- 更新日 : 2025年1月7日
個人事業主の税金はいくらかかる?種類と金額の目安、節税のコツを解説
個人事業主の税金がいくらか知るためには、税金の種類や課税の仕組みを理解しておくことが大切です。本記事では、個人事業主が納める税金の基本情報や計算方法、年間事業所得ごとの税金額のシミュレーション結果などを紹介します。個人事業主が知っておくべき節税のコツも解説するため、ぜひ参考にしてください。
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個人事業主が支払う税金の種類
個人事業主の税金がいくらかかるか算出するためには、税金の種類や課税の仕組みを理解しておく必要があります。
個人事業主が支払う主な税金は、所得税・住民税・個人事業税・消費税の4つです。
税金の種類 | 税金の概要 | 課税対象者 | 課税の仕組み |
---|---|---|---|
所得税 | 個人の所得に対してかかる国税 | 一定所得のある個人事業主 | 課税所得に応じて税率5%~45% |
住民税 | 地域社会での生活に対してかかる地方税 | 一定所得のある個人事業主 | 均等割+所得割 |
個人事業税 | 法定業種に対してかかる地方税 | 一定所得のある個人事業主 | 業種によって税率3%~5% |
消費税 | 商品・サービスなどの購入・提供価格に対してかかる国税+地方税 | 課税事業者 | 売上にかかる消費税額-仕入れなどで支払った消費税額 |
それぞれの税金の基本情報や計算方法について、詳しく見ていきましょう。
①所得税
所得税とは、1月1日から12月31日までの個人の所得に対して課される国税のひとつです。
【計算方法】
「各種の所得控除」の例は、以下のとおりです。
所得税の算出に適用される税率は、課税所得に応じて異なります。国税庁が公表している所得税の速算表は、以下のとおりです。
【所得税の速算表】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
②住民税
住民税とは、地域社会で生活していくうえで必要な費用を自治体に納付するために課される地方税のひとつです。
【計算方法】
均等割は、納税者の所得に関係なく、定額で課税されます。たとえば、2024年度の均等割額は原則として5,000円(市町村民税3,000円+道府県民税1,000円+森林環境税1,000円)でした。
所得割は、前年の所得に対して課税されます。所得割額の計算方法は、以下のとおりです。
③個人事業税
【計算方法】
青色申告特別控除は、事業所得額に足し戻しておく必要があるため注意しましょう。
以下のように、課税対象とならない業種もあります。
- ライター
- 漫画家
- 翻訳者
- 農業従事者
- スポーツ選手
個人事業税が課税される業種や税率は都道府県によって異なるため、自治体の公式サイトなどで確認しましょう。開業時の申請内容ではなく、実際に行っている事業内容に応じた税率が適用される点にも注意が必要です。
④消費税(課税事業者の場合)
消費税とは、商品・製品やサービスの購入・提供価格の一定割合(標準税率10%、軽減税率8%)を消費者が負担し、事業者が納付する税金です。
課税事業者に該当する個人事業主は、消費税を支払う必要があります。消費税の課税事業者となる個人事業主の例は、以下のとおりです。
- 基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合または、特定期間の課税売上高および給与支払額が1,000万円を超える場合
- インボイス発行事業者に登録している場合
- 「消費税課税事業者選択届出書」を提出している場合
【計算方法】
基準期間の課税売上高5,000万円以下の個人事業主の場合、仕入れなどで支払った消費税相当分を「みなし仕入れ率」で計算する「簡易課税制度」を利用することが可能です。制度を利用するためには、事前に税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しておく必要があります。
個人事業主の税金はいくらかかる?
