個人事業主も電子帳簿保存をチェックすべき?青色申告65万円控除を受けるには

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時代の流れでしょうか。国税関係の手続きや書類もIT化が進んでいます。今や、紙で確定申告をすれば損をすることもあり、企業やフリーランスは速やかに制度に適応しなければいけません。(執筆者:元国税局職員・お笑い芸人 さんきゅう倉田)

2020年10月に改正。電子帳簿保存法改正とは

電子帳簿保存法
電子帳簿保存法とは、条件を満たした事業者に、帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律です。その条件が厳しく普及が遅れていましたが、電子保存を可能にするケースが追加されたことでより使いやすい制度となりました。

2020年10月に施行される改正法では、電子データの保存要件が緩和されます。過去にも少しずつ改正されていて、どんどん便利になっています。スキャナでの読み取りにスマホでの撮影も加わり、原本の保存も不要になり、金額の上限が撤廃され、白黒画像も認められ、電子証明は不要になりました。

制度を使えば、紙の請求書や領収書の受領・保存は不要になります。企業や個人事業主にとって、事務作業の効率化が進むのは間違いありません。

個人事業主も電子帳簿保存をチェックすべき理由

青色申告 電子帳簿保存法
なぜなら、2020年分の確定申告から、青色申告特別控除の控除額が55万円に減額され、従来どおり65万円の控除を受けるには、e-Taxでの申告か電子帳簿保存が必要だからです。

青色申告特別控除の控除額2019年分の申告まで:65万円
2020年分の申告から:55万円

青色申告特別控除を受ける条件

ここで、55万円の青色申告特別控除を受ける条件を確認しておきましょう。

  1. 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
  2. これらの所得に係る取引を正複式簿記により記帳していること。
  3. 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、控除の金額を記載して、期限内申告をすること。

これらの条件は、今までの65万円の特別控除と同様です。今まで通り申告すれば、55万円控除は受けられます。

(参考:国税庁|No.2072 青色申告特別控除

青色申告控除65万円を引き続き受けられる条件

上記1~3に加えて、次のどちらかが必要になります。

  1. 仕訳帳と総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。
  2. 所得税の確定申告書、貸借対照表と損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Taxを使用して行うこと。

1は事前の申請が必要です。2であれば、今までも行っている方が大勢いるでしょう。ただ、確定申告書だけでなく、貸借対照表と損益計算書もe-Taxで提出する必要があります。税務署や確定申告書作成会場のパソコンで確定申告をすると、それらは手書きになるため、65万円の控除は受けられません。65万円の控除を受けたい場合は、自宅から申告しましょう。

電子帳簿保存は承認申請が必要

青色申告 
この電子帳簿保存制度の適用を受けるには、帳簿の備付けを開始する日の3か月前までに申請書を税務署に提出する必要があります。

65万円の控除は受けたいけれど、e-Taxでの申告が難しいために電子帳簿保存を申請するという人は少ないと思いますが、もし申請するのであれば、仕訳帳と総勘定元帳をデータで備付け、保存できるようにしましょう。

2020年9月30日までに承認申請書を提出しよう

2020年(令和2年)分に限っては、承認申請書の提出期限が緩和されています。2020年9月30日までに承認申請書を提出し、2020年12月31日までに、仕訳帳と総勘定元帳をデータで備付け、保存することで、65 万円の青色申告特別控除を受けることができます。

所得税の基礎控除額も変わる


2020年(令和2年)分の申告から、誰でも受けられる所得税の基礎控除額も変わります。

所得が2,400万円以下ならば、10万円増えて48万円になります。所得が2,400万円を超えると少しずつ減っていき、2,500万円超で0円になりますが、その対象となる人はごくわずかです。ほとんどの方が、基礎控除が増額されると考えて良いでしょう。

なお、会社員の方は、給与所得控除が10万円減っているので、ご注意ください。

納税者本人の合計所得金額
控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超~2,450万円以下32万円
2,450万円超~2,500万円以下16万円
2,500万円超~0円

(引用:国税庁|No.1199 基礎控除

おわりに

事業を行う上で、IT化は欠かせません。導入コストはかかりますが、その恩恵は計り知れない。

記帳や申告を電子化すれば、社内だけでな、取引先や役所の業務も効率化されます。この機会にぜひ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:さんきゅう倉田(元国税職員/芸人)

大学卒業後、東京国税局を経て、よしもとクリエイティブ・エージェンシーで芸人に転身。将来の夢「天下り」、好きな領収証「コクヨ」、無人島に一つ持っていくとしたら「振替伝票」。著書に『読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)、『笑う数学』(KADOKAWA)がある。
Twitter:https://twitter.com/thankyoukurata
HP  :http://www.thankyoukurata.com/



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