• 更新日 : 2025年3月3日

個人事業主に給与所得控除はない?適用される控除や節税方法について解説

個人事業主の場合、給与所得控除は原則として適用されません。しかし、代わりに基礎控除をはじめとする各種控除を上手に活用すると、課税対象となる所得を減らすことが可能です。

本記事では、個人事業主と給与所得控除との関連性に加え、事業所得者が利用できる控除制度や節税方法について詳しく解説します。

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給与所得控除とは

給与所得控除とは、会社員など給与収入を得ている方が、収入から差し引ける控除制度です。給与収入を得るには業務内容に応じてスーツ代や文具費など仕事に必要な費用といった実際の経費がかかりますが、会社員がそれを個別に計算するのは非常に煩雑になり、個人事業主のように経費計上するには無理があります。

そこで「給与所得控除」という概算経費分の控除額をあらかじめ設定し、給与収入に応じた一定額を差し引ける仕組みになっています。控除額は年収ごとに段階的に決まっており、給与収入が増えるほど控除額も増加しますが、上限額があります。

所得控除との違い

給与所得控除は「給与収入」そのものから差し引く制度で、給与を得るうえで必要な経費を概算で控除するしくみです。一方、所得控除(基礎控除・配偶者控除など)は、「個人的な事情」を加味して課税所得から差し引くことを目的としています。

基礎控除は、収入が一定以下の納税者全員が一律で適用を受けることが可能です。また配偶者控除は、収入を得ている人に扶養されている配偶者がいる場合に適用され、家計の実情を反映して課税負担を軽減する制度です。給与所得者でも個人事業主でも、要件を満たせば利用できる点が大きな違いといえるでしょう。

個人事業主に給与所得控除は適用される?

個人事業主には、原則として給与所得控除は適用外です。個人事業主の所得は「事業所得」に分類され、売上(事業収入)から実際に支出した必要経費を差し引いて所得を計算します。会社員のように概算での経費控除をあらかじめ設定している給与所得控除という枠組みは、個人事業主の事業所得には適用されません。

ただし、個人事業主であっても、年間所得2,400万円以下の場合には、誰でも適用される基礎控除が48万円適用されます。基礎控除は給与所得控除とは異なり、あくまでも納税者個人の負担能力を考慮して一律に設定されているものです。

したがって、個人事業主だからといってまったく控除が受けられないわけではありません。給与所得控除は活用できませんが、基礎控除や社会保険料控除などの所得控除を活用することが可能です。

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個人事業主に給与所得控除が適用されるケース

「個人事業主なのに、給与所得控除が適用されることがあるのか」と不思議に感じることもあるかもしれません。個人事業主であっても、給与所得がある場合はその部分に限って給与所得控除が適用されます。

以下のようなケースでは、個人事業主でも給与所得控除の恩恵を受けられます。

会社員として働き、副業で個人事業主の仕事をしている場合

会社員として働き、主たる収入として給与所得を得ている場合は、当然ながら給与所得控除の対象となります。そのうえで、副業として行っている個人事業の収入分は事業所得として計上し、必要経費を差し引いて所得を算出しなければなりません。

このように給与所得+事業所得がある場合は、確定申告でそれぞれの所得を合算し、最終的な課税所得を求めます。会社員の給料分については給与所得控除が適用され、副業の事業分については実際の経費を差し引いて計算する流れです。

なお、副業であっても事業所得が20万円を超える場合は原則として確定申告が必要であり、会社で年末調整を受けている給与所得と合算して申告することが原則です。

ただし、会社の就業規則によっては副業が認められていない場合もあるため、副業についてはあらかじめ確認しておきましょう。

年度の途中で会社を辞め、個人事業主として開業した場合

年度の途中で会社を退職し、その後個人事業主として開業したケースでも、会社員として得た給与収入に対してのみ給与所得控除を適用できます。開業後の事業収入は事業所得として取り扱われるため、給与所得控除は適用されません。

確定申告の際には、会社員時代に受け取った源泉徴収票をもとに給与所得を申告し、個人事業主としての事業所得については開業届や青色申告承認申請を提出して、事業上の必要経費

を適切に計上することが求められます。退職のタイミングによっては会社側の年末調整が完了していない場合もあるため、源泉徴収票をしっかりと確認し、不足している税額があれば確定申告で精算しましょう。

個人事業主が活用できる控除

個人事業主には給与所得控除はないものの、それ以外にさまざまな控除制度があります。以下に代表的なものを紹介します。いずれも要件を満たせば、所得から差し引けるため、大きな節税効果を期待できます。

生命保険料控除

生命保険料控除は、支払った保険料の種類に応じて所定の金額を控除できる制度です。区分は「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3種類に分かれています。

それぞれ新契約(平成24(2012)年1月1日以降に締結した契約)と旧契約(平成23(2011)年12月31日以前に締結した契約)で控除額の上限が異なりますが、新契約は最大12万円、旧契約は最大10万円を限度に控除が可能です。

