- 更新日 : 2025年9月19日
個人事業主の住民税はいつ納付する?確定申告後の流れや納付方法を解説
個人事業主にとって、住民税は毎年必ず関わる地方税のひとつです。しかし、「いつから支払うのか」「どうやって納めるのか」「確定申告とどう関係するのか」など、会社員とは異なる納税の仕組みに不安を感じる方も多いかもしれません。
本記事では、住民税の支払い時期や確定申告との関係、納付方法、滞納時の対応や減免制度などについて解説します。
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個人事業主の住民税はいつから支払う?
個人事業主の住民税は、所得税と異なり自分で申告・即納付するのではなく、確定申告後に自治体が計算・決定し、納税通知書が届いてから支払う仕組みです。ここでは、住民税の課税時期や支払い開始のタイミング、非課税となるケースについて解説します。
前年の所得に基づき翌年度に課税される仕組み
住民税は、前年の1月1日から12月31日までの所得を基準に課税されます。たとえば、2024年分の所得について2025年2~3月に確定申告をすると、その情報をもとに自治体が2025年度分の住民税を計算し、納税通知書を発行し、これにより同年6月から納税が始まります。前年に所得がない場合(開業初年度など)には課税対象外となり、その年の住民税もかかりません。住民税は、その年の1月1日に住民登録がある市区町村に納付することになっており、途中で引っ越してもその年の納税先は変更されません。
住民税が非課税となるケース
住民税には、所得に応じた「所得割」と一律課税の「均等割」がありますが、どちらも所得が少ない場合や生活状況によって非課税になることがあります*。たとえば、扶養がない単身者で所得が45万円以下の場合、多くの自治体で非課税の対象となります。障害者や生活保護受給者なども、非課税とされる条件に該当することがあります。こうした場合、自治体からの納税通知書が届かないこともあるため、自身が非課税に該当するかは、前年度の所得額と自治体の基準を確認するとよいでしょう。
*2024年度以降は、住民税の均等割額とあわせて国税である「森林環境税」(1,000円)が徴収されます。この森林環境税も「均等割」が非課税となる場合は非課税となります。
確定申告後に住民税が決まるまでの流れ
住民税は、所得税のように申告と同時に納付するものではなく、確定申告を経て市区町村が計算・決定した後に支払う仕組みです。ここでは、確定申告から住民税納付までの流れを解説します。
ステップ1:確定申告を提出する
個人事業主は毎年、前年1月1日から12月31日までの所得に基づき、その年2月16日から3月15日までの間に所得税の確定申告を行います。確定申告書には、売上や経費、所得控除などを記載し、所得税額を自ら計算して申告・納税します。この所得税は「申告納税方式」と呼ばれ、税額を自分で計算して自ら納付します。
一方、住民税はこの確定申告書の情報をもとに、居住地の市区町村が後日税額を算定する「賦課課税方式」で課税されます。つまり、確定申告書を提出した段階では、住民税額はまだ決まっておらず、すぐに納税も発生しません。
ステップ2:自治体が住民税を算定し通知書を送付する
税務署に提出された確定申告書の内容は、データとして市区町村にも共有されます。これにより、地方自治体は所得や各種控除の情報を取得し、個人住民税(市民税・県民税)の所得割・均等割を計算します。住民税の計算方法は全国で基本的に共通しており、所得に対する10%前後の税率(市区町村税6%+都道府県税4%)がかけられ、さらに定額の「均等割」が課税されます。
住民税額が確定すると、各市区町村は毎年5月下旬から6月上旬にかけて、納税者に対し「住民税(市民税・県民税)納税通知書」を発送します。この通知書には、住民税額の内訳、納付方法、納期限などが記載されています。一般的には6月10日頃までに手元に届くケースが多いです。
ステップ3:通知書に基づいて納付する
納税通知書が届いたら、記載された納税額を所定の期日までに納付します。個人事業主は自ら住民税を納める「普通徴収」に該当し、納付は基本的に年4回(第1期:6月、第2期:8月、第3期:10月、第4期:翌年1月)に分けて行います。各期の納期限は自治体ごとに若干異なりますが、おおむね各月の末日または月末に近い日付に設定されています。
納税通知書には4期分の納付書が同封されており、金融機関やコンビニエンスストア、自治体の窓口、スマホ決済アプリなどで支払いが可能です。また、インターネットバンキングや地方税共通納税システム(eLTAX)を利用してオンラインで納付する方法も普及しています。
納税者の中には、第1期の6月に1年分の税額をまとめて一括納付する方もいます。多くの自治体では、全期分を一括で納められる「一括納付用納付書」も同封されており、資金に余裕がある場合や納付管理を簡潔にしたい方にとっては便利な方法です。
