- 更新日 : 2025年3月11日
個人事業主も社会保険適用拡大の対象!常時5人以上の個人事業所の対応を解説
社会保険の適用拡大により、個人事業主も社会保険加入が必要です。この記事を読めば、「個人事業主で社会保険が対象になる基準は?」「社会保険適用の事務手続きがわからない」という悩みを解決できます。本記事で、社会保険適用拡大の概要や、社会保険の仕組み等について確認していきましょう。
なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
チェックリスト付きなので、情報収集だけでなく、書類作成・申告手続きを行う時にもお使いいただけます。
この記事を読む方におすすめ
税理士監修で、40ページ以上の情報がギュッと詰まったお得な1冊となっていますので、毎年使える保存版としてご活用ください。
目次
「マネーフォワード クラウド確定申告」なら日々の取引入力→申告書の作成→申告作業が、オンラインで完結します。
取引明細の自動取得と仕訳の自動作成に対応しており、手入力を減らしてカンタンに記帳・書類を作成。来年の確定申告は余裕を持って対応できます。
PC(Windows/Mac)だけでなく、スマホアプリからも確定申告が可能です。

個人事業主も社会保険適用拡大の対象
法人だけでなく、個人事業主も社会保険適用拡大の対象です。2024年10月に法改正があって、社会保険の適用される事業所が増えました。
2024年の改正前にも直近では、2016年と2022年に改正があり、2016年から特定適用事業所が設定されます。特定適用事業所になると短時間労働者の社会保険加入が義務となります。
社会保険適用拡大の詳しい内容は、以下の記事をご参照ください。
社会保険適用拡大とは
2024年の社会保険適用拡大によって、常時51人以上の事業所は短時間労働者も社会保険適用となりました。改正前は501人以上の企業が対象だったため、大幅に対象事業所が拡大となります。
短時間労働者は、配偶者の扶養に入っているパートやアルバイトも多いです。社会保険が適用になると働けなくなる人も出てくるため注意するべきでしょう。
個人事業主が運営する「個人事業所」も社会保険適用拡大の対象
常時5人以上の従業員を雇用している個人事業所は、社会保険の強制加入が必要となりました。改正前は個人事業所の社会保険加入が必須ではなかったため、個人事業主固有のメリットでもあります。
しかし、社会保険の適用拡大によって個人事業所で社会保険に加入する場面が増えるため、条件や注意点などを確認していきましょう。
個人事業所が社会保険の強制適用となる条件
個人事業所が社会保険の強制適用となる条件は以下の2つです。
- 従業員が常時5人以上いること
- 法定17業種に該当すること
社会保険の適用条件は徐々に拡大されていますが、従業員の人数については条件が変更されることは少なくなっています。
従業員が常時5人以上いること
個人事業所に常時5人以上の従業員がいる場合は、社会保険の加入義務が発生します。常時という条件があるため、短期アルバイトや季節労働者は計算から除外しましょう。
また、社会保険加入義務がある従業員は70歳未満の年齢が対象のため、ベテラン従業員が多い場合は注意が必要です。
法定17業種に該当すること
社会保険の適用業種は法定17業種と呼ばれています。対象の業種は製造業や卸売業など、幅広い業種で社会保険の適用が必要です。
反対に適用対象外の業種は、農業や漁業などの食べ物に関わる業種が多くあります。第一次産業は、従業員の雇用形態が特殊なことも多いため、非適用業種に選ばれています。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
個人事業所の社会保険の適用拡大はいつから?
2022年10月1日、個人事業主の社会保険の適用範囲が拡大されました。具体的には、社会保険適用対象業種が16種類から17種類になりました。
この改正では、士業の社会保険適用が拡大となり、弁護士や税理士、公認会計士などが対象です。
対象の業種となっていても、従業員の数が定員以下であれば社会保険の適用拡大の影響を受けません。そのため、自分の業種と従業員数を確認して、社会保険適用かどうかを確認しておきましょう。
個人事業所が社会保険に加入する場合に必要な書類
個人事業主が社会保険加入に必要な書類は以下の3つです。
- 新規適用届
- 被保険者資格取得届
- 被扶養者(異動)届
新規適用届
新規適用届は、健康保険と厚生年金に初めて加入する時に提出する書類です。新規適用届の提出時には、3ヶ月以内に発行された会社の登記簿謄本の原本を添付します。登記簿謄本は、最寄りの法務局で簡単に発行可能です。
被保険者資格取得届
被保険者資格取得届は、従業員が健康保険と厚生年金の被保険者になるための書類です。役員や従業員を含めた被保険者全員分の提出が必要となります。申請書は、日本年金機構のホームページからダウンロードが可能です。
被保険者資格取得届を提出する場合は、基本的に添付書類が不要となりますが、60歳以上の人が退職後1日以内に雇用された時などは所定の書類を提出します。
被扶養者(異動)届
被扶養者届は、役員や従業員に扶養家族がいる場合に提出する書類です。被保険者資格取得届と同様に、日本年金機構のページからダウンロード可能となります。家族の確認書類として、住民票や戸籍謄本の添付が必要です。
マネーフォワード クラウド会社設立は、個人事業主が法人成りを検討したほうがよいタイミングをまとめた「法人化を検討すべき7つのタイミング」を無料で用意しております。
創業支援に強い税理士監修で、ポイントがまとまったお得な1冊となっていますので、ぜひ将来を見据えた情報収集でご活用ください。
個人事業所が社会保険に加入した場合の保険料負担額
個人事業所が社会保険に加入した場合は、個人事業主と従業員が折半で保険料を負担します。従業員の保険料は毎月の給与から天引きされて、事業主がまとめて保険料を支払う流れになります。