生命保険料控除を受けるには、保険会社から送付される控除証明書が必要になるため、確定申告の際には忘れずに添付・提示するようにしましょう。

医療費控除

医療費控除は、本人や生計を一にする家族のために支払った医療費が年間10万円を超える場合に適用できます。対象となる医療費は、診察代や治療費、処方された薬代だけでなく、通院時の交通費(電車・バスなどの公共交通機関)も含まれます。

控除額の計算式は「支払った医療費-保険金などで補てんされる金額-10万円」となり、その分を課税所得から差し引けます。ただし、セルフメディケーション税制など別の特例制度もあるため、どちらが有利か比較検討しましょう。

配偶者控除・扶養控除

配偶者控除は、配偶者の合計所得が48万円以下(給与収入のみの場合は年収103万円以下)で、かつ事業主本人の所得が1,000万円以下の場合に適用されます。最大48万円の控除を受けられ、扶養控除も同様の仕組みで控除額が設定されています。

配偶者控除は、本人の配偶者がパートやアルバイトなどで一定の収入しか得ていない場合に適用されるケースが多く、結果的に納税額を抑えることができます。ただし、配偶者の収入状況が変わると控除適用が変動するため、年末や年度途中などの収入見込みを確認しておくことが大切です。

寄附金控除

寄附金控除は、ふるさと納税や認定NPO法人などに寄附をした場合に適用されます。支払った寄附金の一定割合が所得から控除され、場合によっては住民税の減額にもつながります。

ふるさと納税は多くの自治体にとって財源確保の手段となっているため、返礼品が充実している自治体も多いです。しかし、寄附金控除の上限は所得に応じて決まるため、控除限度額を超えて寄附をしても全額は戻ってこない点に注意しましょう。

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、個人事業主や会社員が自分で拠出金を出し、将来の年金を積み立てる制度です。掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除されるため、大きな節税効果を得られます。

また、iDeCoの運用益は非課税となるメリットもあります。ただし、原則として60歳まで引き出せないなどの制約があり、老後資金確保という本来の目的を考えながら加入を検討することが求められます。

青色申告特別控除

青色申告特別控除は、個人事業主が青色申告の要件を満たして確定申告することで受けられる控除です。複式簿記を行い、電子申告などの条件を満たすことで最大65万円の控除を受けられます。なお、青色申告特別控除は他の所得控除ではなく、事業所得の金額から直接差し引きます。

青色申告特別控除があるため、青色申告は白色申告と比較して節税効果が高いのが特徴です。ただし、帳簿や領収書の保存など、一定の事務処理負担が伴う点には注意が必要です。近年は会計ソフトの進化により記帳作業がスムーズにできるようになっているため、節税効果を考えれば青色申告のメリットは大きいといえるでしょう。

個人事業主の方が利用できる控除について、より詳しくは以下の記事もご覧ください。

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個人事業主が節税する方法は?

個人事業主が節税するには、控除額の大きい青色申告者になることがまず挙げられます。そのほかの控除の活用ももちろんですが、それ以上に節税をしたい場合は、以下のような方法も検討してみるとよいかもしれません。

経費の適切な計上

個人事業主は、事業にかかった実費を経費として計上することで所得を圧縮できます。数百円程度の細かい経費も積み重なると大きな額になるため、しっかりと管理しもれなく経費計上しましょう。

事務所を自宅の一部としている場合、家賃や光熱費の一部を事業用分として按分し、経費にすることも可能です。

ただし、プライベートと事業用の支出が混在しないように領収書やレシートをきちんと管理し、客観的に按分割合を説明できるようにしておきましょう。

専従者給与の活用

個人事業主が青色申告者であり、家族(配偶者や15歳以上の親族)が専ら事業に従事している場合には、「青色事業専従者給与」という形で家族に支払う給与を全額経費にできます(ただし労働実態や就業時間、金額が妥当であることが必要)。

白色申告の場合も「事業専従者控除」があるものの、金額が一定の範囲に限られるため、より柔軟に給与を設定できる青色申告のほうが有利です。専従者給与の設定は税務上も注意が必要であり、各種届出を期限内に提出しないと適用が認められないこともあるため、早めに準備することをおすすめします。

個人事業主に給与所得控除はないがほかの控除が受けられる

個人事業主は給与所得控除を受けられませんが、基礎控除や配偶者控除をはじめとする所得控除を活用できます。さらに経費をもれなく計上したり、青色申告特別控除などを組み合わせたりすることで、節税効果を高めることも可能です。

個人事業主が正しく納税しつつ、経営を安定させるためには、税制のしくみや控除制度を深く理解することが欠かせません。最新の税制改正や国税庁の通達情報も随時チェックし、正確に、かつ損をしない申告を行いましょう。

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