• 作成日 : 2021年7月30日

確定申告と一般口座の関係をわかりやすく解説

確定申告と一般口座の関係をわかりやすく解説

株式等の取引をする場合は「一般口座」と「特定口座」のいずれかで取引をします。証券会社が管理する特定口座ではなく一般口座を利用している方は、ご自身で確定申告をしなければなりません。

確定申告は基本的に必要ですが、一定の条件で不要になる場合もあります。一般口座での株式の所得、損失によって確定申告を行うかどうか仕組みを理解して判断するとよいでしょう。

そこで今回は、確定申告と一般口座の関係性と仕組み、申告の際の申告書の書き方などについて紹介します。また、あわせて確定申告を忘れた場合の対応についてもみていきましょう。

一般口座とは

「一般口座」とは、証券会社が管理している特定口座やNISA口座とは異なり、投資家本人が損失の計算をして確定申告を行う口座です。株式などの譲渡で利益を得た際に発生する「譲渡益課税」は、他の所得と分離して税額を計算する「申告分離課税」が適用されます。

その年1年間の譲渡損益を計算した結果、損失が出た場合には確定申告は不要です。株式などの譲渡損益の仕組みには、損失のうちその年に控除しきれない金額がある場合に、翌年以降の3年間に繰越控除ができる「譲渡損失の繰越控除制度」があります。

ただし、この制度を利用するためには、確定申告をしなければなりません。また、制度利用時だけでなく損失が出続けている間は、毎年申告が必要です。

一般口座の株取引で利益が出たら確定申告が必要

一般口座で株式などの取引をしている場合は、自身で利益や損失、税額の計算をします。株式等の譲渡で利益を得た際には分離課税の対象となるため、確定申告が必要です。

まず、株取引によって損益を出す方法を紹介します。損益の計算をする前に「取引報告書」を集めておきましょう。特定口座の場合は、年間での株式などの取引をまとめた報告書がもらえます。

しかし、一般口座の場合には、株取引ごとの報告書を自分でまとめて計算しなくてはいけません。計算式は、以下の通りです。

譲渡収入金額-(取得価額+譲渡手数料+負債利子+消費税+経費)

一般口座では「特定口座年間取引報告書」は発行してもらえません。そのため、株取引ごとに発行される「取引報告書」をまとめて、ご自分で収支を計算したうえで確定申告を行うことになります。計算結果がプラスなら利益を得ている、マイナスなら損失がある状態です。

確定申告を忘れてしまったら?

「確定申告を忘れてしまっていた」「譲渡益の計算をしておらず、確定申告の対象になると知らなかった」という場合に、申告期限を過ぎると発生するものが「無申告加算税」です。

確定申告の際に納める税金とは別に、延滞した分の税金が加算されます。税務署から指摘される前に申告した場合でも、税額に対して5%の加算をされます。

さらに、税務署の指摘や調査を受けてなお確定申告をしない場合には、無申告加算税に加えて「重加算税」が40%上乗せされるため注意が必要です。よって、確定申告が必要だと分かった際には、できる限り早めに申告しましょう。

確定申告書の書き方

確定申告書の書き方

株式等の譲渡益が発生している場合には、その旨を確定申告書に記載しなければなりません。所得以外の収入があった場合や、フリーランスや個人事業主が確定申告を行う際にも使用します。

申告書は国税庁や市区町村の担当窓口で受け取れます。また、Webサイトからのダウンロードも可能です。書き方がわからずつまずかないためにも、確定申告書の正しい書き方を知っておきましょう。

申告書B第一表

「申告書B第一表」は、自身の名前や住所などの基本情報、所得や納税する金額を記載します。収入等の金額は、先ほど紹介した取引報告書をもとに計算するため、手元に準備してから取り掛かりましょう。記入が必要な欄は、以下の通りです。

  1. 収入金額
  2. 給与等で得た1年間の収入金額を記入。

  3. 所得金額
  4. 所得金額とは、収入金額から必要経費を差し引いた金額。必要経費は、給与を得るために使った経費のことで、交通費やパソコン代など。

  5. 所得控除金額
  6. 所得に適用される控除とその金額を記入。所得金額が2,400万円以下の人であれば、一律38万円の控除が受けられる。また、生命保険料や医療費の控除を受けている場合は、その旨を記載。提出の際は添付書類として控除証明書を提出する。

  7. 税金の計算
  8. 課税される所得にかかる税額を求める計算をして記入。

    所得税額=課税所得×税率-控除額

    (計算の際に使う税率と控除額は、所得金額によって変動する)

    課税される所得金額税率控除額
    1,000~1,949,000円5%0円
    1,950,000~3,299,000円10%97,500円
    3,000,000~6,949,000円20%427,500円
    6,950,000~8,999,000円23%636,000円
    9,0000,000~17,999,000円33%1,536,000円
    18,000,000~39,999,000円40%2,796,000円
    40,000,000円以上45%4,796,000円

