• 更新日 : 2025年10月21日

ヘルパーで個人事業主になるには?資格・開業の流れ・確定申告について解説

ヘルパーとして個人事業主になることは、働き方の自由度を広げる大きなチャンスです。介護保険外サービスを中心に、自分のペースで仕事を組み立てられる反面、資格や手続き、集客、税務といった“経営者”としての責任も伴います。

この記事では、開業にあたって押さえておくべき基礎知識やサービス内容、働き方の選択肢などを解説します。

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目次

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個人事業主がヘルパーとして開業できるサービスは?

個人事業主としてヘルパー業を始める際には、法律や制度の制約により「提供できるサービス」と「提供できないサービス」の線引きが存在します。以下では、開業可能な分野を解説します。

介護保険外サービスが主な対象になる

個人で開業する場合、公的介護保険の指定を受けることはできません。介護保険法に基づく訪問介護(いわゆるホームヘルプ)は法人格を持つ事業所でなければ実施できないため、個人事業主としては提供できません。

個人では介護保険の指定事業者になれないため、開業の対象は原則として自費の「介護保険外サービス」になります。これは、利用者が全額自己負担で利用する自費サービスであり、保険制度に縛られない分、柔軟に内容を設定できます。公的制度では対応しきれない生活援助や見守り、話し相手など、個別ニーズに寄り添ったサービス提供が可能になります。

提供できるサービス例

介護保険外サービスとして、個人でも実施しやすい業務には次のようなものがあります。

  • 高齢者の見守りや話し相手
  • 日常生活のサポート(買い物同行、掃除、洗濯、調理など)
  • 通院・外出の付き添い
  • 家事代行・生活支援サービス

これらのサービスは、介護保険の訪問介護では提供が制限される場合があるため、自費で柔軟に対応できる個人事業主によるサービスは需要が高まりつつあります。

また、病院への送迎付き添いや、夜間の見守り、定期訪問による安否確認といったサービスも、利用者やその家族から重宝されています。

提供内容によっては届け出や資格が必要な場合もある

基本的には介護保険外サービスの範囲であれば、開業に特別な資格や許可は求められません。ただし、サービスの中に法令上の規制がかかる内容が含まれる場合は例外です。

ペットの世話を請け負う場合には動物取扱業の登録が必要です。また、医療行為やマッサージなどを提供するには国家資格や法的な登録が必須となります。開業前には、自分が提供する予定のサービスが法的に問題ないかを事前に調査しておくことが大切です。

ヘルパーとしての開業に資格は必須?

ヘルパーとして個人事業を始めたいと考える方にとって、「資格は必要なのか?」という疑問は重要です。ここでは、開業にあたっての資格と条件について解説します。

自費サービスの開業に資格は必須ではない

介護保険外のサービスを個人で提供する場合、法律上の資格取得義務は原則としてありません。介護保険の指定訪問介護では、従業者に介護福祉士または初任者研修・実務者研修等の修了といった要件が課されますが、すべての職種で介護福祉士が必須というわけではありません。自費サービスを営むだけであれば、無資格でも開業可能です。

とはいえ、まったくの無資格よりも介護関連の資格を取得していた方が、利用者やその家族からの信頼を得やすいのは事実です。主なサービスが「話し相手」や「見守り」であっても、社会福祉士や介護福祉士といった専門資格を保有していれば、依頼されやすくなる場面は多くあります。

中でも取得しやすいのが「介護職員初任者研修」(旧・ホームヘルパー2級)で、基礎的な介護知識・技術を学べます。この資格は比較的短期間・低コストで取得でき、特に高齢者を対象とした生活支援を行いたい場合にはおすすめです。

サービス内容によっては資格や許可が必要になることも

自由度の高い介護保険外サービスですが、提供内容によっては法的な制約が生じることもあります。高齢者の身体に直接触れるような身体介助そのものに一律の資格義務はありませんが、医行為に該当する行為は有資格者のみが実施できます。

また、食事の提供を伴う「高齢者向け配食サービス」では、自治体の保健所等への届け出や衛生管理に関する条件を満たす必要があります。さらに、マッサージや施術を行う場合には「あん摩マッサージ指圧師」などの国家資格が求められ、資格がなければ業として行うことはできません。

このように、業種によっては営業許可や登録が必要になるため、事前に管轄する自治体や行政機関への確認が欠かせません。

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個人事業主の"経費"、うまく活用できていますか?

