- 更新日 : 2024年11月21日
家賃収入が副業となるケースは?バレる?家賃収入のメリット・デメリットを解説
サラリーマンで、所有する不動産からの収入がある人はいます。会社が副業を認めていようが禁止していようが、税法上は副業についてはその所得金額で判断するルールとなっています。サラリーマンの家賃収入についてはデメリットとなる場合もあるのでしょうか?
この記事では、サラリーマンが受ける不動産からの家賃収入について解説します。
目次
副業禁止でも家賃収入はOKとする会社が多い理由
基本的に、会社員は勤務先が副業を認めれば、副業をすることは可能です。政府も副業を望む労働者については、基本的に副業を推奨する考え方です。
参考:副業・兼業|厚生労働省、副業・兼業の促進に関するガイドライン
しかしながら、合理的な理由で副業を禁止している会社や副業の内容を制限している会社もあります。
一方、副業禁止の会社の中でも不動産収入の場合は認めている会社もあります。その理由はさまざまですが、以下のことが考えられます。
- 本業との関与度の違い
家賃収入は、本業との競合や時間の衝突が少ないとされる傾向があります。つまり、従業員が家賃収入を得るために他の仕事を行っても、それが会社の業績や労働時間に直接影響を及ぼさないという判断をするケースがあります。
- リスクや責任の違い
家賃収入は一般的に安定しており、会社のビジネスや利益に直接的な影響を与えることはあまり考えられません。他の副業では競合関係や情報の競合、疲労や時間管理の問題など、会社の利益や業務に潜在的なリスクをもたらす可能性があるのに対し、影響度が低いと考えられます。
- 個人の資産活用
家賃収入は、従業員が自己の不動産を活用している場合が多いです。従業員が自身の資産を活用することにより、経済的に安定し、結果として仕事に対するモチベーションや満足度も向上する可能性があると考えられるため、会社にとっては禁止理由になりづらいと言えます。
公務員は家賃収入を得てもよい?
結論から言いますと、決められたルールにのっとって家賃収入を得るのであれば公務員でも家賃収入を得ることは可能です。
公務員は本業である公務に専念し、利益相反や利益供与といった問題を避けるために、副業や収入源の制限が設けられています。つまり、公務員は営利目的の副業をすることで、公平性が保てなくなることが懸念されるため制限があると言えます。
例えば、国家公務員法第104条には次のようにあります。
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
引用:国家公務員法 | e-Gov法令検索(第104条参照)
したがって、まず、公務員で家賃収入を得たい場合には「許可」を得て行う必要があります。
さらに細かく見ていくと、人事院規則14-8に、不動産賃貸をする場合の条件があります。
要件は種々ありますが、例えば次の場合はその経営が制限されています。
イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画され
た一の部分の数が10室以上であること。
ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
ニ 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための
設備を設けたものであること。
ホ 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること。
引用:人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について|人事院
つまり、家屋であれば5棟10室未満、土地であれば契約数が10件未満、さらには不動産物件にも制限がかけられているということです。
したがって、公務員の場合には、まず収入を得る不動産について明らかにし、次に所轄長の許可を得ることができれば家賃収入を得ることが可能と言えます。
家賃収入が副業と判断されやすい主なケース
いくら会社から「家賃収入については副業禁止でもOK」とされていても、ある一定限度を超える場合にはよく考えなければなりません。それは「事業」と認められる場合です。どのような場合かを見てみましょう。
なお、ここでサラリーマンというのは、会社の一従業員として勤務しているケースとします。
一定規模以上の不動産投資
公務員の制限でも見てきたように、一定基準を超えると不動産収入でも「不労所得」の域を超えるため、認められるのが難しいケースが出てきます。会社によって基準はさまざまですので、ここでは所得税法の基準を根拠に説明します。
所得税においては、10区分に分けられた所得区分を合算して所得税を課税する仕組みになっています。その中で、勤労によって生ずる給与所得とは異なり、不動産の貸付けによる所得は「担税力(たんぜいりょく)」があると考えられています。担税力とは税金を負担できる力のことです。
不動産から得られる収入は「資産性所得」として継続性、安定性を持ち、他の収入より担税力が大きいとされています。つまり、所得の発生原因を不動産という資産に求めるか、労務の提供に求めるかの違いです。これが給与所得と不動産所得を分ける理由です。
さらに、所得税においては大々的に事業的規模で不動産の貸付けが行われた場合とそうでない場合には、差を設けています。つまりこの基準を超える場合には、不動産所得でもやや事業所得に近い取扱いになります。
この事業的規模の基準とは、次のようなものです。
(1) 貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること。
(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。
したがって、この基準を超える場合には、副業禁止の会社では認められるのが難しいと考えられます。なお、この5棟10室は形式的な基準であり、まずは実態に即して判断されることとなっています。
一定規模以上の駐車場経営
上記は家屋の貸付けでしたが、駐車場についても似たようなルールがあるようで、車5台分を1室として換算し、50台以上の駐車場は事業的規模とされることがあります。
ただし、駐車場については自ら駐車場設備を導入して、管理のみを委託しているようなケースでは所得税法上は不動産所得ではなく、事業所得になります。駐車場付きの家屋を貸している場合には、家屋だけでなく駐車場分も考慮することが重要です。
娯楽施設の経営
カラオケボックスや映画館などを自ら経営している場合は、不動産所得ではなく、事業所得にあたります。副業禁止の会社ではOKとはならないでしょう。
仮に、サラリーマンが所有する不動産を誰かに賃貸し、賃借人が娯楽施設を経営している場合、所得税法上はそのサラリーマンの不動産収入になりますが、会社によっては可否判断が異なるかと思われます。
家賃収入を得ていると会社にバレる?