    <参考>国税庁 手順4 税金の計算をする 

  9. 還付される税金の受取場所
  10. 所得税が還付される場合に、受取場所になる口座の情報を記入。

申告書B第二表

「申告書B第二表」には、収入の内訳を記載します。また、医療控除や社会保険料控除などの所得から引かれる金額も記載事項です。

給与等の収入だけでなく、株式等の譲渡益などの一時的な所得がある場合には、「雑所得、総合課税配当所得・譲渡所得、一時所得に関する事項」にその旨を記入しましょう。一般的な記入の流れは、以下の通りです。

  1. 源泉徴収票をもとに、所得の内訳を記入。
  2. 源泉徴収票の「社会保険料等の金額」から、該当する控除とその金額を記入。
  3. 住民税の納付方法を給与から天引きにするか、自分で納付かを選択して丸をつける。

株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書1面、2面

申告書第一表、第二表が記入出来たら、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を作成します。この書類は、株取引によって発生した収入を記載するものです。

収入金額は、証券会社からの取引報告書を確認して記入します。記入する欄とその流れは、以下の通りです。

  1. 譲渡所得等の合計収入金額を、取引報告書をもとに記入。(2面)
  2. 取得費および譲渡に要した費用(経費)を記入。(2面)
  3. 2面で記入した金額の合計を、1面の記入欄にいれる。
  4. 株取引による所得金額を計算して記入。

申告書第三表

「申告書第三表」は、分離課税用の確定申告書です。株の譲渡益が発生した場合には、給与などとは別計算で課税を行います。上記の明細書の記入が済んだら、その内容をもとに記入しましょう。記入する欄とその流れは、以下の通りです。

  1. 明細書の内容をもとに、株取引等による収入を記入。
  2. 計算明細書の「繰り越し控除後の所得金額」をもとに、株取引の所得金額を記入。
  3. 株所得と給与所得の課税される金額を計算して記入。

このように、確定申告の書類は多岐にわたります。何から書き始めたらよいか分からず放置してしまうと、申告の期限が過ぎてしまう可能性があるでしょう。

また、源泉徴収書や取引報告書といった添付書類が手元にないと、正確な金額が記入できない欄があります。事前に申告書と必要書類が揃った段階で記入していくのをおすすめします。

一般口座の株取引で損失が出た場合は?

株取引等の譲渡損益を計算した際に損失が出てしまった場合には、基本的に確定申告をする必要はありません。しかし、確定申告すれば損失分を他の利益や配当分と相殺でき、所得税を減らせる「損失通算」が可能です。

また、全ての取引を損失通算しても、損失が出てしまう場合には「譲渡損失の繰越控除」という制度が利用できます。損失によって控除しきれなかった分を、その年から最長3年間繰り越して控除できるものです。

損失分を控除できるため便利な制度ですが、デメリットもあります。控除を受ける3年間は、毎年確定申告が必要です。株の売却をしなかった場合も申告は必須のため、注意しましょう。

株式等の譲渡益の確定申告が不要なケース

前述のとおり、確定申告が不要なのは株取引による譲渡損が出ているケースです。基本的に譲渡益が発生している場合は、確定申告が必要となります。

ただし、年間を通して譲渡益と配当金を合わせた金額が20万円以下の場合は、確定申告の対象外となります。20万円以下で確定申告不要となる人には条件があります。条件は以下の通りです。

  • 所得金額の合計額が、所得控除の合計額より少ない
  • 1ヶ所から給与の支払いを受けている人で、年収が2,000万円以下
  • 公的年金等の収入金額が400万円以下

このほかにも、源泉徴収ありの特定口座を使って譲渡益が発生した場合は、申告が不要です。特定口座であっても「源泉徴収なし」の場合は、確定申告の対象となります。

確定申告と一般口座の関係を正しく理解しよう

一般口座を使用して株式等の譲渡損益がある場合、利益や損失の有無にかかわらず確定申告が必要かどうか判断する必要があります。確定申告は、複雑な書類の記入方法や、利用できる制度を理解しておくと便利です。今回紹介した内容以外に、確定申告で気になることや詳しく知りたいことがあれば、下記のページを参考にしてみてください。

よくある質問

一般口座の株取引で利益が出たら確定申告は必要?

一般口座で株取引を行っている場合には、自身で取引の損益や税額を計算し、確定申告の必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

確定申告を忘れてしまったらどうなる?

確定申告を忘れた場合は早めに確定申告が必要であり、確定申告が遅くなると納める税金とは別に、無申告加算税を納めなければならないケースがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

株式の譲渡益の確定申告が不要になるケースは?

年間を通して株式等の譲渡益が生じる場合は原則、確定申告が必要です。ただし、「源泉徴収ありの特定口座を利用している」もしくは「年間を通して株式等の譲渡損が出ている」場合は確定申告を必要としません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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