• 更新日 : 2025年7月7日

個人事業主の大型トラック運転手は稼げる?年収相場や経費管理のポイントを解説

大型トラックの運転手として独立し、個人事業主として働くことを検討している方にとって、年収や経費、税金の実態は気になるポイントではないでしょうか。会社員とは違い、自ら仕事を確保しながら収入を安定させるには、正確な情報と計画性が欠かせません。本記事では、大型トラックの運転手の年収相場や働き方の選択肢、税務知識、確定申告、経費管理を解説します。

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大型トラック運転手として開業した個人事業主の年収相場

大型トラック運転手が個人事業主として独立した場合、年収は働き方や状況によって大きく変動します。この業界では努力次第で高収入も可能と言われ、月収100万円を超える人も珍しくない一方、平均的な相場も把握しておくことが重要です。

一般的に、大型トラック運転手(社員)の平均年収は約480万円程度とされています。独立すれば「青天井」と言われるように収入アップのチャンスがありますが、実際の手取りは経費次第で変わります。近年ではEC需要の拡大やドライバー不足により、フリーランスドライバーの需要も高まっています。2024年には労働時間規制強化(いわゆる「2024年問題」)が始まり、社員ドライバーの残業時間上限が年間960時間に制限されました。その結果、従来より残業代を含めた年収が約62万円減少するとの予測もあります。こうした規制により運送各社は人手不足を補う必要が生じており、個人事業主としての働き手に新たなチャンスが生まれる可能性もあります。全体として、大型トラック運転手のフリーランス年収は平均では400万〜500万円台ですが、工夫次第でそれ以上を目指せる環境になりつつあると言えるでしょう。

大型トラック運転手の年収は働き方で変わる?

大型トラック運転手が個人事業主として稼ぐ収入は、どのような業務形態で働くかによって大きく変わります。業務委託、フランチャイズ、自営開業など、それぞれに収入面やリスク、自由度の違いがあります。ここでは代表的な3つの働き方とその特徴について解説します。

業務委託(下請け)

運送会社や物流企業と業務委託契約を結び、自身のトラックを使って元請け企業の仕事を請け負う形態です。元請けからの紹介で荷主や配送先が確保されるため、営業活動を自分で行う必要が少なく、安定した仕事を得やすい点が利点です。その一方で、契約内容によっては手数料やマージンが差し引かれ、運賃単価が低く設定される傾向があります。一般的には、経費を引いた後の年収は330万円前後とされるケースが多いですが、契約内容によって収入は変動します。手取り額を左右する委託料率などの条件を十分に精査し、信頼できる取引先と契約を結ぶことが大切です。

フランチャイズドライバー

宅配便大手やネット通販系の配送網にフランチャイズ形式で加盟し、指定されたエリアの配達業務を請け負う方法です。会社側から配達システムや制服などが提供され、個人事業主でありながら組織的なサポートを受けながら働ける点が特徴です。継続的に荷物が割り当てられ、繁忙期には仕事量が増えることで収入を伸ばすことも可能です。フランチャイズ料やロイヤリティがかかる一方で、比較的単価の高い荷物を扱うケースが多く、平均年収は380万円前後になることが多いとされています。実力や配達件数次第では年収600万円以上に達する例もあり、やりがいを感じやすい働き方と言えるでしょう。

完全に自営で開業する場合

自ら運送業の許可(緑ナンバー)を取得し、自営業者として独立運営する形態です。この場合、荷主と直接契約を結ぶことができるため、中間マージンを排除し運賃全体を収益とすることが可能です。ただし、一般貨物運送業の開業にはトラック5台以上の保有や運行管理者の設置など厳しい条件があり、初期投資や人員の確保がハードルとなります。そのため、まずは1人親方として業務委託で経験を積み、事業の収益基盤ができてから段階的に完全自営に移行する方法が現実的です。独立性は高くなるものの、営業や債権管理などすべての業務を自己責任でこなす必要があるため、ビジネスとしての自立力が問われる働き方です。

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個人事業主の"経費"、うまく活用できていますか?

