• 更新日 : 2023年8月29日

個人事業主が知っておきたい所得税の予定納税とは?

個人事業主が知っておきたい所得税の予定納税とは?

個人事業主は、6月ごろ税務署から「予定納税額の通知書」という通知を受け取ることがあります。個人事業主に課せられる予定納税とは、どのようなものでしょうか?

この記事では、予定納税の意義や基準額の計算方法、減額申請や延滞税、さらには還付について解説します。

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所得税の予定納税とは

所得税には「予定納税」という制度があります。その年の5月15日現在において、すでに確定している「前年分の所得金額や税額」を元に計算した「予定納税基準額」が15万円以上の場合には、その年の所得税の一部を申告の前に納付するという制度です。

したがって、予定納税はその年分の所得税の前払いとなりますが、納税義務がありますので通知された納税額を支払わない場合には延滞税が課されます(後ほど解説する減額制度により、支払いをまぬがれるケースもあります)。

予定納税基準額の計算方法

予定納税基準額の計算方法については、次の要件のいずれにも該当する場合には

前年分の申告納税額 = 予定納税基準額

となります。

上記に該当しない場合の予定納税基準額は、次のようになります。

前年分の課税総所得および分離課税の上場株式等に係る課税配当所得等の金額に係る所得税額 – 源泉徴収税額
= 予定納税基準額

この予定納税基準額が15万円以上の場合に予定納税の対象となり、税務署長から「予定納税額のご案内」が届きます。詳細については下記の国税庁サイトをご参照願います。
参考:No.2040 予定納税|国税庁

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予定納税の納付方法

予定納税の納付方法には3種類あります。

直接納付

直接納付とは金融機関や税務署で、納付書とともに現金で納付する方法です。便利なコンビニ支払いもありますが、納付額が30万円以下のときで、納付に必要なバーコード付き納付書の発行に時間がかかるなどのデメリットもあります。

振替納付

振替納税とは指定した金融機関の預金口座から予定納税を振替で納付する方法です。口座振替依頼書を提出するだけという簡単な手続きで、直接支払いに出向かなくて良いため、お手軽です。
なお、口座振替の依頼書は電子申告でも提出可能です。

電子納付

電子納税(ダイレクト納付)とは自宅から予定納税の納付手続きができる方法です。支払いに行く手間がはぶけるのに加え、窓口の時間を気にすることなく納付できます。利用には、前もって「e-Taxの開始届出書」や「ダイレクト納付利用届出書」の提出が必要です。

予定納税の支払期間

予定納税では、所得税の予定納税基準額の3分の1の金額について、7月中(第1期)と11月中(第2期)といった支払期間内に納めなければいけません。

予定納税は減額申請できる

予定納税は、原則として前年度の所得税額等を元に計算するため、年ごとに売上高や経費が異なる事業においては、前払いとして過剰に税金を支払うこととなるケースもあります。

例えば、業況不振が続いたり、災害などに遭ったり、所得控除が前年度と大きく変わる場合などさまざまな事情により、予定納税を求められる額が過大であることが予想できるときがあります。そこで、予定納税においては減額申請の制度が設けられています。

6月末において、所得税の見積りが予定納税基準額よりも少なくなる場合には、7月15日までに税務署長へ「予定納税額の減額申請書」を提出し、承認されると予定納税額は減額されます。

また、11月末期限の第2期分の予定納税額だけの減額申請については11月15日までに同様の減額申請を行います。この場合は、10月末においての所得税額を見積ります。

参考:No.2040 予定納税|国税庁

滞納の場合は延滞税がかかる

前述の通り、所得税の予定納税は納付の連絡が来た人に納税義務が発生します。予定納税は税金の前払いとはいえ納付期限を過ぎた場合には罰則があり、支払い忘れや遅れの場合には延滞税がかかってしまいます。延滞税とは、税金に対する延滞利息のような位置づけです。

延滞が2カ月以下の場合は、次の低い方が延滞税率になります。

  1. 原則として年7.3%
  2. 年「延滞税特例基準割合*+1%」 令和4年は年2.4%です。

延滞が2カ月を経過した場合は、以下の低い方が延滞税率になります。

  1. 原則として年14.6%
  2. 年「延滞税特例基準割合+7.3%」 令和4年は年8.7%です。

*延滞税特例基準割合とは、一定期間の銀行の短期貸出約定の平均金利から計算した割合で、前年の11月30日までに財務大臣が告示するものを言います。
延滞税は高い利率のため、納付のタイミングや減額申請のタイミングに注意するようにしましょう。
参考:納税環境整備に関する基本的な資料|財務省、延滞税・利子税・還付加算金について|財務省

