- 更新日 : 2025年2月25日
個人事業主がクレジットカードで経費を支払うときに領収書はいらない?
個人事業主は事業に必要な経費を払う際に、クレジットカードも利用できます。クレジットカードには多くのメリットがある一方、取り扱いには注意が必要です。たとえば、領収書の管理方法を誤ると、経費計上の際に問題となる可能性があります。
本記事では、個人事業主が経費をクレジットカードで支払う際に必要な書類や注意点、仕訳方法などを解説します。
目次
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個人事業主がクレジットカードで経費を支払うときに領収書は不要?
個人事業主がクレジットカードで経費を支払う場合、領収書は不要です。クレジットカードで決済を行うと、支払いのタイミングでは店舗に現金が渡らないため、領収書が発行できません。
したがって、クレジットカードで決済した場合は、レシートのような書類を領収書の代わりに受け取ります。
領収書がない場合、確定申告・税務調査の際、支払証明ができなくなります。支出が経費として認められないため、現金決済時は必ず領収書を受け取りましょう。
個人事業主のクレジットカード決済で領収書代わりになるもの
個人事業主がクレジットカードで決済を行った場合、領収書の代わりとして、レシートと利用明細が使えます。
レシート
次の項目が記載されたレシートは、経費の証明書類として使用可能です。
- 発行者
- 金額
- 年月日
- 購入内容
決済時にもらったレシートは、領収書の代わりに、支払証明として使えます。
利用明細
クレジットカード決済をした場合、利用明細書も証拠書類になります。レシートと一緒にもらえる利用明細や、ネット通販サイトからダウンロードできるWeb利用明細書は、保存しておきましょう。
しかし、カード会社が発行する次のような書類は、領収書の代わりになりません。
- 電子利用明細
- 郵送される紙面の利用明細
- 請求額決定後の電子利用明細
カード会社が発行した書類には、インボイスの登録番号が記載されていないため、領収書の代替は不可能です。したがって、仕入税額控除も受けられません。
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個人事業主がクレジットカードで経費を支払うメリット
個人事業主がクレジットカードで経費を支払うと、次のメリットがあります。
経費の仕訳作業を効率化できる
クレジットカードで経費を支払うと、経費を把握しやすくなります。毎月郵送される明細書を見るだけで、決済金額・タイミングの確認が可能です。
また、事業用・プライベート用のクレジットカードを分けることで、仕訳作業を効率化できます。記帳の際も、明細書を見ながら行うとよいでしょう。支払先でおおまかに勘定科目を把握できるので、効率的に仕訳を進められます。
会計ソフトによっては、クレジットカード会社と連携し、決済データを取り込める場合もあります。事業用カードと会計ソフトを連携させることで、手入力の手間が省けるでしょう。
Web明細なら紙の領収書を管理する手間がなくなる
経費精算をクレジットカードに限れば、紙の領収書を管理する必要はありません。確定申告の際に、紙の領収書やレシートをまとめたり、計算したりする手間がなくなります。
また、領収書の紛失リスクもありません。紙の領収書を探したり、再発行してもらったりする手間がなくなります。明細書を紛失しても、Webから簡単に再発行できるのも利点です。
クレジットカードのポイントを利用できる
クレジットカードで事業経費を支払うことで、カード会社のポイント・マイルがたまります。経費の支払いを事業用カードにまとめれば、効率的にポイントをためられるでしょう。オフィス賃料のような、固定支出をカード決済するのもおすすめです。
たまったポイントやマイルは、事業用カードの支払いに含まれないので、プライベートな目的にも使えます。個人の生活費や、家賃の支払いに充てることも可能です。また、ポイントをカードの支払いに充当することもできます。
個人事業主がクレジットカードで経費を支払うときの注意点
個人事業主が経費をクレジットカードで支払う場合、次のポイントに注意しましょう。
クレジットカードの利用明細も保管義務がある
クレジットカードの利用明細には、5〜7年間の保管義務があります。確定申告で経費を計上しても、利用明細を捨ててはいけません。
保管期間は、申告の種類によって、次のように異なります。
申告の種類 | 保管期間 |
---|---|
白色申告 | 5年 |
青色申告(事業所得300万円以下) | 5年 |
青色申告(事業所得300万円超) | 7年 |