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大型トラック運転手として開業した場合の経費

個人事業主の大型トラック運転手が高収入を得ても、そこから経費を差し引いた手取りが実際の利益となります。ここでは事業を行う上で避けられない主な経費項目と、経費と収入のバランスについて解説します。

主な経費の内訳

大型トラックで事業を営む場合、経費には以下のようなものがあります。

  • 燃料費・高速代
    長距離輸送が多ければ軽油などの燃料代がかさみ、さらに高速道路料金や有料道路代も発生します。燃費の悪い大型車では燃料費は特に大きな割合を占めます。
  • 車両の維持費
    トラックの定期点検やオイル交換、タイヤ交換などの整備費、故障時の修理代が必要です。車検も大型車は費用が高く、数十万円規模になることもあります。
  • 車両購入費・リース料
    トラックをローン購入している場合の月々の返済、またはリース契約の場合のリース料も経費です。中古でも大型車は高額なため、購入費用を減価償却で計上する形になります。
  • 自動車関連税金
    大型車特有の自動車税・重量税などの税金も毎年支払います。車両総重量や用途に応じて税額も高く、事業コストになります。
  • 保険料
    自賠責保険に加え、任意の自動車保険(対物・対人補償)や貨物保険に加入すればその保険料も必要です。事故時のリスクに備えるためのコストです。
  • 事業運営費
    事務所を構える場合の家賃・光熱費、電話や通信費、荷待ちの駐車場代、業務で使う消耗品費なども含まれます。自宅兼事務所なら按分計上となります。
  • 人件費(必要に応じて)
    基本は一人で業務をこなすとしても、繁忙期に助手やアルバイトを雇えばその報酬も経費です。また家族が事業を手伝う場合、青色申告なら専従者給与として経費計上も可能です。

経費と手取りのバランス

上記のような経費は、売上(運賃収入)が増えれば増えるほど比例して増大する傾向があります。そのため売上のすべてが利益になるわけではありません。一般的に個人事業主の経費割合は「売上の5〜6割程度」が目安と言われています。大型トラック運送業でも、売上の半分前後は燃料や維持費などに消えると考えておいた方がよいでしょう。例えば年商1,000万円を達成しても、経費が仮に50%かかった場合、実際の利益(手取り)は約500万円に目減りします。

前述の年収330〜380万円という数字は経費控除後の手取り額です。裏を返せば、経費控除前の総売上は600〜700万円程度あった可能性があります。効率よく高収入を得るには、経費の節減も重要です。具体的には、燃費の良い運転を心がけて燃料消費を抑える、安価な燃料調達ルートを確保する、高速代の節約ルートを検討するなど日々の工夫が積み重ねになります。また、トラックを丁寧に扱い故障を防ぐことで修理費のリスクを減らし、定期点検を怠らないことで大きなトラブルを未然に防ぐことも大切です。

さらに、個人事業主は社会保険も自己負担である点に注意しましょう。会社員であれば厚生年金や健康保険は会社が一部負担してくれますが、独立すると国民年金や国民健康保険に全額自己加入となります。国民年金は定額(月約1.7万円)ですが、国民健康保険料は前年所得に応じて増減します。これらは事業経費ではありませんが、手取りから支払うコストとして家計に影響します。高収入を得てもその分税金や保険料も増えるため、可処分所得(自由に使えるお金)をシミュレーションしておくと安心です。

大型トラック運転手として開業した個人事業主の税金と確定申告のポイント

個人事業主として大型トラック運送で得た収入には、所得税・住民税・事業税・消費税といった様々な税金がかかります。確定申告では、これらの税務処理に加え、大型トラック運転手ならではの経費や制度の扱いについても注意が必要です。

燃料費・維持費の記録は正確に残す

トラック運転手の経費の多くを占めるのが、軽油やガソリンなどの燃料費、そしてタイヤ・オイル・ブレーキパッドなどの消耗品費や車検整備費などの維持費です。経費として計上するには、支払時のレシートや明細をきちんと保管することが前提となります。現金払いよりも法人用カードやETC利用を中心にすることで、支出履歴を記録として残しやすくなります。紙の領収書はスキャンや写真保存をし、後日の確認にも備えておくと安心です。

トラックは高額資産、減価償却を正確に行う

大型トラックを購入した場合、その費用を一括で経費にはできません。車両は固定資産として計上し、耐用年数にわたって減価償却を行います。新車の場合、税法上は5~6年が一般的な耐用年数とされ、中古車では経過年数によって短縮されることがあります。減価償却を適切に行うためには、取得価額、使用開始日、耐用年数を明確に記録し、毎年の減価償却費を計算して帳簿に反映させる必要があります。不明な場合は税理士や青色申告会で相談しながら対応するのが安全です。

自家用兼用のトラックは按分処理が必要

トラックが業務専用であれば全額経費にできますが、自家用も兼ねている場合は「家事按分」が必要になります。これは事業用と私用の利用割合を基に経費を按分(分ける)処理で、例えば月の走行距離のうち80%が業務であれば、車両関連費の80%のみを経費とします。税務署から確認があった際に説明できるよう、走行記録や業務日誌を簡単にでもつけておくと、按分率の根拠を示す材料になります。

