• 更新日 : 2025年8月8日

個人事業主が使える移住支援金とは?条件・手続き・注意点まとめ

移住支援金は、移住先での生活や事業の立ち上げにかかる初期費用を補助してくれる制度です。条件を満たせば、最大で100万円以上の支援を受けることができ、テレワークの継続や起業を考えている方にとっては大きな後押しとなります。

ただし、申請には各種証明書の提出や税務上の対応が必要になるため、あらかじめ制度の内容を正しく理解し、必要書類を準備しておくことが大切です。

本記事では、対象条件や支給額、申請の流れ、必要書類について解説します。

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個人事業主が利用できる移住支援金とは

地方移住を検討している個人事業主の方にとって、「移住支援金」は経済的な負担を軽減できる有益な制度です。現在、個人事業主が活用できる移住支援金は主に2種類あります。ひとつは、東京圏などから地方へ移住し、テレワーク継続や就職、起業を行う人を対象とした「地方創生移住支援金」です。もうひとつは、地方で新たに事業を起業する場合に利用できる「地方創生起業支援金」で、地域社会に貢献する事業に対して支援が行われます。

どちらの制度も、地方での暮らしやビジネスを支えるために用意された公的支援策であり、一定の条件を満たせば返済不要の補助金として支給されます。

地方創生移住支援金の概要

地方創生移住支援金は、主に東京23区または東京圏から地方へ移住し、仕事を通じて地域に定住する人を対象に、各自治体が国と連携して支給する制度です。支給額は、単身者で最大60万円、2人以上の世帯で最大100万円とされ、さらに18歳未満の子どもを帯同する場合は、子ども1人あたり最大100万円の加算がされるケースもあります。

個人事業主の場合、移住後も移住前の事業を継続して行う「テレワーク型」や、地方で新たに事業を起こす「起業型」での申請が可能です。ただし、支給を受けるには過去に東京圏で通算5年以上居住・就業していたことなど、移住元・先双方に細かな条件があるため、申請前に確認が必要です。

社会貢献事業で起業するなら、地方創生起業支援金も活用できる

地方創生起業支援金は、地域課題の解決につながる事業を地方で新たに立ち上げる個人や法人に対して、最大200万円を支給する制度です。この支援金は、地方創生推進交付金の一環として都道府県が主体となって実施しており、対象となる起業内容には、地域福祉、買い物弱者支援、教育支援など、社会性の高いビジネスが求められます。

個人事業主がこの支援を受けるには、所定の事業計画書を提出し、自治体の審査を通過する必要があります。地方創生移住支援金と併用することで、最大300万円程度の支援を受けることも可能で、移住と同時に起業を検討している方には有効な制度です。

個人事業主が移住支援金の対象となる条件

個人事業主が移住支援金を受け取るには、移住元・移住先・就業形態の3点において、国が定める条件を満たす必要があります。それぞれの条件について解説します。

移住元の条件:大都市圏での居住・勤務実績が必要

支援金の対象者は、東京23区に在住、または東京圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)に住み東京23区へ通勤していた人です。直前10年のうち通算5年以上、かつ直近1年以上継続してその状態であることが求められます。個人事業主の場合も対象ですが、移住元での開業届や納税証明書によって事業実績を証明する必要があります。

移住先の条件:地方自治体への転入と定住意思が必要

支援金は東京圏以外の道府県、または東京圏内でも過疎地域などに移住した場合に支給されます。移住後1年以内の申請が必須であり、さらに今後5年以上その地域に定住する意向があることを申請時に示す必要があります。実際に短期間で転出した場合には、支援金の返還を求められることがあります。

就業・起業の条件:事業継続または起業による就業が必要

個人事業主が対象となるのは、①就職、②テレワーク継続、③地域貢献活動、④起業のいずれかの条件を満たす場合です。とくに②のテレワーク型は、移住前の業務を地方でも継続するケースに該当し、事業内容や継続性の証明が必要です。また④の起業型では、地方創生起業支援金の交付決定を受けた上での申請が前提となります。いずれの方法も、業種は問われませんが、地域との関わりや持続可能性が重視されます。

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移住支援金の支給額の目安

移住支援金の支給額は国の上限基準をもとに、自治体ごとに設定されています。個人事業主として地方へ移住する際にも活用でき、世帯の人数や子育ての有無に応じて加算が認められる場合があります。

地方創生移住支援金では、単身の場合は最大60万円、2人以上の世帯では最大100万円が支給されます。夫婦や家族で移住する場合は、世帯単位での支給となり、例えば夫婦2人であれば合計100万円の支援が受けられる仕組みです。

また、18歳未満の子どもを連れて移住する場合には、子ども1人につき最大100万円の加算が認められる自治体もあります。加算の金額や条件は自治体によって異なるため、詳細は移住先の市町村で確認が必要です。

この支援金は一度限りの給付で、返済は不要です。ただし、過去に同じ制度で受給したことがある場合、または世帯員として既に受給歴がある場合は、再申請ができないため注意が必要です。

移住支援金の申請手続きの流れ

移住支援金の受給には、いくつかの段階的な申請手続きが必要です。移住後すぐに支給されるわけではなく、事前の相談から書類提出、審査、交付決定、請求、支払いといった一連のプロセスを経て実施されます。

(1) 事前相談と要件確認

まず、移住を予定している自治体の窓口に相談し、支援金の対象になるかどうかを確認します。特に個人事業主の場合は、テレワーク継続か起業のいずれかに該当しているかどうかを見極める必要があります。早い段階での相談により、申請時の準備がスムーズになります。