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ヘルパーとしての開業時に持っておくと良い資格は?

前述のとおり、個人事業主として提供できる介護保険外サービスは、無資格でも開業可能なものが多くあります。しかし、利用者の安心感やトラブル回避、他者との差別化を考えると、業務内容に即した資格を取得しておくことが大きなメリットになります。ここでは、代表的なサービスと、「持っておくと良い資格」を紹介します。

見守り・話し相手|介護職員初任者研修・認知症介助士

高齢者の見守りや話し相手といった精神的ケア中心のサービスであっても、介護職員初任者研修を修了していれば、基本的な介護知識があると評価され、利用者やその家族からの信頼を得やすくなります。加えて、認知症の方への理解と対応力を示す認知症介助士も、心のケアを重視するサービスに適した資格です。

家事代行・生活支援|家政士検定・クリンネスト

掃除や洗濯、調理補助など日常的な生活援助を行う場合には、家政士検定やクリンネスト(掃除の民間資格)があると、家事の専門家としての信頼性をアピールできます。調理に関しては、食生活アドバイザーなど栄養や衛生に関する知識を示す資格も役立ちます。

外出・通院付き添い|介護職員初任者研修・同行援護従業者養成研修

通院や買い物などの外出支援を行う際には、緊急時対応の観点からも介護職員初任者研修の修了が望ましいといえます。また、視覚障がい者の移動支援に関しては、同行援護従業者養成研修を修了していると、専門的なサポートが可能となり業務の幅が広がります。

病院付き添い・入退院支援|医療事務系資格・初任者研修

病院への付き添いや入退院の支援業務では、医療事務関連の資格を取得していると、医療機関とのやり取りや患者対応に理解があると評価されます。また、ここでも初任者研修の保有は、体調変化への対応力を証明する材料になります。

個人事業主のヘルパーが選べる働き方は?

ヘルパーとして個人事業主で活動する場合、提供できるサービスが介護保険外に限定される一方で、働き方には複数の選択肢があります。以下では、それぞれの働き方について紹介します。

訪問介護事業所などとの業務委託契約

もっとも一般的な働き方が、介護事業所や福祉サービス事業者との業務委託契約です。この場合、事業所が受けた依頼に対して、個人事業主が外注スタッフとして現場に派遣され、生活援助や身体介助などのサービスを提供します。スケジュールや業務内容は事業所の指示に従うことが多いため、自分の裁量は限定的ですが、営業や契約手続きを自ら行う必要がない点はメリットといえます。委託料は時間単位で設定されていることが多く、未経験者でも比較的始めやすい形態です。

利用者と直接契約し、自費サービスを提供する

もう一つの働き方が、利用者本人やその家族と直接契約を結び、介護保険外サービスを提供するスタイルです。見守り、買い物同行、掃除、洗濯、調理など、柔軟な生活支援が対象となり、サービスの価格や内容を自分で設定できる自由度の高さが特徴です。

ただし、この働き方では、集客・料金設定・契約管理・トラブル対応までを自ら担う必要があるため、ビジネススキルとセルフマネジメント力が問われます。長期的には安定した顧客基盤を築くことができれば、高い収益性とやりがいが得られるスタイルでもあります。

マッチングサービスや地域ネットワークの活用

近年では、介護や家事代行に特化したマッチングプラットフォーム(例:ユアマイスター、くらしのマーケットなど)に登録して仕事を受注する個人事業主も増えています。サービス内容や料金、口コミなどが公開されているため、信頼を得られればリピートや紹介につながります。ただし、プラットフォーム手数料が発生することや、他事業者との競争が激しい点には注意が必要です。

また、地域包括支援センターや福祉団体、ケアマネジャーとのつながりを通じて仕事を紹介してもらう方法もあります。地域密着型の活動やボランティア的な参加を通じて信頼を得ることで、安定的な仕事の依頼につながるケースも多く見られます。

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ヘルパーの開業手続きと準備は?