出張・荷待ち・運行関連費用の判断

長距離運行にともなう高速道路料金、荷待ち中の有料駐車場代、夜間の仮眠施設利用費などは、事業上必要であれば経費として認められる可能性が高い支出です。また、安全のための装備(作業手袋、雪用チェーン、LEDライトなど)や、スマートフォンの業務アプリ・運行記録ソフトも業務使用目的が明確であれば経費処理が可能です。ただし、生活用品やプライベート目的の買い物を混在させないよう、業務との関連性を証明できる状態にしておきましょう。

税務調査では帳簿と実態の整合性が問われる

トラック運送業は経費の種類が多岐にわたり、かつ現金取引も多いことから、税務調査が入りやすい業種とも言われています。

税務署は帳簿上の数字だけでなく、現場での実態と整合性があるかを重視します。そのため、日々の取引内容をきちんと帳簿に記録し、現金での取引でも内容がわかるよう記録と領収書を残しておく必要があります。帳簿、領収書、実際の事業内容の3点が一致していれば、税務署からの指摘リスクを減らせます。

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大型トラック運転手として安定収入を得るためのポイント

大型トラック運転手として個人事業主になると、収入が月ごとに変動しやすくなります。しかし、いくつかの工夫を実践することで、より安定した稼働と収入を確保しやすくなります。ここでは、継続的に仕事を受けるための視点を紹介します。

定期契約を確保する

スポット(単発)の配送案件だけに頼っていると、繁忙期と閑散期の波を受けやすくなります。そこで、特定の荷主と定期契約を結ぶことで、安定したベース収入を確保できます。たとえば、週1回のルート配送や曜日固定の便を持てば、計画的に売上を見込めるようになります。単価はやや低めでも、空きのないスケジュールで稼働できるという意味では、安定性の高い仕事です。

荷物の融通で効率アップを図る

運送業では、行きの便に荷物を積んでも、帰りが空車になってしまうと収入機会を逃すことになります。可能であれば、往復便で荷物を積むよう調整したり、行き先近郊で帰路用の荷物を探す工夫が求められます。最近では、空車を登録することで帰り便の仕事をマッチングしてくれるアプリやWebサービスも存在し、効率的な運行計画に役立ちます。

繁忙期と閑散期を見据えて稼働する

物流の需要には波があり、年末や年度末などの繁忙期と、需要が落ち着く閑散期があります。繁忙期には仕事の依頼が増えるため、極力仕事を断らず受注することが増収の鍵です。一方で、閑散期はあえて休息や車両整備に充てるなど、無理のないスケジュールを組むことで効率と健康を保てます。繁忙期に得た収入を貯蓄しておけば、閑散期の生活資金として活用でき、年間を通じた安定につながります。

支出管理と将来を見据えた貯蓄

運送業では、突発的な出費も少なくありません。車両の故障やタイヤ交換、大型の車検など、1回あたり数万円〜数十万円の支出が発生する可能性があります。日頃から経費の見直しを行い、無駄な支出を抑えるとともに、月々の収入から一定割合を将来の修繕費や税金の支払いに備えて積み立てておく習慣が望まれます。蓄えがあることで、収入が減った月でも精神的な余裕を持って対応できます。

健康管理と安全運転の徹底

個人事業主のトラックドライバーは、自らが体調を崩したり事故を起こしてしまえば、そのまま収入がゼロになるリスクを抱えています。長距離運転による疲労や睡眠不足を避けるため、定期的に休息を取り、栄養管理や運動習慣を意識することが大切です。また、事故や交通違反によって運転業務の継続が困難になることもあるため、安全運転を徹底し、リスク管理の意識を持って日々の業務に臨むことが、結果として安定した収入を守ることにつながります。

高年収を目指す個人事業主ドライバーへの第一歩

大型トラック運転手として個人事業主になる場合、収入のポテンシャルは大きいものの、その実態は「収入-経費」として見極める必要があります。平均的な年収相場を踏まえつつ、経費管理や税務手続きを適切に行えば、会社員時代以上の手取りを得ることも十分可能です。まずは焦らずに着実に経験と信頼を積み重ね、安定した仕事の確保と計画的な運営を心がけましょう。最新情報にアンテナを張りながら、自身の努力で切り開いた道で高年収を実現する個人事業主ドライバーを目指してください。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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