ける個人事業主を対象とした給付金について解説します。代表的な給付金としては、次の2つが挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
住民税非課税世帯給付金
2024年の11月22日の総合経済対策で、「住民税非課税世帯へ3万円の給付金」の支給が閣議決定されました。対象者は、令和6(2024)年度の住民税が非課税世帯の方です。
物価高騰対策として、住民税非課税世帯を対象に1世帯あたり3万円、子供1人につき2万円を支給する方針が検討されています。
住居確保給付金
住居確保給付金とは、収入が減少した人(個人事業主やフリーランスも含む)の家賃を支援する制度のことです。
対象要件は次のとおりです。
- 主たる生計維持者が以下のどちらかの場合
- 離職・廃業後2年以内である場合
- 個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合
- 直近の月の世帯収入合計額が、市町村民税の均等割が非課税となる額の1/12と、家賃(上限あり)の合計額を超えていないこと
- 現在の世帯の預貯金合計額が、各市町村で定める額(基準額の6月分。ただし、100万円を超えない額)を超えていないこと
- 求職活動要件としてハローワーク等に求職の申込をし、誠実かつ熱心に求職活動を行うこと
東京都特別区の場合、支給上限額は次のとおりです。
世帯の人数:1人 支給上限額(月額)5万3,700円
世帯の人数:2人 支給上限額(月額)6万4,000円
物価高騰の影響を受ける個人事業主を対象とした補助金・助成金
物価高騰の影響を受ける個人事業主を対象とした補助金・助成金もあります。ここでは、事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金について紹介します。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、ウィズコロナ、ポストコロナ時代の変化に対応するための補助金です。新分野への展開や業態転換などの大きな変化をともなう事業再構築に挑む中小企業や個人事業主を支援しています。
ここでは、成長分野進出枠の要件や補助上限額などについて紹介します。
成長分野進出枠 | ||
---|---|---|
通常類型 | GX進出類型 | |
対象 |
| ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取り組みをこれから行う事業者 |
補助上限 | 3,000万円(※4,000万円) ※短期に大規模賃上げを行う場合 |
※短期に大規模賃上げを行う場合 |
補助率 |
※短期に大規模賃上げを行う場合 |
※短期に大規模賃上げを行う場合 |
対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費・専門家経費、広告宣伝費・販売促進費、研修費、廃業費 ※廃業費は成長分野進出枠(通常類型)のみ |
小規模事業者持続化補助金
小規模事業持続化補助金とは、持続的経営に欠かせない販路開拓や生産性の向上などの取り組みを支援する制度です。
免税事業者からインボイス発行事業に転換する事業者を対象にした「インボイス特例」や、事業場内最低賃金を引き上げる事業者を対象に「賃金引上げ特例」などもあります。「インボイス特例」や「賃金引上げ特例」などは、要件を満たすことで補助上限額が上がるのが特徴です。
補助上限額は次のとおりです。
- 通常枠、ビジネスコミュニティ型:50万円
- 災害支援枠、創業型:200万円
- 共同・協業型:5,000万円
各枠の要件や補助上限額は、次の表を参考にしてください。
一般型
通常枠 | インボイス特例 | 賃金引上げ特例 | 災害支援枠 | |
---|---|---|---|---|
要件 | 経営計画を作成し販路開拓等に取り組む小規模事業者 | 免税事業者から課税事業者に転換 | 事業場内最低賃金を50円以上引き上げる小規模事業者 | 令和6年能登半島地震等における被災小規模事業者 |
補助上限 | 50万円 | 補助上限50万円上乗せ | 補助上限150万円上乗せ | 直接被害:200万円 間接被害:100万円 |
補助率 | 2/3 ※賃金引上げ特例を選択した事業者のうち、赤字事業者は3/4 | 定額、2/3 | ||
対象経費 | 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費(税理士等への相談・コンサルティング費用など) | 左記に加え、車両購入費 |
創業型
創業型 | |
---|---|
要件 | 産競法に基づく「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けた小規模事業者 |
補助上限 | 200万円 ※インボイス特例は適用 |
補助率 | 2/3 |
対象経費 | 通常枠同様 |
共同・協業型
共同・協業型 | |
---|---|
要件 | 地域に根付いた企業の販路開拓を支援する機関が地域振興等機関となり、参画事業者である10以上の小規模事業者の販路開拓を支援 |
補助上限 | 5,000万円 |
補助率 |
|
対象経費 |
ビジネス コミュニティ型
ビジネス コミュニティ型 | |
---|---|
要件 | 商工会・商工会議所の内部組織等(青年部、女性部等) |
補助上限 | 50万円、2以上の補助対象者が共同で実施する場合は100万円 |
補助率 | 定額 |
対象経費 | 専門家謝金、専門家旅費、旅費、資料作成費、借料、雑役務費、広報費、委託費 |
IT導入補助金
IT導入補助金とは、ITツールの導入費用の一部を補助する制度です。ハードウェア(パソコンやタブレット)や会計ソフトなどのソフトウェアの購入費用だけでなく、ソフトの利用料も補助されます。
枠/類型 | 通常枠 | 複数社連携IT導⼊枠 | インボイス枠 | セキュリティ 対策推進枠 | |
---|---|---|---|---|---|
インボイス対応類型 | 電⼦取引 類型 | ||||
