• 更新日 : 2025年8月28日

個人事業主が口座引き落としを活用するには?仕組み・導入方法・サービス比較を解説

個人事業主にとって、顧客からの料金回収は経営を安定させるうえで欠かせない業務です。その中でも「口座引き落とし」は、請求から入金までの流れを自動化できる便利な手段です。

本記事では、口座引き落としの基本的な仕組みや導入方法、メリット・注意点に加え、サービスの比較や経理処理を解説します。

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口座引き落としとは?個人事業主にも使える基本の仕組み

口座引き落とし(口座振替)は、あらかじめ合意した日付に、顧客の銀行口座から自動的に代金を引き落とす決済手段です。事前に手続きさえ済ませておけば、顧客の操作なしに料金回収が可能となるため、定期支払いが発生するビジネスにおいて活用されています。個人事業主にとっても、手間の削減と入金漏れの防止につながる有用な方法です。

事前同意により自動で引き落としが行われる

口座引き落としは、事業者が顧客から事前に同意を得て、銀行などの金融機関に口座振替依頼書を提出することで開始されます。口座振替依頼書には、顧客の口座番号や氏名、銀行届出印などを顧客に記入してもらいます。口座振替依頼書が不備なく金融機関に提出されると、以後は事業者が設定したスケジュールで自動的に顧客の銀行口座から引き落としが行われます。たとえば、月謝制の習い事、レンタルスペース利用料、定額のITサポート費用など、毎月の請求が生じる場面で多く導入されています。顧客側は、口座登録後は都度の振込手続きが不要となり、手続きにかかる負担が軽減されることから、顧客側にとってもメリットのあるシステムです。

銀行振込との違い

銀行振込では、毎回顧客が振込操作を行い、金額を手入力しなければなりません。また振込手数料も顧客側が負担することが多いため、金額や頻度によっては負担が大きくなる可能性があります。これに対し、口座引き落としは一度の登録作業のみで継続利用ができ、顧客の操作を必要としません。加えて、顧客にとっては銀行振込時に発生していた振込手数料の負担がなくなるケースが多いため、利便性が高い点が特徴です。

事業者側としては、毎月の入金状況を確認する作業や、支払い遅延への対応にかかる時間を大幅に削減でき、これらに要していた時間を本業にまわせるメリットがあります。

個人事業主が口座引き落としを導入する方法・手順

個人事業主が顧客からの料金を口座引き落としで回収するには、大きく分けて「金融機関と直接契約する方法」と「集金代行サービスを利用する方法」があります。

金融機関と直接契約する方法

この方法では、金融機関が提供する口座振替サービスと個別に契約を結びます。利用にはまず事業者自身が申込み、金融機関の審査を受ける必要があります。審査の基準は公表されていませんが、取引規模や信用状況によっては、個人事業主では契約が難しい場合もあります。

審査を通過した後は、顧客に口座振替依頼書を記入・提出してもらい、金融機関にて登録処理が行われます。引き落としの開始までには通常1〜2か月ほどかかります。一度設定されれば継続的に自動引き落としが行われ、安定した料金回収が可能になります。

ただし、複数の金融機関と取引がある場合はそれぞれと個別に契約・管理が必要となり、手続きや経理処理の負担は増します。一方で、手数料は1件あたり数十〜200円程度と比較的低いため、一定の件数が見込まれる事業者にはコスト面で有利です。

集金代行サービスを利用する方法

より導入しやすいのが、決済代行会社の「集金代行サービス」を利用する方法です。決済代行会社は金融機関とすでにネットワークを持っており、個人事業主はそのシステムを介して引き落としを行います。1社との契約で複数銀行への対応が可能なため、契約や管理の手間が大きく軽減されます。

最近では、Webで口座登録を完結できるサービスもあり、紙の依頼書や印鑑を用意せずに導入できるケースも増えています。契約後はWebの管理画面を通じて顧客情報や請求内容を登録します。登録後は決まったスケジュールで引き落とし・入金が行われます。回収された資金は決済代行会社を経て事業者の口座に振り込まれますが、その際に手数料が差し引かれます。

入金状況の一元管理ができるため、入金の消し込み作業の効率化にもつながります。ただし、決済代行会社によっては法人限定のサービスである場合や、月額基本料が発生することもあるため、契約条件の確認が必要です。

