- 更新日 : 2025年2月25日
所得金額調整控除とは?調整控除の対象者や計算方法、申告方法を解説
所得金額調整控除は、一定の条件のもと、税の負担を軽減する制度です。子どもや介護者がいる世帯や、給与と年金両方の所得がある世帯の一部の税負担を軽減する趣旨があります。適用になる条件があるため、事前に確認が必要です。
本記事では、控除の内容や該当する人を解説します。申告方法や注意点・ポイントも説明しますので、参考にしてください。
なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
チェックリスト付きなので、情報収集だけでなく、書類作成・申告手続きを行う時にもお使いいただけます。
この記事を読む方におすすめ
税理士監修で、40ページ以上の情報がギュッと詰まったお得な1冊となっていますので、毎年使える保存版としてご活用ください。
目次
フォームに順番に入力するだけで、控除や還付金を受け取るための確定申告も簡単に。「マネーフォワード クラウド確定申告」は、医療費控除・社会保険料控除、ふるさと納税・住宅ローン控除…などの各種控除がある方にも、多くご利用いただいています。
スマホのほうが使いやすい方は、アプリからも確定申告が可能です。

所得金額調整控除とは
所得金額調整控除とは、2020年に導入された新しい制度です。一定の要件を満たす場合、所得から一定額が控除されます。
ここでは、制度の内容や導入の背景を解説します。
2020年分から導入された制度
所得金額調整控除とは、所得税を抑える控除制度のひとつです。子どもや特別障害者等がいる世帯や、年金を受給しながら給与を取得する世帯の一部の負担を軽くするため、2020年分から導入されました。
一定の要件を満たす人が手続きすることで、給与所得の金額から一定額の控除を受けることができ、税の負担を抑えられます。
導入の背景
所得金額調整控除が導入された背景には、2020年分から給与所得控除の上限が引き下げられた税制改正があります。給与所得控除の上限額や公的年金所得の控除が引き下げられたことで、実質的に増税となる結果になってしまったためです。
救済措置として創設されたのが所得金額調整控除であり、負担を調整する目的があります。
所得金額調整控除の対象者
所得金額調整控除を申請できるのは、次のいずれかに該当する場合です。
- 子ども・特別障害者等がいる
- 給与所得と年金所得の両方がある
それぞれの適用条件について、詳しくみていきましょう。
子ども・特別障害者等がいる人の適用条件
子ども・特別障害者等を有する場合に適用対象となるのは、次の適用条件のいずれかに該当する場合です。
- 給与所得者自身が特別障害者に該当する
- 23歳未満の扶養親族がいる
- 同一生計配偶者または扶養親族のいずれか一人が特別障害者である
年間の収入が850万円を超える給与所得者であり、これらの適用条件に該当すれば、所得金額調整控除が受けられます。
給与所得と年金所得の両方がある人の適用条件
給与と年金の所得がある人の適用条件は、会社からの給与所得とともに雑所得となる公的年金の収入があり、その合計額が10万円を超える場合です。
- 会社からの給与所得と雑所得となる公的年金の収入の合計額が10万円を超える場合
条件とされるのは対象者自身の収入のみとなります。高齢化が進む日本では年金を受け取りながら働き続ける人も多く、収入の合計が10万円を超えていれば、一律に所得金額調整控除を受けられます。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
所得金額調整控除の計算方法
所得金額調整控除は、2つの適用条件のいずれの場合でも、控除の上限が決められています。
ここでは、適用条件ごとに控除額の計算方法を解説します。
年収850万円超の給与所得がある場合
給与所得が年間の収入が850万円を超え、子ども・特別障害者等を有する場合、控除額の計算式は次のとおりです。
たとえば、収入が950万円の場合、控除額は「(950万円-850万円)×10%=10万円」となります。
なお、収入の上限は1,000万円であるため、控除額は最大15万円です。
給与所得と年金所得の両方がある場合
給与と年金双方の所得がある場合、計算式は次のとおりです。
給与所得控除後の給与金額、および公的年金にかかる雑所得の所得のいずれも、10万円が上限となっています。
例えば、給与300万円、公的年金100万円を受け取っている65歳未満の会社員の場合、給与所得控除の金額は98万円であるため、給与所得控除後の給与等の金額は202万円です。
また、公的年金等控除額は60万円になり、公的年金等に関わる雑所得の金額は40万円になります。
しかし、上限はいずれも10万円のため、控除の計算式は「10万円+10万円-10万円となり、控除額は10万円です。
所得金額調整控除を申告する方法
所得金額調整控除は、申告をしないと適用されません。申告方法は年末調整または確定申告で、年末調整で申告できるのは、子ども・特別障害者等を有する場合のみです。年金を受給しながら給与を得ている場合、および年収が2,000万円超の会社員の手続きは確定申告のみとなるため、注意してください。
ここでは、それぞれの申告方法を解説します。
年末調整で申告する場合
年末調整で申告する場合、勤務先に提出する「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」に、その旨を記載します。
書類の一番下に記載するところがあるため、必要事項を記載してください。該当する要件にチェックを入れる部分があり、要件ごとに記入する内容が異なるため、正しく書き入れましょう。
確定申告で行う場合
給与所得と年金所得が両方ある場合、もしくは年収2,000万円を超える場合は年末調整では受けることができず、確定申告を行います。850万円超の給与等を受け取っている給与所得者は、確定申告でも手続きが可能です。
確定申告書には、「収入金額等」の「給与」欄に、給与所得控除と所得金額調整控除を差し引いた金額を記入します。
年金所得がある場合は書くべき項目が多いため、国税庁のWebサイトにある「公的年金等の雑所得がある方の記載例」を参考に記入するとよいでしょう。
所得金額調整控除の注意点、ポイント
所得金額調整控除を申請する際は、控除の条件に該当するか、わかりにくいケースがあります。
ここでは、所得金額調整控除で注意したい点を解説します。
年間の給与収入が850万円を超えるかわからない場合
子ども・特別障害者等を有するという適用条件に該当する場合、年末調整の時期になっても年間の給与収入が850万円を超えるかわからないケースもあります。そのような場合でも、申告書は提出しておいてください。
不明な点は記載せず、必要事項だけを埋めて提出します。給与額が確定して適用できると判明した場合は、不足部分を記入して処理するという流れになります。
共働きでお互い850万円超の給与収入を得ている場合
所得金額調整控除の適用条件に該当し、共働きで夫婦ともに年間収入が850万円を超える場合、それぞれが控除を申請できます。
扶養控除の場合はどちらか一方しか申告できませんが、所得金額調整控除は2人とも申告できるため、控除される範囲が広くなっています。扶養控除と混同して、一方の手続きを忘れるということのないようにしましょう。
複数の会社から給与をもらっている場合
1社での給与収入が850万円未満の場合でも、複数の会社で給与をもらっていて収入が850万円を超える場合、適用条件に該当します。ただし、年末調整の申告はできないため注意してください。
自分で確定申告の手続きを行い、すべての収入を申告することで所得金額調整控除の適用を受けることができます。
なお、2つの適用要件を満たす場合は、併用が可能です。最初に「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」を給与に適用させ、その後に「給与所得と年金所得の両方ある人」の控除額を差し引いてください。
1円未満は切り上げて計算すること
所得金額調整控除の計算で端数が出た場合、1円未満は切り上げて計算しましょう。確定申告ソフトなどを使って申告をする場合は自動計算されますが、手計算で作成する場合は、端数処理を間違えないようにしてください。
あとから間違いに気づくと修正などの手続きが大変になるため、十分に注意して作成するようにしましょう。
所得金額調整控除を忘れずに申告しよう
所得金額調整控除は比較的新しい制度のため、よく知らないという方が多いかもしれません。適用条件に該当する場合は税負担を軽くできるため、忘れずに申告するようにしましょう。共働きでお互いが要件を満たす場合、扶養控除と異なり、それぞれが申告できます。
年収の要件を満たすかわからないときも、あとから必要項目を追記できるため、年末調整の書類は提出しておくようにしましょう。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得

銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案

自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能

白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む11サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。

合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド

青色申告1から簡単ガイド

個人事業主が知っておくべき経費大辞典


マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
個人事業税とは?計算方法や仕訳、勘定科目、控除まで解説
個人事業税とは「前年度の所得が290万円を超えた場合に、都道府県へ支払う税金」と考えることが一般的です。個人事業税は全額を経費にできるため、正しい仕訳・計上を忘れないようにしましょう。当記事では個人事業税の概要や課税対象になる業種、計算式、…
詳しくみる確定申告で個人事業主の借入金返済は必要経費にできる?仕訳方法とあわせて解説
個人事業主がの借入金の返済は経費にすることはできません。ただし、借入金にかかる利息は経費にすることができます。 このように支払利息など借入関連の費用を必要経費に算入できれば、確定申告をすることで所得から控除され、税額軽減につながる可能性があ…
詳しくみる印紙税
印紙税とは 印紙税とは、契約書や領収書などの文書を作成した際に、貼付する印紙代として国に納税する税金のことです。 印紙は印紙税法に定められている通り、課税物件の取引をする時に必要な課税文書に貼付することが義務付けられています。1号・2号の本…
詳しくみる個人事業主の消費税引き落とし日はいつ?予定納税はできる?条件や納付額も解説
個人事業主の消費税は3月31日が期限となり、振替納税を設定している場合は、消費税の口座引き落とし日は納付期限の1ヶ月後になります。消費税の納税義務があるのは、課税事業者の要件に該当するか、適格請求書発行事業者として登録している場合です。 本…
詳しくみる個人事業主でも源泉徴収は必要?源泉徴収票の作成方法や所得税の計算を解説
源泉徴収は原則として給与や報酬を支払う者が行います。では、従業員を雇用せずに給与を支払っていない個人事業主の場合は、源泉徴収が必要になるのでしょうか。 本記事では、従業員のいない個人事業主でも源泉徴収が必要なケースや源泉徴収票の作成方法につ…
詳しくみる雑損控除で災害後の税負担を軽くする方法
「所得控除」と聞くと、おそらく扶養控除や医療費控除、社会保険料控除などを思い浮かべる人が多く、雑損控除が第一に出てくる人は珍しいでしょう。しかし、実は、雑損控除は災害や盗難などの被害に遭われた人にとって、非常に心強い存在です。今回は、その中…
詳しくみる