東京都で30代の従業員を毎月20万円で雇っている場合の事例を紹介してみましょう。
従業員の給与が20万円の時は、個人事業主の支払う健康保険料が9,980円、厚生年金保険料が1万8,300円です。合わせると毎月2万8,280円の負担で、年間にすると33万9,360円という大きな負担が発生します。
また、個人事業主の負担分は経費に計上できるため、事業主自身に発生する国民年金などと取り扱いが変わることにも注意しましょう。
個人事業所の社会保険適用拡大に関する今後の見通し
2024年10月1日施行の改正により、短時間労働者も社会保険の適用対象となりました。社会保険の加入義務が発生するのは、以下の要件を満たす従業員です。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
週の所定労働時間が20時間以上
週の所定労働時間は、雇用契約書や就業規則で決められた時間数を計算します。判断の基準は、短時間労働者の働く必要がある1週間の時間が20時間以上になるかどうかです。偶然忙しくなった場合などで残業が増えたとしても、20時間を超えたと判断することはありません。
月額賃金が8.8万円以上
月額賃金は、時給や日給の賃金額を1ヶ月に換算して判断します。注意点としては、賞与や一時的に支給される手当は計算から除外されることです。通勤手当や家族手当、割増賃金などを除いて、純粋な賃金を計算しましょう。
2ヶ月を超える雇用の見込みがある
2ヶ月以上雇用の定義には、更新が見込まれる契約や無期雇用の場合も対象となります。労働者を雇い入れた当初に契約期間が2ヶ月以内であった場合でも、就業規則に更新の可能性が記載されていることも多いです。
学生ではない
専門学校や大学などの学生は、社会保険適用拡大の対象外です。しかし、休学中の学生や夜間授業の学生、卒業前に就職している場合などは社会保険の対象になる可能性があります。
個人事業所の社会保険適用拡大への対応策
社会保険適用拡大への対応策は以下の2つです。
- 業務効率化により人件費を最適化する
- 助成金、補助金を活用する
社会保険は従業員が負担する金額の同額を事業主が負担するため、従業員の人数が多くなると大きな出費となります。そのため、社会保険の適用拡大に対して、事前に準備するべきでしょう。
業務効率化により人件費を最適化する
社会保険料は人件費が多くなると負担も大きくなるため、業務効率化によって人件費を最適化することで対策可能です。業務を効率化すると、同じ時間で大きな成果や売上を得られるため、社会保険料の負担が大きくても収益量で賄えます。
業務効率化の代表例として設備投資があり、一時的に大きな出費があったとしても後の人件費や社会保険料を削減することで、長期的に見て利益が伸びる仕組みです。
助成金・補助金を活用する
社会保険適用に伴って、助成金や補助金を活用することで、負担を軽減できます。
たとえば、キャリアアップ助成金では従業員に社会保険促進手当を支給して、助成金を受けられます。社会保険は給与天引きのため、従業員の手取りが減る仕組みです。
単純に社会保険を適用するだけだと、従業員からの反感が出てしまう可能性もあるため、助成金の利用で給与を上乗せ支給可能となります。
個人事業主が社会保険適用になる要件2選
個人事業主が社会保険の強制適用となる条件は以下の2つです。
- 従業員が常時5人以上いること
- 法定17業種に該当すること
個人事業主が社会保険の適用条件を覚えておくことで、従業員の採用人数を決める材料にできます。社会保険に加入することは従業員にとってはメリットにもなり得るため、社会保険が適用になりそうであれば、福利厚生として負担できる金額を確認しておきましょう。

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
個人事業主の所得税が0円になるのはどんなとき?所得税額の計算方法や確定申告について解説
事業の赤字が膨らんだ場合など、個人事業主の所得税が0円になることがあります。所得税が発生しない場合であっても、確定申告は必要になるのでしょうか。個人事業主の所得税や住民税、個人事業税、消費税が0円になるケースや確定申告の必要性について解説し…
詳しくみる【個人事業主向け】印鑑登録とは?やり方や必要なものを解説!
個人事業主として事業をするうえで、印鑑の必要な場面はいくつかあります。契約書を取り交わすとき、請求書を送るとき、また領収書を発行するときなど日常的な業務のなかでも印鑑は使います。 そのなかで、印鑑登録をすませた印鑑は、どのような扱いになるの…
詳しくみる個人事業主がAmazonビジネスを利用するメリットは?必要書類や登録手順も解説
Amazonビジネスは、法人や個人事業主の購入者向けに拡充されたサービスです。個人のアカウントとは、ビジネスに特化している点で違いがあります。個人事業主がAmazonビジネスを利用するメリットは何か、登録時の必要書類や登録の手順もあわせて紹…
詳しくみる個人事業主におすすめの店舗火災保険とは?保険料の相場や比較ポイントなど
店舗を構えて事業をしている個人事業主は、店舗火災保険に加入したほうがよいでしょう。なぜなら万が一、店舗が火災にあっても一定の補償を受けられるからです。 店舗火災保険は、保険会社によって保険料などが違います。今回は、店舗火災保険の保険料の相場…
詳しくみる屋号とは?使い方や確定申告との関係を解説
屋号とは、個人事業主やフリーランスが用いる会社名のようなものです。屋号を使うことで、事業内容がわかりやすくなったり消費者に覚えてもらいやすくなったりします。 屋号は確定申告の際に記載することができますが、必ず記載しなくてはいけないというもの…
詳しくみる個人事業主が自己破産したらどうなる?事業継続や必要な手続きについて解説
個人事業主が借金を多く抱えている場合、自己破産をして返済を免除してもらうことも可能です。ただし、裁判所への手続きが必要となり、自己破産すれば事業を営む、あるいは生活していく上で多数の制約も生じます。 今回は個人事業主が自己破産したらどうなる…
詳しくみる