ヘルパーとして個人事業を始めるには、サービス内容の検討から行政手続き、備品の準備、そして集客の仕組みづくりまで、段階的な準備が欠かせません。介護保険外サービスだからこそ、自由度の高い事業展開が可能ですが、その分、自主的な計画と実行力が求められます。

ステップ1:サービスの設計と計画づくり

まずは「何を誰に提供するのか」を明確にし、サービスの方向性を定めます。介護保険外の自費サービスは全額自己負担であるため、利用者のニーズにマッチする内容と、納得できる価格設定が成功の鍵となります。

「掃除・調理などの家事支援」や「高齢者の話し相手や見守り」を定期的に提供するようなサービスは需要が高く、継続利用につながりやすいといえます。競合との差別化も意識し、簡単な事業計画書や料金表を作成しておくと、その後の運営もスムーズです。

ステップ2:許認可の確認と開業届の提出

基本的に介護保険外サービスには包括的な許可は不要ですが、内容によっては例外があります。たとえば、身体介助に類するサービスや配食、マッサージなどを含む場合は、所管行政への届け出や国家資格が求められるケースがあります。

サービス内容が確定したら、税務署に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を提出しましょう。同時に「青色申告承認申請書」も提出すれば、最大65万円の特別控除を活用でき、節税効果も期待できます。青色申告の承認申請は原則として開業から2か月以内が期限ですので注意が必要です。

ステップ3:開業準備と集客活動

次に、業務に必要な備品を揃えます。掃除用具、スマートフォン、移動手段、契約書、料金表など、サービスに応じた道具と書類を準備しておきましょう。個人情報保護やトラブル時の対応方針も、事前にルールとして明文化しておくと安心です。

集客面では、開業前からSNSや簡易ホームページの開設、地域へのチラシ配布、知人への紹介依頼などを進めるのが効果的です。開業初期はすぐに顧客が集まらなくても、継続的に情報発信を行うことで、徐々に信頼と実績を積み上げていけます。

個人事業主のヘルパーの税金と確定申告は?

ヘルパーとして個人事業主で活動する場合、会社員とは異なり、自分で収入や経費を記帳し、確定申告を行う必要があります。介護業界特有の報酬体系やインボイス制度への対応も関係するため、税務処理を正しく理解することが安定した事業運営につながります。

確定申告の基本と青色申告のメリット

個人事業主は、毎年1月〜12月の事業収入と経費を集計し、翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告を行います。ヘルパー業務であっても例外ではなく、開業届を提出した時点で申告義務が発生します。

青色申告を選択することで、最大65万円の青色申告特別控除をはじめとする多くの優遇措置を受けられます。複式簿記による帳簿付けや電子申告など所定の要件を満たせば、課税所得を大きく減らすことが可能です。年間300万円の利益がある場合、青色申告を使えば最大65万円が控除され、課税対象が235万円に抑えられます。

青色申告を利用するには、開業届とあわせて「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。これは開業から2ヶ月以内の提出が原則となるため、忘れずに行いましょう。

介護職だからこそ知っておきたい経費や制度

ヘルパーの仕事では、自転車や車のガソリン代、訪問時に使う消耗品、仕事用スマートフォン、業務に使うユニフォームなども経費として計上できます。なお、上記費用は業務に直接要した部分に限り必要経費にできます。私用分を除いた按分や記録の保存が前提です。自宅を事務所として使っている場合は、按分計算によって家賃や水道光熱費の一部を経費にできる場合もあります。

また、2025年からは所得税の基礎控除額が48万円から58万円に引き上げられたため、課税のラインが実質的に緩和されています。また、扶養控除等の所得要件も改正されているため確認しておきましょう。

インボイス制度と消費税の関係

2023年に施行されたインボイス制度(適格請求書保存方式)により、課税売上が1,000万円を超えた事業者は、インボイス登録をしなければ取引先が仕入税額控除を受けられなくなります。ただし、ヘルパー業の多くは対個人取引が主で、取引先が仕入控除を必要としないケースもあります。

そのため、売上規模や顧客層に応じて、インボイス登録をするかどうかを慎重に判断することが必要です。

ヘルパーとして自立するために、準備を整えよう

個人事業主としてヘルパー業を始めるには、介護保険に頼らない「介護保険外サービス」を中心に、自費で柔軟な支援を提供することが基本になります。無資格でも開業は可能ですが、信頼性の観点から介護職員初任者研修などの資格を持っておくと安心です。働き方には業務委託や直接契約のほか、マッチングサービスや地域との連携もあり、開業前には許認可の確認と開業届の提出、備品・書類の準備、集客活動の計画が不可欠です。税務面では青色申告を活用し、経費や最新の税制にも注意を払うことで、安定した事業運営が可能となります。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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