• 更新日 : 2025年10月21日

給与計算ソフトは個人事業主に必要?種類・機能・おすすめの選び方を解説

個人事業主として従業員を雇用したり、家族に給与を支払ったりする場面では、給与計算の正確性と効率性が求められます。法令に沿った処理が必要な一方で、税率の変更や年末調整への対応には一定の知識と手間がかかります。

本記事では、給与計算ソフトを導入するメリットや、選ぶ際のポイント、機能や種類について解説します。

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給与計算ソフトの活用が向いている個人事業主とは?

個人事業主が自分に支払う金銭は、給与ではなく「事業主貸」等で処理されます。しかし、家族や従業員を雇用している場合には、給与計算が必要になります。ここでは、給与計算ソフトの導入が役立つケースについて解説します。

従業員や家族専従者を雇用している場合

個人事業主が従業員を雇っている場合は、給与支給にあたって源泉徴収社会保険料の計算、給与明細の発行、年末調整などが発生します。これらを手作業で行うのは非常に煩雑で、法令対応のミスにもつながりかねません。給与計算ソフトを使えば、これらの業務を効率的かつ正確に処理できます。

また、青色申告をしている個人事業主が家族に専従者給与を支払う場合も、届け出た金額に基づいて給与計算が必要になります。専従者も従業員として正しく処理するには、一般の従業員と同様に給与計算ソフトの利用が有効です。

将来的に人を雇う予定がある場合

現時点で従業員がいなくても、事業拡大を見据えている個人事業主にとっては、早めに給与計算ソフトの基本を理解しておくことが重要です。初期から適切なツールを整備しておくことで、スムーズな人材採用と管理体制の構築につながります。

個人事業主が給与計算ソフトを利用するメリットは?

個人事業主にとって、給与計算業務は少人数でも煩雑でミスが許されない業務のひとつです。給与計算ソフトを活用することで、業務効率の向上とリスクの低減が期待できます。ここではそのメリットを解説します。

計算ミスを防ぎ、法令対応も安心

給与計算ソフトの最大の利点は、所得税や社会保険料、さらには労働基準法などについて控除額、労働時間等を自動で正確に計算できる点です。個人事業主が手作業で計算する場合、法改正や税率の更新に合わせて毎回見直しが必要ですが、多くのクラウド型給与ソフトは提供側の自動アップデートで法改正に対応します。

これにより、誤った税額での支給や源泉徴収漏れといったリスクを減らし、税務リスク回避できます。

属人化を防ぎ、業務時間を削減できる

給与計算業務が標準化されることで、担当者の属人的な処理に依存せず、誰でも一定の手順で正しく処理できます。入力項目に従って操作するだけで月次給与や賞与、源泉徴収税額などが即座に計算されるため、日々の業務にかける時間と手間が大きく減少します。その分、営業活動や商品開発など本業に集中する余裕を生み出せます。

セキュリティ強化と情報漏洩リスクの低減

給与情報には従業員の個人情報が多数含まれており、手作業での管理は漏洩リスクが高まります。例えば、クラウド型の給与計算ソフトであれば、通信と保存データが暗号化され、アクセス制限も設定できるため、安全に運用可能です。マイナンバーの取り扱いが求められる現代において、セキュリティ対策が講じられているソフトの利用は大きな安心材料となります。

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給与計算に活用できるソフトの種類は?

給与計算に活用できるソフトや仕組みには、使用環境や目的に応じてさまざまなタイプが存在します。

Excelやスプレッドシートによる給与計算

もっとも手軽に始められる方法が、ExcelやGoogleスプレッドシートを使った給与計算です。関数や数式を活用してテンプレートを作成すれば、自作の給与計算シートとして運用できます。初期費用がかからず、既存ソフトで済む点が魅力です。ただし、税率や保険料率の変更時は自分で関数を修正しなければならず、更新を怠れば計算ミスの原因になります。また、年末調整や法定帳票の作成も手作業に頼らざるを得ないため、人数が多いと対応が煩雑になりがちです。

インストール型(パッケージ型)

