- 更新日 : 2025年1月7日
個人事業主に税理士はいつから必要?不要と言われる理由や費用を解説
税理士は、会計や税務の専門家です。事業開始後まだ売上高が多くない個人事業主にとって、税理士の利用はややハードルが高いと考えがちですが、必ずしもそうではありません。個人事業主が税理士のスキルを活用して、事業の効率化や節税対策を図ることはよく見られます。この記事では、個人事業主の税理士活用タイミングについて解説します。
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目次
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個人事業主に税理士はいつから必要?
個人事業主に税理士が必要となる時期は、事業によりさまざまです。一般には開業準備時、融資相談時、確定申告時または法人成り検討時などにおいて、税理士に一時的に相談をすることもあります。
いわゆる「顧問税理士」として、顧問契約を締結して一定期間にわたって税理士に業務を依頼することもあります。
年間売上高が1,000万円を超えたとき
業務の状況にもよりますが、一つの考え方として年間売上高が1,000万円を超えたタイミングで税理士と顧問契約を結ぶことが考えられます。
売上高が1,000万円を超えると、免税事業者は消費税の納税義務が発生します。消費税を意識した会計仕訳が必要となり、各種届出の管理も必要です。また、売上高1,000万円を超えると、多くの場合に取引数が増えたり、複雑な契約があったりと不安要素も増えてきます。
このような状況においては、税理士の助言やアドバイスを受けながら節税対策や申告等を行うことで不安が解消されるでしょう。
個人事業主に税理士が不要と言われる理由
一方、個人事業主には基本的に税理士は不要であるという考え方もあるようです。
ネットで情報を得られる
ネット社会においては、税務に関する情報も多く、税務で不明な点があれば基本的には税務署への相談で解決することができます。年間を通じて、処理に困るような取引がない場合など、特に税理士を必要としないケースもあるでしょう。
会計ソフトで効率化できる
会計ソフトで自動仕訳を設定しておけば、通常の取引は記録されます。ある程度、会計や税務の知識があれば、無理なく確定申告を行えるでしょう。また、会計ソフトの使い方や入力方法については、そのソフトウェアのコールセンター等へ相談すれば解決します。したがって、わざわざ税理士に記帳を依頼する必要性は少ないと考えられます。
税理士とのやりとりが負担に感じる
対応する税理士にもよりますが、税理士と面談するために毎月時間を確保するのが負担と考える個人事業主もいます。税理士側でもある程度は配慮すべきことかもしれませんが、個人事業主は百人百様であるため、税理士が個人事業主の内情まで推察できかねる場合があります。
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個人事業主に税理士が必要なケース
顧問税理士としての契約を交わすかどうかは別として、個人事業主において税理士に一度は相談したほうがよいと思われるのは次のような場合でしょう。
開業を目指す場合
個人事業主としてのスタート時点において、税理士に相談することは多々あります。開業前なら、資金調達のための事業計画や融資依頼先の相談などです。
開業直後は正確な会計業務、必要な届出や申請、日々の取引を記帳する流れ等、多くのことを決める必要があります。特に開業初期は事業活動で忙しくなるため、会計・税務関連の負担軽減には税理士の支援が役立つでしょう。
帳簿付け方がわからない
開業し、取引が始まったものの、会計帳簿の付け方がわからない場合があります。会計ソフトを利用するにも、基本的な「簿記」のしくみを理解していないと、会計ソフトがブラックボックスになってしまいます。
そのような場合、税理士に記帳を中心に教えてもらうことも可能です。教えてほしいことをまとめておき、税理士に依頼すれば教えてほしい部分だけの対応も可能でしょう。
正しい確定申告を行いたい
税理士へのピンポイント型依頼で一番多いのが、確定申告時の相談ではないでしょうか。所得税だけではなく、消費税の確定申告が必要な個人事業主もいます。それぞれの申告期間はあらかじめ決まっているため、できるだけ早めに税理士へ依頼しておけば、事業にあわせて対応してくれるでしょう。