事業所得が300万円超で、青色申告を行っている事業者は、保管期間が7年間です。また、インボイス制度の登録事業者になると、消費税法の要請により7年間の保管が必要になります。
書類を紛失したり、破損したりしないよう、保存環境や場所を選びましょう。とくに、保管場所が高温になると、感熱紙が反応して文字が読めなくなります。領収書やレシートは、高温や水濡れを避けられる場所に保管してください。
クレジットカードの利用明細がない場合は別の証憑が必要
クレジットカードの決済時、紙のレシートや店舗からの利用明細がもらえなかった場合は、別の証憑が必要です。証憑になる書類を、次にまとめました。
- カード会社の利用明細・Web明細
- 経費精算伝票
店名・日付・商品またはサービス名、購入金額が記載されていれば、証憑として扱えます。ただし、Web明細を証憑とする場合は、電子データ上での保存が必須です。「電子帳簿保存法」により、電子データ形式の書類は、電子データで保存する必要があります。
また、消費税の仕入税額控除を受ける場合は、登録番号が記載された領収書を求められます。
プライベートの支払いを経費計上しないよう注意する
事業に関係ないプライベートの支払いは、経費計上できません。事業用のカードで決済しても、用途がプライベートであれば、事業経費として計上できなくなります。
事業用カードで個人用の決済を行うと、会計処理が複雑化し、ミスが起こりやすくなります。意図的に個人利用を続けた場合は、脱税を疑われるリスクもあるでしょう。
逆に、プライベート用のクレジットカードで事業関係の支出があった場合は、別途で記帳が必要になります。
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個人事業主がクレジットカード支払った経費を計上する方法
個人事業主がクレジットカード決済の経費を計上する場合、2つの方法があります。発生主義・現金主義の記帳方法を、詳しく見ていきましょう。
発生主義の複式簿記で記帳する方法
発生主義・複式簿記の記帳方法は、次の通りです。記載内容は、1,000円の消耗品をカード決済で購入した場合を例にしています。
日付 | 貸方 | 借方 |
---|---|---|
(決済日) | 消耗品費:1,000円 | 未払金:1,000円 |
(カード引き落とし日) | 未払金:1,000円 | 普通預金:1,000円 |
発生主義とは、取引が発生した時点で、費用と収益を計算する方法です。カードで決済を行う場合、決済日と引き落とし日の2回記帳を行います。決済日に「未払金」から消耗品を購入し、引き落とし日に普通預金で未払金を取り崩すという考え方です。
現金主義の複式簿記で記帳する方法
現金主義の複式簿記では、次のように記帳を行います。
日付 | 貸方 | 借方 |
---|---|---|
(カード引き落とし日) | 消耗品費:1,000円 | 普通預金:1,000円 |
現金主義では、現金・預金の動きがあったタイミングで記帳を行います。クレジットカード決済のように、決済金額を後払いする場合は、引き落とし日まで経費として計上できません。
したがって、記帳を行うタイミングは、カードの引き落とし日のみになります。
個人事業主のクレジットカードを確定申告ソフトと連携するとより便利に
クレジットカードと確定申告ソフトを連携すると、決済履歴が自動で記帳されます。カード会社のサイトにアクセスせずとも、未払金と預金残高の確認が可能です。記帳頻度が多い項目をプリセットに設定することで、複雑な仕訳も自動化できるでしょう。
また、記帳や仕訳業務の工数を削減できるのも利点です。勘定科目の間違いや、貸方・借方の取り違えも避けられるでしょう。
ただし、ソフト側からは事業用・プライベート用の支払いを判別できません。連携するカードは、事業専用のものにしましょう。また、複数行の記帳を必要とする仕訳は、手動で入力する必要があります。
クレジットカードで経費を支払う際はレシート・利用明細を受け取ろう
クレジットカードで経費を支払った場合、領収書は必要ありません。経費をカード決済する場合は、レシートや利用明細を受け取り、保管しておきましょう。紙面で決済証明書類を受け取れない場合は、別途証憑が必要です。
経費をクレジットカードで支払うことで、仕訳作業の効率化や、領収書管理の工数削減ができます。ポイントをためて決済に使用することも可能なので、経費精算にはクレジットカードを利用してみてください。

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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