- 更新日 : 2024年12月25日
個人事業主は個人口座と事業用口座を途中から分けられる?メリットや方法を解説
個人事業主は年度の途中でも、一つの口座を個人口座と事業用口座に分けられます。個人口座と事業用口座に分けているとお金の管理がしやすくなり、確定申告もスムーズに行えます。
個人事業主の方の中には、途中で個人口座と事業用口座に分ける方法や、分ける際の注意点が気になる方もいるでしょう。
本記事では、個人事業主が年度の途中で個人口座と事業用口座に分けられるのかについて説明します。また、口座を分けるメリット・方法などについても解説します。
目次
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個人事業主が個人口座と事業用口座を分けるメリットは?
まずは、個人事業主が個人口座と事業用口座を分けるメリットを3点紹介します。
お金の管理がしやすくなる
個人口座と事業用口座に分けていない場合、プライベートに関する入出金と、事業を行う上で必要な入出金を同じ口座で行います。この場合、事業に関する入出金がどれなのか、すぐに把握しづらいです。事業に関わる収入や支出がわかりにくいと、帳簿を付けるのに苦労します。
一方で、口座を個人口座と事業用口座に分けていれば、事業の収入や支出をすぐに把握できます。お金の流れが明確になるため、口座を分けていない場合に比べると帳簿を付けるのも容易です。
会計ソフトと連携しやすくなる
口座を会計ソフトと連携させると、口座内で入出金が行われた際に会計ソフトが自動で帳簿を付けてくれます。会計ソフトと連携した口座で事業に関する入出金を行っていれば、自分で帳簿を付けなくて良いため日々の事務作業の手間を大きく減らせます。
しかし、プライベートに関する入出金と事業に関する入出金を一つの口座で行っていると、会計ソフトと連携するメリットをうまく活かせません。その口座を連携させると、プライベートに関する入出金も帳簿に反映されてしまうからです。個人口座と事業用口座を分けることで、会計ソフトと連携するメリットが大きくなります。
他人にプライベートに関する支出を見られる心配がない
確定申告を行ったものの、申告した内容について税務職員に疑問に思われた場合は、税務調査が行われる可能性があります。税務調査において通帳の提示を求められた場合は、それに応じなければいけません。プライベートに関する入出金と事業に関する入出金を一つの口座で行っている場合、通帳を見せるとプライベートに関する支出を見られることになります。多くの人にとっては、あまり気持ちの良い状況ではないでしょう。
プライベートに関する入出金と事業に関する入出金を別々の口座で管理していれば、税務調査においては事業用口座の通帳だけを見せれば良いです。そのため、プライベートに関する支出を見られる心配はありません。事業に関する通帳は自分以外の人が見る可能性があるため、それに備えられるという点でも個人口座と事業用口座を分けるメリットがあります。
個人事業主が個人口座と事業用口座を分けないとどうなる?
続いて、個人事業主が個人口座と事業用口座を分けないとどうなるのかを解説します。個人口座と事業用口座を分けるメリットとあわせて確認してください。
仕事とプライベートが区別できなくなる
個人口座と事業用口座を分けていない場合、プライベートに関する入出金と事業に関する入出金が一つの口座に混在してしまいます。この場合「家計の状況」「事業収支の状況」がそれぞれ見えづらくなります。
特に事業収支の状況が見えづらくなる点に注意です。赤字が発生している場合、売上を伸ばすにはどうすれば良いかを考え、実行しなければいけません。事業が上手くいっているかどうかがわかりづらいと、赤字になっている場合の対処も遅れてしまいます。事業を円滑に進めるという観点からも、個人口座と事業用口座を分けるのは重要です。
日々の仕訳の手間が増える
帳簿を付ける際は、口座の一つひとつの入出金について、どういった内容であるかの記載が必要です。個人口座と事業用口座を分けない場合、帳簿を付けている口座の中で「生活費の引き出し」「家賃・水道光熱費の支払い」「保険料の支払い」など個人的なお金の動きが発生します。それぞれのお金の動きを帳簿に記載しなければいけないため、個人口座と事業用口座を分ける場合に比べて、記載する項目が多くなってしまいます。
また、帳簿を付ける際は入出金の種類に応じた勘定科目の書き分けも必要です。たとえば同じ出金でも、個人的な目的での出金は「事業主貸」、事業を行ううえで必要な出金(経費)は種類に応じて「旅費交通費」「消耗品費」などと記載しなければいけません。個人口座と事業用口座を分けていない場合は、一つの出金に対して「個人的なもの」「事業に関わるもの」のどちらであるかの判断が必要です。その点も仕訳の手間が増える要因になってしまいます。
取引先からの信頼も獲得しづらい
個人口座と事業用口座を分けている場合、事業用口座の名義に屋号の記載が可能です。取引先が報酬を支払う際に、氏名に加えて屋号が記載されている名義を見れば、事業用の口座であると明確にわかるため安心して振り込めます。
報酬の振り込みに関しては、個人口座と事業用口座を分けなくても基本的に大きな問題はないです。しかし、口座名義に屋号を記載できないので、取引先は「この口座に振り込んでいいのかな?」と感じるかもしれません。個人口座と事業用口座を分けている場合に比べると、取引先を不安にさせる要素が増える分、信頼度が少し落ちる可能性はあります。
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個人事業主は口座を途中から分けられる?