事業を拡大するとき
個人事業を拡大するにあたっては、種々の手続きが必要なケースがあります。例えば、個人事業主が法人成りをする際には、法人登記手続きをはじめ、決算書作成や法人税の申告などが必要です。専門的な知識を要する処理が多いため、税理士のサポートは有効と言えます。
複数の事業を営んでいる
個人事業主で複数の事業を運営している場合、税理士のアドバイスが必要なケースがあります。例えば、事業を営む傍ら賃貸収入がある場合や、複数の事業収入がある場合などは、確定申告のハードルが高い処理だと言えるでしょう。
個々のケースへの対応というより、会計や税務ではこの取引をどう考えるかなどについて、税理士に考え方の道筋を整理してもらえます。
事業承継を考えるとき
将来の事業承継計画の立案などについても税理士に相談できます。例えば、事業承継時に発生する相続税や贈与税の負担が大きい場合に、軽減策としてどのような方法があるかなどにおいては慎重な判断を要します。このようなケースでは、税理士の専門分野を確認し、事業承継に詳しい税理士に相談します。
個人事業主が税理士に依頼するメリット
そもそも税理士業務とは、他人の求めに応じて行う税務に関する次の業務を言い、これらは税理士しかできないため「税理士の独占業務」と言われます。
- 税務代理:依頼人の代理となること(代理申告等)
- 税務書類の作成:税理士の判断に基づく申告書等の作成
- 税務相談:申告書等の作成に関する相談
この独占業務にプラスして、企業支援や経営相談などその税理士固有のスキルで対応するのが税理士です。ここでは、個人事業主が問題解決のために税理士に依頼するメリットを改めて確認しておきましょう。
税務手続きの負担が軽減される
独占業務である「税務書類の作成」「税務代理」に加え、その前段階である記帳などを税理士に依頼している場合には、会計や税務手続きの負担が大幅に軽減されます。契約に基づき、個人事業主が必要書類を税理士に提示すれば、税理士側で処理を進めます。この場合、税理士から事業の状況についてフィードバックをもらうようにしましょう。
法令に基づいた正確な申告ができる
法令改正は毎年行われます。個人事業主は、所得税・消費税・相続税など「税」とついているものだけでなく、電子帳簿保存法などへの対応も余儀なくされます。事業を進めながら、これらの最新の状況をすべて把握して、正確に申告するのは難しいでしょう。その点、税理士に依頼しておけば、最新の法令への対応がなされます。
税務調査に対応してくれる
税理士に依頼すれば、税務調査への対応も引き受けてもらえます。その場合には、納税者側の立場で調査に対応してもらえるように、事業内容については事前に詳細な説明が必要です。従来からの顧問税理士の場合には問題ありませんが、税務調査のみ対応してもらう税理士なら事前相談を念入りに行う必要があります。
節税の相談やアドバイス
事業継続の前提として、資金繰りの確保が挙げられます。そのために不可欠な節税策は、税理士への相談内容の多くを占めています。同じ結果が得られる取引でも、より節税につながる方法があれば事前に知りたいものです。これらのアドバイスを継続的に受けているのとそうでないのとでは、資金繰りにも大きな影響があるでしょう。
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個人事業主が税理士に依頼するデメリット
税理士への依頼には「痛み」、つまり、デメリットとなる点もあります。税理士への依頼について、デメリットとなる点も認識しておきましょう。
税理士費用がかかる
税理士に依頼すると、税理士報酬を支払うこととなります。費用については事前に提示されることが多いため、よく検討しましょう。
税理士も個人で大きな事務所を経営している人もいれば、自宅兼事務所を構えている人もいます。契約内容によりますが、大きな取引を伴うものについては税理士報酬も大きくなる傾向にあります。
税理士により得意分野が異なる
個々の税理士によって得意分野が異なるため、税理士との初回面談時には得意分野をよく聞いておくことが大切です。人柄がよく、税理士報酬が手頃であっても、専門外であれば引き受けてもらえないケースもあるため、事前によく確認しておきましょう。
定期的な打ち合わせが必要
