• 更新日 : 2025年9月19日

個人事業主の領収書に印鑑は必要?電子化や保管についても解説

個人事業主として発行・受領する領収書に印鑑は本当に必要なのでしょうか? 法律上の義務があるのか、印鑑のない領収書は経費として使えるのかという疑問を持つ方も多いはずです。

本記事では、領収書への押印の要否から、記載すべき項目、電子化対応、確定申告時の保存義務などを解説します。

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個人事業主が発行・受領する領収書に印鑑は必要?

領収書に印鑑がなくても有効かどうか、また個人事業主として押印が求められるのかは、法律上と商慣習上で認識が異なる場合があります。ここでは法的な位置づけを整理します。

領収書への押印は法律上義務ではない

結論として、領収書に印鑑を押すことは法律で義務付けられていません。領収書(売上代金の受取書)の必要記載事項には、発行者名、取引日、取引内容、金額などが挙げられますが、「押印」は含まれていません。これらの情報が正しく記載されていれば、印鑑がなくても領収書として法的に有効と認められます。また、税務上も押印のない領収書で経費計上や帳簿保存を行うことに問題はなく、実務でも印鑑なしの領収書が通用しています。

近年は押印廃止の流れが加速しており、2021年4月以降は税務署への書類提出でも原則押印が不要になりました。そのため、領収書も署名や記名で十分とされ、印鑑は必須ではありません。

領収書に押印するメリット

法律上は押印が不要な領収書ですが、ビジネスの現場では依然として印鑑が押されているケースが少なくありません。それは、押印によって得られるメリットや、日本の商慣習に根差した理由があるためです。

偽造防止や発行証明につながる

領収書はパソコンやプリンターで容易に作成できますが、社名入りの角印や丸印を押すことで、第三者による偽造を防ぎやすくなります。印影は発行者特有の形状を持つため、正式に発行された書類であることを視覚的に証明する役割も果たします。取引先や経理担当者にとっても、印鑑のある領収書は信頼性を高める要素になります。

商慣習として根付いている

日本の取引文化では「領収書には印鑑が押されているもの」という意識が根強く、受領側も印鑑のない領収書に違和感を持つ場合があります。したがって、企業によっては経費精算ルールで「押印のない領収書は認めない」と定めていることもあり、そうした相手先に提出する場合は押印対応が必要となります。取引先の要望に応じて押印して再発行する事例も少なくありません。このように押印は法的義務ではありませんが、信用維持やスムーズな取引のために押印を行うことが依然として有効とされるケースが多々あります。

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個人事業主が領収書に使う印鑑の種類

領収書へ押印する場合、個人事業主が使う印鑑に厳格な規定はありません。法人で用いられるような正式な社判がなくても、認印程度の印鑑で対応できます。ただし、取引上、継続して同じ印鑑を使うのがよいでしょう。

個人事業主に適した印鑑

法人の場合は社名入りの角印を使うケースが一般的ですが、個人事業主は屋号入りの印鑑がなくても問題ありません。屋号なしで開業届を出している場合でも、自分の名字や氏名の印鑑を領収書に押せば有効です。発行者を明確に示せれば、形式に縛られる必要はありません。

シヤチハタ印の扱いと注意点

スタンプ式の浸透印(シヤチハタ等)を使用したからといって、領収書が法的に無効になるわけではありません。しかし、印影が変質・劣化しやすく、複製も容易とされるため、信頼性や証拠能力の観点から、特に重要な取引では避けるのが一般的です。

実印や銀行印を使う必要はありませんが、鮮明に押印でき、継続して使える品質の印鑑を選ぶことで取引先への印象も良くなります。

領収書に必須の記載事項

領収書は金銭の授受を証明する書類であり、税務上の証憑として成立させるためには一定の情報を含める必要があります。ここでは法律上求められる内容と、一般的に記載すべき事項を整理します。

領収書に記載する基本項目

法律上、領収書の書式に厳密な定めはありませんが、税務上有効にするためには取引日(受領日付)、宛名(受領者の氏名や名称)、金額、但し書き(取引内容や用途)、消費税率ごとの金額内訳、発行者の名称・住所などを記載します。宛名は「上様」とせず具体的な名前を記載するのがよいでしょう。

国税庁が示す適格簡易請求書(簡易インボイス)の記載事項は、①発行事業者の氏名または名称および登録番号、②取引年月日、③取引内容(軽減税率対象である旨)、④税率ごとに区分した対価の額、⑤税率ごとに区分した消費税額等または適用税率の5つです。通常のインボイスと異なり、宛名の記載は不要です。

押印は必須項目ではありませんが、簡易インボイスにおいては上記の項目を欠くと証憑として認められない可能性があります。

インボイス制度で追加される項目

2023年10月開始のインボイス制度により、課税事業者が仕入税額控除を受けるには「適格請求書」の保存が必要になりました。適格請求書には基本的に上記基本項目を記載します。発行事業者の登録番号(T+13桁)を明記し、複数税率がある場合は税率ごとに区分した金額と対応する消費税額の記載に気を付けましょう。これらが満たされて初めて税務上有効なインボイスとなります。一方、免税事業者が発行する領収書はインボイスに該当せず、受け取った側では仕入税額控除ができない点に留意が必要です。発行者の立場に応じて必要項目を正確に記載することが求められます。