【シミュレーション条件】
- 20~39歳・独身の個人事業主(配偶者・扶養親族0人)
- 年間の事業所得:事業収入-経費(青色申告特別控除前)
- 青色申告特別控除あり
- 個人事業税・消費税の課税なし
なお、一人ひとりの状況によって納めるべき税額は変動します。シミュレーション結果は、目安として参考にしてみてください。
年間の事業所得が100万円の場合
個人事業主の事業所得 | 税金の年額 (所得税+住民税) | 手取り収入の年額 |
---|---|---|
100万円 | 約0万円 | 約73万円 |
年間の事業所得が100万円の個人事業主に所得税や住民税はかかりません。
国民健康保険や国民年金を差し引いた手取り収入の年額は、約73万円です。
年間の事業所得が200万円の場合
個人事業主の事業所得 | 税金 (所得税+住民税) | 手取り収入の年額 |
---|---|---|
200万円 | 約8.4万円 | 約154万円 |
年間の事業所得が200万円の個人事業主には、合計約8.4万円の所得税・住民税がかかります。
国民健康保険や国民年金を差し引いた手取り収入の年額は、約154万円です。
年間の事業所得が300万円の場合
個人事業主の事業所得 | 税金 (所得税+住民税) | 手取り収入の年額 |
---|---|---|
300万円 | 約21.8万円 | 約229万円 |
年間の事業所得が300万円の個人事業主には、合計約21.8万円の所得税・住民税がかかります。
国民健康保険や国民年金を差し引いた手取り収入の年額は、約229万円です。
年間の事業所得が400万円の場合
個人事業主の事業所得 | 税金 (所得税+住民税) | 手取り収入の年額 |
---|---|---|
400万円 | 約36.8万円 | 約303万円 |
年間の事業所得が400万円の個人事業主には、合計約36.8万円の所得税・住民税がかかります。
国民健康保険や国民年金を差し引いた手取り収入の年額は、約303万円です。
年間の事業所得が500万円の場合
個人事業主の事業所得 | 税金 (所得税+住民税) | 手取り収入の年額 |
---|---|---|
500万円 | 約54.7万円 | 約374万円 |
年間の事業所得が500万円の個人事業主には、合計約54.7万円の所得税・住民税がかかります。
国民健康保険や国民年金を差し引いた手取り収入の年額は、約374万円です。
年間の事業所得が600万円の場合
個人事業主の事業所得 | 税金 (所得税+住民税) | 手取り収入の年額 |
---|---|---|
600万円 | 約80万円 | 約437万円 |
年間の事業所得が600万円の個人事業主には、合計約80万円の所得税・住民税がかかります。
国民健康保険や国民年金を差し引いた手取り収入の年額は、約437万円です。
年間の事業所得が700万円の場合
個人事業主の事業所得 | 税金 (所得税+住民税) | 手取り収入の年額 |
---|---|---|
700万円 | 約107万円 | 約498万円 |
年間の事業所得が700万円の個人事業主には、合計約107万円の所得税・住民税がかかります。
国民健康保険や国民年金を差し引いた手取り収入の年額は、約498万円です。
年間の事業所得が800万円の場合
個人事業主の事業所得 | 税金 (所得税+住民税) | 手取り収入の年額 |
---|---|---|
800万円 | 約134万円 | 約560万円 |
年間の事業所得が800万円の個人事業主には、合計約134万円の所得税・住民税がかかります。
国民健康保険や国民年金を差し引いた手取り収入の年額は、約560万円です。
年間の事業所得が900万円の場合
個人事業主の事業所得 | 税金 (所得税+住民税) | 手取り収入の年額 |
---|---|---|
900万円 | 約163万円 | 約628万円 |
年間の事業所得が900万円の個人事業主には、合計約163万円の所得税・住民税がかかります。
国民健康保険や国民年金を差し引いた手取り収入の年額は、約628万円です。
年間の事業所得が1,000万円の場合
個人事業主の事業所得 | 税金 (所得税+住民税) | 手取り収入の年額 |
---|---|---|
1,000万円 | 約196万円 | 約694万円 |
年間の事業所得が1,000万円の個人事業主には、合計約196万円の所得税・住民税がかかります。
国民健康保険や国民年金を差し引いた手取り収入の年額は、約694万円です。
年間の事業所得が2,000万円の場合
個人事業主の事業所得 | 税金 (所得税+住民税) | 手取り収入の年額 |
---|---|---|
2,000万円 | 約620万円 | 約1,270万円 |
年間の事業所得が800万円の個人事業主には、合計約620万円の所得税・住民税がかかります。
国民健康保険や国民年金を差し引いた手取り収入の年額は、約1,270万円です。
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個人事業主の税金を安くするには?
