- 更新日 : 2025年1月22日
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の特徴と年末調整・確定申告
この記事では「iDeCo(イデコ)って得する?」「iDeCoと税金とどう関係があるの?」という疑問がある方に向けて、税金との関係からiDeCoの年末調整・確定申告の方法を解説していきます。
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目次
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iDeCoとは?
iDeCo(イデコ)とは、60歳以降の老後に備えることを目的とした任意で加入できる個人型確定拠出年金のことです。iDeCoは「individual-type Defined Contribution pension plan」の略称です。国民年金や厚生年金は加入の義務がありますが、iDeCoは加入の義務がなく自分自身の選択で加入できます。
年金制度には、企業型と個人型があります。企業型は務めている企業が毎月一定の掛金を積み立てる(企業が支払う)のに対して、個人型は個人で毎月一定の掛金を積み立てます(個人が支払う)。
なお、手続きに時間がかかるので余裕をもって転職前までにiDeCoに加入することで企業型確定拠出年金からiDeCoへ移行することをおすすめします。
iDeCoの掛け金と運用
iDeCoを始めると、掛金を設定して毎月積み立てを行います。掛け金は月5,000円以上から1,000円単位で自由に設定することが可能です。
積み立てた資金は、自分自身で選択した運用先で運用されます。iDeCoの運用先は、定期預金、保険、株式や債券などの金融商品であり、自分自身で投資配分を決めることができます。
運用方針は大きく2つあり「元本確保型」と「元本変動型」があります。「元本確保型」は基本的に元本割れしませんが、その分、運用益が小さくなる特徴があります。「元本変動型」は投資信託を購入するもので元本割れの可能性がありますが、「元本確保型」よりも運用益が見込めます。また、どちらか一方ではなく、2つのバランスを取ることも可能です。
iDeCoと投資信託の違い
資金の運用面では投資信託とほぼ同じiDeCoですが、iDeCoはあくまでも年金です。したがって、投資信託と比較すると資金の引き出しと税金面で違いが生じてきます。まとめると以下の表になります。
運用先 | 定期預金、株式や債券など | 同左 |
毎月の支払い | 一定金額を支払う 全額所得控除が可能 | 一定金額を支払う |
資金の引き出し | 基本的に60歳まで不可 60歳未満の引き出し要件が厳しい | 基本的にすぐに引き出し可能 |
税金面 | 運用益:非課税 満期の受取:一定額まで非課税 | 運用益:課税 満期の受取:課税(償還差益) |
投資信託は税金面では運用益に課税される分、解約に制限が無く、資金が長期的に拘束されることがありません。それに対してiDeCoは税金面で優遇される分、基本的に60歳まで資金が拘束されます。
iDeCoのメリット
iDeCoのメリットは、税金の優遇です。税金面でのメリットを3つ挙げて、それぞれ詳しく解説していきます。
掛金は全額所得控除
1年間に支払ったiDeCoへの掛金は、全額所得控除が適用されるため、所得税や住民税が軽減されます。
所得がある程度ある個人の方は、iDeCoに加入することで節税と同時に将来の年金を積み立てることができます。例として毎月5,000円積み立てた場合は、年間で6万円(12カ月×5,000円)の所得控除が適用されます。
運用益の非課税
iDeCoで運用した収益には、税金がかかりません。iDeCoの収益の内容は、預金や債券の利息、株式の配当や売却益などです。
投資信託や個人でこれらの収益があった場合には税金がかかりますが、iDeCoではかかりません。投資信託や個人でこれら金融商品の運用益があった場合には税金がかかりますが、iDeCoではかかりません。
受取時の所得控除
iDeCoに加入し60歳以上になると、それまでに積み立てた資金の受取が可能になります(受け取りたい時点でiDeCoへの加入期間が10年以上必要)。
受取方法は、年金(毎月一定額を受け取る)か一時金(一度に全額を受け取る)の2通りがあります。年金受取の場合は「公的年金等控除」が適用され、一時金受取の場合は「退職所得控除」が適用されます。
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iDeCoのデメリット
iDeCoのデメリットは大きく3つあります。それぞれ詳しく解説していきます。
60歳にならないと引き出せない
iDeCoは基本的に60歳まで引き出すことができません。60歳時点でiDeCoの加入期間が10年未満の場合は引き出し開始時期が遅くなっていきます。
iDeCoを60歳までに解約し、積み立てた資金を受け取るには以下の条件のすべてを満たすなど、要件があります。また、「脱退一時金」の請求ができても支給可能かどうかは裁定の結果によります。
- 60歳未満であること
- 企業型確定拠出年金加入者でないこと
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できない者であること
