- 更新日 : 2023年4月28日
会社員の副業収入、20万以下ルールって何?税金はどうすれば良い?
会社員が、主業とは別に副業で稼いだ収入は、一定の要件の下で確定申告が必要となり、住民税の支払いも必要になります。基本的には、副業の所得が20万円を超えると確定申告の義務があります。
この記事では、副業における確定申告の考え方や節税効果を得るにはどんな方法があるかなどについて解説します。
目次
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会社員の副業収入はいくらから確定申告が必要?
会社員で本業において給与所得などがあり、年末調整をする際には、副業による所得金額が年間20万円を超える場合にのみ、確定申告が必要です。
ここで注意すべきことは、収入ではなく「所得金額」が20万円を超えるかどうかということです。
副業の収入でも確定申告は必要
所得税は、個人がその1年間に得た「所得」に対して課税される税金です。この所得とは、給与所得だけでなく、事業所得、不動産所得、雑所得など全部で10種類あります。
会社員として支払を受ける所得は給与所得ですが、副業においては、不動産所得(不動産の賃貸収入)、事業所得(事業の経営)、雑所得などいろいろな種類が考えられます。
会社員の場合は、年末調整により勤務先から「源泉徴収票」が交付されますが、これは給与所得の課税が完了しただけであり、副業による雑所得については終わっていません。
したがって、副業による収入を得ている場合には基本的に確定申告が必要です。ただし、煩雑さ回避等の理由から年間の所得金額が20万円を超える場合だけ、確定申告が義務付けられています。したがって、所得が20万円以下であっても確定申告をすることに問題はありません。
なお、副業の所得金額は、副業の収入ではありません。必要経費を差し引いたものです。
参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
副業の確定申告が不要になる場合
先述したように、会社員の場合は勤務先で年末調整が行われるため、副業をしていても所得金額が20万円以下であれば確定申告の必要はありません。
また、副業によって赤字になった場合も、もちろん所得金額は20万円以下なので確定申告をしなくても問題はありません。
副業による所得が20万以下でも住民税は申告が必要
住民税は、確定申告とは違い、たとえその年の収入がなかったとしても、収入の多少に関係なく申告をする必要があります。
普通は所得税の年末調整や確定申告をすることにより、住民税に関する情報も市区町村に連携されますが、所得税の確定申告をしないと市区町村には新たな住民税のデータが連携されません。そのため、国民健康保険料や所得証明などが正しく計算されないことがあります。
副業の所得金額が20万円以下の場合でも、住民税の申告は結局は自分のために必要となるのです。
副業の所得が20万以下でも確定申告をしたほうがよい場合
確定申告書の提出義務がなくても、年末調整では対応できない医療費控除や初回の住宅ローン控除について確定申告をすると、所得税の還付が受けられます。この申告を還付申告といいます。
なお、還付申告は必ず行う義務があるものではありませんが、払い過ぎの所得税があれば還付をしてもらえるため、節税の1つとして還付申告に努めることをおすすめします。
住宅ローン控除や医療費控除などを受ける場合
払い過ぎの所得税を還付申告で取り返すにはいくつかのパターンがあります。その代表的な例として、所得控除の1つである医療費控除、税額控除の1つである住宅ローン控除があります。
医療費控除とは、家族の分も含めて1年間に支払った医療費が一定額を超えるとき、確定申告によって、税金の一部が還付される制度です。詳細は、以下の国税庁のHPをご参照下さい。
参考:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁
住宅ローン控除とは、住宅ローン等によって、マイホームの新築、取得等をした場合に、一定の要件を満たせば、一定の金額について居住を始めた年分以後の各年分の所得税額から控除するという制度です。
住宅ローン控除には多くの種類がありますので、どれに該当するかは税務署等でご確認下さい。詳細は、以下の国税庁のHPなどをご参照下さい。
参考:No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
税金の還付を受ける場合
副業がアルバイトなどで給与所得となるケースでは、源泉徴収票をもらったとしても「年調未済」と記載されており、通常より多くの源泉徴収がされます。このような場合にも確定申告により還付が受けられます。
還付申告については、確定申告のような申告期限はありません。その年の翌年1月1日から5年間提出できるため、今からでも見直しが可能です。
なお、還付申告は確定申告と同じ方法で行います。還付申告書があるわけではありません。
還付金は通常、申告者本人の口座に振り込まれますので、確定申告書の「還付される税金の受取場所」欄に受け取り口座を記載すると、1カ月程度で還付されます。
副業したのに確定申告しないとどうなる?
会社員が副業による所得金額が20万円以上あるにもかかわらず、確定申告をしない場合にはどのようになるのでしょうか?
確定申告は、本来であれば1月1日から12月31日までに発生した所得について、翌年の申告期間である2月16日から3月15日までに申告し、所得税を納税するルールとなっています。
これを、うっかり申告を忘れていた場合でも、あえて申告しなかった場合でも起こることは同じです。このような場合には、加算税や延滞税といった本来納付すべき税額以外に、ペナルティが発生することになります。
無申告加算税
原則、納付すべき税額につき、50万円までは15%、50万円を超える部分については20%を乗じた金額が加算されます。加算税は税務調査を受けて支払うケースが多いのですが、税務調査の前に自主的に申告した場合(期限後申告といいます)には、無申告加算税が5%軽減されます。
延滞税
税金の納付が期限を超えると、法定納期限の翌日から完納する日までの延滞税を納付する必要があります。法定納期限とは、所得税の場合は対象となる年の翌年3月末です。
延滞税の計算については、期限後申告及びその翌日から2月を経過する日までは、次のうちいずれか低い割合が適用されます。
- 年7.3%
- 延滞税特例基準割合+1%(※1)
期限後申告の翌日から2月超となる場合については、次のうちいずれか低い割合が適用されます。
- 年14.6%
- 延滞税特例基準割合+7.3%(※2)
※延滞税特例基準割合については、その年の前々年の9月~前年の8月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利などから決められています。令和4年分については、※1における割合は年2.4%、※2における割合は8.7%となっています。
なお、期限後申告についての実際の延滞税の計算は、国税庁のHPで計算できます。
参考:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁、No.9205 延滞税について|国税庁、
延滞税の計算方法|国税庁
その他、確定申告をせず税金を滞納することにより、信用度の低下による将来的な契約などへの影響も考えられます。納税義務を守り、申告期限内に所得税申告を行うことが大切です。納税について疑問や不明点がある場合は、税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
副業による所得20万以下でも確定申告しておけば安心!
会社員が副業収入を得たときには、その所得金額が20万円以下の場合には確定申告の義務はありません。
しかしながら、過去の確定申告書の控えが必要になることもありますので、たとえその年の副業による所得が20万円以下であったとしても、確定申告をしておけば安心と言えます。
副業での赤字が続くからと言って何年も確定申告をしないでいると、確定申告への意識が薄れてしまいます。副業を守っていきたいのであれば、確定申告とセットで考えるほうがよさそうです。

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よくある質問
会社員の副業収入についていくらから確定申告が必要ですか?
会社員においては、副業による所得が20万円を超えると確定申告が義務付けられています。確定申告の可否を判断するのは所得金額であり、副業の収入ではありません。詳しくはこちらをご覧ください。
副業の所得が20万円以下でも住民税は申告が必要?
住民税については、所得金額の基準はありませんので、副業による収入があれば住民税の申告が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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