どちらを選ぶべきか

取引件数が少ない個人事業主の場合、金融機関との直接契約は審査や最低取引件数の条件から難しいケースが多く、一般的には集金代行サービスの利用が現実的です。一方、取引件数が多く特定の金融機関に顧客が集中している場合は、金融機関との直接契約がコスト面で有利になることもあります。

自身の事業規模や顧客層、手間やコストを総合的に判断し、適切な方法を選びましょう。

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個人事業主が口座引き落としを導入するメリット

口座引き落としは、個人事業主にとって料金回収を効率的かつ確実に行える手段です。ここでは代表的なメリットを紹介します。

集金業務の効率化とコスト削減

口座引き落としは、請求作業から入金確認までのプロセスを自動化できるため、事務作業を大幅に削減できます。毎月の請求書の発行や送付、入金確認、催促業務などにかかる時間や人件費が抑えられることから、長期的には経費削減にもつながります。月額課金や継続契約型のビジネスでは、一連の料金回収作業の自動化により業務の安定性と効率性が向上し、キャッシュフローの管理がしやすくなります。

未回収リスクの低減

支払期日になると自動的に料金が顧客の口座から引き落とされるため、振り込み忘れや支払い遅延といったリスクが大幅に軽減されます。結果として売掛金の未回収リスクを減らせて、資金繰りの安定につながります。企業間取引においても、約3割の企業が料金回収に口座振替を利用しているという調査結果があり、確実性の高い決済手段として支持されていることがうかがえます。

顧客の利便性向上と継続利用の促進

顧客にとっても、毎回の振込操作が不要になり、支払い忘れによるサービス停止のリスクが減少します。さらに、振込手数料の負担がなくなる点も魅力です。こうした利便性は顧客満足度を高め、結果的に契約の継続率向上にも貢献します。サブスクリプション型ビジネスでは、支払いの手軽さが解約防止に直結するケースも少なくありません。

事業者としての信用力向上

口座引き落としの導入は、事業者の信用力を対外的に示す一つの要素ともなります。特に金融機関と直接契約している場合、「経営基盤がしっかりしている」という印象を与えられます。また、引き落とし口座に屋号を設定しておくことで、顧客にとっても安心感が生まれ、代金回収がよりスムーズに進みやすくなります。こうした信用力は、新規顧客との取引にも良い影響を与えるでしょう。

個人事業主が口座引き落としを利用する際の注意点

非常に便利な口座引き落としですが、導入・運用には注意が必要です。以下では、利用時に気をつけたいポイントを整理します。

導入に手間がかかる

金融機関と契約する場合、申込みや審査、書類提出などの手続きが必要であり、サービスの開始までに1~2か月を要することが一般的です。集金代行サービスでも顧客情報の登録や依頼書の取りまとめが必要で、これらに一定の時間を要します。口座振替依頼書の記入漏れや印鑑不一致による再提出も発生しやすく、こうした不備があった場合にはさらにサービス開始までに時間を要すこととなり、初期準備には時間と労力が伴います。

コストが発生する

口座引き落としには、初期費用や月額基本料、1件あたりの振替手数料が発生します。取引件数が少ない事業者にとっては割高になることもあり、料金体系を事前に比較することが大切です。回収額に応じた変動手数料や振込手数料が別途加算される場合もあります。

回収の失敗が起こり得る

顧客の口座残高が不足していると、引き落としができず未収扱いになります。代行会社によっては再振替に対応していますが、確実な回収は顧客の支払い能力や意思に依存します。未収の状態が長期化した場合には、個別対応が必要になることもあります。

対象外の取引が存在する

源泉徴収が必要な役務提供や、単発・高額取引では口座引き落としに適さない場合があります。企業間決済の多くが依然として銀行振込を主流としている点も踏まえ、すべてのケースに適用できるとは限りません。

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個人事業主向け口座引き落としサービスの比較・選び方

口座引き落としサービスは多様化しており、それぞれ費用体系や機能に違いがあります。個人事業主が自社に合ったサービスを選ぶには、契約可否、コスト、機能面を総合的に比較・検討することが大切です。

個人事業主の契約可否を確認する

まず確認したいのは、個人事業主でも契約できるかという点です。中には法人専用のサービスもあるため、契約前に利用対象を確認しましょう。また、月ごとの請求件数に下限がある場合もあります。自身の事業規模に合った柔軟な条件で使えるかを見極めることが大切です。