- 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
- 確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではないこと
- 通算拠出期間が5年以下、又は個人別管理資産の額が25万円以下であること
- 最後に企業型確定拠出年金又は個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者の資格を喪失した日から2年以内であること
引用:脱退一時金の請求手続き<支給要件>|iDeCo公式サイト
上記のようにiDeCoを解約・脱退する条件は厳しいものになっています。毎月の掛金が負担になる場合は掛金を変更することや、掛金を停止することができます。
掛金の限度額がある
iDeCoの掛金には限度額があります。たくさん積み立てて節税したい方にとってはデメリットになります。上限は以下の通りです。
自営業者 | 6.8万円 | 81.6万円 |
会社員(注) | 1.2万円~2.3万円 | 14.4万円~27.6万円 |
公務員 | 1.2万円 | 14.4万円 |
専業主婦 | 2.3万円 | 27.6万円 |
注:会社員の場合、企業年金の有無、企業型DC(企業型確定拠出年金)の有無によって異なります。
手数料がかかる
iDeCoの手数料は、加入時の手数料と月々の手数料があります。加入時の手数料は、2,829円でどの金融機関でも基本的に同じです。月々の手数料は金融機関によって異なります。iDeCoは長期的に運用することになるため、月々の手数料が安い金融機関を選びましょう。
iDeCoに向いている人の特徴
iDeCoに向いている人の特徴は以下の通りです。
- 毎年安定した所得がある人
- 老後資金を準備したい人
- 20代や30代の若い人
iDeCoのメリットは節税にあるため、節税の恩恵を受けることが重要になってきます。所得控除の恩恵を受けるためには、そもそも所得控除の金額(iDeCoの年間の掛金)よりも所得(年間の利益金額)がなければいけません。したがって、iDeCoは毎年ある程度の所得が見込める人に向いています。
また、老後資金を準備したいという理由がある場合は、iDeCoの引き出し制限がデメリットになりにくくなります。したがって、老後資金に備えるという意味ではiDeCoは選択肢の1つになります。
最後に、20代や30代の若い人はiDeCoの節税期間、運用期間が長くなるためメリットが大きくなります。資金に余裕がある場合や毎年安定した所得が見込める場合は、iDeCoが向いています。
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iDeCoを使った年末調整・確定申告で気を付けること
iDeCoに支払った掛金は、所得控除である「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、結果として支払う税金が安くなります。そのための手順は、年末調整と確定申告で異なります。
年末調整の場合
勤務先の会社から「給与所得者の保険料控除申告書」という年末調整のための書類を受け取り、画像部分の右下にiDeCoに支払った年間の掛金総額を記入し、提出します。
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
確定申告の場合
まずは、画像のように確定申告書第一表の「小規模企業共済等掛金控除」欄に年間の掛け金総額を記入します。
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
次に、確定申告書第二表の「小規模企業共済等掛金控除」欄に掛金の種類と支払掛金を記入します。令和4年分の申告より社会保険料控除と同じ欄を使用することになりました。
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
最後に添付書類として「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付し確定申告書を提出します。この証明書は、国民年金基金連合会から届くため確定申告まで大切に保管しておきましょう。
iDeCoの加入を検討しましょう
iDeCoは年金制度であるため、資金の引き出し制限がある反面、節税の恩恵というメリットがあります。iDeCoに加入するとその影響は長期間に及ぶため、よく調べて検討しましょう。
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よくある質問
iDeCoとは?
iDeCo(イデコ)とは、60歳以降の老後に備えることを目的とした任意で加入できる個人型確定拠出年金のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
iDeCoのメリットは?
iDeCoのメリットは、税金の優遇です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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