一方、分割納付を選択した場合は、それぞれの納期限を過ぎると延滞金が発生する可能性があるため、スケジュール管理を怠らないよう注意が必要です。延滞金は原則として法定利率に基づき日割りで加算されるため、たとえ数日遅れただけでも負担が増えることがあります。
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個人事業主の住民税の納付方法
個人事業主は会社員と異なり、住民税を自分で納付する「普通徴収」によって納税します。ここでは、普通徴収の仕組みと納付方法、特別徴収との違いについて詳しく解説します。
普通徴収で納付する
普通徴収とは、住民税を納める本人が自治体から送付される納税通知書に基づいて、指定の方法で自ら納付する形式です。毎年6月頃に届く納税通知書には、住民税の年税額や納付スケジュール、納付書が同封されています。前述のとおり、一般的には年4回(6月・8月・10月・翌年1月)の分割納付となりますが、初回(第1期)に年税額を一括で納付することも可能です。
納付は、金融機関の窓口やコンビニエンスストア、スマートフォン決済アプリ、自治体のオンライン納税サイトなど、多様な方法が用意されています。納付書にはバーコードが印字されているため、スマホアプリでの読み取りによる納税も広がりを見せています。また、多くの自治体では「口座振替」による自動引き落としにも対応しています。あらかじめ申し込んでおけば、各期の納期限に自動的に登録口座から住民税が引き落とされるため、納め忘れを防ぐのに役立ちます。
なお、新年度の第1期から口座振替を利用する場合の申込期限は、自治体によって異なります。4月中旬や4月末、5月下旬などさまざまですので、居住する自治体のウェブサイト等で正確な期限を確認しましょう。
特別徴収との違い
特別徴収は、主に会社員などの給与所得者に適用される仕組みです。毎年5月頃、勤務先の事業者に対して自治体から従業員の特別徴収税額決定通知書が送付され、その内容に基づき6月から翌年5月までの12か月間、給与から住民税が天引きされて納付されます。納税者本人が直接支払う手間がなく、支払い忘れのリスクもほとんどありません。
一方、個人事業主は給与の支払いを受けていないため、特別徴収の対象外となり、基本的には普通徴収となります。ただし、個人事業主であっても、会社勤めと両立して事業を行っている場合、確定申告の際に、事業所得など給与以外の所得にかかる住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」か「給与から差引き(特別徴収)」か選択できます。「自分で納付」を選択した場合に限り、事業所得分の住民税を普通徴収で納めることになります。この選択をしないと、原則として副業分も合算して給与から天引きされます。
また、会社員から個人事業主に転向した場合、退職のタイミングによって残りの住民税の納付方法が異なります。1月から5月末の間に退職した場合は、通常その年分の住民税を退職時の給与から一括で天引きされます。一方で6月以降に退職した場合、原則としてその年度の住民税の未徴収分について普通徴収に切り替わり、自治体から送付される納税通知書に基づき自分で納付する形になります。
確定申告が不要な場合でも住民税の申告は必要?
所得税の確定申告が不要な年であっても、住民税の申告が必要となります。税務署への申告を省略した場合でも、市区町村には正確な所得情報を届ける必要があります。ここでは、確定申告をしない個人事業主が注意すべき住民税の申告について解説します。
確定申告をしないと自治体に情報が届かない
個人事業主であっても、赤字や所得控除の適用によって所得税が0円となる場合、法律上は確定申告の義務がないとされることがあります。しかし、確定申告をしなければ、その年の所得情報は税務署から市区町村へ共有されません。市区町村は住民税の課税事務を担っているため、申告がなければ課税額の算定ができず、住民税の納税通知書も発行できません。
住民税申告の手続き
確定申告をしていない個人事業主は、自ら居住地の市区町村役所に出向き、「市民税・県民税申告書(住民税申告書)」を提出する必要があります。また、国税のe-Taxとは別にeLTAXを利用して電子申告することも可能です。
申告書には、前年の収入、必要経費、各種控除などを記載します。提出期限は多くの自治体で3月15日前後とされており、これを過ぎると未申告扱いとなるおそれがあります。副業所得が20万円以下の会社員も、住民税を課税するための情報提供として申告が求められます。
確定申告をすることで住民税申告が省略できる
一方で、たとえ所得税が発生しない年であっても、確定申告を行っていればその情報は自治体に自動的に共有されるため、住民税の申告は別途不要となります。また、確定申告をしておくことで、青色申告特別控除の適用や欠損金の繰越、所得証明書の発行など、他にもさまざまな利点があります。住民税の手続きを簡略化するためにも、確定申告を活用することが推奨されます。