パソコンにソフトをインストールして利用するタイプです。一度購入すれば継続的な利用料は不要なケースが多く、長期的にはコストを抑えられる傾向があります。オフライン環境でも使用可能で、データが手元にある安心感もあります。ただし、法改正への対応は手動アップデートが必要なため、更新を怠ると正確な処理ができなくなるリスクがあります。さらに、PC故障や買い替え時にはバックアップや再設定の手間が発生します。

クラウド型

近年主流となっているのが、クラウド型の給与計算ソフトです。インターネット経由でアクセスするため、場所や端末を選ばず利用でき、在宅勤務にも対応できます。法改正や保険料率の変更にも自動でアップデートされ、最新の制度に沿った計算が可能です。データはクラウド上に安全に保管され、紛失リスクも低くなります。ただし、月額または年額の利用料が発生するため、コスト面の継続負担を考慮する必要があります。

オンプレミス型

自社のサーバーに給与システムを構築し、社内で一元的に運用する方式です。大企業など、給与制度が複雑で高度なカスタマイズが求められるケースに向いています。セキュリティ面での高度化が可能で柔軟性が高く、外部への情報流出リスクを抑えられる利点がありますが、導入費用や運用保守コストが高く、法改正時には自社でプログラムの改修が必要です。個人事業主にとってはオーバースペックとなるため、選択肢としては現実的ではないケースがほとんどでしょう。

個人事業主に必要な給与計算ソフトの機能は?

給与計算ソフトは単なる計算ツールではなく、業務の正確性と効率を左右する業務支援ツールです。ここでは、必要な基本機能を整理します。

所得税や社会保険料の自動計算機能

給与計算ソフトの根幹となるのが、自動計算機能です。従業員の基本情報と勤怠データを入力することで、基本給や時間外手当、各種手当を合算し、そこから社会保険料や源泉所得税などを自動的に控除して、支給額を正確に導き出します。月ごとの給与だけでなく、賞与(ボーナス)の計算にも対応しているソフトであれば、年間を通じて一貫した業務処理が可能です。この基本的な機能だけでも、作業者の時間と労力を大幅に削減できます。

給与明細・年末調整・帳票出力の自動化機能

計算結果を基に、各種帳票を自動生成できる機能も不可欠です。給与明細や賞与明細をPDFまたはオンラインで発行・配信できるため、ペーパーレス化が進み、業務の迅速化にも寄与します。また、年末調整に必要な扶養控除等申告書、源泉徴収票などの書類も自動で作成できるソフトは、税務対応の精度と効率を格段に向上させます。特に年末調整は、年間の給与と源泉徴収データにより最終的な納税額を確定する手続きであり、種々の書類作成も伴うため、極めて負荷の高い業務です。税務署への提出用データを生成できるかも確認したいポイントです。

法改正とマイナンバー対応機能

税制や保険制度は毎年変わるため、法改正に迅速に対応できる「自動バージョンアップ機能」があると安心です。多くのクラウド型ソフトではこの機能が標準搭載されており、改正内容を自動的に反映してくれます。さらに、マイナンバー制度に対応し、安全に番号を管理・利用できる機能も重要です。暗号化やアクセス制限など、個人情報保護の観点からも確認すべき要素です。

勤怠管理との連携機能

日々の出退勤データを自動で取得し、給与計算に反映できる「勤怠連携機能」もあると便利です。勤怠管理ソフトや打刻システムと連動すれば、残業時間や休暇取得情報を自動で取り込み、集計作業の負担が大きく軽減されます。外注スタッフや時短勤務者が多い事業者にとって、正確な勤怠情報との連携は給与支給の信頼性にも直結します。

会計ソフトとの連携機能

給与計算と仕訳データは密接に関係しているため、会計ソフトとの自動連携が可能な給与ソフトを選ぶと、経理業務全体の効率化が期待できます。支給額や控除額などのデータを直接会計側に反映できるため、仕訳入力の手間を省き、かつ、転記ミスがなくなります。すでに利用している会計ソフトと同シリーズの給与計算ソフトを選ぶと、スムーズな運用が可能です。

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給与計算ソフトを選ぶポイントは?