個人事業主は年度の途中でも、一つの口座を個人口座と事業用口座に分けられます。口座を分ける際に新しい口座へお金を移す場合が多いですが、その際は帳簿の付け方に注意が必要です。
特に、一つのお金の動きについて二重の記載をしてしまう「二重仕訳」に注意です。口座間でお金を移動した場合、それぞれの口座の入出金履歴から仕訳を作成すると、実際の倍の金額が動いたという記載になってしまいます。口座間のお金の移動については、片方の動きのみを帳簿に付けましょう。
また、新たに事業用口座を作ってお金を移す前に、口座を分ける前までの期間における入出金をすべて帳簿に付けることをおすすめします。確定申告の直前になって、元々の口座と分けた後の口座の入出金をすべて確認するのは手間がかかりますし、申告ミスにもつながりやすいです。落ち着いて確定申告ができるよう、口座を分ける際は一度帳簿の記入も行いましょう。
個人事業主が口座を途中から分ける方法
個人事業主が口座を分ける際、まずは事業用口座をどこの金融機関で作るかを決めましょう。事業用口座の名義に屋号を記載していると、取引先が報酬を振り込む際にわかりやすいですが、金融機関によっては屋号付きの口座を開設できない場合があります。各種手数料も金融機関ごとに異なるため、よく調べたうえで選ぶのがおすすめです。
また、屋号付きの口座を作る場合、あらかじめ税務署に屋号を記載した開業届を提出しておきましょう。開業届の控えは屋号を証明する書類になり、口座を作る際に金融機関へ提出できるケースが多いです。なお、屋号の決め方は基本的に自由ですが「○○会社」「○○法人」など企業だと思われる言葉は使えないので注意しましょう。
個人事業主が口座を分ける時の注意点
ここからは、個人事業主が口座を分ける時の注意点を2つ解説します。実際に個人口座と事業用口座に分ける前に、一度確認しておきましょう。
事業用口座の開設には審査が必要
事業用口座の名義に屋号を記載する場合、金融機関に書類を提出して審査をしてもらう必要があります。審査にかかる期間は金融機関や申請の時期によって異なり、早くて1週間、長いと1ヶ月ほどかかる場合があります。屋号付きの事業用口座を開設するのであれば、審査に時間がかかる点を頭に入れましょう。
なお、審査に必要な書類については、本人確認書類と個人事業の営業事実確認書類(開業届の控え・確定申告書・事務所等の賃貸契約書など)の提出を求められる場合が多いです。詳細は金融機関によって異なるので、事前に口座の開設を考えている金融機関のホームページを確認しておきましょう。
年度の途中で口座を分ける場合は二重仕訳に注意する
二重仕訳とは、一つの取引に対して二つ以上の仕訳を作ってしまうことです。
たとえば、A銀行とB銀行にそれぞれ口座を作り、個人口座と事業用口座を分けるとします。A銀行からB銀行にお金を移動すると、それぞれの口座において入出金が発生します。この時、A銀行の通帳の入出金明細にもとづいてA銀行からB銀行への出金を仕訳したあと、B銀行の通帳の入出金明細にもとづいてA銀行からB銀行への入金を仕訳してしまいがちです。そうなると、実際にはA銀行からB銀行への資金移動という一つの取引にもかかわらず、二重に仕訳を切っていることになるため注意が必要です。
上記のように口座間でお金を移動する場合は、どちらかの入出金のみを帳簿に記載する必要があります。帳簿にはすべてのお金の動きを記録する必要がありますが、その意識が強すぎると両方の口座の入出金について記載してしまい、二重仕訳が起こる可能性があります。
新たに開設した事業用口座の入出金に問題がないか確認する
事業用口座を新しく開設した場合、入出金が滞りなく行われるためにやるべきことがあります。たとえば、取引先には報酬を新しい口座に振り込んでほしい旨を連絡する必要があります。また、経費として定期的に引き落とされるお金がある場合は、引き落とし先を事業用口座に設定し直すことも必要です。
事業に関する入出金が従来の口座で行われてしまうと、新しく口座を開設した意味が薄れてしまいます。報酬の振り込み先・経費の引き落とし先については変更手続きなどを忘れずに行い、実際に入出金される前はきちんと変更できているか改めて確認することをおすすめします。
個人事業主は屋号付き口座と法人口座のどちらがおすすめ?
個人事業主が事業用口座を作る際、屋号付き口座と法人口座とでは屋号付き口座がおすすめです。
屋号付き口座も法人口座も事業を行う際に作るものですが、法人口座は開設する際に法人登記が必要です。法人登記を行うには定款の作成をはじめ、法人設立の手順を踏まなければいけません。一方で、屋号付き口座の場合はそういった手順が不要であり、金融機関に必要書類を提出して審査に通過すれば開設できます。
お金の管理をしやすくするために事業用口座を作るのであれば、屋号付き口座で十分事足ります。
年度の途中で口座を分ける際は帳簿の付け方に気を付けよう
個人事業主がプライベートの入出金・事業に関する入出金の両方を一つの口座で管理している場合、年度の途中で口座を分けられます。しかし、新しく作った事業用の口座にお金を移動する場合、一つのお金の動きを二重で帳簿に付けてしまう「二重仕訳」に注意です。帳簿の記載を間違えると確定申告の際に影響するため、慎重に行う必要があります。
個人口座と事業用口座を分けることで、お金の管理が容易になるなどさまざまなメリットが生まれます。口座を分けていない個人事業主の方は、ぜひもう一つの口座の開設を検討してみてください。
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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