- 更新日 : 2024年11月20日
個人事業主は自分の給与を経費にできる?事業主貸の仕訳についても解説!
個人事業主は、個人事業のもうけの中から生活費をまかないます。しかし、給料として毎月一定金額をプライベートの口座に振り込んでいる人もいるでしょう。
では、個人事業主は自分の給与を経費にできるのでしょうか?この記事では、個人事業主が自分の給与を支払った場合の考え方や会計処理、仕訳について解説します。
目次
個人事業主は自分の給与を経費にできる?
結論から言うと、個人事業主は自分の給与を経費にできません。これは、そもそも個人事業主には「自分の給与」という概念がないからです。
個人事業主は「事業で得たもうけの金額から納める税金を差し引いたお金を、プライベートのお金、つまり給与と同じようなものとして、ある程度自由に使える」とされます。そのため「自分の給与」という概念はなく、経費にすることができません。
個人事業主は給与でなく事業主貸という勘定科目を使用
個人事業主は、事業のお金とプライベートのお金を区別して会計処理を行う必要があります。事業のお金は「現金」などの勘定科目で会計帳簿に記載し、個人のお金は記載しません。
ここで問題になるのが「事業の取引はすべて、帳簿に記載しなければならない」ということです。個人のお金を事業に使う、または、事業のお金を個人で使うなど、事業とプライベートの間でお金の行き来が常に発生します。
個人のお金は「現金」として記載できませんが、個人のお金を使う事業の取引は帳簿に記載する必要があります。この不都合を解消するために便宜上に使う科目が「事業主借」と「事業主貸」です。
自分の給与は経費にならないため、事業のお金を事業主に貸していると考えます。そこで「事業主貸」勘定を使って処理します。
「事業主借」と「事業主貸」については、次の記事で詳しく解説しています。こちらをご参照ください。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
税理士監修で、40ページ以上の情報がギュッと詰まったお得な1冊となっていますので、毎年使える保存版としてご活用ください。
個人事業主の事業主貸・事業主借の仕訳方法は?
ここからは、個人事業主の事業主貸・事業主借の仕訳方法について具体例で見ていきましょう。
<事業主貸>
事業のお金を事業主個人に貸していると考え、「事業主貸」勘定を使って処理します。
<事業主借>
個人のお金を借りて事業に使っていると考え、「事業主借」勘定を使って処理します。
「事業主貸」と「事業主借」の仕訳方法については、次の記事で詳しく解説しています。こちらをご参照ください。
確定申告における事業主貸・事業主借の会計処理方法は?
事業主貸と事業主借は便宜上の科目です。そのため、翌期に繰り越すことはなく、期末に残高を0円にする必要があります。
そこで、事業主貸と事業主借は、期末に元入金に繰り入れる会計処理をします。元入金とは、事業のために個人が用意したお金で、法人の資本金に近い意味合いをもつ勘定科目です。確定申告をする際に、期末に元入金に繰り入れる会計処理は、次の通りです。
会計ソフトでは、上記の会計処理は通常、翌年への更新時に自動で行われるため、仕訳の入力は不要です。
マネーフォワード クラウド会社設立は、個人事業主が法人成りを検討したほうがよいタイミングをまとめた「法人化を検討すべき7つのタイミング」を無料で用意しております。
創業支援に強い税理士監修で、ポイントがまとまったお得な1冊となっていますので、ぜひ将来を見据えた情報収集でご活用ください。
個人事業主は従業員への給与は経費にできる
個人事業主は、事業をする上で必要な支出が経費になります。本人への給与は経費になりませんが、従業員の給与はもちろん事業をする上で必要な支出であるため、経費にできます。
確定申告では、「収支内訳書(白色申告の場合)」または「青色申告決算書」の「給料賃金」欄に、1年間の金額を記載することで経費にできます。
青色申告なら家族への給与も経費にできる
所得税では、原則本人だけでなく家族への給与も経費にすることはできません。これは、家族はひとつの財布のもとに生活をしているという考え方があるためです。しかし、家業を手伝っている家族のことを全く考慮しないのは不平等になるため、白色申告では一定の控除が設けられています。
また、青色申告では家族への給与を経費にすることができます。ただし、事前に給与を支払う家族(専従者)の名前や仕事内容、給与の金額などを記載した「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。
青色申告における家族に対する給与の取り扱いについては、次の記事で詳しく解説しています。こちらをご参照ください。
自分の給与を経費にするには法人化(法人成り)しましょう
個人事業主は、青色申告をすることで家族への給与を経費にすることはできますが、自分の給与を経費にする方法はありません。
一方、法人であれば役員報酬として自分の給与を経費にすることができます。一般的に利益が大きい場合は、個人事業主よりも法人の方が節税メリットが大きいです。利益が大きく、自分の給与を経費にしたい場合は、法人化(法人成り)も検討しましょう。

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
よくある質問
個人事業主は、自分の給与を経費にできますか?
個人事業主は自分の給与を経費にすることができません。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主が、自分の給与を支払ったときに使う勘定科目は?
給与ではなく「事業主貸」勘定を使います。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主は、家族への給与を経費にできますか?
事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、青色申告をすれば経費にできます。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
確定申告 経費の関連記事
新着記事
ビジネスキーパーは個人事業主でも加入できる!メリット・保険料・補償内容を解説
個人事業主にとって、突発的なトラブルや自然災害による損害は、事業継続に大きな影響を与える可能性があります。三井住友海上の「ビジネスキーパー」は、そうしたリスクに備えるための総合事業保険で、火災・風水害・盗難・賠償責任・休業損害など幅広い補償…
詳しくみる個人事業主が秘書代行を導入するメリットは?選び方・料金・活用術まとめ
秘書代行サービスは、かつては大企業の役員秘書の代替として利用されていましたが、今では個人事業主やフリーランスにとっても日常業務の負担軽減や時間の有効活用を図るための有力な選択肢となっています。メール対応やスケジュール管理、資料作成などをオン…
詳しくみる特殊清掃で個人事業主として独立するには?開業までの準備や手続きを解説
特殊清掃業は、孤独死や事件現場、ゴミ屋敷など、一般の清掃では対応が難しい特殊な現場を対象とする専門的な仕事です。高齢化や単身世帯の増加により需要が高まり、個人事業主としての開業を目指す方も増えています。 本記事では、特殊清掃業をこれから始め…
詳しくみる働き方改革推進支援助成金とは?個人事業主向けの条件・申請方法・活用例を解説
働き方改革推進支援助成金は、中小企業や個人事業主が職場環境の改善や労働時間の見直し、生産性向上に取り組む際に活用できる制度です。対象となる取組にかかる費用の一部が助成されるため、経費負担を抑えながら、従業員の働きやすさや企業の持続性を高める…
詳しくみる【個人事業主向け】電話代行完全ガイド|メリット・注意点・おすすめサービスを解説
個人事業主にとって、電話対応は業務の中で大きな負担になりがちです。作業中の中断や外出中の着信、休日の対応など、限られた時間を圧迫する要因となることも少なくありません。そんな中、電話代行サービスを活用すれば、電話応対を外部に任せることで本業に…
詳しくみる電気工事士が個人事業主として独立するには?資格・費用・集客について解説
「いつかは自分の力で仕事をしたい」「技術を活かして独立したい」と考えている電気工事士の方は少なくありません。現場での経験を積む中で、自分の裁量で働きたい、収入を増やしたい、仕事の幅を広げたいという思いを抱くのは自然なことです。しかし、独立に…
詳しくみる