手数料やコストを比較する

各サービスでは、初期費用、月額基本料、1件ごとの振替手数料が設定されています。請求件数が少ない場合は、基本料無料のプランが適し、件数が多い場合は振替単価の安いプランが有利です。年間の利用想定に応じて、実際にかかる費用を事前にシミュレーションすることがポイントです。

機能性や利便性を見極める

提携金融機関の数や、Web口座登録の可否、請求書発行・督促代行・入金消込などの業務支援機能も重要な比較ポイントです。導入社数やセキュリティ認証の有無、サポート体制の整備も判断基準となります。

サービス例

「マネーフォワード掛け払い」は個人事業主も利用可能で、請求書発行・代金回収・口座振替までを一元管理でき、クラウド会計との連携もスムーズです。さらにBtoB取引に強く、未回収リスクを軽減できる点が特長です。

参考:マネーフォワード掛け払い

「リコーリース」は初期費用無料で、利用月のみ月額基本料が発生するシンプルな設計です。

参考:リコーリース

「大阪ガスファイナンス」は初期費用無料で、利用月のみ基本手数料が発生します。月額3,300円(税込)の基本手数料と取扱件数に応じた取扱手数料というシンプルな料金設定が特徴です。。

参考:大阪ガスファイナンス

「サブスクペイ」は初期費用無料から始められるプランがあり、口座振替手数料は1件85円〜となっています。月謝ビジネスなど継続課金型のサービスに向いています。

参考:サブスクペイ

自社の請求スタイルに合ったサービスを選ぶことが、コスト軽減と業務負担の最適化につながります。

口座引き落としを利用した場合の記帳方法と経理処理のポイント

口座引き落としを導入すると、日々の記帳が簡素化され、確定申告の準備や税務処理にも好影響があります。入金の正確な把握がしやすくなる一方で、会計上の基本ルールに則った処理が求められます。ここでは、個人事業主が押さえておきたい経理面での注意点を整理します。

銀行明細を使った売上記帳が簡単になり記帳ミスを防ぎやすくなる

口座引き落としによる入金はすべて銀行口座経由のため、通帳やネットバンキングで入金の有無を明確に確認できます。現金回収に比べて売上計上漏れのリスクが低く、システムによっては会計ソフトとの連携ができ、その場合自動仕訳による記帳が可能です。入金日が固定されていれば、月次の売上管理や資金繰りの計画にも役立ちます。

サブスクなどの先払い収入は前受金として処理する

売上の計上を行う際、収益計上のタイミングには注意が必要です。たとえばサブスクなどのような「翌月分の料金を前月末に引き落とす」契約の場合、サービス提供前の入金は「前受金」として負債に計上します。そして実際のサービス提供月に売上として収益認識し直す必要があります。収益計上を行う際、特に年をまたぐ取引では、収益計上のタイミングに注意しないと申告内容に誤りが生じます。口座引き落としの場合、入金日が固定されているため、顧客の振り込みのタイミングにばらつきが生じず、収益計上のタイミングの誤りを防ぐことができます。

差し引かれた振替手数料も経費として仕訳する

振替手数料や決済代行会社への手数料は、「支払手数料」や「業務委託費」として経費計上が可能です。手数料は通常、料金の回収額から差し引かれて振り込まれることが多いですが、入金金額だけを売上にするのはNGです。明細を確認し、売上の金額を正確に収益計上し、差額である手数料は経費として計上する必要があります。

口座引き落としによる収入帳簿は通常通り売上として記帳し証拠書類も電子保存する

口座引き落としによって受け取った収入は、他の売上と同様に「売上高」として記帳します。記載欄に特別な扱いは必要ありませんが、収益計上の根拠として通帳のコピーや振替結果通知書、代行会社の明細などを保存しておきましょう。電子帳簿保存法により、電子データでの保存・提出が求められる場合もあるため、システム管理やクラウド保存の体制も整えておくと安心です。

自分の事業に合った口座引き落としの方法を選んで活用しよう

口座引き落としは、個人事業主にとって料金回収の手間を省き、安定した資金管理を可能にする仕組みです。金融機関との直接契約や集金代行サービスなど導入手段は複数あり、事業規模や取引件数に応じて選べます。一方で、費用や契約条件、会計処理上の注意点もあるため、サービスの特徴を比較しながら、自分の業務に無理なく取り入れられる方法を検討しましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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