自分の勤務先に不要なことを言いたくないという心の働きからか、会社に不動産収入について隠している人もいます。
副業OKまたは、家賃収入が認められている会社の場合には、ありのままを会社に伝えておくほうがよいでしょう。バレる、バレないという考え方ではなく、会社が認めることについて隠す必要はありません。
給与から天引きする住民税が給与所得に比して多い場合でも、会社に報告している場合には確認するだけではないでしょうか?
ただし、会社がいかなる副業も認めない場合には副業のおすすめはできません。サラリーマンの家賃収入が会社にバレるかどうかについての記事は下記をご参照ください。
サラリーマンの副業で家賃収入を選ぶメリット
サラリーマンの副業として、不動産収入を選ぶメリットを3つ挙げました。所有している不動産で使用していないものがあれば考えてみてはいかがでしょうか?
融資を受けやすい
サラリーマンの場合、安定した収入が見込まれるため、金融機関からの融資を受けやすくなります。これは不動産投資において非常に重要なポイントであり、自己資金が少なくても、融資を利用すれば、高額な物件を購入することができます。
また、借入金の利息は不動産所得においては経費として計上でき、節税にもなります。
管理会社に委託すれば手間がそこまでかからない
不動産を所有すると、メンテナンスなどの手間が発生しますが、管理会社に委託することで解決できます。管理会社は、物件の入居者募集や契約更新、家賃回収や修繕など、さまざまな業務を代行してくれます。
もちろん、管理会社に委託するには手数料がかかりますが、不動産所得においては経費となりますし、自分の時間や精神的な負担を減らすこともできます。
給与所得との損益通算ができる
サラリーマンの副業で家賃収入を得る場合、不動産所得と給与所得との損益通算ができます。これは、家賃収入から経費を差し引いた金額が赤字になった場合、赤字分を給与所得から差し引くことができるという制度です。
損益通算により、所得税や住民税の負担を軽減することができます。
参考:No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算|国税庁
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サラリーマンの副業で家賃収入を選ぶデメリット
不動産収入を得るためには、難しい局面もあります。所有している不動産が空いているから家賃収入を、と考える場合はまだしも、これから物件を取得して家賃収入を得ようとする場合には厳しい現実があります。
物件選びが難しい
不動産を取得して家賃収入を得ようとする場合、その成否は物件の立地や価格、築年数、間取りなどに大きく左右されます。諸条件を総合判断して、将来的に需要が見込める物件を見つけることは、初心者にとってはなかなか困難です。
また、物件選びには多くの時間や労力がかかります。市場調査や物件見学、交渉などを行う必要があり、本業との両立も難しくなります。
空室リスクや災害リスクがある
家賃収入を確実に得るには、物件に入居者を確保する必要があります。しかし、入居者の募集や契約はいつもスムーズにいくとは限りません。物件の状況や市場の動向によっては、空室期間が長くなったり、家賃を下げたりしなければならない場合もあります。空室期間が長ければ、家賃収入は減少し、ローン返済などの支払いに影響します。
また、自然災害や火事などによって物件が損傷したり、倒壊したりすることもあり得ますし、災害保険に加入していても補償額が物件価値や修繕費用を下回る場合もあります。気候変動が大きい昨今、災害リスクは不動産投資の最大のリスクだと言えます。
管理コストがかかる
不動産物件の管理にももちろん費用はかかります。例えば、修繕費用や清掃費用、管理会社への委託料などです。さらには、入居者とのトラブルなどに発展すると、想定していない費用が発生する可能性もあります。
副業の家賃収入で得た所得が20万円を超えたら確定申告が必要!
サラリーマンの場合、給与所得や退職所得以外の所得の合計が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要となります。したがってサラリーマンが副業として家賃収入がある場合でも、不動産所得が20万円以下のときは、確定申告の必要はありません。
参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
しかしながら、先述したように、不動産所得の赤字と給与所得を損益通算する場合などは、確定申告が必要になります。
不動産収入についての確定申告の詳細は次の記事をご参照下さい。
副業する際は状況をよく確かめよう
サラリーマンで副業をする場合には、まずその会社で副業が認められているかどうかを確認しましょう。会社によっては、副業について明文化されていない場合もありますので、上司や経営者にありのままの状況を説明し、理解を得られるように進めましょう。
基本的には、国では副業を推奨する方針ですので、何度か会社に折衝すれば、副業禁止の会社でも認めるケースはあると思います。その際、本業に影響はないことも合わせてよく説明しましょう。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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