補助額 | ITツールの業務プロセスが1〜3つまで︓5万〜150万円 4つ以上︓150万円 〜450万円 | (a)インボイス枠対象経費︓同右 (b)消費動向等分析経費︓50万円×グループ構成員数 (a)+(b)合わせて3,000万円まで (c)事務費・専⾨家経費︓200万円 | ITツール︓1機能︓〜50万円 2機能以上︓〜350万円 PC・タブレット等︓〜10万円 レジ・券売機等︓〜20万円 | 〜350万円 | 5万〜150万円 |
補助率 | 中⼩企業︓1/2 最低賃⾦近傍の事業者(※2):2/3 | (a)インボイス枠対象経費︓同右 (b)・(c)︓2/3 | 〜50万円以下︓3/4 (⼩規模事業者︓4/5) 50万〜350万円︓2/3 ハードウェア購⼊費︓1/2 | ⼤企業︓1/2 中⼩企業︓2/3 | 中⼩企業︓1/2 ⼩規模事業者:2/3 |
補助対象経費 | ソフトウェア購⼊費、クラウド利⽤料(最⼤2年分)、導⼊関連費(保守サポートやマニュアル作成等の費⽤ | ソフトウェア購⼊費、クラウド利⽤料(最⼤2年分)、導⼊関連費(保守サポートやマニュアル作成等の費⽤ | ソフトウェア購⼊費、クラウド利⽤料(最⼤2年分)、導⼊関連費(保守サポートやマニュアル作成等の費⽤ | クラウド利⽤料(最⼤2年分) | サイバーセキュリティお助け隊サービス利⽤料(最⼤2年分) |
(※2)3ヶ月以上地域別最低賃⾦+50円以内で雇⽤している従業員数が全従業員数の30%以上であることを⽰した事業者
参照:中小企業庁 「IT導⼊補助⾦」でIT導⼊・DX(デジタルトランスフォーメーション) による⽣産性向上を⽀援︕
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物価高騰の影響を受ける個人事業主が利用できる減免・支払い猶予制度
物価高騰の影響を受ける個人事業主が利用できる減免・支払い猶予制度について、解説します。
国民健康保険料(税)の減免
要件を満たした場合には、国民健康保険料(税)の軽減や減免を受けられる制度があります。軽減対象は法令で定められた所得基準を下回る世帯で、被保険者応益割(均等割・平等割)額の7割、5割または2割を減額可能です。
いっぽうの減免は、災害や特別な事情により国民健康保険料(税)を納めることが難しい場合が対象となります。
詳しくは、以下に問い合わせてみましょう。
- 市町村国保の場合:お住まいの市町村の国民健康保険の窓口
- 国民健康保険組合の場合:加入している国民健康保険組合または各都道府県の窓口
個人事業主が受け取った給付金・補助金・助成金は課税対象?
国や地方自治体から個人事業者に対して支給される給付金・補助金・助成金などについては、所得税法などの法令の定めによって課税か非課税かが異なります。ここでは、課税対象になるケースと非課税になるケースについて見ていきましょう。
課税対象になるケース
課税対象になるものは、次のとおりです
具体的には、持続化給付金(事業所得者向け)や家賃支援給付金、都道府県の休業・時短要請協力金、すまい給付金などが該当します。
非課税になるケース
非課税になるものとしては、所得税法の規定により非課税となるものと、給付金等の支給の根拠となる法律により非課税となるものの2つがあります。非課税とされるものの具体例は、次のとおりです。
- 特別定額給付金
- 生活保護の保護金品
- 児童(扶養)手当
- 雇用保険の失業等給付
- 被災者生活再建支援金
- 学生支援緊急給付金
- 東京都認証保育所の保育料助成金
- 東京都のベビーシッター利用支援事業における助成
- 子育て世帯への臨時特別給付金 など
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個人事業主が受け取った給付金・補助金・助成金の仕訳方法
給付金や助成金を受け取った場合の会計処理は、給付金や助成金が課税されるか非課税なのかで異なります。それぞれのケースについて見ていきましょう。
課税対象の場合
給付金や助成金が課税の場合は、個人事業主も法人も仕訳は同じです。給付金は、雑収入科目で処理します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
預金 | ◯円 | 雑収入 | ◯円 | 給付金 |
非課税の場合
個人事業主の場合は、事業主借勘定で仕訳し収益に影響しないように処理します。なお、給付金が事業用の通帳ではなく、私用の通帳に振り込まれた場合は、振込口座と給付金とが事業に関係ないものであるため、仕訳の必要はありません。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
預金 | ◯円 | 事業主借 | ◯円 | 給付金 |
個人事業主の給付金は確定申告が必要?
個人事業主が課税対象となる給付金を受け取った場合、確定申告が必要です。税金は給付時に差し引かれないため、受け取った金額を収益として計上したうえで確定申告を行いましょう。
確定申告のやり方については、以下の記事を参考にしてください。
物価高騰による給付金は個人事業主も対象
物価高騰による給付金や補助金などは、個人事業主も対象です。物価高騰による給付金としては、住民税非課税世帯給付金や住居確保給付金などがあります。補助金・助成金の一例としては、事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金などが挙げられます。
ただし、個人事業主が受け取った給付金・補助金・助成金は法令の定めによって課税か非課税かが異なるため注意しましょう。また、課税対象となる給付金を受け取った場合には確定申告も必要です。

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データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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