- 更新日 : 2025年8月8日
働き方改革推進支援助成金とは?個人事業主向けの条件・申請方法・活用例を解説
働き方改革推進支援助成金は、中小企業や個人事業主が職場環境の改善や労働時間の見直し、生産性向上に取り組む際に活用できる制度です。対象となる取組にかかる費用の一部が助成されるため、経費負担を抑えながら、従業員の働きやすさや企業の持続性を高める施策を導入できます。従業員を雇用し、申請要件を満たしていれば個人事業主でも申請が可能で、制度の正しい理解と準備があれば効果的な活用が期待できます。
本記事では、制度の概要や申請条件、対象取組、税務処理、活用事例を解説します。
目次
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働き方改革推進支援助成金とは【個人事業主も申請可能】
働き方改革推進支援助成金は、中小企業事業主が「働き方改革」に資する制度を導入・改善する際に受けられる助成金制度です。残業時間の削減や年次有給休暇の取得促進など、生産性の向上につながる職場改革に取り組む企業を支援する目的があります。対象となる取組を実施し、定められた成果目標を達成することで、かかった費用の一部(経費の約3/4、上限額はコースごとに150万円~最大1,000万円程度)を助成金として受け取ることができます。
この助成金は「働き方改革」の名の通り、労働環境を整備して従業員の働きやすさと企業の生産性向上を図る取組全般が支援対象です。助成金のコースは目的別に複数用意されており、自社の課題に合わせて選択できます。例えば労働時間短縮や有給休暇取得促進に取り組む場合や、勤務間インターバル制度の導入といった場合など、コースごとに設定された要件を満たす計画を立てて申請し、計画実行後に目標をクリアすれば助成金が支給されます。
なお、本助成金は事前に計画申請を行い、交付決定を受けてから取組を開始する必要があり、事後申請はできません(申請手続きの流れは後述)。2025年度の募集時期は4月1日から11月28日までです。最新の公募情報は厚生労働省や各都道府県労働局の発表を確認するようにしましょう。
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助成金の対象となる事業主の条件
働き方改革推進支援助成金は、一定の条件を満たす中小企業が対象です。個人事業主であっても、従業員の雇用があり、労働関連の整備がされていれば申請可能です。ここではその対象条件について3つの視点から解説します。
中小企業事業主である
本助成金は「中小企業事業主」を対象としており、業種ごとに定められた資本金または常時使用する従業員数の基準を満たしている必要があります。たとえば、小売業は資本金5,000万円以下または従業員50人以下、サービス業は資本金5,000万円以下または従業員100人以下といったように、業種によって基準が細かく設定されています。個人事業主の場合、資本金の概念がないため、従業員数で判断されることになります。一般的な個人事業主で従業員が少数であれば、この基準を超えることはほとんどなく、規模要件は問題なくクリアできるケースが多いといえます。
労災保険の適用事業主である
この助成金を申請するうえで、最も重要とされるのが「労災保険の適用事業主」であることです。労災保険は、従業員を1人でも雇用していれば加入が義務となる制度であり、これに加入している事業所が対象とされます。つまり、完全に一人で事業を営んでいる個人事業主や、労災に特別加入している一人親方は、適用事業主には該当しません。そのため、助成金の対象外となります。一方で、アルバイトやパート、家族従業員であっても、給与を支払い、雇用契約を結んでいれば従業員とみなされます。従業員が1人でもいる個人事業主で、労災保険に加入していれば申請資格があります。自社の労災加入状況は申請前に必ず確認しておきましょう。
年5日の有給取得に向けた就業規則等の整備がある
助成金の対象となるには、従業員に対し年5日の年次有給休暇を確実に取得させる体制を整備していることも条件に含まれます。これは労働基準法の規定に基づくもので、年間10日以上の有給が発生する労働者については、事業主側が5日以上の取得を確保する義務があります。そのため、申請にあたっては、有給休暇の管理簿や、取得を促す社内ルールの策定、場合によっては就業規則の改定が求められます。中小企業では就業規則の作成義務がない場合もありますが、本助成金を申請するためには、こうした取り組みが文書化されていることが前提です。就業規則が未整備である場合には、社会保険労務士などの専門家に相談しながら事前に準備を整えることが推奨されます。
助成金の対象となる取り組み内容
働き方改革推進支援助成金は、職場環境の改善や労務管理の効率化を目的とした取り組みに対して支給されます。ただし、すべての経費が対象になるわけではなく、国が定めた一定の取り組み分野に該当する必要があります。
労務管理研修・周知活動の実施
人事労務担当者や従業員向けに、労働時間管理や制度導入に関する研修を行う場合、その講師謝金や資料代、会場費などが助成対象となります。たとえば、勤務間インターバル制度の導入や残業削減に関する研修などが該当し、外部講師の招聘や専門資料の購入費用も支援の対象です。ただし、研修中に発生する従業員の賃金そのものは助成されません。
外部専門家によるコンサルティング