給与計算ソフトの選定は、価格や知名度だけで決めるのではなく、自身の事業内容や規模、必要な機能に応じた判断が求められます。

事業規模と業務内容、従業員の雇用形態に合った機能を持っているか

給与計算ソフトは万能ではなく、機能の過不足が生じると使い勝手やコストパフォーマンスに大きな差が出ます。従業員が家族数名のみである場合は、基本的な給与計算と年末調整が可能なシンプルなソフトで十分です。一方、アルバイトやパートなど従業員が多数いる場合は、勤怠管理や社会保険対応が一体となったソフトを選ぶことで、業務の負担を大きく軽減できます。導入前に「必要な機能一覧」を整理することが、適切な選定への第一歩です。

既存システムとの連携と操作性

現在利用している会計ソフトや勤怠システムと連携できるかどうかは、業務効率を大きく左右します。CSVによるデータ連携やAPIによる自動連携が可能であれば、二重入力を避けられ、ヒューマンエラーの防止にもつながります。また、ソフトの操作性も重要な判断材料です。無料トライアルやデモ画面を試して、利用者にとって直感的に使いやすいかを確かめましょう。導入後すぐに実務に活かすためには、操作習得のハードルが低いものを選ぶことが望ましいです。

コストとサポート体制のバランス

価格が安いことだけを重視すると、年末調整や帳票出力など重要な機能が別料金になる場合があるため注意が必要です。月額費用や初期費用と、得られる業務効率とのバランスを確認しましょう。また、法改正時の対応や不明点の問い合わせに対して、迅速かつ丁寧なサポートが受けられるかも選定の大きなポイントです。導入前にカスタマーサポートの体制や対応時間などを確認し、困ったときに安心して頼れるサービスであるかをチェックしてください。

主な給与計算ソフトは?

国内にはさまざまな給与計算ソフトが提供されていますが、ここでは個人事業主にも導入しやすい代表的なサービスをいくつか紹介します。クラウド型を中心としたものが多いと言えます。

会社名ソフトウェア製品名
マネーフォワードマネーフォワード クラウド給与
freee(フリー)freee人事労務
弥生(ヤヨイ)弥生給与 Next
オービックビジネスコンサルタント(OBC)給与奉行クラウド
フリーウェイジャパンフリーウェイ給与計算
株式会社ミロク情報サービスMJS 給与大将
株式会社ソリマチ給料王
株式会社ピー・シー・エーPCA給与

給与計算ソフトを導入する際に気をつけたいポイント

給与計算ソフトは便利な一方で、導入や運用にあたって注意すべき点もあります。

初期設定と運用には一定の手間と知識が必要

給与計算ソフトは導入すればすぐに使えるわけではありません。初期設定では、従業員の情報や就業規則に基づく給与体系、勤怠データの連携方法など必要な情報を正しく登録する必要があります。設定を誤ると、その後の給与計算にも大きな影響を及ぼすため、最低限の給与・労務に関する知識が求められます。ソフトによってはマニュアルやチャットサポートが整っているため、活用しながら確実に運用を始めることが大切です。

自身や家族への給与の扱いには注意が必要

個人事業主の場合、自分自身に対する給与は経費計上できません。また、配偶者や子どもなど家族に給与を支払う場合も、青色申告専従者として「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していなければ、経費として認められません。給与計算ソフトに家族を従業員として登録する際には、事前に税務署への届出状況を確認し、正しい範囲で処理を行う必要があります。

法改正や更新に対する意識を持つ

クラウド型のソフトは法改正に自動で対応するものが多いですが、インストール型やExcel運用では手動更新が必要です。税率や保険料率の変更を反映していないまま運用を続けると、給与の誤計算につながるリスクがあります。導入後もソフトウェアの更新状況や通知に注意を払い、常に正確な計算ができる状態を保つことが重要です。

個人事業主こそ、効率的な給与管理にソフトを活用しよう

個人事業主にとって給与計算は、法律遵守と従業員との信頼関係の維持に直結する業務です。自分自身への給与は不要でも、家族や従業員を雇う場面では正確な計算が不可欠となり、手作業ではミスや負担が大きくなります。給与計算ソフトを導入すれば、所得税や住民税、社会保険料の自動計算、年末調整対応、帳票作成などが効率化され、法改正にも柔軟に対応可能です。将来的な人員増にも備え、早めの導入と活用がおすすめです。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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