(2) 移住と就業・起業の実施

支援金の対象となるためには、実際に住民票を移して移住し、就業または事業を開始することが求められます。転入直後から申請は可能ですが、就職の場合は試用期間終了後の本採用後に申請させる自治体もあるため、事前に確認しておきましょう。

(3) 申請書類の準備

移住後に自治体指定の交付申請書を入手し、必要事項を記入します。あわせて提出する添付書類も多岐にわたります。個人事業主の場合は、開業届や納税証明書など、移住前から事業を行っていた実績を証明できる書類が求められます。収集には時間がかかるため、早めの準備が推奨されます。

(4) 申請の提出

必要書類をすべてそろえたら、移住先の市区町村の窓口へ提出します。郵送による申請を受け付けている自治体もありますが、提出期限は原則として転入後1年以内です。不備があると差し戻されるため、自治体のチェックリストを活用して確認を行いましょう。

(5) 審査と交付決定

提出された申請書類は自治体による審査が行われます。移住元・移住先での条件や、事業継続の実態などが適切かどうかを確認するため、不明点がある場合には追加の書類提出を求められることもあります。問題がなければ、交付決定通知が申請者に送られます。

(6) 請求書の提出と支給

交付決定通知を受け取ったら、所定の請求書を提出します。これにより支払い手続きが進み、申請者名義の口座に支援金が振り込まれます。請求から支給まではおおむね2〜4週間程度が目安とされています。入金をもって手続きは完了となります。

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移住支援金と確定申告・税務

移住支援金は受給して終わりではなく、税務上の手続きや書類提出などが伴います。個人事業主の場合、確定申告や開業届の扱いについて正確に理解しておくことが大切です。

移住支援金は一時所得として課税対象

移住支援金は、税法上「一時所得」に該当し、課税対象になります。受給額から特別控除額50万円を引いた残額の半分が課税所得として算入されます。たとえば100万円を受け取った場合、課税対象は25万円となります。所得税と住民税の申告が必要になるため、普段確定申告をしていない方も、受給した翌年は申告を忘れずに行いましょう。

開業届と納税証明書の提出が必要

個人事業主が移住支援金を申請する際には、開業届出済証明書や、所得税の納税証明書などの提出が求められます。これにより、移住元で事業を営んでいた実績を証明します。証明書の取得には日数がかかることもあるため、事前準備が重要です。

起業支援金の併用や定住後の報告義務にも注意

起業枠で申請する場合は、起業支援金の交付決定通知書も必要です。また、移住後に新たに事業を始める際には、1か月以内に開業届を提出する義務があります。移住後も住所や業種変更がある場合は、税務署への変更届も必要です。さらに、支援金受給後5年間の定住期間中は、確定申告書の写しなどの報告を求める自治体もあるため、交付要綱の確認を欠かさないようにしましょう。

個人事業主が移住支援金を申請する際の必要書類

移住支援金を受け取るには、各自治体の要綱に基づいて多くの書類を準備する必要があります。とくに個人事業主は、開業や納税の証明など、自営業者特有の書類が追加で求められます。以下では、福岡県北九州市市の例をもとに解説します。

全申請者に共通する基本書類

まず、すべての申請者に必要な基本書類は以下のとおりです。

  • 写真付き身分証明書の写し
  • 申請書(別紙1(誓約事項)、別紙2(個人情報取扱)、第2号様式(暴力団排除に関する誓約事項を含む))
  • 移住先での住民票の写し(世帯全員分)
  • 移住元での住民票除票の写し(世帯全員分)
  • 振込先が確認できる預金通帳又はキャッシュカードの写し(申請人本人名義)

住民票除票は、移住元でどこに居住していたかを確認する資料となり、家族での申請の場合は全員分が必要です。また、本人確認書類として運転免許証やマイナンバーカードなどの写真付き身分証明書も提出します。さらに、税の滞納がないことを確認するため、市県民税の納税状況調査同意書や、県税の納税証明書なども求められる場合もあります。

個人事業主に特有の証明書類

個人事業主として申請する場合は、以下の追加書類が求められます。

  • 開業届出済証明書等
    これは、移住元で事業を営んでいた証拠です。税務署の受付印がある開業届控えや、開業届出証明書などが該当します。法人の場合は登記簿謄本が代わりになります。
  • 納税証明書(その2)など
    移住元での事業所得が一定期間あったことを証明するため、所得金額と納税額が記載された証明書を提出します。複数年分が必要となる場合もあるため、年度ごとの取得が必要です。

就業形態に応じた補足書類

就業方法により、さらに以下の書類が加わります。

  • 就職の場合:就業先企業等の就業証明書又は起業支援金の交付決定通知書の写し
    必要に応じて提出しましょう。
  • テレワーク継続の場合:テレワーク用就業証明書(様式第3号)
    個人事業主自身が事業内容や業務継続の実態を記載し、必要に応じて契約書や請求書を添付します。
  • 起業の場合:起業支援金の交付決定通知書
    地方創生起業支援金の採択を受けた際に交付される通知書のコピーを添えます。

申請に必要な様式や提出物の詳細は、移住先自治体によって異なる場合があるため、事前の確認が欠かせません。

移住支援金を活用して、新しい暮らしを始めよう

移住支援金は、テレワークの継続や地域での起業を後押しする心強い制度です。制度の仕組みや必要書類、確定申告の対応まで事前に把握しておくことで、スムーズな申請と安心した移住が可能になります。支援を無駄なく活用するためにも、まずは移住先の自治体で最新情報を確認し、しっかり準備を整えましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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