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住民税を滞納した場合のペナルティ
住民税の納付が遅れると、延滞金や差し押さえといったペナルティが課されることがあります。ここでは、滞納時にどのような影響があるのか、また対応策として取れる行動について解説します。
延滞金が発生する
住民税を納期限までに納めないと、翌日から延滞金が発生します。延滞金は原則として「納付期限の翌日」から日数に応じて加算され、年利率は法律で定められた割合(通常2.4〜9.1%程度)が適用されます。なお、住民税延滞金の年利率は、国税とは別の「延滞金特例基準割合」に連動しています。各自治体独自のルールもありますので注意が必要です。短期間の遅れでも金額が大きくなることがあり、納付額に対して延滞金が上乗せされるため、無駄な支出となってしまいます。
督促や差し押さえの可能性がある
地方税法に基づき、納期限までに納付がない場合、まず「督促状」が送付されます。なお、督促状以前に、「納付のお願い」や「督促前催告」などが送付されることもあります。督促状に記載された期限までに完納されない場合に、給与や預金などの財産調査及び差し押さえが実行されます。差し押さえに至る前に、自治体との相談が重要です。
分納や猶予を申請できる
一時的な資金繰りの問題などで支払いが困難な場合には、自治体に「分納」や「徴収猶予」を申請できます。申請が認められれば、毎月少額ずつ納付したり、一定期間納税を待ってもらうことも可能です。事前に相談することで、延滞金や差し押さえのリスクを回避できる場合があります。
個人事業主の住民税の減免制度や非課税措置の条件
個人事業主であっても、経済状況や所得水準によっては住民税の一部または全額が非課税・減免となることがあります。住民税は所得に応じて公平に課される税ですが、自治体によっては生活困窮者や災害・病気等による収入減に対応する制度が用意されています。ここでは、個人事業主に該当する住民税の非課税・減免条件について解説します。
所得が少ない個人事業主は非課税になることがある
住民税は「所得割」と「均等割」に分かれており、それぞれに非課税基準が設けられています。個人事業主であっても、前年の所得が一定基準を下回る場合は、住民税が課税されないことがあります。たとえば前述のとおり、扶養のない単身者の場合、合計所得金額が45万円以下であれば所得割が非課税、さらに自治体によっては均等割も非課税となるケースがあります。開業初年度や事業の不調で赤字になった年などは、非課税扱いになる可能性があるため、収支の状況をもとに確認しておきましょう。
災害や病気、廃業などにより減免を受けられることがある
一時的に住民税の納付が困難となる事情がある場合、個人事業主でも「住民税減免制度」を利用できる可能性があります。たとえば、自然災害によって事業用資産に損害を受けた場合、重病や長期入院、突然の廃業により収入が激減した場合などが対象になります。自治体によって基準や対象は異なりますが、減免申請を行い認定されれば、住民税の一部または全額が減額されることがあります。減免を希望する場合は、納付期限前に役所に相談し、所定の申請書と必要な証明書類(罹災証明書、損害写真、医療費明細、収支状況など)を提出する必要があります。
減免や非課税は事前確認が大切
住民税の「減免」(災害や失業等が理由)を受けるには、納税者本人による申請が必要です。一方、所得が基準額以下であることによる「非課税」は、確定申告または住民税申告を行えば、その内容に基づき自治体が判断するため、別途特別な申請は不要です。
個人事業主は収入が不安定なことも多く、毎年の状況に応じて制度の適用可否が変わります。非課税対象かどうか、または減免申請が可能かどうかは、自治体の税務課窓口やホームページなどで確認できます。期限を過ぎると受け付けてもらえないこともあるため、対象となる可能性がある場合は早めの行動が大切です。申請を行って認められれば、納税負担を大きく軽減でき、資金繰りにも好影響を与える可能性があります。
個人事業主の住民税は時期と仕組みを理解して備えよう
個人事業主の住民税は、前年の所得に基づいて市区町村が算定し、毎年6月頃から納付が始まります。所得税の確定申告を行うことで税務署から自治体に所得情報が連携され、住民税額が決定されるため、納税者は通知を受け取ったうえで所定の方法により支払います。また、確定申告をしていない場合でも、住民税の申告は原則必要となるため注意が必要です。経済的な事情によっては減免制度や非課税措置もあるため、住民税の仕組みを正しく理解し、納税計画を立てておきましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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