税金がいくらかかるか試算した結果「税金が高いから節税したい」と考える個人事業主は多いことでしょう。
ここでは、個人事業主が知っておきたい節税方法を7つ紹介します。
青色申告で最大65万円控除を受ける
個人事業主の税金を安くする1つめの方法は、青色申告によって最大65万円の控除を受けることです。
青色申告特別控除とは、申告期間内に青色申告で所得税の確定申告を行うことで、所得税額の計算の際に課税所得額から最大65万円を差し引ける控除を指します。特定の要件を満たす必要があるため手間はかかるものの、高い節税効果を得られるメリットがあります。
家事按分を利用する
個人事業主の税金を安くする2つめの方法は、家事按分の活用です。
自宅とオフィスを兼ねている場合、家賃や電気代などを家事按分し、事業分を経費として計上することが可能です。自宅をオフィスにしている個人事業主は、確定申告の際に忘れずに申請しましょう。
経費に計上できるものを漏れなく申請する
「経費に計上できるものを漏れなく申請する」という姿勢も大切です。経費を課税所得から差し引くことで、支払税額を抑えられるためです。経費は少額であってもきちんと計上し、正確な課税所得を算出しましょう。
「経費になることを知らなかった」「経費計上を忘れてしまった」というケースもあります。たとえば消費税・固定資産税・個人事業税など経費扱いにできる税金も、漏れなく計上するようにしましょう。
生命保険・個人年金・介護医療保険の控除を受ける
民間の生命保険・個人年金・介護医療保険に加入している場合、以下のように控除を受けられます。該当する場合は、忘れずに申請しましょう。
【新契約(2012年1月1日以後の契約)の控除額】
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
【旧契約(2011年12月31日以前の契約)の控除額】
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
25,000円超 50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
50,000円超 100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
医療費控除またはセルフメディケーション税制を活用する
医療費を多く支払った際は、医療費控除またはセルフメディケーション税制を活用できないかチェックしましょう。
医療費控除とは、1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が一定額を超えるときに受けられる所得控除のことです。セルフメディケーション税制は、対象となる医薬品を12,000円以上購入した場合などに受けられる所得控除です。
医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できない点には注意しましょう。
iDeCo・小規模企業共済を活用する
iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済も、節税対策になります。
iDeCoの拠出金や小規模企業共済の掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象となります。加入している個人事業主は、確定申告でしっかり申請しましょう。
ふるさと納税を活用する
ふるさと納税を活用する節税方法もあります。確定申告の際に、ふるさと納税の寄附金額から2,000円を差し引いた金額を「寄附金控除」として申請すれば、寄附した年の所得税や翌年の住民税から控除される仕組みです。
なお、確定申告をしなくてもふるさと納税の寄附金控除が受けられる「ワンストップ特例制度」を選択した個人事業主でも、確定申告で正しく寄附金控除を行えば問題ありません。
個人事業主の税金がいくらになるか把握しておこう
個人事業主は、所得税・住民税・個人事業税・消費税などの税金を支払う必要があります。各税金の計算方法や課税の仕組みを押さえておきましょう。
税金がいくらかかるかは、事業所得額や控除額などによって異なります。そのため、個人事業主の税金を安くするためには、控除を上手に活用することが大切です。確定申告の際は、経費の計上漏れがないかしっかりチェックしましょう。

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データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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