夫婦控除創設で夫婦の税金はどう変わる?

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先日、政府が配偶者控除の見直しについて検討しているとの報道がありました。それによると、配偶者控除を廃止し、夫婦控除という新制度が創設されるとのことです。

配偶者控除にはいくつかの問題点が存在します。

本稿では、配偶者控除の本当の問題点を明らかにし、新たに創設が検討されている夫婦控除がどのようなものなのかについて解説したいと思います。

なお、説明をわかりやすくなるため、パパとママという言葉を使い、パパが会社員、ママがパート勤めという設定で説明いたしますが、パパとママが逆だとしても基本的には同じですので、適宜読み替えていただければと思います。

夫婦控除が始まる理由は?

現在、配偶者に対する税金の優遇制度としては、配偶者控除があります。配偶者控除とは、所得の少ないママがいる場合に、一定額をパパの所得から控除することで、所得税や(住民税)が安くなるというものです。

ママの所得が低い場合、家計における税を負担する能力(担税力)も低いといえます。担税力に応じて税金を課すための配偶者控除のような所得控除は、課税の公平性からも必要な施策だと思います。しかし、実際には、配偶者控除を受けるために、あえて就労時間を抑えるママが多いと言われています。

そのため、配偶者控除があるために女性の社会進出が進まないといわれるようになり、配偶者控除を廃止し、ママの所得に関係なく、夫婦の所得から一定額の控除をする「夫婦控除」の新設が検討されるようになりました。

誤解されている配偶者控除103万円のかべと本当の問題点

このようにして新設が検討されている夫婦控除ですが、まずはその現行制度である配偶者控除について説明いたします。

配偶者控除はパパの所得から38万円が控除できる制度です。配偶者控除を受けるためには、ママの所得が38万円以下でなければなりません。ママが給与所得者である場合には給与所得控除(最低65万円)がありますので、給与収入がその合計である103万円以下の場合に配偶者控除を受けられることになります。そのため、給与収入を配偶者控除が受けることのできる103万円以下に抑えるママが多いというわけです。これは「103万円の壁」などと呼ばれたりもしています。

しかし、ママの給与収入が103万円をこえたとしても、配偶者特別控除という制度があります。配偶者特別控除はパパの所得が1000万を超えると使えなくなってしまうのですが、そうでない場合には、一定金額はパパの所得から控除されることになります。(パパの所得にもよりますが、所得が900万円以下であれば38万円からママの所得が上がるにつれ控除額が減ります。)

それでもなお103万円の壁が存在するかのように誤解されているのは、企業が独自に設定している扶養手当が原因となっているようです。

しかし、配偶者控除にも全く問題がないというわけではありません。所得税は所得が高いほど税率が大きくなります。

先述した通り、配偶者控除はパパの所得から38万円が控除できる制度ですので、パパの所得が高いほど節税効果が大きくなり、高所得者ほど有利な制度であるといえます。

このように、配偶者控除の問題点は、配偶者控除の103万円以下という基準が企業の扶養手当の基準となっている点、パパの所得に関係なく一律38万円が控除され、高所得者有利な制度となっている点にあるのです。

夫婦控除の内容は?

それでは、夫婦控除の内容はどのようなものなのでしょうか?
実はまだ、夫婦控除の具体的内容について正確には明らかにされていません。案の一つとして配偶者控除を廃止し、ママの年収に関係なく夫婦の所得から一定額を控除するものも検討されています。つまり、ママがフルタイムで働く場合にも一律に控除が適用され、ママが仕事の時間を抑える必要がなくなるというわけです。

現政権が掲げる「女性活躍」のため、ママが働きやすい制度に改め、共働きの子育て世帯を後押しする制度になることが期待されています。

上記で述べたように、配偶者控除の本当の問題点についても、配偶者控除の廃止をきっかけに、企業の扶養手当の基準についても見直しが行われ、また、高所得の世帯には夫婦控除の控除額を縮小するなどの配慮がなされれば、女性の社会進出や課税の公平性に有効な制度となるのではないでしょうか。

まとめ

さて、配偶者控除と夫婦控除についてお分かりいただけたでしょうか。夫婦控除についてはまだ先行きが不透明であり、今後の動向を注視する必要があります。

また、家計の最適化は、税金についてだけでなく、社会保険における130万円の壁や106万円の壁も意識する必要があります。

これらの点を考慮した上で、配偶者控除の廃止に合わせて、例えばママの所得を増やすために、資格を取得するなどの対策を今のうちから始めておくのも良いのではないでしょうか。

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監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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