社会保険労務士や中小企業診断士といった専門家による労務改善や制度設計支援の費用も対象です。就業規則の見直しや生産性向上のアドバイスなど、専門性の高い支援を受ける際の報酬も補助されるため、社内に十分なノウハウがない場合でも安心して取り組むことができます。
就業規則や労使協定の整備
新たな制度導入に伴い、就業規則や労使協定の作成・改定が必要になるケースがあります。その際の社労士への依頼料、改定に関わる会議の開催費、規定文書の印刷・製本にかかる費用なども対象です。制度の文書化を通じて労務管理の仕組みを整備することが目的となります。
人材確保につながる職場改善
採用ページの作成や自社サイトのリニューアルなど、採用強化のための取り組みも助成対象に含まれます。さらに、職場定着を促す社内制度の導入準備費用も該当します。ただし、求人広告費や人材紹介手数料のように、直接採用に関わる支出は対象外とされています。
労務管理機器・ソフトの導入
勤怠管理システムやシフト作成ツールの導入、打刻機器や勤怠端末の購入も助成対象です。クラウド型勤怠システムや指紋認証式打刻機など、生産性向上やミス削減に資する機器・ソフトの導入が認められます。ただし、パソコンやタブレットなどの汎用端末本体は対象外です。
助成金の申請手続きの流れ
働き方改革推進支援助成金を受け取るまでには、事前の準備と段階的な申請が必要です。主に「交付申請」「取組の実施」「支給申請」の3つのステップを踏む流れとなります。各段階での注意点も含めて解説します。
事前準備と交付申請
助成金の活用を決めたら、まず取り組む内容と目標を明確にした「実施計画書」を作成し、労働局などに交付申請を行います。
計画書には、選択する助成コース、現在の労働時間や有給取得状況、達成を目指す目標値を記載します。この申請が正式に受理され、交付決定通知を受ける前に機器の購入や契約、研修の実施を始めてしまうと、その経費は助成対象外となってしまうため注意が必要です。交付決定後に初めて事業に着手するよう、スケジュールを慎重に管理しましょう。
取組の実施と成果目標の達成
交付決定を受けたら、計画どおりの取組を実行します。取組実施期間は通常、その年度の1月末までなど期限が設けられており、それまでに成果目標の達成が求められます。たとえば残業削減が目的であれば、36協定の見直しやノー残業デーの導入、有給休暇促進が目的であれば就業規則の改定や取得状況の改善が必要です。経費の支払いは原則として銀行振込を基本とし、契約書や請求書、振込記録、研修受講記録などを証拠として保存しておきます。
支給申請と助成金の受給
取組完了後は、支給申請を行います。この際には、支出の明細、成果を示す書類一式を提出します。残業時間の削減であれば、その前後のデータや36協定の写し、有給取得率の向上なら管理簿や改定された規程などが必要です。労働局の審査を経て、成果が確認されれば助成金が支給されます。支給額は、かかった経費の3/4または設定された上限額のいずれか低い方です。成果未達や不備があれば不支給の可能性もあるため、最後まで慎重に対応することが大切です。
働き方改革推進支援助成金と確定申告・税務処理
働き方改革推進支援助成金を受け取った場合、その金額は所得税や消費税の面で適切に処理する必要があります。申告時に迷わないよう、課税対象としての取り扱いや消費税との関係を正しく理解しておきましょう。
所得税・事業所得としての扱い
助成金は原則として課税対象の収入です。個人事業主が働き方改革推進支援助成金を受給した場合、その金額は「事業所得」の一部として確定申告時に収入として計上します。帳簿上では「雑収入」などの勘定科目を用い、受け取った年度の事業収入に含めて申告します。法人の場合は「益金」として計上し、法人税の課税対象に含まれます。同時に、助成対象となった経費は従来どおり必要経費として差し引くことが可能です。結果として、助成金分だけ利益が増え、その分に課税がかかるイメージです。こうした処理を怠ると、後に税務署から指摘を受ける可能性があります。
消費税の取り扱いと留意点
助成金の受領は「消費税の課税取引」には該当しません。つまり、受け取った助成金に対して消費税を納める必要はなく、帳簿上では「不課税取引」として処理されます。ただし、課税事業者が助成対象の支出について仕入税額控除を行っている場合、助成金の一部に消費税相当額が含まれるとみなされ、後に返還や調整を求められることがあります。使った経費に係る消費税額については、申請額の算定段階において助成対象経費から除外して算定します。また、消費税額を含めて交付決定がなされた場合には、報告時に消費税を減額して報告します。処理が複雑になることもあるため、制度の交付要綱や税務ガイドラインを確認し、必要に応じて税理士に相談して正確な申告を行うようにしましょう。
従業員を雇用する個人事業主は働き方改革推進支援助成金の活用を検討しよう
働き方改革推進支援助成金は、中小企業や個人事業主が従業員の働きやすさを高める取組を支援する制度です。従業員を1人でも雇用し、労災保険に加入していれば個人事業主でも申請可能です。対象となる取組は、労務管理の研修や制度整備、業務効率化のための機器導入、人材定着を目的とした施策など多岐にわたります。申請には計画書の提出から成果達成・支給申請まで段階的な流れがあり、申請後は税務処理も必要です。自社の課題に合った取組を助成金で実現し、経営改善につなげていきましょう。
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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