税理士自身は、個人事業主の業界や事業の状況を会計を通して把握しているのみです。したがって、定期的に事業主と税理士の打合せが必要です。
税理士から適格なアドバイスを受けるためには、現事業を取り巻く環境を説明したり、今後の事業計画などを開示したりする必要があります。申告前だけでなく、年度を通した定期的な打ち合わせにより、よりよい信頼関係が培われるでしょう。
個人事業主の税理士報酬は何で決まるのか
税理士報酬は、さまざまな理由により変動します。税理士や税理士法人は、自己責任と説明責任に基づき、報酬を請求することができます。税理士業にもリスクは多々あるほか、料金設定が高すぎても安すぎても税理士業として成立しないということが前提となります。
スポットで依頼する税理士報酬の相場
例えば、個人事業主がスポットで所得税の確定申告の依頼をした場合の報酬の考え方として、「記帳あり」の場合と「記帳なし」の場合に分かれます。「記帳あり」で領収書等が整然と並べられ、取引数があまり多くない場合、税理士に依頼すると一日で作業を済ませられるかもしれません。このような場合には、3万円~5万円程度が相場と考えられます。
スポットでの依頼は、次の依頼の保証がないため少し高めの傾向はあるものの、事前に準備されている資料の整理具合によって報酬が変動します。
2ヶ月に1回程度で依頼する税理士報酬の相場
税理士の定期的な訪問を依頼する場合の税理士報酬は、スポットよりも少し安いと考えられます。例えば、個人事業主のところに、税理士が2ヶ月に1回程度で訪問する場合、「記帳なし」のときは、1万円~3万円程度が相場と考えられます。
なお最近では、税理士側から会計情報を閲覧できるソフトも多いため、実際に税理士が訪問しないケースもあります。しかし、たとえ自動仕訳のしくみがあっても資料との突合せや勘定科目の確認等は必要なため、税理士に内容のチェックを依頼するのは意義のあることです。
個々の個人事業主の状況によって報酬の考え方も変動するため、税理士に見積を依頼して納得いかないときには説明を求めましょう。
個人事業主が依頼する税理士の選び方
税理士の選び方でおすすめなのは、まず同じ地域に事務所のある税理士を選ぶことです。その地域の状況をよく把握しているのと、他の顧問先が同じ地域にある可能性があり、個人事業主の事業環境を理解しやすいと言えるからです。
次に、解決したい依頼内容の実績を持っている税理士であることです。弁護士や社会保険労務士などとの付き合いがある場合には、税理士の紹介を依頼できるかもしれません。
日本税理士会連合会のWebサイトには、「税理士情報検索サイト」があります。このサイトでは、地域や依頼内容に応じた税理士を検索することが可能です。
個人事業主が税理士に依頼する際の注意点
個人事業主が依頼する税理士を決める場合、注意すべき点としては次のようなものが挙げられます。
- 見積をとれるか?
税理士に依頼内容を伝えた後、見積書を作ってもらいましょう。あらかじめ依頼内容と料金がセットになっているような場合には不要かもしれませんが、業務にどれだけの作業をしてもらえるかの目安になります。 - 依頼内容についての経験はあるか?
少なくともその税法において依頼された経験があるかないかを聞けるようであれば、聞いてみましょう。もちろん、経験があまりなくても丁寧な仕事をしてもらえる場合が多いですが、その税理士の得意分野かどうかも確かめておくとよいでしょう。 - 相談しやすいか?
税理士には、業務に関して包み隠さず話さなければ成立しないことがあります。また、業務に関することにプライベートの内容が含まれるケースもあります。将来的に腹を割って話せる税理士であるかどうかは、よく見極めましょう。
不安な場合は税理士に相談しましょう
中小企業庁の経営支援策の一環として、「認定経営革新等支援機関」があります。中小企業や小規模事業者の課題を解決するための専門性の高い支援機関として、多くの税理士も登録されています。一度覗いてみてはいかがでしょうか?
税金にかかわることだけでなく、会計での問題点や経営における資金繰りや販路拡大など、個人事業主の悩みは尽きませんが、ともに伴走する税理士がいれば心強いものです。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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