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電子領収書と印鑑の関係

近年、事業活動のデジタル化により、領収書も紙から電子データへと急速に移行しています。電子領収書と印鑑の関係、さらに電子帳簿保存法などの最新ルールも踏まえ、個人事業主が知っておくべきポイントを整理します。

押印省略の行政推進と電子化の流れ

政府は行政文書の「脱ハンコ」を推進しており、2021年からは税務署に提出する確定申告書や届出も原則押印不要となりました。領収書についても同様で、PDFなど電子形式で発行されるものでも、所定の記載事項(インボイスとして利用する領収書にはインボイスの記載事項が必要)が揃っていれば押印なしでも法的に有効です。メール添付の領収書やクラウド発行システムによるPDF領収書を利用する事業者が増加し、受領側もデータ処理へと対応が進んでいます。

さらに、2022年1月施行の改正電子帳簿保存法により、電子取引で受け取った領収書は原則「電子データのまま保存すること」が義務化されました。2024年以降は、所得税法においては、受け取った電子領収書を印刷して紙でのみ保存することは原則認められず、タイムスタンプや検索性確保などの措置を講じて、データ形式での保存が求められます。紙の領収書も、スキャナ保存制度の緩和により、要件を満たせばスキャン保存が認められるようになっています。

参考:電子取引関係|国税庁インターネットを通じて取引を行った場合の仕入税額控除の適用について|国税庁

電子データ領収書における押印方法

電子領収書では印鑑は法的に不要ですが、発行者の中には「印影がないと正式に見えないのでは」と心配する方もいます。そのような場合は、PDF上に電子印影(社判や氏名印の画像データ)を挿入することで視覚的に押印と同等の効果を与えることが可能です。ただし、これは形式的なものであり、法的な要件ではありません。

より厳格な信頼性を求める場合、PDFに電子署名を付与することで、発行者の正当性と改ざん防止を保証できます。タイムスタンプを自動付与するクラウド請求書サービスもあり、こうした仕組みを使えば紙のハンコ以上の証拠力を備えることもできます。個人事業主でも、こうした電子的対応を導入すれば、ペーパーレス環境でも安心して領収書の発行と保存が行えます。

確定申告に備えた領収書の保管

確定申告では、経費を証明する領収書の提出は求められないものの、一定期間の保存義務はあります。青色・白色申告の違いや電子保存対応を理解し、日常的に整理・保管しておくことが、スムーズな申告や税務調査対応につながります。

個人事業主の場合の領収書の保存期間

個人事業主が領収書を保存すべき期間は、申告の種類や税目により異なります。青色申告では7年間、白色申告では5年間の保存が原則です。さらに、消費税課税事業者の場合やインボイス発行事業者である場合、消費税法に基づき原則7年間の保存義務が生じます。受領側が仕入税額控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)を7年間保存しなければならず、これは個人・法人を問いません。また、発行者側(売り手)も交付したインボイスの写しを同様に7年間保存する必要があります。保存期間は、領収書が属する課税年度の申告期限(通常翌年3月15日)の翌日から起算します。

参考:記帳や帳簿等保存・青色申告(所得税法)|国税庁No.6621 帳簿の記載事項と保存(消費税法)|国税庁

領収書の電子保存と整理方法

領収書の基本的な保管方法は紙ベースでの整理です。年度・月ごとに仕分けし、日付順・科目別にファイリングしておくと、確認や再提出時の手間を減らせます。ただし、領収書の枚数が多くなると保管スペースが問題になります。そうした場合は、電子帳簿保存法のスキャナ保存制度を利用するのも選択肢です。

2022年以降の制度改正により、紙の領収書はスキャンして保存することが原則可能となりました。紙の領収書をスキャナ保存するには、「重要書類」に分類されるため、解像度やカラーモードなどの基準を満たす必要があります。また、データの真実性を担保するため、原則としてタイムスタンプの付与が必要ですが、訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除ができないクラウドシステムなどを利用して保存期間内に入力したことが確認できる場合は、タイムスタンプは不要となります。

これにより原本を破棄しても、スキャンデータを法的証憑として保存できます。さらに、電子取引で受領したPDFなどの領収書については、印刷して紙保存するのは認められておらず、電子データのまま保存しなければなりません。

領収書の電子保存は、クラウドサービスや専用ソフトを活用すると効率的です。メールで受け取ったPDF領収書は、フォルダ分けしてバックアップを取り、検索性の高い状態で保存しておくと安心です。電子ファイルも紙と同様、保存期間は5~7年必要となるため、メディアの劣化対策やセキュリティ管理も並行して行いましょう。

参考:スキャナ保存関係|国税庁「はじめませんか、書類のスキャナ保存」

正しい領収書対応で信頼性と効率を高めよう

個人事業主にとって領収書の取り扱いは日々の経費管理や確定申告に直結する重要事項です。領収書への押印は法律上の義務ではなく、印鑑がなくても領収書は有効です。しかし、日本のビジネス慣習や相手先の経費処理ルールによっては、押印が求められる場面もあります。そのため、信頼性の確保やトラブル回避の観点から、柔軟に対応できるよう印鑑を用意しておくのが現実的です。

紙でも電子でも、法令に則った正しい内容と形式で領収書を管理し、確定申告に備えておくことが、健全な事業運営につながります。

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