確定申告で予定納税の支払い分が還付される

予定納税の支払分については、その後の確定申告によっては還付されることがあります。

予定納税はあくまで「予定」であるため、納付後に業績が下降したり、所得控除額に大きな変動があったりして、支払過ぎとなる場合があります。この場合には、還付申告によって納め過ぎの所得税が所定の口座に還付されます。

還付申告の期限については、支払った年の翌年1月1日から5年間となっていますので、過去に支払い過ぎがあった場合には還付申告が可能です。還付申告は、確定申告書の申告期限までに通常の確定申告書に記載して提出します。

参考:No.2030 還付申告|国税庁

還付加算金を受け取れる場合も

先述のように予定納税はあくまで前年度を基準とするため、実際の所得税納税額は予定納税額より少なくなり、確定申告により還付される場合があります。

還付される場合には翌年の確定申告の際に、還付額に加えて「還付加算金」と言われる金利を受け取ることが可能です。ここで注目すべきは、その金利の高さです。金利には以下のいずれか低い方が適用されます。

  • 年7.3%
  • 年「還付加算金特例基準割合+1%」(令和4年は年0.9%です。)

参考:納税環境整備に関する基本的な資料|財務省、延滞税・利子税・還付加算金について

銀行の定期預金の金利が0.001%〜0.3%などと低迷するのに比べて、年0.9%の金利は大きいと言えます。そのため、資金に余裕がある場合は、所得税納税額が減少する予定でも減額申請をしないで、後に還付加算金をもらうというのも良い方法でしょう。

納税準備預金も利用できる

納税準備預金とは納税に充てる資金を預けるための専用口座のことで、原則として納税の時にのみ引き出せるものです。したがって、予定納税を失念して延滞税を支払うことを考えると、納税準備預金は忙しい個人事業主などにはおすすめです。

その分、預金利息に対して通常20.315%かかる税金(所得税15.315%、住民税5%)を免除されたり、銀行によっては金利が高く設定されていたりするメリットがあります。

また、別に口座を作ることで資金繰りがやりやすくなり、予定納税の通知をもらった時に焦るといったことも避けられるでしょう。

予定納税をしたときの仕訳と勘定科目

予定納税は、所得税等の支払いとなりますので経費とはならず、基本的には会計仕訳には事業主勘定を利用します。

予定納税をしたときの勘定科目

予納税を現金で支払うこともありますし、預金から支払うこともありますが、確定申告において所得税を租税公課としないのと同様、予定納税も経費にはなりません。仕訳をすべき現金や普通預金から支払いをした場合には、「事業主貸」を利用することになります。

予定納税をしたときの仕訳

予納税額につき、プライベートの現金や事業と関係のない預金から支払った場合には、仕訳はありません。この場合においても、確定申告の時の根拠資料となりますので、支払った根拠は保存しておきましょう。

しかしながら、事業用の小口現金や事業用の口座から支払った場合には事業主貸を使って仕訳をします。

例)7月20日に第1回目の予納税80,000円を事業用の普通預金口座から支払った。

借方
貸方
適要
事業主貸80,000円普通預金80,000円第1回目予納税支払い

予定納税基準額を理解して、予納税を正しく納付しよう

個人事業主の予定納税は、サラリーマンにおいては源泉徴収に似たところがあります。どちらも早期に税金を確保するための手段であると言えます。前期と大幅に業績が異なる場合には、減額申請もありますし、支払い過ぎて還付される場合には加算金も付きます。予定納税基準額のしくみを知って、落ち着いて対応できるようにしましょう。

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よくある質問

所得税の予定納税とは?

当年の所得税を事前に分割納付する制度で、その年の5月15日現在において、前年分の所得税額等を元に計算した「予定納税基準額」が15万円以上の場合、その年の所得税の一部を申告の前に納付するというものです。詳しくはこちらをご覧ください。

予定納税の減額はできますか?

予定納税においては減額申請の制度が設けられていますので、期限までに申請をすることにより減額が可能です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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